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屋外-屋内間のLANケーブル敷設を実現! すき間用フラットLANケーブル


 NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)に引き続き、エレコムからもすき間用LANケーブル「LD-VAPF/SV05」が発売された。価格も2,000円台とリーズナブルである上、同時発表された屋外対応型LANケーブルと組み合わせることによって、屋内から屋外にかけてLANケーブルを敷設することも可能だ。


サッシのすき間を用い、屋外-屋内間のLANケーブル敷設が可能に

すき間用フラットLANケーブル「LD-VAPF/SV05」のパッケージ。標準価格は2,520円。パッケージには「0.5m」と書かれているが、筆者が試用した店頭購入モデルでは長さが異なっていた
 本製品は、両端を除く部分がフラットケーブルとなっており、サッシや扉のすき間に通すことができるというLANケーブルだ。前回レビューしたNTT-AT製品と非常によく似ており、パッケージには「サッシのすき間からLANケーブルを屋内に引き込めます」と表記されている。

 本製品の発表と同時に、屋外でも使える高耐久素材を用いたLANケーブル「LD-VAPF/BK」シリーズと、接続用のRJ45コネクタ「LD-VAPF/RJ45WP」も発表されており、これらを組み合わせることで、屋内から屋外、屋外から屋内にかけてLANケーブルを敷設することが可能となる。

 例えば、一戸建ての家庭で1F、2F間にケーブルを敷設する場合、屋内に穴をあけて敷設する方法のほかに、いったん2Fの窓からケーブルを屋外に出し、1Fの窓から引き込むというテクニックがある。しかし、実際にこういった工事をしたくても、これまでは個人で資材を入手することは非常に困難だった。しかし、今回のエレコムのラインナップにより、こういった工事が個人レベルでも可能になった。この意義は非常に大きい。


ほとんどの場合に延長コネクタが別途必要となる点に注意

 では、さっそく製品の仕様を見ていこう。

 本製品はNTT-AT製品と同様、LANケーブルの両端を除く部分がフラットケーブルとなっている。フラットケーブル部の材質はアルミで、厚さ約1.4mm。厚さ1mmのNTT-AT製品より若干厚いことになる。内部構造については後述する。


製品本体。通常のLANケーブルの中央部分にアルミテープが補強された構造 床のレールに沿って本製品を貼り付けたところ。サッシや窓のすき間への敷設も可能だ

 製品の両端は、いずれもRJ-45コネクタである。一方の端がローゼットになっていたNTT-AT製品とは異なり、純粋な「LANケーブル」ということになる。NTT-AT製品は延長コネクタも付属しており「メス-オス」または「メス-メス」の延長ケーブルとして使えたが、本製品は「オス-オス」の仕様である。このあたりは製品のコンセプトの違いが出ており興味深い。

 「オス-オス」の仕様であるため、ほかのLANケーブルと接続する場合は延長コネクタが必要となる。同社から発売されている「LD-VAPF/RJ45WP(税込1,575円)」を用いることになるが、ほぼすべての環境で延長コネクタが必要になることを考えると、製品に標準添付しても良かったのではないかと思われる。延長コネクタを同時購入すると価格は4,000円を超え、NTT-AT製品(5,000円前後)との差は縮まってしまう。

 また、前回のNTT-AT製品は固定用の両面テープが付属していたが、本製品にはテープの類は付属しない。そのかわり、ケーブル本体の接合部にネジ穴が設けられており、壁面にネジで固定することができる。もっとも、複雑な凹凸がある場所に固定する場合は、ケーブル部も両面テープで固定したほうが良い。その場合の両面テープは自前で調達する必要がある。

 延長コネクタや両面テープ、ネジ、果てにはケーブルに型をつけるためのヘラまで付属していたNTT-AT製品と違い、別途揃えなければいけないモノが多い点は、購入前にしっかり認識しておいたほうが良いだろう。


接合部にはネジ穴があり、壁にネジで固定できるようになっている。両端とも共通の仕様 接合部のプラスチック部品を外したところ。LANケーブルがアルミテープで補強されているのがわかる

厚みがあるぶん内部構造は頑丈

 外見上はNTT-AT製品とよく似ている本製品だが、内部構造は大きく異なっている。

 NTT-AT製品は、外皮を取り除いた8本の芯線を直接プラスチックシートで覆うことで、フラット形状に加工していた。一方、本製品ではケーブルを外皮ごとアルミテープで覆っており、二重にガードされる構造になっている。そのため、NTT-AT製品に比べても、耐衝撃性は強いと思われる。

 ただし、サッシなどのすき間に通す場合は、耐衝撃性以前に厚みそのものが問題になる場合が多い。本製品はNTT-AT製品に比べて0.4mm厚みがあるので、場合によってそもそも敷設ができないケースもあるだろう。あくまでもケースバイケースだが、サッシや窓に通す場合においては、1万回の開閉実験の実績があるNTT-AT製品のほうが信頼性は高そうだ。


フラットケーブルの素材はアルミテープ。手を切りやすいので曲げ作業の際は注意が必要だ NTT-AT製品(左)と比べたところ。「LD-VAPF/SV05」は外皮ごとアルミテープでサンドイッチしているので、二重構造となっている

 加工の際は、フラットケーブルの同じ箇所を何度も曲げると断線の危険があるので、敷設する位置をきちんと決めてから曲げ加工を行なう必要がある。この点はNTT-AT製品と同じだ。ちなみに本製品のフラットケーブル部分だが、材質がアルミということでいかにも曲げた際に形状が保持されそうに思えるが、実際はそうでもない。プラスチックシート素材のNTT-AT製品と差はほとんどないと言って良いだろう。

 LANケーブル部分は、スリムタイプのブーツと、同じくスリムケーブルが用いられている。ただ、防水仕様ではないので、屋外に設置する場合は、延長コネクタとともに防水テープで上から巻いてやる必要がある。

 LANケーブル本体はかなり柔らかい素材で作られており、取り回しがしやすい点は高評価だ。エンハンスドカテゴリー5に対応しているので、10/100Mbpsはもちろん、ギガビット環境でも使用できる。


ケーブルの断面。凸型になっていることがわかる。厚みは1.4mm コネクタは小型で取り回しがしやすい。ケーブルの規格はエンハンスドカテゴリ5

なぜかメーカー公称サイズと異なる製品の長さ

 今回試用した製品は実際に店頭で購入したものだが、どうしたことか、パッケージやメーカーサイトに書かれている寸法よりも、現物のサイズのほうが長かった。

 パッケージやメーカーサイトでは、フラットケーブルの長さは接合部を含め20cmとなっているが、実際には接合部込みで約35cmだった。全長については、型番末尾の「05」という数字が示す通り、両端のLANケーブル部やコネクタを含め50cmあるのが正しいはずが、実際の製品はさらに数十cm長い。なぜこのような差があるのかは不明である。

 もっとも、NTT-AT製品がフラット部のみで約50cmあったことを考えると、フラット部がたとえ約35cmあったとしても、サッシ部に敷設するには少々長さが足りない感がある。ましてや公称の20cmだと、どう考えても短すぎる。起伏が複雑なサッシの場合は長さが足りなくなる可能性があるので、購入前には設置場所で必要な長さをきちんと確認しておいたほうが良いだろう。ネジが固定できる場所があるかも事前にチェックすべきだ。


より一層のわかりやすさが求められる

 オールインワンのNTT-AT製品と比べ、設置にあたってのハードルが若干高い印象のある本製品だが、屋外用ケーブルと組み合わせることで広範囲へのLANケーブル敷設を可能にするメリットは何物にも代え難い。製品そのものは非常によくできているだけに、敷設する環境ごとの製品の組み合わせ例をユーザーに対して公開するなど、より一層の情報提供を期待したいところだ。


関連情報

URL
  LD-VAPF/SV05 製品情報
  http://www2.elecom.co.jp/cable/lan/ld-vapf/sv/
  LD-VAPF/RJ45WP 製品情報
  http://www2.elecom.co.jp/cable/lan/ld-vapf/rj45wp/
  LD-VAPF/BKシリーズ 製品情報
  http://www2.elecom.co.jp/cable/lan/ld-vapf/bk/
  エレコム
  http://www.elecom.co.jp/

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(kizuki)
2005/05/11 10:56
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