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プレゼン資料をワイヤレスで操作!「プレゼンテーション用USBマウス」


コクヨの「EAM-ULW1」。実売価格は1万円前後。マウスは単4電池×2本で動作する
 コクヨから発売されている「EAM-ULW1」は、プレゼンテーション用に特化したUSBマウスだ。PowerPointやWindows Media Playerの専用操作ボタンを装備し、ワイヤレスでこれらのアプリケーション操作が行なえるのだ。

 一般的なワイヤレスマウスでは、手の届く範囲内でしか信号を受信できないのに対し、本製品は最大10メートルの距離でも操作が可能となっている。2.4GHz帯の電波を用いているため障害物にも強く、例えばセミナールームの後方からPowerPointをコントロールしたい場合でも、信号が遮られることはまずなさそうだ。

 さらに本製品は、レーザーポインタの機能も持っており、プレゼンテーションに求められる機能がひととおり揃っていることになる。


ボタン操作は親指が中心

 EAM-ULW1は、スティック状のマウス本体とUSB接続型の小型レシーバで構成される。Windows XP/2000環境では標準のマウスドライバで動作するので、ドライバのインストールが必要ない。会議やセミナー、商談などでプレゼンテーションを行なう際は、他人のパソコンを借用する場合も多いので、標準ドライバで動作するのはありがたい。

 マウスの中央部には、カーソルを移動させるためのポインティングデバイスが配置されている。一部のノートパソコンが標準装備しているスティックポインタが大型化したものだと考えれば良いだろう。普段はここに親指をのせておき、前後左右に力を加えることでカーソルを移動させる。カーソルは、強く押すと速く、弱く押すとゆっくりと移動する。

 また、ポインティングデバイスの下にはマウスの左右ボタンが配置されており、前述のポインティングデバイスと同様、親指で操作を行なう。親指はカーソル動作に専念し、マウスの左右ボタンは別の指で操作するのが自然なイメージではあるが、本製品ではボタンの配置上こうならざるを得ない。

 マウスの右側面には、PowerPointやWindows Media Playerを操作するボタン、レーザーポインタの照射ボタンと計5つの専用ボタンが配置されている。これらのボタンについても、操作はすべて親指で行なう。つまり、正面・側面の計9つのボタンを親指で操作する必要があり、カーソルを動かしながら別のボタンを同時に操作することは難しい。片手でマウスを保持し、もう片手でボタン操作をするのであれば話は別だが、それでは本製品のコンセプトからはかけ離れてしまうため、少々疑問が残るボタンレイアウトではある。


標準的な使用スタイル。電池を含めた重量は約72gと軽いため、長時間持っていても負担にならない ポインティングデバイスの下にはマウスの左右キーが配置されている。位置が位置だけに操作は少々厄介

動作モードは3種類

 本製品では、通常モード・レーザーポインタモード・マルチメディアモードの3つの動作モードを持っており、各モードを切り替えることによって、それぞれのアプリケーションを操作できる。モード別の挙動をまとめたのが以下の表である。

  通常モード
(モードボタン消灯)
レーザーポインターモード
(モードボタンが赤色に点滅)
マルチメディアモード
(モードボタンが緑色に点滅)
正面 ポインタ操作ボタン ポインタ移動 ポインタ移動 ポインタ移動
左クリックボタン 左クリック 左クリック 左クリック
右クリックボタン 右クリック 右クリック 右クリック
側面 側面ボタンのPUSH ドラッグ ドラッグ Windows Media Playerの「ミュート」
側面ボタンの↑↓ PowerPointのページ送り PowerPointのページ送り Windows Media Playerのボリューム操作
再生ボタン PowerPointのスライドショー開始 PowerPointのスライドショー開始 Windows Media Playerの「再生」
戻るボタン PowerPointのスライドショーを隠す PowerPointのスライドショーを隠す Windows Media Playerの「前へ」
進むボタン PowerPointのスライドショー終了 PowerPointのスライドショー終了 Windows Media Playerの「次へ」
レーザーボタン 無効 レーザーポインタ照射 無効


 マウス機能はどのモードでも利用可能だが、PowerPointのスライドショーを送る機能のように、モードによっては使えない機能もある。つまり、アプリケーション利用中に別のアプリケーションを操作しようとすると、適切なモードに切り替えなくてはならない場面がある。例えば、PowerPointを操作しながら、Windows Media Playerで動画を再生する場合には、「通常モード」から「マルチメディアモード」に切り替える必要があるのだ。

 モードの切り替えは、複数ボタンの同時押しによって行なう。ただ、2つ以上の機能が割り当てられているボタンを、さらに同時に押さなければならないのは、直感的にはわかりにくい。これらのボタンの組み合わせは、本体背面に貼られたシールに記載されているので、そちらを参照すれば良いのだが、操作中に本体を裏返してボタンの使い方を確認していては、スムーズなプレゼンテーションは行なえないだろう。モード切り替えについては、独立したスイッチを設けるなど、改善を望みたい部分である。


側面には、PowerPointやWindows Media Playerの専用ボタンが配置される。ユーザー設定が可能なボタンも欲しいところ 背面は単4電池を入れるスペースのほか、USBのレシーバーまでも本体内に収納できる。持ち運びに配慮した仕様と言えそうだ

機能はピカイチだが、慣れるまで我慢が必要

 さて、本製品でパソコンの全操作を2時間ほど続けてみたところ、かなり違和感なく操作できるようになった。通常モードとレーザーポインタモードは、ほぼ機能が重複しているので「Windows Media Playerを使う時はマルチメディアモード、それ以外は通常モード」と決めておけば、それほど迷うこともない。

 しかしながら、どれだけ操作に慣れたとしても、親指1本で全てのボタンをコントロールするのはやはり面倒である。人差し指と中指を置く位置に左右ボタンを配置するか、ユーザー側で設定が可能なボタンが欲しいと筆者は痛切に感じてしまった。設定ボタンがあれば、プリセットされているPowerPointやWindows Media Playerだけでなく、ブラウザなども容易に操作できるはずだ。次期モデルでは、これら操作性の改善とさらなる機能の追加に期待したいところだ。

 結論としては、使い込めばそれなりに便利だが、すぐに使いこなせる製品ではないと感じた。人前でプレゼンテーションを行なう際は、何気ない操作であっても緊張からミスをしがちである。そのような場合に、直感的にリカバリーすることができないのは、ビジネスシーンでの利用においては少々不安を感じる。

 とはいえ、10m離れた距離からプレゼンテーションを操作できたり、カーソルの位置を制御できるなど、ほかに類を見ない利便性を持ったアイテムであることは間違いない。アシスタント不在のまま、1人でプレゼンテーションしなければならないシチュエーションにおいては、本製品は何より強力な武器となるだろう。


スクリーンキーボードを併用して使い勝手アップ

「スクリーンキーボード」を表示したところ。Windows標準ソフトの中でもかなり使用頻度の低いソフトだと思われるが、物理的なキーボードがない環境では威力を発揮する
 最後に、本製品を快適に使うウラ技を1つ紹介しよう。それは、Windows XP/2000に標準で付属する「スクリーンキーボード」を併用する方法だ。「スクリーンキーボード」は、画面上に仮想キーボードを表示し、マウスでそれらの仮想キーをクリックすることで、実際のキーボード同様の入力効果を得られるユーティリティだ。これをプレゼンマウスと併用すれば、ブラウザを操作する際のBackSpaceやEscキーなども、プレゼンマウスを使用して容易に入力が行なえる。キーボードを直接操作できない環境で、ブラウザなどを使用する際は、このユーティリティを利用すると良いだろう。

 本製品の場合、前述のユーザー設定ボタンを含め、ソフトウェアを追加しさえすれば操作性はかなり改善されそうな気もする。ドライバやユーティリティ不要で動作するのはたしかに便利だが、ビジネスマンたるもの、重要なプレゼンには準備万端で望むもの。設定ボタンや仮想キーボードなどを併用して、さっそうとプレゼンテーションをこなすというのも、本製品の今後の方向性としてアリなのかもしれない。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sapulife.com/cat01/acces/item/eamulw1.html
  コクヨ
  http://www.kokuyo.co.jp/

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(kizuki)
2004/11/10 10:57
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