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「+ネット」で家電を便利に! 新生活のブロードバンド活用術(前編)

 契約回線数が2,700万を超えて普及が進むブロードバンド環境。いまやそのブロードバンド回線の活用方法は、Webサイト閲覧やメール送受信の利用にとどまらない。着実に数を増やしつつある「ネット家電」を活用するためのインフラにもなりうるのだ。

 本特集では身近になりつつあるネット家電を取り上げ、活用例を具体的に紹介していこう。家電選びの参考、もしくはすでに所有しているネット対応機器を有効活用するきっかけになれば幸いだ。





「録画を忘れた!」そんな時も外出先からメールで簡単録画

 数あるネット家電の中でもっとも身近と言えるのは、薄型テレビに代表されるオーディオ・ビジュアル関係の製品だろう。特にHDDレコーダの「リモートによる録画予約」は多くのメーカー製品で採用されている。

 「地上波で初放送映画の録画予約を忘れた」「職場で話題になったバラエティ番組を見たいが今夜の放送には間に合わない」――─。そんな経験は誰もが一度は味わったことがあるはず。リモート予約はこのような失敗を回避・予防できる、利便性の高い機能だ。


メールによる録画予約に対応した東芝「RD-S601」

 メーカーによってリモート予約機能の充実度に差異はあるが、東芝のHDDレコーダ「VARDIA」シリーズはネット連動機能が充実しているで知られるブランド。次世代の主軸だったHD DVD搭載機は撤退が発表されたものの、従来型DVDを採用したHDDレコーダは現在も発売中だ。実売価格にして10万円以下で、地上デジタルチューナー搭載で5万円程度で購入できるという価格メリットも大きい。

 この東芝製VARDIAシリーズには「ネットdeナビ」と呼ばれるネットワーク機能が搭載されており、本体にプロバイダーなどが発行するメールアカウントを登録しておき、外出先から一定の書式に従ったメールを送ることでメール録画が可能だ。

 ただし録画予約メールの書式はやや複雑で、例えば2008年3月15日の19時から20時54分まで、地上アナログ1チャンネルを録画する場合、「open (設定したパスワード) prog add 20080315 1900 2054 1」といった記述が必要。文字列を見ればそれほど難しくないが、できれば「携帯電話の定型文機能」などを使って録画用の記述を携帯電話に設定しておきたい。

 また、携帯電話向けサイトと連携すると、こうした書式を使わない録画も可能だ。東芝自身が運営する「テレビサーフモバイル」であれば、人気の番組ランキングや日付・時間・チャンネルを指定してクリック操作のみで録画メールを送信できる。また、ONTVが運営する無料のEPGサービス「ONTV JAPAN」に登録すれば、番組表からのメール録画予約も可能だ。


人気の番組ランキングや日時・チャンネルを指定してメール録画できる「テレビサーフモバイル」 番組表からの録画が可能な「ONTV JAPAN」

 このように東芝製品で広く採用されているネットdeナビ機能は、最新モデルであるRD-S601/301、RD-E301、RD-W301はもちろん、販売を終了した従来機種でも広く採用されている。インターネット利用者ならほぼノーコストで活用できる機能なので、製品をお持ちの方は試して欲しい機能だ。



URL
  製品情報 RD-S601/E301仕様詳細(ネット機能スペック)
  http://www3.toshiba.co.jp/hdd-dvd/products/vardia/rd-s601_s301/spec_net.html
  テレビサーフモバイル
  https://tvsurf.jp/
  ONTV JAPAN
  http://www.ontvjapan.com/

 一方、ソニーやパナソニック製のHDDレコーダで採用されているのが、「Gガイドリモートアクセス」による録画予約機能。携帯電話のアプリ機能を使うため汎用性はやや低く、パケット通信量が増大する心配もあるが、携帯電話上で番組表を見ながら予約できるのが大きなメリットになる。情報料なども無料だ。

 リモート予約の利用にあたってはやはり準備が必要。ソニー製HDDレコーダの場合はまず本体をインターネットに接続後、リモート予約設定画面を表示させる。続いて携帯電話の「Gガイド番組表アプリ」(NTTドコモ版のソフト名称。キャリアによってやや異なる)で利用したい機器名などを登録、発行されるパスワードをHDDレコーダ側に入力させることで完了だ。ソニーのWebサイトでは詳しい設定手順が記載されているので、購入前でも参照してみよう。

 Gガイドリモートアクセスを利用するには、携帯電話およびHDDレコーダの双方が同サービスに対応している必要がある。携帯電話ではNTTドコモ、au、ソフトバンクの主要3キャリアが対応モデルを用意しているが、HDDレコーダについてはソニーのBDZ-X90/L70/T70/T50、パナソニックのDMR-BW900/800/700/200など比較的新しいモデルが中心となる。利用できる機能も組み合わせによって異なるので、詳しい対応状況についてはWebサイトを参考にしよう。


パナソニックの「DMR-BW900/800/700/」


URL
  ブルーレイディスクレコーダー製品情報(ソニー)
  http://www.sony.jp/products/Consumer/BD/product/bdz_t70t50/func_t_rec.html
  Q&A ブルーレイディスクレコーダー リモート録画予約の準備について(ソニー)
  http://www.faq.sonydrive.jp/faq/1040/app/servlet/qadoc?021681
  Gガイドリモートアクセス
  http://ipg.co.jp/remote/

 なお、パナソニック製品の一部ではGガイドリモートアクセスに加え、「ディモーラ」という独自サービスにも対応している。HDDレコーダ「DIGA」の録画予約を携帯電話上で行なえるほか、録画済み番組をリモート消去することも可能だ。

 これまでは一部機能を月額制有料サービスとしていたものの、4月からは無料サービスとして提供。利用しやすくなる予定だ。ただし、3月中はリニューアルに伴って会員募集を一時的に停止しているので再開を待ちたい。



URL
  DIMORA(ディモーラ)
  http://dimora.jp/




テレビでネットや動画が楽しめる「アクトビラ」

 テレビのネット対応を語る上で欠かせないのが「アクトビラ」。パナソニック、ソネットエンタテインメント、ソニー、シャープ、東芝、日立製作所が設立したアクトビラが運営する、テレビ向けのポータルサイトだ。各社の発売する最新モデルの多くが、基本的にアクトビラに対応しており、日本ビクターやEIZO(ナナオ)ブランドの一部製品でも対応している。


アクトビラの公式サイト

 なお、アクトビラはあくまでもインターネット上のコンテンツであり、地上デジタル・BSデジタルの各データ放送とはまったく異なる点に注意しよう。アクトビラへのアクセスには、テレビに搭載されているWebブラウザ機能を利用する。そのためイーサネット回線によるインターネット接続も必須となる。

 アクトビラから閲覧できるコンテンツはその多くが無料。ニュースや天気、交通情報などに加え、注目番組の情報など基本的なコンテンツが揃っている。テレビ本体だけで利用でき、操作もテレビと同じリモコンで可能なため、パソコンに馴れていない高齢者や主婦層でも比較的気軽に閲覧できるだろう。また、翌日の天気を調べるためだけにわざわざパソコンの電源を入れたりする必要がなくなるといったメリットもある。

 アクトビラでは単なるWebサイトの閲覧だけでなく、「アクトビラ ビデオ」という名称のビデオオンデマンドサービスも合わせて提供している。FTTHなどのブロードバンド回線が必須ではあるが、対応機種によってはHD画質でのビデオ視聴も可能だ。

 なお、薄型テレビはリビングなどへの設置が中心となるため、間取りの都合で有線LAN接続できないケースもあるだろう。そんな時にはイーサネットコンバータを使うという手段もある。これは有線LANインターフェイスを無線LANへ変換するための装置だが、近年は低価格化がグッと進んでおり、1台のコンバータに対し、複数の有線LAN機器を接続できるモデルも少なくない。薄型テレビと前述のHDDレコーダの変換を1台でこなせれば、コンセント周りもスッキリするのでお勧めだ。


HD映像の動画も楽しめる「アクトビラ ビデオ」 5ポートのスイッチングハブを搭載したコレガの無線LANコンバータ「CG-WLCVRAGM」


URL
  アクトビラ
  http://www.actvila.jp/




デジタルカメラもネット対応でますます便利に

 デジタルカメラもネット対応が進んでいる分野だ。これまでは撮影した画像をメモリーカードやUSB接続でパソコンに転送するのが一般的だったが、近年はパソコンを使うことなくネット上に画像をアップロードできる無線LAN搭載機種が登場している。

 この無線LANアップロード機能の先鞭をつけたのがニコンだ。当初はパソコンへの転送を無線LAN経由で行なう用途が中心だったが、IEEE 802.11b/g機能を実装した最新モデル「COOLPIX S51c」では、本体を充電すると自動で同社のオンラインアルバムサービス「my Picturetown」へアップロードできる機能が用意されている。自宅内の無線LANに限らず、S51cが対応している公衆無線LANサービスからもアップロードが可能だ。


ニコンの「COOLPIX S51c」。無線LAN機能を使って画像を直接アップロードできる

 S51cとは異なるアプローチでネット対応を進めているのが、ソニーの「DSC-G1」。こちらもIEEE 802.11b/g準拠の無線LANを搭載したコンパクトデジカメだが、ホームネットワークの規格である「DLNA」に対応しており、カメラ内に保存した画像をDLNA対応パソコンや専用機器から直接閲覧できる。

 この機能を利用することで、カメラ本体内の画像をホームネットワークに接続したソニー製大画面テレビで閲覧するといった用途が可能になる。これまでもデジタルカメラを映像ケーブルでテレビ接続できる機能は多くのモデルで採用していたが、これを一歩推し進め、ケーブルレスで実現させられるというわけだ。


DLNA対応機器から画像閲覧が可能なソニー「DSC-G1」


URL
  COOLPIX S51c(ニコン)
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/compact/coolpix/s51c/
  COOLPIX S51c(ニコン)
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/compact/coolpix/s51c/

 このように、絶対数ではまだまだだが、デジタルカメラのネット対応も着実に進んでいる。薄型テレビ・DVD(HDD)レコーダーデジタルカメラのいわゆる「デジタル三種の神器」がいずれも独自の方法でネット対応を勧めている状況は興味深いといえるだろう。





 前編ではネットに対応したレコーダやテレビ、デジタルカメラについて紹介した。後編では家庭内の家電ネットワークを結ぶ鍵となる「DLNA」やロケーションフリー、IP電話などについて照会する。


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(森田秀一)
2008/03/12 11:14
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