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カールツァイスレンズを搭載! ロジクール初のオートフォーカスWebカメラ


Qcam Pro 9000 QCAM-200S。派手さを抑えた高級感のあるデザイン。フロントパネル中央、メーカーロゴの周囲にはリング状に赤く光るアクティビティライトがある
 ロジクールから新しいWebカメラ「Qcam Pro 9000」が発表された。同社ラインナップの中でもハイエンドクラスに位置する製品だけあって、カールツァイスレンズの採用やオートフォーカスの搭載など、魅力的な機能を満載している製品だ。Skypeや各種メッセンジャーソフトでのビデオチャットをはじめとして、スナップや自分撮りなど、用途を問わず手軽に高画質を楽しめるパソコン用カメラである。

 製品バリエーションはスタンダードな「QCAM-200S」とノートパソコン向けの「QCAM-200V」。それにヘッドセット同梱パッケージの合計4種類が用意されている。直販サイトの価格は通常パッケージが各9,980円、ヘッドセット同梱パッケージが各10,800円。なお、製品発売は8月10日で、今回試用した製品は評価品である点をお断わりしておく。

 今回試用したのはスタンダードな「QCAM-200S」。若干の変更点はあるものの、基本的には以前紹介した「Qcam Fusion QVX-13S(当該記事)」を引き継いだデザインである。本体は左端が球形にふくらんだコンパクトなバー形。カメラユニットは左側の球形部内に収められており、側面には静止画キャプチャ用のスナップショットボタン。フロントパネルの裏にはアクティビティライト、ボディ右端を覆うメッシュの中にはマイクが配置されている。光沢のある黒いフロントパネル以外は、ガンメタリック系の落ち着いた色調でまとめられていて高級感がある。

 本体下部のユニバーサルモニタクリップは、デスクの上に置いたりディスプレイの上面などに引っかけたりできる使い勝手の良いスタンドだ。QVX-13Sの柔軟性があるクリップとは違って全体を湾曲させることはできないが、代わりに可動式のフラップが設けられている。設置角度を自由に調整することができるし、本体よりもクリップ部分のほうが重いため、安定性は抜群だ。


サイズは89.9×117.9×39.8mm(幅×奥行×高)で、重量は148g。QCAM-200Vはさらに軽量コンパクトなノートパソコン向けモデルだ ネックバック式ヘッドセットを同梱したパッケージも用意されている。大きさの割に軽量で、長時間使用しても負担にならない

内蔵マイクはボディ右端。側面全体がメッシュで覆われている。RightSoundテクノロジーの採用でハウリングとは無縁だ
 イメージセンサーの解像度は200万画素。ビデオキャプチャの解像度は最大1,600×1,200ピクセル。フレームレートは最大30fps。静止画像ならソフトウェアの補完処理により最大800万画素相当と、ハイエンド機にふさわしい性能である。

 また、Webカメラで世界初採用だというカールツァイスレンズは非常にクリアで緻密な画質だ。標準的なレンズより広めの画角らしく、いくぶん遠近感が強調されるようにも思えるが、映像周辺部の歪みや光量の落ち込みがまったく気にならない。50cmから1mほど離れてバストアップショットを撮影するのにちょうど良い焦点距離といえそうだ。また、ロジクールのWebカメラとしては初のオートフォーカス機能を搭載している点も大きな特徴となっている。


ユニバーサルモニタクリップ。カメラ本体との接合部とフラップ部の2カ所を自由に動かせるので、設置場所の自由度は非常に高い レンズ左サイドにある静止画キャプチャ用のスナップショットボタン。長さ約1.8mのUSBケーブルは球形部の後から伸びている

HOゲージの鉄道模型(全長約8cm)を接写。マニュアルフォーカスなら10cm以下の距離でもピントを合わせることができるようである
 パッケージにはパソコンからカメラをコントロールするためのQcamソフトウェアが付属している。光源の種類や順光、逆行といった条件を自動的に判断し、最適な映像が撮影できるRightLight2テクノロジーや、ハウリングの原因となる音の回り込みや周囲の雑音を除去し、クリアな音声を伝えるRightSoundテクノロジーをはじめとして、面倒な設定を不要にする多くの機能を備えているのが特徴である。

 インテリジェントフェイストラッキングはカメラの前に立つ人物の目鼻立ちを認識し、顔が常に映像フレーム内におさまるよう、自動的に撮影方向を変える機能である。デジタルカメラやビデオカメラの手ブレ補正などと同じく、アクティブマトリクスによるパンとチルトを応用しているようだが、1人だけでなく2、3人の顔に同時対応できるのが大きな強みだ。さらに、新しく搭載したオートフォーカスによって、最短10cmの距離まで、3秒以内という短い時間で自動的にピントを合わせることができるのである。一切をカメラ任せにしても、その性能を最大限に引き出せるのは大きな魅力だ。

 Qcamソフトウェアには、Webカメラをより楽しむための機能も用意されている。撮影している顔の動きに反応し、リアルタイムに表情を変えていく3Dアニメーションのアバターや、顔にメガネやヒゲといったラクガキ風のイラストを付け加えるフェイスアクセサリーが楽しめるビデオエフェクト機能だ。ロジクールのWebサイトではバラエティに富んだ追加アイテムが無償提供されており、総ダウンロード数は1,500万件に達するという。今回のバージョンでは上記2つのほか、映像にさまざまなビジュアルエフェクトがかけられるファン・フィルターも加わった。


窓からの自然光+蛍光灯という条件下、すべてカメラ任せで撮影。後方にあるプラスチック製のオモチャは実物に近い発色だ 1,600×1,200ピクセル。リンク先はいずれも、付属ソフトの標準設定でスナップショットした画像になる こちらは3,264×2,448ピクセル

フェイストラッキング機能を利用したところ。この場合、人形に対してトラッキングが有効になった アバター機能を利用したところ 口や目の動き以外にも頭部の左右移動なども認識した

 このほか、動画や静止画をメールに貼付したり、YouTubeやGrouperといった動画共有サービスへアップロードが簡単に行なえる機能などを搭載。流行のコンテンツにもいち早く対応できる。高度な処理をリアルタイムに実行するだけあって、パソコン側でもWindows XPでPentium4 2.4GHz、128MB以上のメモリ、Windows VistaではPentium4 2.8GHz、512MB以上のメモリと比較的高いスペックを満たしている必要はあるが、それだけの価値があるソフトウェアといえるだろう。

 ちなみに今回試用したパッケージにはマイク付きのヘッドセットが同梱されていた。ネックバンド型でイヤーパッドが大きなオープンエアタイプだ。装着したまま周囲の音が聞き取れるし、軽量なので長時間使用しても疲労を感じない。音楽を聴くというよりは音声チャットや効果音再生に向いた音質だが、通常パッケージと同梱パッケージの価格差は800円ほど。ちょっと得した気分になれるアイテムなのではないだろうか。


Qcamソフトウェアはコンパクトなアプリケーションランチャー風。縦に並んでいるアイコンからさまざまな機能が呼び出せる 他アプリケーションとの連携機能のほか、YouTubeやGroupersといったビデオ共有サイトに対応する機能も搭載 ビデオエフェクト機能のサポートページでは多数の追加アイテムが無償提供されている。総ダウンロード数は1,500万件に達するそうだ

レンズの周囲のリングに刻まれた「Carl Zeiss」と「Tessar」の文字。小さくて目立たないが、カメラ好きにはたまらないポイントだろう
 豊富な機能が特徴のQcam Pro 9000ではあるが、少しでもカメラに興味のあるユーザーなら、やはりカールツァイスのレンズが気になってしまうのではないだろうか。カールツァイスは19世紀半ばに設立されたドイツの光学機器メーカーだ。高性能レンズの代名詞であり、かつては価格の高さでも群を抜いていた伝説的なブランドである。現在では他メーカーによってライセンス生産されたり、一般向けのデジタルカメラやビデオカメラに採用されるようになり、以前に比べれば身近になっているようだが、いまだその地位は揺るぎない。

 Qcam Pro 9000に搭載されているのは、そのカールツァイスの「テッサー(Tessar)」というレンズなのである。3群4枚のシンプルなレンズ構成で、小型化や薄型化が可能。それでいて鷲の目と呼ばれるほどシャープ、かつコントラストの高い画質を誇る。誕生から100年以上、今に至るまで高く評価され続けている歴史的な名品の1つなのだ。ちなみにカールツァイスレンズ搭載のコンパクトなデジタルカメラなどでは、このテッサーをベースとしたズームレンズ「バリオテッサー(Vario-Tessar)」を採用している製品が多いようである。

 Qcam Pro 9000の魅力はマニアックな高画質ではなく、バランスの取れた高性能、独自のユニークなソフトウェアと連携した豊富な機能、それにパソコン上での使いやすさといった点にあるのは間違いない。カールツァイスレンズの採用も高画素イメージセンサーの性能に見合った画質を実現するための単なる手段だったのかもしれない。しかし、1万円前後の価格で「この映像はカールツァイスのテッサーで撮ってるんだ」という妙な自己満足に浸れてしまえるのである(笑)。カメラ好きならずとも気になる1台といえるのではないだろうか。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logicool.co.jp/index.cfm/webcam_communications/webcams/devices/3056&cl=jp,ja
  ロジクール
  http://www.logicool.co.jp/

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(斉藤成樹)
2007/08/08 11:09
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