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DVI接続に対応! ラトックのUSBディスプレイアダプタ「REX-USBDVI」


REX-USBDVIの実売価格は14,800円前後。なお、本稿執筆時点ではWindows VistaのAERO機能には対応していない
 ラトックシステムの「REX-USBDVI」は、DVI-I接続に対応したUSBディスプレイアダプタだ。PC本体にグラフィックボードを増設しなくても、USBポート経由で手軽にマルチディスプレイ環境を実現できるという製品である。

 類似の製品として、以前本連載で紹介したアイ・オー・データ機器のアナログ(D-sub15)接続の「USBグラフィック(当該記事)」がある。今回紹介するラトックの製品は、DVI-I接続に標準で対応するほか、付属の変換アダプタによってアナログ接続にも対応する。また、最大接続台数も6台とUSBグラフィックの最大2台に比べ、大幅に増加している。

 対応解像度は、4:3が1,600×1,200(UXGA)、ワイドが1,680×1,050(WSXGA+)。ディスプレイの画面サイズ大型化やワイド化が著しい中で、USBグラフィックの対応解像度(4:3が1,400×1,050、ワイドがWXGA)と比べると、幅広い解像度をサポートしているのは心強い。

 一方、価格面ではUSBグラフィックが1万円前後の実売価格で販売されているのに対し、REX-USBDVIは実売で14,800円前後と、やや高価である。はたして、この価格差だけの価値があるのか、両製品の違いを中心に見ていこう。


背面側。小型のディスプレイ切替器のような外観 アルミ製の筐体。設置にあたって置き場所をきちんと確保したほうが良さそうだ

コネクタの配置。USBグラフィックと違い、USBコネクタはminiBタイプではなくBタイプを採用。ディスプレイ側はDVI-I 付属アダプタの利用でアナログ接続にも対応。この場合の最大解像度はSXGAとなる

ズシリと重いアルミ式筐体。取り回しはやや難あり

 製品筐体は、アルミによる押し出し式でズシリと重い。コンパクトで軽く、ケーブルを接続すれば一体化して目立たなくなるUSBグラフィックと異なり、どちらかというとディスプレイ切替器に近い外観である。

 コネクタの配置も、設計思想の違いが出ている。USBグラフィックの場合、本体の両端にそれぞれUSBとRGBコネクタがレイアウトされていた。一方、本製品は筐体の同一面にUSBとDVI-Iコネクタが隣り合って設置されており、まさに切替器ライクだ。単に基盤のレイアウトの関係でこうした配置になっただけかもしれないが、並べてみるとまったく別の製品のように見える。

 製品にはゴム足も付属しており、据え置き設置が前提のようだ。こと取り回しの良さに関しては、USBグラフィックのような配線とほぼ一体化できるタイプに分があると言える。なお、電源はUSBグラフィックと同じくバスパワー駆動であり、本体にはボタン類は装備されていない。


USBグラフィック(右)との比較。機能は同じだが、外見は別種の製品のように見える ケーブルを接続したところ。「USBグラフィック」のように本体の両端にではなく、ひとつの面にケーブルを並べて挿す

挙動はUSBグラフィックとほぼ同一。高機能なユーティリティが便利

 インストール作業を開始して気付くのは、インストーラ画面がUSBグラフィックとそっくりであることだ。両社ともDisplayLink社のチップを採用しており、インストーラの画面はもとより、インストール完了後にデバイスマネージャに表示される名称もほとんど同じである。また、これらの名称やコントローラの型番から推測する限り、発売元こそ違えど、両製品は事実上の兄弟機といって差し支えないだろう。

 一方で、製品に添付するユーティリティは本製品のほうが高機能だ。ウィンドウのタスクバー上で右クリックすると「ウィンドウを次のディスプレイへ」というメニューが表示され、ワンクリックでウィンドウの移動が行なえる。また、本製品を用いて増設したディスプレイにのみ壁紙を設定できるなど、カユいところに手が届く機能が盛り込まれている。

 ただ、今回試用した「バージョン1.00」のドライバでは、バグと思える画面も存在していた。また、ドライバのインストール画面はきちんとAUTORUNで起動するものの、ユーティリティをインストールする場合は、CD-ROM内を手動で探す必要があるなど、完成度の低さも目に付いた。機能自体は秀逸であるので、今後の使い勝手の改善に期待したい。


コントローラはDisplayLink社のDL-160を採用。DL-120を採用する「USBグラフィック」とは兄弟機ということになる。ちなみに画面の左上、ラトック社の型番ではなく「USB-DVI」となっていた 本製品を接続した後、画面のプロパティを開いたところ。UXGAまで対応する 添付のユーティリティ。通常のマルチディスプレイモードのほか、ミラーモードにも対応する

それぞれのディスプレイに別々の壁紙を指定できる ウィンドウを別のディスプレイに移動させる機能は、ホットキーも利用できる。長期にわたって使う場合、こうしたカスタマイズ機能は重宝しそうだ タイトルバーを右クリックすると「ウィンドウを次のディスプレイへ」のメニューが表示される。バグのせいか、1台しか接続していないにもかかわらず何行にもわたって同じメニューが表示された

USBグラフィックと同等の高パフォーマンス。動画再生も問題なし

ディスプレイを接続したところ。ノートPCと比べると筐体がやや大きく感じる
 使い勝手の面では、USBグラフィックと大幅な違いはなく、前述した接続がDVI-I、対応解像度が向上している点が違いと言えるだろう。動画再生時のパフォーマンスも高く、PC本体にグラフィックボードを増設した場合と比べてなんら遜色ない使い勝手を実現している。CPUの負荷も問題にならないレベルだ。

 ただ、実際に接続する際は、多少面倒さを感じる場合もあった。筆者が今回試用したディスプレイ(三菱電機「RDT201L」)では、最初に接続した際は解像度が1,280×1,024(SXGA)までしか認識されず、1,600×1,200(UXGA)は選択肢自体が出現しなかった。というのも、プラグアンドプレイモニタとして認識されてしまったからである。

 この時点で、RDT201Lのディスプレイドライバがインストールされていないのが原因であることは予測できたが、画面のプロパティでは「DisplayLink Graphics Adapter上のUSB-DVI Multi Display Adapter」と認識され、通常の手順ではRDT201Lのドライバをインストールできない。このため、本製品をいったん取り外し、RDT201LをオンボードのDVI端子経由で接続し、ドライバをインストール。その後に元の構成に戻して再起動することで、解像度の選択肢に「1,600×1,200」がきちんと表示された。

 以上のように、ディスプレイごとに専用ドライバが必要な環境では、導入時の手間が多少かかる可能性もある。ディスプレイがSXGA以下で、画質よりも導入の手軽さを重視するのであれば、USBグラフィックを選択した方が良いだろう。


高解像度派であれば迷わずチョイス。あとは用途次第

 PC用のディスプレイの高解像度化は著しく、ワイド液晶ディスプレイを新たに購入して、これまで使っていたディスプレイをセカンダリ用に転用するケースも多いだろう。現時点では、セカンダリ側の解像度はSXGA以下が多いように思うが、将来的には1ランク上のUXGA対応が求められるのは間違いない。

 そうした意味では、本製品は非常に魅力的な製品だと言える。USBグラフィックとの価格差や上述のように現状のユーティリティのバグが気にならなくもないが、機能が同等で高解像度対応となれば、長く使えると思われる本製品が購入候補にあがるだろう。

 なお、両製品の棲み分けを考えるとするならば、低価格で使いやすいUSBグラフィック、高解像度対応で同時接続台数が多い本製品、といったところだろうか。パフォーマンスにそれほど差がない以上、対応解像度ですべてが決まると言っても過言ではない。同時接続台数も多いに越したことはないが、本製品を3台以上つなぐ利用シーンも多いとは言い切れず、このあたりは用途次第で製品を選択するのが良いだろう。

 ほぼ同じタイミングで2社からUSBディスプレイアダプタが発表され、元祖とも言える海連の「サインはVGA」は高解像度対応の新ユーティリティをリリースし、追撃の構えに入っている。このUSBディスプレイアダプタというジャンル、これからしばらく市場を賑わせるかもしれない。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.ratocsystems.com/products/subpage/usbdvi.html
  ラトックシステム
  http://www.ratocsystems.com/


(山口真弘)
2007/08/01 11:03
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