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USBストレージやメモリカードをネットワーク化できる「CG-NSADPCR」


コレガの「CG-NSADPCR」(標準価格14,490円、9月上旬発売予定)。サイズは32×156×115mm(幅×高×奥行)で、重量240g。A6版リフィル用のシステム手帳を思わせる大きさと外見だ
 NASと呼ばれるネットワーク機器をご存じだろうか。「Network Attached Storage」の頭文字で、直訳すれば「ネットワークに取り付けられた貯蔵所」とでも言うような意味になる。ネットワーク上でデータを貯えるモノといえば、まずサーバー、つまり大容量の記憶装置を備えた高性能なコンピュータを思い浮かべる。しかし、NASはサーバーとは違ってコンピュータとしての能力は持ち合わせていない。ネットワークに接続する、データの貯蔵と共有だけを目的とした専用機器なのである。

 近頃では、このNASの機能を比較的低コストで実現できるネットワーク直結式のハードディスクユニットなどが数多く登場している。サーバーを管理するための特別な知識は必要なく、自宅にあるような小規模LANでも気軽に大容量のネットワークストレージを利用できるのが大きな魅力となっている。

 今回紹介するコレガの「CG-NSADPCR」も、一般ユーザーがNASと同じような機能を手軽に使えるようにするアイテムの1つである。ただし、本体だけでは何の機能も果たさない。USBで接続したハードディスクやフラッシュメモリなどにデータを保存するのである。ネットワークストレージアダプタと名付けられていることからわかるように、USBストレージデバイスをTCP/IPネットワークで利用できるようにするためのアイテムなのだ。

 本体はシステム手帳をモチーフにしているようで、前面付近と裏面付近では微妙に厚さが違うという凝ったデザインだ。縦置き用のスタンドが付属しているが、横置きでの使用も可能となっている。角が丸められた前面パネルには、メモリーカードが差し込める4本のスロット。後面にはLANポートとUSBポートがある。なお、同デザイン、同スペックでカードスロットが省略された「CG-NSADP」は、すでに発売されている。


本体前面にはカードスロットが4本。横の丸いボタンはメモリーカードの内容をワンタッチでバックアップするためのもの 本体背面にはUSBポートが2つとLANポートが1つ。上にある黒い小さな突起はUSB機器を取り外すときに使うunmountボタンだ

 ネットワークが関係しているだけあって、初心者レベルのユーザーにはハードルが高いようにも思えるが、接続はプラグ&プレイ機器並みに簡単だ。LANポートを備えた標準状態のWindows XP搭載パソコンなら、LANケーブルを接続してしまえば「ローカルネットワーク」から普通のドライブと同じようにアクセスできるようになる。ドライバなどをインストールする必要はなく、プリンタなどを接続する作業よりも簡単だ。

 本製品には、ネットワーク内のDHCPサーバーから自動的にIPアドレスを取得する機能が用意されているので、すでにLAN環境を組んでいる場合でも設定の手間はかからない。筆者の例で言えば、ルータの空きポートに接続後、CG-NSADPCRの初期ワークグループ名「WORKGROUP」を現在使用中のワークグループ名に変更しただけである。

 設定も専用アプリケーションは必要なく、Internet ExplorerなどのWebブラウザで行なう。LANに接続されていれば、ネットワーク上のすべてのパソコンから同じように操作が可能だ。


ブラウザで開いたCG-NSADPCRの設定画面。IPアドレスやゲートウェイ、メモリカードのバックアップ先などが指定できる CG-NSADPCRのメンテナンス画面。各種設定のリセットやファームウェアのアップグレードもブラウザで対応可能だ

横置きでも使用できる。メモリカードを多用する場合は、こちらのほうが安定して使いやすく感じた
 CG-NSADPCRのUSBポートに接続できるのは、標準的なドライバで動作するハードディスクやフラッシュメモリといったストレージデバイスに限られている。同じUSB接続機器でも、CD-RドライブやDVD-Rドライブといったデータの書き込みに専用ソフトを必要とする機器は使用できない。おおまかな目安として、Windows MeやWindows XPでドライバをインストールしなくても動作する機器なら使えると考えて良いだろう。ただし、USBハブには残念ながら対応していないので、接続できるストレージは2ユニットまで。フラッシュメモリは4枚までだ。しかし、USB機器やフラッシュメモリの取り付け、取り外しは簡単なので、実用上の容量は無制限と言える。

 CG-NSADPCRの主な機能は、USBストレージデバイスとTCP/IPネットワークの仲介だが、ちょっと便利な独自の機能も組み込まれている。本体の前面横についている丸いボタンだ。これはスロットに差し込んだメモリーカードの内容をCG-NSADPCRに接続されたストレージデバイスの指定した場所にワンタッチでバックアップするためのものなのである。

 一見すると地味な機能だが、利用価値は非常に高い。デジタルカメラで撮影した画像データなどを一気にストレージへ転送し、フラッシュメモリ内のデータをすぐにクリアすることができるのだ。いちいちパソコンを立ち上げ、ハードディスクにコピーするといった作業は不要になるため、フラッシュメモリの利用効率は格段にアップするはずである。

 ちなみに、CG-NSADPCRのカードスロットで読み書きできるのはコンパクトフラッシュ、マイクロドライブ、スマートメディア、SD/マルチメディアカード、メモリースティックなど。アダプタを利用すればminiSDカードやメモリースティックDuoにも対応する。

 CG-NSADPCRは、FTPサーバー機能も備えている。業務用のオフィスネットワークならともかく、個人ユーザーレベルの家庭内ネットワークにFTPは不要と思われるかもしれないが、おもしろい利用法としてネットワークカメラがあるので紹介しておこう。

 コレガのネットワークカメラ「CG-NCMN」は、本体にCPUを搭載し、撮影した映像データを自動的にメールで送信したりFTPサーバーにアップロードする機能を持った製品だ。この機能を使って、CG-NSADPCRのFTPサーバーを映像データのアップロード先として指定するのだ。こうしておけば常にパソコンの電源を入れておく必要がない上、FTPクライアントソフトを利用し、ネットワーク内のパソコンすべてでカメラの映像を共有できるというわけである。


コレガのネットワークカメラ「CG-NCMN」。CPUを内蔵しており、撮影画像の自動メール送信や自動アップロードが可能 CG-NCMNは、有線LANタイプの製品だ。CG-NSADPCRのFTPサーバー機能と組み合わせて、さまざまな利用法が考えられる

 余談になるが、筆者の家にはWindows 98時代のパソコンが残っている。性能的には今のパソコンに及ぶべくもないが、長年使っているせいか愛着がわいてしまい、いまだ現役。メールの送受信や、ちょっとした文章を書くといった軽い作業では今でも十分に役立ってくれている。しかし、さすがに機能面での古さは隠しきれず、不便な思いをしてしまうことも少なくない。

 その1つが、Windows Me以前のWindowsではUSBマスストレージクラスをサポートしていないという点だ。USBフラッシュメモリを利用するために、いちいちドライバをインストールしなければならないのである。もう1つは、USBが1.1にしか対応していないという点。フラッシュメモリの読み書きならともかく、ハードディスクへのアクセスが最大12Mbpsというのはいかにも情けない。

 ところがCG-NSADPCRを利用すれば、こういった不便が一気に解決してしまう。ドライバをインストールしなくても、さまざまなタイプのUSBフラッシュメモリがそのまま利用できるのである。100BASE-TXの速度なら、USB 2.0ハードディスクの性能をフルに活かすとまではいかないものの、実用レベルのパフォーマンスは期待できるだろう。CG-NSADPCRは、筆者のような古いマシンをシツコく使うユーザーの救済にも役立つアイテムなのである。


関連情報

URL
  コレガ
  http://www.corega.co.jp/
  製品情報
  http://www.corega.co.jp/product/list/others/nsadpcr.htm

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(斉藤成樹)
2004/09/01 11:16
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