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「+ネット」で家電を便利に! 新生活のブロードバンド活用術(後編)

 前編ではネット連動機能を搭載したテレビやレコーダ、デジタルカメラの特徴を紹介した。後編ではネット家電の重要なキーワードである「DLNA」を中心にネット連動の魅力をご紹介しよう。





ネット家電の重要なキーワード「DLNA」

DLNA公式サイト
 ネット家電で重要なキーワードの1つとなっているのが、前編でも触れた「DLNA」への対応だ。DLNAとは「Digital Living Network Alliance」の略称で、パソコンやデジタル家電をネットワーク化するための規格を策定する団体の1つ。また規格そのものを指す場合もある。

 DLNAに対応することで、家庭の中のさまざまな機器で映像・音楽・写真を共有・閲覧することが可能になる。ただし、機器によっては映像コーデックに制限があったり、音楽のみ、写真のみ共有可能なケースもあり、必ずしもすべてのコンテンツを共有できるわけではない。

 対応機器はサーバーおよびプレーヤー(クライアント)の2種類に分けられる。コンテンツを保存・配信するのがサーバーで、サーバーからデータを受け取って再生できるのがプレーヤーだ。機器によってはサーバーとプレーヤー両方の機能を併せ持つ場合もある。
 例えば、前編で紹介したソニー製のデジタルカメラ「DSC-G1」であれば、内蔵の写真をテレビなどへ送り出すDLNAサーバー機能のみを搭載していることになる。また、Windows系のパソコンでは、「DiXiM」などの専用ソフトウェアをインストールすることで、サーバーとプレーヤー両方の役割を果たすこともできる。

 DLNAへの対応が進んでいるのがHDDレコーダの分野。レコーダで録画したテレビ番組をネットワーク経由で他の部屋のテレビから見る、といった利用が可能だ。ただし、著作権保護された番組をネットワーク経由で視聴するには制限が設けられている場合が多く、たとえばDLNAサーバーに対応した東芝の「RD-S601/RD-S301」はコピーワンス番組をネットワークを再生することはできない。

一方、ソニーの「BDZ-X90/L70」は、ネットワーク上で著作権コンテンツを配信できる「DTCP-IP」をサポートしているため、デジタル放送もネットワーク経由で再生可能だ。2008年初頭からは一般消費者向けのDLNA解説サイトがオープンしているので、興味を持ったユーザーは一度目を通しておくといいだろう。


東芝の「RD-S601」 ソニーの「BDZ-X90」


URL
  DLNA Japanese Consumer Site
  http://www.dlna.org/jp/consumer/home
  槻ノ木隆の「BBっとWORDS」 その116「DLNAの仕組み」
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/bbword/17563.html




NASとの連携でDLNAはもっと魅力的に

 将来、DLNA対応機器の“核”になりそうなのが、イーサネット端子を使ってネットワーク上で共有できるHDD「NAS(Network Attached Storage)」だ。デスクトップパソコンよりはるかに小型かつ低消費電力であり、ファン回転音なども比較的抑えられているため、常時起動しておくコンテンツ保管場所としても打ってつけの製品だ。

 NASは容量や機能、価格帯などによって分けられるが、本稿で注目したいのはDLNAのサーバー機能に対応したNAS。基本的には常に電源を入れて立ち上げておくNASにファイルを保存しておけば、DLNAプレーヤー機能を備えた薄型テレビなどから手軽にコンテンツを利用できるからだ。

 DLNAサーバー機能に対応したNASとしては、バッファローが2月下旬に発売を開始した「LS-HGL」シリーズ、アイ・オーデータ機器の「HDL-GS」シリーズなどが挙げられる。


バッファローの新製品「LS-HGL」シリーズ アイ・オーの「HDL-GS」シリーズもDLNA対応


URL
  バッファロー ネットワーク対応HDD(NAS)
  http://buffalo.jp/products/catalog/storage/hd_lan.html
  アイ・オー・データ機器 LAN接続型ハードディスク
  http://www.iodata.jp/prod/storage/hdd/index_lanhdd.htm

 一方、DLNA対応プレーヤーとして比較的身近なのは、家庭用ゲーム機「プレイステーション 3(PS3)」だ。同機はシステムソフトウェアのバージョンアップによる機能追加が頻繁に行なわれており、2007年5月公開の「1.80」からDLNAプレーヤーとしての利用が可能になった。

 また、Windows用の音楽再生ソフトとして一般的な「Windows Media Player 11」も、実はDLNAサーバー機能を搭載している。このため、Windows Media Player 11とPS3を組み合わせれば比較的容易にネットワーク経由でのコンテンツ再生を試すことができる。未活用の人もこの機会にぜひ挑戦して欲しい。


プレイステーション 3はDLNAに対応
Windows Media Player 11を利用することでパソコンがDLNAサーバーに

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SCEJ、PS3がDLNA機能をサポート。ネット経由のリモートプレイも




外出先から自宅の録画番組を楽しもう

ロケーションフリーの送信機「LF-PK20」。実際の利用にあたっては受信機も必要となる
 ここまでは保存した映像・音楽などをいかにネットワーク経由で楽しむかをおもに紹介したが、「外出先でもリアルタイムでテレビを見たい」という要望をお持ちの方は少なくないだろう。そんな時は「ロケーションフリー(ロケフリ)」の出番だ。

 ロケフリとは無線LANの電波を使って、ワイヤレスでテレビ番組などを楽しむための機器。リビングのチューナーで視聴できるCS番組を私室で楽しんだり、アンテナ線が敷設されていない寝室で地上波番組を見ることができるようになる。受信機の最新モデル「LF-PK20」ではハイビジョン映像の転送にも対応している。

 もう1つの注目すべき点が、ブロードバンド回線を使って外出先でも映像を視聴できる「NetAV」機能。たとえば外出先の公衆無線LANエリアから、自宅で録画しておいたレコーダの番組やリアルタイムに放送されているテレビ番組を楽しめる。チャンネル操作も外出先から可能可能で、通信帯域に応じて映像ビットレートを自動可変させる機能も備えている。

 受信機側のバリエーションが豊富なのも特徴で、テレビに接続する据置型、ノートパソコンにインストールして利用するソフトウェア型のもののほか、携帯ゲーム機「PSP」も対応している。



URL
  ロケーションフリー
  http://www.sony.jp/products/Consumer/locationfree/index.html

 なお、外出先からテレビを見るための製品はソニー以外の各社からもリリースされている。プリンストン・テクノロジーの「PCA-MTV」、ノバックの「いつでもTV for Skype 」、アイ・オー・データ機器が販売を手がける「SlingBox」などがそうだ。いずれも機器の形態や外出先での視聴手段が異なるので、自分にあったものを選んでみよう。



URL
  PCA-MTV(プリンストン・テクノロジー)
  http://www.princeton.co.jp/product/pc/pcamtv.html
  いつでもTV for Skype (ノバック)
  http://www.novac.co.jp/products/hardware/vp-skype/nv-lf2001/
  SlingBox(アイ・オー・データ機器)
  http://www.iodata.jp/prod/shouhin/slingbox/index.html




ブロードバンド回線を“電話”で活かす

Skypeの高品質ビデオチャットに対応したロジクール「Qcam Pro 9000(QCAM-200S)」
 FTTHを中心に、ブロードバンド回線を使ってIP電話サービスを提供する事業者が増えている。専用アダプターに一般的な電話機を接続でき、固定電話となんら変わらない通話品質を得られるのが魅力だ。しかしパソコンを利用できる環境があるなら、ビデオチャットやメッセンジャーソフトを使った“電話代替手段”にも改めて注目しておきたい。

 ビデオチャットを使う上で注目したいのが、Skype上で利用できる「高品質ビデオチャット」だ。解像度640×480ピクセル(VGA)と非常に高精細で、フレームレートも30fpsを誇る。従来型ビデオチャットでありがちだった「コマ落ち感」も大幅に改善されるだろう。

 ただし高品質ビデオチャットを利用するにはロジクール製Webカメラの中でも特定モデルが必要となるほか、デュアルコアCPU搭載パソコンや十分な帯域幅を準備しなければならない。現状でのハードルは高いと言えるが、今後とも注目しておきたいサービスだろう。


カメラに写した文字もはっきり読める


URL
  Skype 3.6の高品質ビデオチャットを実際に体験(Broadband Watch編集部ブログ)
  http://bb.watch.impress.co.jp/blog/archives/2007/11/skype_36.html

 またSkypeに代表されるように、パソコン上のメッセンジャーソフトから一般電話へ発信できるサービスも着実に増えている。Windows liveメッセンジャーから利用できる「Windows Live Call by ドットフォン」もその1つで、国内一般加入電話への通話は全国一律3分8.4円、携帯電話へは全事業者一律1分16.8円。月額210円の利用料が別途必要だが、一部プロバイダーへの通話が無料という特徴もある。

 ただしWindows Live Call by ドットフォンは、一般加入電話からの着信には非対応。月額210円の転送・留守番でんわサービスは用意されているが、電話としての完全な代用は難しい。ケースバイケースで利用するのがいいだろう。


Skypeはビデオチャット機能に加え、有料の電話サービスも実施
Windows liveメッセンジャーからも電話発信が可能になる「Windows Live Call by ドットフォン」


URL
  Skype
  http://www.skype.com/intl/ja/
  Windows Live Call by ドットフォン
  https://506506.ntt.com/ipphone/wlc/

 メッセンジャーを使ったサービスではないが、新たに1人暮らしを考えている人に便利そうなのがOCNの「050あんしんナンバー(着信用サービス)」。IP電話サービス「OCNドットフォン」のオプションの1つで、月額210円の利用料を追加で支払うと「050」で始まる電話番号が使えるようになる。この番号はあくまでも着信専用のもので、実際にかかってきた場合は、事前設定に応じて留守番メッセージを預かるか有償で別番号への転送を行なう。

 いわば「ダミー番号」として活用できるサービスであり、OCNでは「キャンペーン応募時に使う電話番号」「見ず知らずの人にネットオークションなどで電話番号を伝えなければならないとき」に便利としている。女性をはじめ、電話番号の取り扱いは慎重に行ないたい人にとって便利だろう。



URL
  OCNドットフォン050あんしんナンバー
  http://www.ocn.ne.jp/voip/anshin/




ブロードバンドをもっと便利に使いこなそう

 ここまでデジタル家電を中心に、ブロードバンド回線の活用法をまとめたみた。日常生活に深く浸透しつつあるメールやWebといったサービスを、あらゆるシーンで応用しようという流れを体感できるはずだ。

 これまでネット家電といえば「インターネットにつながる冷蔵庫」のように、先進的すぎて便利かどうか実感し得ないものが矢面に立っていた印象がある。しかし実際には、当たり前のサービスを、ごく身近な機器から少しずつ融合させていくことになるのだろう。

 とはいえその将来も、有線あるいはWiMAXのような無線かもしれないが“ブロードバンド回線”を中心に展開することはほぼ確実。常時かつ高速な接続サービスが身近な分野で活用できる時代が着実に近づいていると言えそうだ。


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(森田秀一)
2008/03/19 11:00
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