Broadband Watch logo

USBとeSATAに対応したHDDクレードル。ロジテック「LHR-DS01SAU2」


 ロジテックの「LHR-DS01SAU2」は、HDDを直接装着して利用することを想定したHDDリーダライタだ。以前紹介したセンチュリー「裸族のお立ち台(CROSU2、記事URL)」と同様のコンセプトを持った、HDDのクレードルとでも言うべき製品である。


カバーがあるため大柄な筐体。台座部分は広く、安定性高し

「LHR-DS01SAU2」の直販サイト価格は4,980円。カバーのある独特の形状。カバー部分はスモーク調のため、中にHDDがあるかどうかも確認できる
 製品の基本的な構造は「裸族のお立ち台」と同じで、本体となる台座部分に対し、上からSATAのHDDを差し込むというもの。これにより、PCからは外付HDDとして認識される。詳しくは後述するが、USBだけでなく、eSATA接続にも対応しているのが、前回紹介した「裸族のお立ち台」と異なるポイントだ。

 外観に関しては、「裸族のお立ち台」とかなり異なっている。その最大の要因は、前面に取り付けられたスモークカバーの存在だ。本製品では、このカバー部分を前方に約90度倒してHDDを上から差したのち、HDDを覆うようにカバーをかぶせる手順になる。このため、HDDを未装着の状態でもカバーは取り付けられたままであるため、HDDが露出する「裸族のお立ち台」と違って外観に変化はないわけである。


HDDの交換方法。まずカバーを開け、HDDを上から抜く 次のHDDを挿入する直前。奥にSATAポートが見える スロットに別のHDDを差し込んだところ。HDDは3.5/2.5インチの双方に対応する

カバーを戻せばセット完了 HDDの取り外しは、イジェクトボタンを押しつつ、上から手で抜くと良い

 なお、カバー部分であるがHDD全体を覆うのではなく、前面部と上面、両側面になり、背面はむき出たままの状態になる。真上からホコリが入らないのは良いことなのだが、背面から入る可能性も否定できず、防塵用途としての期待は微妙なところだろう。また、本製品は台座部分のスロットが浅いため、カバーをしない状態で使用するには注意が必要だ。

 ただ、台座自体は面積も広く、非常に安定している。写真にあるようにCDの直径に比べても、二回り以上は大きいので場所を取るという問題はさておき、安定性の高さは評価しても良いところだ。基本的にユーザの好みに依存する部分なので、好みに応じて「裸族のお立ち台」とどちらを買うか考えれば良いと思われる。


サイズ比較。CDと比べ、二回りほど大きい 正面はカバーがあるが、背面は思いがけず露出している。放熱を考えるとこの方が望ましいのだろうが、外見からすると多少なりとも驚かされる

よく作り込まれた筐体。USBハブ×4ポートを前面に装備

本体前面に4ポートのUSBハブ機能を搭載。eSATA接続時は利用できない
 筐体色はブラックで、全体的に精悍なイメージがある。成型もしっかりしているが、前述のカバーの接合部分の仕組みはやや弱いと感じられる。2週間程度の試用期間の範囲では、開け閉めする回数はそれほど多くなかったが、長期間にわたって使用する場合は接合部の磨耗は、若干問題になってくるのかもしれない。

 また、「裸族のお立ち台」にない機能の1つとして挙げられるのが、USBハブ機能だ。本製品の前面には4ポートのUSB Aコネクタが装備されており、セルフパワータイプのUSBハブとして利用することができる。ハブ機能自体は、「裸族のお立ち台」のバリエーションモデル「裸族のお立ち台プラス」にも装備されているが、本製品の場合は「HDDリーダライタ」という同社呼称が示す通り、HDDは上部スロット、外付HDDは前面のUSBポートに挿してくださいというコンセプトだ。

 なお、このUSBハブ機能は、後述するeSATA接続の際は使用できない。eSATAとUSBの同時接続自体がNGであるため、eSATA経由でPC接続中にUSBケーブルをPCに接続した場合でも、USBハブ機能を利用することは不可能だ。これについては、スライドスイッチなどで構わないので、改善を求めたいところだ。

 電源はACアダプタを採用している。サイズ自体はやや大きめではあるが、作りはしっかりしている。また、コネクタの横には電源ボタンがあり、本体電源のオンオフが行なえるようになっている。このあたりの作りには雑さは感じず、丁寧に作りこんである印象だ。


eSATA接続に対応。OSブート用途の難易度は高め

背面。USBもしくはeSATA接続の2通りから接続方法を選択できる。右端は電源スイッチ
 また、上述のようにUSB接続に加えて、eSATA接続に対応している点も特徴に挙げられる。

 eSATA接続のメリットは、USB接続に比べて転送速度が速い(理論値で3.0Gbps。USB2.0は480Mbps)ほか、OSの起動をサポートしている点が挙げられる。つまり、OSをインストールしたHDDを本製品に装着し、PCとeSATA接続することで、本製品から任意のOSを用いてPCの起動が可能になるのだ。

 これにより、複数のOSを切り替えて利用したいというニーズはもちろんのこと、バックアップ用システムをインストールしたHDDを用意しておき、定期的に新しいシステムに置き換えることも可能になる。

 ただ、HDDへのOSインストール作業は、かなり難易度が高い。今回は同じロジテックのeSATAボード「LHA-SA32PE」をPCに装着し、そこに本製品を接続。その後、HDDにOS(Windows XPおよび2000)のインストールを試みたが、フロッピーディスクを用いて必要なドライバをコピーする必要がある。現在では標準でフロッピーディスクドライブを搭載しているPCも多くはないので、この点は注意が必要だろう。

 では逆の発想で、すでにOSをインストールしたHDDを本製品に装着すればどうなるか?ということだが、これは上と同様、HDDに本製品のドライバがインストールされていないので、残念ながら起動はおろかインストールが行なえない。ほかにも、相性問題らしき挙動もあり、OSインストールおよび運用については、ハードルがそこそこ高いことは覚悟しておいたほうが良いだろう。

 また、eSATA接続からのブートに対応するOSはWindows XP/2000に限定されるので、例えばLinuxと差し替えて動作させたいといった用途には残念ながら使えない。もちろん、内蔵ドライブにはLinuxをインストールしておき、本製品経由でWindows XP/2000を使うといった方法もないではないのだが、「eSATA接続に対応」「ブート可能」という特徴にだけ目を引かれると、思ったような役割を任せることができず、がっかりするかもしれない。明確な用途がある場合、こうした部分は購入前に十分にチェックしておきたいところだ。


店頭購入時の判断材料で気になるのは大柄なパッケージ

製品パッケージは外付HDD製品並みで、かなり大きめのサイズだ
 「裸族のお立ち台」が話題になっている中、国内の主要メーカーからこれだけ素早く競合製品が出てきたのは、正直意外であった。独自に企画が進行していた可能性もないではないが、それにしても素早いタイミングである。少なくとも、本製品の登場によって、HDDをカートリッジとして使うクレードル製品は、1つのジャンルとして確立することが決定付けられたと言っても良いだろう。

 本製品で気になる点があるとすれば、まず筐体が大柄に見えてしまう点だろう。USBハブサイズのパッケージを実現している裸族のお立ち台に比べると、実に数倍もの巨大さである。通販で買うのなら問題ないだろうが、店頭で持ち帰りで購入しようと考えているユーザは注意したほうが良いかもしれない。特に「裸族のお立ち台」も先日eSATA対応モデルを発表した現在、こうした部分が思わぬ購入時の差となってあらわれるような気がしてならない。

 あとは、ややちぐはぐな感のあるeSATAインターフェイスについて、さらなるブラッシュアップが必要ではないかと思われる。基本コンセプトはよくできており、価格も5,000円台と良心的であるため、今後のさらなる進化に期待したいところだ。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logitec.co.jp/products/hd/lhrds01sau2.html
  ロジテック
  http://www.logitec.co.jp/


Amazon.co.jpで購入する




(山口真弘)
2007/12/26 11:07
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.