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【ネットブック特集】
第3回:大容量・無料のオンラインサービスでネットブックを活用

 ネットブック特集の第3回は、PCで利用度の高いソフトや機能をインストールすることなくオンラインで利用できるサービスを紹介する。オンラインサービスは数多く存在するが、今回の特集では無料のサービスを基本とし、容量もネットブックのディスク容量を補えるだけの大容量サービスを中心として紹介していく。





Webメールは大容量の無期限保存型が主流に

大容量Webメールの代表格「Gmail」
 オンラインサービスでもっとも基本かつ重要なサービスと言えるのがWebメールだろう。数あるWebメールの中でも大容量Webメールの代表的な存在と言えるのがGmail。当初は無料で1GBという容量で世間を驚かせたが、その後も容量の拡張が続いており、現在は7GBを超えている。

 豊富な機能も特徴の1つで、受信したメールの転送やメールソフトでの受信、メールソフトから送信したメールとWebメールの同期機能など、無料とは思えないほどの幅広さ。Gmailから送信したメールのFromを別のメールアドレスに変更する機能も備えている。

 一方で、同じ件名のメールをスレッド化する表示形式やラベルによる分類など、画面インターフェイスはかなり個性的。一般的なメール感覚で利用するのであれば、Yahoo!メールやHotmail、@niftyメールなどもお勧めだ。

 いずれも容量ではGmailほどではないものの、メールソフトに近いインターフェイスを採用しているため操作はわかりやすい。迷惑メール対策機能なども標準で搭載しているため、機能は十分だろう。ただし、Gmail以外はいずれもメール本文下部に広告やサービス紹介が記載される点は覚えておこう。


@niftyメール Yahoo!メール Windows Live Hotmail
メール 容量 添付容量 迷惑メール対策 モバイル 送信メール広告
Gmail 7GB超 20MB 無し
@niftyメール 3GB 20MB あり
Yahoo!メール 1GB 20MB あり
Windows Live Hotmail 5GB 10MB あり
大容量Webメールの比較
Gmail
  http://www.gmail.com/mail/
@niftyメール
  http://www.nifty.com/mail/
Yahoo!メール
  http://mail.yahoo.co.jp
Windows Live Hotmail
  http://mail.live.com/





大容量のオンラインストレージでディスク容量を節約

5GBまで無料の「Windows Live Skydrive」
 ネットブックの容量を節約するという点では、オンラインストレージも重要な存在。PCのディスク容量を節約できるだけでなく、他のPCとファイルをやりとりする際にも便利だ。

 Windows Live SkyDriveは、無料で5GBまで利用できるオンラインストレージ。アップロードしたファイルは自分だけ利用できる非公開のほかに、インターネット全体公開やWindows Live IDを指定したユーザーにだけ公開するといったことも可能だ。1ファイルあたり容量は50MBに制限されているが、ドキュメントや静止画といったファイルであれば十分だろう。

 大きなファイルをアップロードしたいという場合に注目なのがリコーの「quanp」(クオンプ)。quanpは専用ツールを利用したオンラインストレージだが、専用ツール不要でブラウザから利用できる「quanp.net」というサービスもベータ版で提供中。無料ユーザーでも1GBまで利用でき、1ファイルあたりの制限もないため、大容量ファイルの保管には便利だ。quanp.netの正式版公開も近日中に予定しているという。

 相手に大容量ファイルを送りたい場合であれば、「FileTruck」も便利。こちらはオンラインストレージではなく、最大1GBのファイルを相手へ転送できるサービスで、受け取った側はメールに記載されたURLからファイルを3日以内にダウンロードすればいい。利用にはユーザー登録が必要だが、一度ファイルを転送した相手は自動的にアドレス帳に登録されるため、何度も利用する際にも便利だ。

 なお、最近注目を集めているのが「Dropbox」というサービス。無料で2GBのディスク容量を利用できるだけでなく、PCのフォルダに保存したデータを自動でオンラインにアップロードする同期機能も備えている。海外サービスかつ専用ソフトウェアのインストールが必要ではあるが、外出先から自宅のファイルを利用したい、という時などに便利なサービスだろう。

 また、ASUSTeKのブランド「Eee PC」では、購入特典として無料で20GBのオンラインストレージを提供している。1日に5GBまで利用でき、1ファイルの容量も200MBと比較的大きな容量のファイルを保存できるが、アップロードしたファイルのダウンロード速度は512kbpsに制限されているため、あまり容量の大きいファイルの場合はダウンロードの時に時間がかかる点は注意が必要だ。


1GBまで無料、ファイル容量制限はなしの「quanp.net」 1GBまで無料で転送できる「Filetruck」 2GBまで無料でファイルを同期できる「Dropbox」。海外サービスのためメニューはすべて英語表記
Windows Live Skydrive
  http://skydrive.live.com/
quanp(※11月13日10時までシステムメンテナンス中)
  http://www.quanp.com/
Filetruck
  http://filetruck.jp/
Dropbox
  http://www.getdropbox.com/





WordやExcelもオンラインサービスで作成・管理

Google ドキュメント
 ビジネスシーンで多く使われるのが「Office Suite」と呼ばれるワープロソフトや表計算ソフト、プレゼンテーションソフト。こうしたOffice Suiteのフリーソフトはいくつか存在するが、オンラインサービスといえば代表的な存在はやはり「Google ドキュメント」だろう。マイクロソフトのWord、Excel、Powerpointのファイルをブラウザ上で閲覧できるだけでなく、作成したファイルをWordやExcel形式で保存することも可能。最近ではPDFにも対応し、PDFファイルの閲覧やPDF形式での保存も可能になった。

 ただし、マイクロソフトのOffice Suiteとの互換性に関しては専用ソフトほど高くはない。WordやExcel、Powerpointのいずれも最低限の機能に留まっており、マクロ機能など高度な機能は備えていないほか、Microsoft Office 2008の最新ファイル形式である「xlsx」「docx」などもサポート対象外。ネットブックで本格的にOfficeソフトを利用したいというニーズには適さないが、外出先での簡易閲覧や簡易編集という程度であれば十分メリットがあるだろう。

 一方、ソフトにはないオンラインサービスならではのメリットもある。オンラインにファイルを保存するGoogle ドキュメントであれば、他のユーザーを招待して複数でファイルを更新することが可能なほか、チャット機能を利用して同じファイルを編集することもできる。スプレッドシートでは、フォームやチェックボックスを選択した結果を集計するアンケート機能も利用できる。これらはオフラインでの利用がメインとなるソフトにはない魅力と言えるだろう。

 なお、Office Suiteとしては、アドベントネットが提供する「Zoho」もある。こちらはWord、Excel、Powerpointに加えて、Accessに相当するデータベースやWiki機能、オンラインメモやオンライン会議機能などが多彩。こちらもOffice 2008のファイルを開くことはできないが、共同編集機能などオンラインならではの機能を備えている。


ブラウザでスプレッドシートを作成できる フォームを利用したアンケート機能も Zohoのスプレッドシート
Google ドキュメント
  http://docs.google.com
Zoho
  http://www.zoho.jp/





Photoshop感覚で使えるオンライン画像編集「Pixlr」

Pixlr
 画像編集ソフトもオンラインで利用可能だ。「Pixlr」はPhotoshopのようなインターフェイスで画像を編集できる本格派サービス。メニューなどは英語表記だが、Photoshopを利用したことがあるユーザーであればアイコンのグラフィックなども手伝ってわかりやすいだろう。

 画面自体はPhotoshopとよく似ているが、画像のドラッグアンドドロップには対応せず、フォームから画像を選択する方式。編集するためにはPixlrに画像をアップロードする必要があるため、容量が大きい画像の場合はアップロードにかなり時間がかかるものの、一度アップロードすれば編集時にはさほど時間がかからない。

 機能は画面サイズ変更やトリミング、回転といった基本的な機能に加えて、レイヤー機能や赤目補正なども利用可能。Photoshopの基本的な機能は一通り網羅されている印象だ。Ctrl+Zのようなキーボードショートカットに対応している点もありがたい。

 また、日本語表示を好むのであれば「Picnik」というサービスは日本語表示にも対応。こちらはPixlrほど高機能ではないものの、画像のリサイズやトリミング、露出補正や赤目補正などなど十分な機能だ。どちらのサービスもユーザー登録の必要なくすぐに利用できる点も便利。大量の画像を編集する本格的な作業には向かないが、覚えておくと便利なサービスだ。


アップロードにはやや時間がかかる 日本語表示対応の「picnik」
Pixlr
  http://www.pixlr.com/
Picnik
  http://www.picnik.com/





容量無制限の写真・動画共有サービス「フォト蔵」

無料で容量無制限、月間1~3GBまで写真や動画をアップロードできる「フォト蔵」
 オンラインアルバムサービスは日本だけでも複数のサービスが存在するが、無料かつ大容量というキーワードで考えると、ウノウの「フォト蔵」のコストパフォーマンスが高い。ディスク容量全体の制限はなく、月間1GBまで画像をアップロード可能。また、ユーザー間でコメントなどをし合うことで加算されるポイントによって、最大で月間3GBまで容量を拡張できる。

 機能面でも画像をオリジナルサイズのまま保管でき、フォルダごとに公開や非公開の設定も可能。ブログ貼り付けや非公開アルバムを指定したユーザーにだけ公開する機能も備えるほか、写真だけでなく動画も利用できる。容量や料金、機能面と総合的に優れたサービスだ。

 容量に関してはフォト蔵には劣るが、Googleの「Picasa Web アルバム」も機能は充実。フォト蔵と同様に動画や一部ユーザーへの限定公開機能などを備えている。無料で利用できる容量は1GBで、容量の拡張には別途料金が必要だが、ギガ単位で無料という点では十分にメリットがあるだろう。

 また、動画専用で考えるのであれば、ソニーの「eyeVio」(アイビオ)もお勧め。動画の高画質化に注力したサービスで、720pのHD動画をアップロードできるサービスも提供するなど充実している。また、アップロードした動画をMPEG-4形式でダウンロードすることも可能。ソニーのサービスだけにウォークマンやPSP向け動画を作成できるほか、iPod形式であればハードウェアを問わずMPEG-4形式でダウンロードして視聴できる。


Picasa Web アルバムは1GBまで無料 動画を高画質でアップロードできる「eyeVio」
フォト蔵
  http://photozou.jp/
Picaca Web アルバム
  http://picasaweb.google.co.jp/
eyeVio
  http://eyevio.jp/





オンラインブックマークで複数PCのブックマークを同期

Yahoo!ブックマーク
 ネットブックをメインPCではなくサブPCとして利用するのであれば、オンラインブックマークも活用したい。ブックマークをオンラインで保存しておくことで、自宅でも外出先でも同じ情報を利用できる。

 オンラインブックマークサービスは、登録したブックマークを他のユーザーと共有できるソーシャル機能を備えたものが多く、機能面でも大きな違いはあまり見られないが、自分が便利に利用するオンラインブックマークとして注目なのは「Yahoo!ブックマーク」。Yahoo!ブックマークの場合はブックマークした対象の本文を検索対象にできるため、大量にブックマークした後でも検索がしやすい。ブックマークもタグに加えてカテゴリでも管理でき、タイトルも自由に書き換えられるなど、個人用途としての機能が充実している。

 一方、現在パブリックベータが公開中のはてなブックマークも、検索機能の強化に力を入れており、はてなブックマーク全体の全文検索に加えて自分のブックマークのタグやタイトル検索機能を備えている。コミュニティ色も強いサービスではあるが、リニューアル後のはてなブックマークは自分専用のブックマークとしても利便性が高まりそうだ。

 ただし、注意すべきはいずれもソーシャル機能を搭載したブックマークのため、設定によっては他のユーザーへすべて表示されてしまうということ。登録したブックマークによって自分の嗜好を他人に知られてしまったり、秘密にしていたURLを公開してしまうという可能性もある。利用前には公開範囲の設定を十分に注意しよう。


タイトルに含まれない本文を対象に検索できる 検索機能を強化した「はてなブックマーク」パブリックベータ版
Yahoo!ブックマーク
  http://bookmarks.yahoo.co.jp/all
はてなブックマーク
  http://b.hatena.ne.jp/
はてなブックマーク新バージョン パブリックベータ
  http://bbeta.hatena.ne.jp/


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(甲斐祐樹)
2008/11/12 11:47
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