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“体感1Mbps”はモバイルブロードバンドを実現できるか(後編)
〜ウィルコムインタビュー「2つのアプローチで体感数Mbpsを目指す」〜

 ウィルコムの定額データ通信サービス「AIR-EDGE」特集の最後は、ウィルコムの今後の展開を中心に、ウィルコムの経営企画部長の青木伸大氏と技術企画部ネットワーク企画グループ担当部長の寺尾洋幸氏へのインタビュー内容をご紹介する。





CFタイプやUSBタイプの8x対応、音声端末の高速化も検討

CFカード型やUSB型の8x対応も検討(※写真は現行の4x対応AIR-EDGEカード)
――PCカード型以外の8x対応端末の予定はありますか。

寺尾:時期をお話できるほど詰まっていないですが、CFタイプだけでなくUSBタイプの8x対応端末の製品化を検討しています。

――8x端末の小型化は難しいのでしょうか。

寺尾:最初に開発した端末がPCカードタイプだったということで、8xの端末ができあがれば、あとは小型化するだけなので、CFタイプ、USBタイプについては実現性が見えております。課題としては、狭いスペースに4xの無線機が2つ入ることになるため、無線機同士の電波の干渉を回避することが必要です。

――SDカードタイプの端末を高速化する予定はありますか?

寺尾:SDカードタイプの端末を利用できるSDIOに対応した機器があまり存在しないという現状があります。対応機器が多く発売されることになれば対応していきたいと思っていますが、現在はザウルスシリーズと若干のPDAしか対応していないため、端末のコストが上がる割に、高速化のメリットが少ないかもしれません。


ファームウェアで4xに対応した音声端末「AH-J3003S」
――ウィルコムでは音声端末でも定額データ通信が可能ですが、音声端末の高速化についてはどのような取り組みを行なっていくのでしょうか。

青木:8x対応の予定はまだありませんが、搭載する無線機が1つで済む4xへの対応は進めていきます。すでに日本無線の「AH-J3003S」は4xに対応していますし、来年度中には4xに対応する複数の端末を必ず発売します。ただし、AH-K3001Vについてはハードウェアスペックの違いもありますし、現行機での4x対応は難しいと聞いています。

青木:「AH-K3001V」はフルブラウザが搭載されていますが、メガプラスと同時にリリースしたAIR-EDGE PHONE用の「高速化サービス」を利用することにより、今まで以上にブラウジングが快適になったという報告を受けています。音声端末の高速化に関しても、4xのように基本速度を上げる、通信手順や画像の最適化で体感速度を上げる、という両方のアプローチで進めていくことになります。

――音声端末の処理速度は向上していくのでしょうか。

寺尾:もちろんCPUの処理速度を上げていくことは可能ですが、最終的には端末の価格がポイントになります。3万円、4万円という価格で購入していただければ良いのですが、マーケットに適した価格を考えながら調整することが重要だと考えています。

青木:これまでは音声端末よりもデータ通信に比重を置いていましたのが、今後は音声端末にも力を入れていきます。端末の価格など超えなければいけない課題もありますが、多くの端末を発売してユーザーの皆様に選んでいただける状態にしたいと思っています。2005年度中には必ずAIR-EDGEPHONEの新機種を出したいですね。それも複数の機種を用意して、端末を選べる状態にしていきたいと考えています。





1年後にはさらに基本速度を向上させたAIR-EDGEの試験サービスも視野に

――基地局を増やして速度を改善するというお話がありましたが、さらなる高速化を実現する具体的な案はありますか?

――寺尾:1つは変調方式の多値化です。現在はQPSKで変調していますが、8PSK、16QAM、64QAMと多値化していくことで1スロットあたりの速度を上げることが可能です。もう1つは、端末に搭載する無線機の数を増やす方法です。8xでは4xの無線機を2つ搭載していますが、さらに3つ、4つと増やしていき12x、16xへと速度を上げることが可能です。この両面で高速化するというチャレンジを行なっています。


変調方式の変更とマルチRF化で最大1.5Mbpsが実現可能

寺尾:現在のウィルコムのISDN網では、1チャネルで64kbpsの通信が可能なので、16QAMまではISDN網で対応できます。ただし、多値化するに合わせてバックボーンの光ファイバー化、IP化は必要になると思っていますし、体感数Mbpsを実現できるネットワークの整備は進めていきたいと考えています。


今後はバックボーンの光ファイバ化(IP化)を推進

――変調方式の多値化による高速化サービスの時期はいつ頃でしょうか。

寺尾:実際16QAMまで動いている端末と基地局はすでにありますので、それをいかに安く、広い範囲で提供できるかということですね。技術としては確立していますので、サービスを提供すること自体が見えている状態です。

青木:ただし、広いエリアで利用できなければ、サービス開始のプロモーションはできません。QPSKについてはすべての基地局で対応していますが、8PSK以上は一部でしか対応していないというのが現状です。今後は新しい基地局に変更するという取り組みを行ない、2005年度内には多くの基地局が8PSKに対応する予定です。1年後には試験サービスを開始できるのではないでしょうか。


1年後には8PSK化による384kbpsの試験サービスも視野に

――今後高速化を進めていく中で、1xなど低速プランの価格を下げることは考えていますか?

青木:価格を下げるという具体的な予定はまだありませんが、現状の価格で満足しているユーザーもいれば、高いと感じているユーザーがいることは認識しています。AIR-EDGEサービスに欠けている点としては、“低コストで高速な回線を少しだけ利用したい”というユーザーに対する料金プランが存在しないことでしょう。1,000円〜2,000円の基本料で8xを使うことができ、利用した分だけ課金されるという料金プランもニーズがあるのではないかと考えています。


――最大1.5MbpsがAIR-EDGEの最終的なゴールでしょうか。

寺尾:1.5MBpsはPHSの世界でも基地局の改善や交換、変調方式や無線機の数を増やすことで実現が可能な範囲ですが、これを超えたサービスもやっていかなければ我々は生き残れないという意識を持っています。そうした高速化サービスの提供は4〜5年後を想定していますが、まだ具体的な方法は検討段階です。

寺尾:もしかすると、さらに基本速度を上げていく段階で、ユーザーの速度に対するニーズが無くなってしまうのかもしれません。Webサイトの閲覧や業務用のアプリケーション、テキストのメールなどでは、基本速度を速くするだけが体感速度をを上げることにはならないのではないかという感覚もあり、まずは無線通信特有の遅延時間や速度の揺らぎを解決することが先決だと考えています。

――さらなる高速化も見据えているということがわかり、ますますAIR-EDGEへの期待が高まりました。本日はありがとうございました。


関連情報

URL
  ウィルコム
  http://www.willcom-inc.com/
  AIR-EDGE
  http://www.willcom-inc.com/p_s/service/air_edge/

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(西野滋仁)
2005/03/11 11:21
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