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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
DSL作業班、ANSIのDSL担当Massimo議長が米国の事情を説明

ANSIのMassimo Sorbara議長(中央)
 情報通信審議会 情報通信技術分科会 事業用電気通信設備等委員会 DSL作業班(以下、DSL作業班)の第6回会合が開催された。アメリカの各種規格を取り決める団体のANSI(American National Standards Institute・アメリカ規格協会)で、DSLの標準化を行なっている会議の議長であるMassimo Sorbara氏が来日、会合の席上でANSIについて説明した。

 Massimo氏はDSLモデムベンダーのGlobespanVirataの社員で、今回のDSL作業班会合では、ANSIの議長としてだけでなく、GlobespanVirataとしての意見も述べた。Massimo氏の説明によると、ANSIによる標準化はすべて業界の各社が自発的に行なうもので、標準化された規格を使うようFCC(連邦通信委員会)から義務付けられているわけではないという。

 また、会合では、ANSIの基本原則などについて質問が集中。Massimo氏はANSIについて「スペクトル的に不適合なものがあれば、互換性の基準を修正して受け入れようと考え、なんらかの妥協点を探るという可能性がある」などと述べた。

 さらに、Massimo氏は「すべての通信事業者は個々に話し合いを行なってスペクトル適合性の基準について合意をして、定義をまとめるべきだ」と提言した。現在、日本で12Mサービスにおけるスペクトル適合について未確認の状況が続いていることに触れ「事業者間で合意がなければ、話し合いは進まない」と指摘した。

 これを受けて、Yahoo! BBの12Mサービスがスペクトル的に不適合とされることを恐れているソフトバンクBB社長の孫正義氏は、ANSIのポピュレーション原則に触れ「利用者が多ければ、自動的に標準となるなんて横暴なことは言ってない」と、利用実績をもとに標準化を押しつけていないと主張。「ブロードバンド環境で最大公約数が受け入れられて、既存システムに妨害を与えるような調和を乱すことをやろうとしてるわけではない」と述べた。

 今回の会合は場所の関係で時間延長があまりされず、議論を途中で中断するなどの進行が目立った。本来であれば、議論されるはずの長野県協同電算からの干渉試験報告なども次回に先送りされた。3月13日より実施される「DSL作業班 フィールド実験」についても、全く話し合いがなされずに閉会した。

 なお、DSL作業班が実施するフィールド実験は3月13日から25日までの予定で、東京の成城交換センタと、そこに収容されるNTT東日本研修センタとの間で行なわれる。参加事業者はソフトバンクBB(Yahoo! BB)、アッカ・ネットワークス、イー・アクセス、NTT東日本で、実験で使用する方式はAnnexA(FDM)、AnnexA(OL)、ReachDSL V2、AnnexC(FDM)、AnnexC(FBM OL)、ISDNで、相互の干渉度合いなどを測定する。


関連情報

URL
  情報通信審議会
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/index.html

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~「第2グループになれば、私は暴発しますよ」と孫氏~

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(正田拓也)
2003/03/07 20:44
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