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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
イー・アクセス、アッカ株主提案に関する趣旨説明会を開催

イー・アクセスの千本倖生 取締役会長
 イー・アクセスは23日、1月16日付でアッカ・ネットワークスに対して行なった株主提案について、趣旨説明および現状報告に関する記者説明会を開催した。

 イー・アクセスでは、これまでにも2006年8月7日付でアッカ・ネットワークスの発行済み株式の10.3%を取得したと発表。その後も株式を買い増し、2007年12月21日付でNTTコミュニケーションズ(NTT Com)の11.70%を上回る12.68%の筆頭株主となり、2008年1月11日時点ではアッカの発行済み株式総数の13.10%を保有している。

 イー・アクセスでは株式取得の目的を当初は「純投資」としていたが、1月16日付でアッカの経営体制変更を求める株主提案を行なったと発表。「アッカは個人事業の売上減少を法人向け事業やM2M向けソリューションといった新規事業でもカバーできず、2006年度に続いて2007年度も減収減益が見込まれている」とした上で、現任取締役の不再任と、イー・アクセスの小畑至弘氏やエリック・ガン氏らを新任取締役として選任するよう提案。同提案に関しては、1月18日付で他のアッカ株主に対して委任勧誘を告知している。


説明会には提案取締役候補も出席。(左から)石田雅之CSO、エリック・ガン取締役 (左から)大坂宗弘 ADSL事業本部 営業本部 副本部長、小畑至弘 専務執行役員兼CTO、安井敏雄 代表取締役社長

「株主提案はギリギリのタイミング」。他の大株主も反対は無し

イー・アクセスが行なった株主提案内容。社外取締役3氏は継続を求めている

将来的には取締役の追加派遣やイー・アクセスとのシナジーも見据える
 23日に開かれた説明会には、イー・アクセスの千本倖生 取締役会長や安井敏雄 代表取締役会長、エリック・ガン 取締役らが出席。千本会長はアッカに対する株主提案について、「株主自らの権利として経営陣の刷新を提案しており、アッカ単体として企業価値と株主価値を向上させたい」とコメント。「イー・アクセスやイー・モバイルとの協業や経営統合が前提・目的ではない」とした。

 株主提案を1月16日に行なった点について千本会長は、「3月に予定されているアッカの定時株主総会で議案として計上されるのに、ギリギリのタイミングだった」と説明。また、同日時点での発行済み株式総数の比率は13.10%だったが、さらに株式を買い増していることを明かした。

 アッカに常勤する現経営陣に対しては、エリック・ガン取締役が中心となって両社の協力体制について働きかけを5回程度行なっていたが、「すべて実りのない結果になった」という。千本会長は「その間にも株主価値は下がりに下がって、公募価格45万円だった株価が10数万円台まで下がってしまった」と説明。また、「常勤の経営陣がM2M事業や動画配信事業(zoome)など企業価値向上施策を挙げていたが、歴史的な事実として株価は下がりつつけている」と述べた。

 その上で、「今の経営陣から新たな提案を出されても、上場から3年間の経緯から見ても株価上昇には繋がらないだろう」と発言。一方、非常勤の取締役に関しては「共通の意識を持つ同じ船に乗った仲間である」と述べ、友好的な関係で接する考えを改めて示した。

 他の大株主であるNTTコミュニケーションズ(NTT Com)や三井物産、イグナイト・グループといった他の大株主や個人株主に対しても、「株主価値を向上させる目的を持った仲間」と千本会長は説明。友好関係の維持・強化を図りたい考えで、「より良いアイディアが他の株主から出されれば、その提案を受け入れることも想定内である」とした。なお、大株主3社に対してはトップレベルで説明を行なっており、ガン氏は「株主価値向上の面で反対する企業はなかった」という。

 なお、千本会長は「現時点で当社と敵対する存在は株主、経営陣ともにおらず、委任状の争奪戦ではない」とコメント。加えて、1月23日午前に株主名簿の閲覧請求をアッカに行なった点も明らかにした。


「アッカ株価は提案後に32%上昇」。提案4氏は「ADSLビジネスのプロ」

提案後に株価が32%上昇したと説明。個人株主の反応も良いとした
 16日の株主提案後の経過に関して千本会長は、アッカの株価が16日終値の12万6,000円から23日前場で16万6,000円と「32%上昇した」と説明。また、22日付で委任状のWebサイトを4,372人が訪問し、資料は千数百件程度ダウンロードされたという。千本会長は「個人株主の反応は好意的であり、週内には1,000株超の委任状が集まるのではないか」と見通しを示した。

 また、今回の提案はイー・アクセスやイー・モバイルとの協業・経営統合が前提・目的ではない考えを示し、「アッカ単体で経営の建て直しを図りたい」と説明。加えて、「従業員、それにNTT ComやOCNなどでアッカ回線を利用するユーザーも尊重していきたい」と語った。その上で、「新たな事業検討も取り組んでいきたい」と述べた。

 TOBの可能性については、「現時点で想定していない」という。また、株主提案をした理由について、千本会長は「当社が購入した時点の買値を考えると今の株価は圧倒的に低い価格で、イー・アクセスの株主に対して株主総会の際に説明がつかない」と発言。「なんとかアッカの株価を上げるために提案を出した」と理由を明かした。なお、将来的にアッカの株価が上昇した場合には、売却する可能性もあるという。

 また、アッカとイー・アクセスはそれぞれの陣営で2.5GHz帯を利用したモバイルWiMAXサービスの免許申請を行なっていたが、両陣営ともに割当を受けられなかった。千本会長は「現時点で言えば、モバイルWiMAXが株主価値に寄与するものかはわからない」と述べ、「仮にアッカ陣営が免許を取得した場合には、今後数年間に渡って赤字が発生し、逆に株価が下がってしまうかもしれない」と付け加えた。

 イー・アクセスのエリック・ガン取締役は、アッカ子会社のアッカ・ワイヤレスが2.5GHz帯の免許申請を行なう際にアッカの木村正治 代表取締役社長と会談の席を持ったという。ガン氏は「その際、株主に迷惑がかからないように資金調達するようお願いした」ものの、アッカでは総額115億円の「無担保転換社債型新株予約権付社債(転換価額修正条項付)」の発行を決議し、「もっとも株主にリスクが高い資金調達案を発表した」と発言。「最終的にはキャンセルされたが、こうしたファイナンシングのやり方では、株主として不信感を持つのは事実である」と語気を強めて説明した。

 イー・アクセスが新任役員(非常勤含む)として提案している小畑至弘氏、大坂宗弘氏、エリック・ガン氏、石田雅之氏の4氏について千本会長は「ADSLビジネスのプロ」と発言。「彼らを経営に当たらせれば必ず価値が向上できると考えている。もし、1年経っても株価が上がらなかった場合には、4人は責任を取って退任させる」と付け加えた。


関連情報

URL
  イー・アクセス
  http://www.eaccess.net/
  アッカ・ネットワークス
  http://www.acca.ne.jp/

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(村松健至)
2008/01/23 15:14
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