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「TV以外の家電も視野に」So-netのテレビとインターネットの融合戦略

 So-netを運営するソニーコミュニケーションネットワークは27日、ロケーションフリーテレビを利用して外出先からテレビを見るためのワンストップサービスを発表した。ロケーションフリーテレビ向けのポータルサービスなど、テレビ向けサービスを積極的に展開するSo-netのテレビポータル戦略について、担当者に伺った。


ブロードバンドの普及とテレビの買い換え需要が融合サービスの鍵

 So-netが専用ポータルを提供しているロケーションフリーテレビは、その名の通り「どこからでも自由に見られるテレビ」がコンセプトのテレビ製品。従来まで「エアボード」のブランドで展開していた12インチの「LF-X1」と、ロケーションフリーテレビとして新たに発売された7インチの「LF-X5」の2モデルが販売されている。

 2製品とも、IEEE 802.11a/b/gの無線LANに対応し、ベースステーションに接続したテレビ映像やレコーダ内の番組を視聴できるほか、外出先からも自宅のテレビや録画番組が視聴できる「NetAV」機能を備える。So-netが提供するポータルのコンテンツも、2機種の内容はほぼ同等だ。ただしハードウェアの性能の違いから、LF-X1はコンテンツと同時にテレビ再生が可能だが、LF-X5ではSo-netポータル利用時はコンテンツ閲覧のみとなり、同時テレビ再生はできない。


7インチのロケーションフリーテレビ新モデル「LF-X5」 「エアボード」から「ロケーションフリーテレビ」に生まれ変わった12インチの「LF-X1」

LF-X5のSo-netポータル画面 LF-X1のポータルでは、コンテンツと同時にテレビ映像が表示できる

ソニーコミュニケーションネットワーク テレビ&モバイルネットワークサービスディビジョンの坂下弘典ゼネラルマネージャー
 ソニーコミュニケーションネットワーク テレビ&モバイルネットワークサービスディビジョンの坂下弘典ゼネラルマネージャーは、国内のブロードバンド普及に伴い、「テレビとインターネットが融合したサービスがいよいよ一般化するだろう」と見る。

 「ブロードバンドの普及以外にも、テレビは毎年1,000万台の買い換え需要があり、デジタル化への移行もテレビ市場のバックボーンとして存在する。また、すでに1億台近いテレビが世に出回っており、それに向けたサービスは可能ではないか」。こうしたインターネットとテレビの融合サービスに向けて、現在はロケーションフリーテレビでユーザーの要望を検証している段階だという。


利用ユーザーに合わせたコンテンツの提供で利用頻度が増加

女性向けのコンテンツ「ヨガレッスン」。一定の時間ごと画面が切り替わり、ロケーションフリーテレビを見ながらヨガが学習できる
 坂下氏はロケーションフリーテレビ向けのポータルについて「2004年の4月から始めたサービスだが、最初は総ページビューが2万PV程度で、6カ月近く伸び悩んでいた」と打ち明ける。伸び悩みの原因を探っていた坂下氏は、コンテンツの利用時間帯にPCとは異なる変化を見つけたという。「ポータルへのアクセスを調べてみると、昼間に大きな山があった。テレビで昼間に多くアクセスするユーザーと言えば、それは主婦しかいないだろう」。

 So-netではこのデータに基づき、主婦や女性向けのコンテンツを充実。さらに朝と夜にも大きなアクセスがあったことから、この層をビジネスマンと判断。ニュースや天気といったデイリーコンテンツも拡充していった。こうした対策により、2005年4月には3倍近い10万PVを実現したという。「テレビ向けポータルで10万という数字は、サービスとして十分な数字ではないか」と坂下氏は語る。

 これらの事例を踏まえ、So-netではユーザー層に最適なテレビ向けコンテンツの提供を進めていくと同時に、天気やニュースといったデイリーコンテンツを充実。また、「“テレビで見るポータル”ということで番組表の利用率も高い」ことから、番組表と連動した機能も今後拡充予定だという。「今は実現できていないが、今後は番組表から録画予約を設定可能にしたい」。

 また、ロケーションフリーテレビ用ポータルの壁紙を変更する機能や、毎日のスケジュールを記入できるリマインダ機能など、カスタマイズ機能も利用率が高いという。坂下氏は「自分でカスタマイズした情報をテレビで見ていくスタイルが確立されていくのでは」との考えを示した。


ビジネスユーザー向けのニュースコンテンツも強化 壁紙のカスタマイズも可能

RSSリーダーの対応も予定。動画再生機能の対応も視野に

ロケーションフリーテレビはタッチパネルで操作が可能(画面はLF-X1発表時のもの)
 ロケーションフリーテレビ向けポータルは、早ければ9月、遅くとも2005年内に新サービスを投入する予定。情報をカスタマイズするという観点から、ブログに対応した機能やRSSリーダーなどを搭載予定だという。

 坂下氏は「テレビでブログを書くということはないだろうが、他の人の日記やブログなど、気になる情報を追いかけられるサービスは受けるのでは」とコメント。一方で、「テレビがPCと圧倒的に違うのは、リビングで誰が見るかわからないということ。ブログもいろいろなジャンルがあるので、テレビに応じた見せ方を考える必要がある」と慎重な姿勢を見せた。

 ポータルの動画対応も進めていく方針だ。現在はポータルが動画再生用のプレーヤー機能を搭載していないため、静止画やテキストでのみ情報が提供されているが、「テレビで見るコンテンツの基本は動画だろう。So-netは動画コンテンツも提供しており、そういった動画配信サービスも今後は考えていきたい(坂下氏)」。具体的なサービス提供予定は未定ながらも、映画の予告編を動画で配信するといったサービスを検討しているという。

 テレビ向けのポータルサービスは他社も手がけているが、坂下氏はロケーションフリーテレビはタッチパネルから入力できる点が大きな違いという。「他社のテレビポータルではリモコン操作が必要になるため、操作がどうしても煩雑になってしまう。ロケーションフリーはタッチパネルで操作でき、反応も早い。ハードウェアとしてはテレビよりもPCに近い感覚で使えるのではないか」。

 また、STBを利用した映像配信サービスについても「お客様がテレビ以外にハードウェアを用意しなければならないのは敷居が高いのではないか」と指摘。テレビ単体で、さまざまなコンテンツが利用できるSo-netポータルの優位性を示した。


PSP向けのポータルサービスも視野に入れていきたい

現状はソフトウェアベースながらブラウザ機能も利用できるPSPであれば「技術的にはロケーションフリーテレビと同等のポータルサービスが実現できる」
 また、携帯ゲーム機「PSP」向けのポータルを視野に入れていきたいという。2005年1月に米国で行なわれた家電見本市「2005 International CES」では、PSPにロケーションフリーテレビの機能を追加する「Location Free Player for PSP」が発表されている。

 坂下氏も「(SCEI社長の)久夛良木も言っている通り、PSPでもそういった連携サービスは出てくる」と語る。「PSPで使いたいというユーザーのニーズは当然であり、さまざまな可能性が考えられる。PSPであれば、技術的にはロケーションフリーテレビ向けポータルと同等のサービスが実現できる」。正式な対応時期は未定という。

 当初はロケーションフリーテレビ向けにのみSo-netのテレビポータルを展開するが、坂下氏は「もちろんスタートはソニーからになるが、将来的には特定のテレビに偏ることなく広く一般に使われるサービスを目指したい」と語る。坂下氏は「映像配信は非常に魅力あるサービスで、ビデオオンデマンドはレンタルビデオに代わる新しいサービスだと考えている。テレビポータルと映像配信を融合した、新しいサービスを考えていきたい」との意欲を示した。


関連情報

URL
  So-net
  http://www.so-net.ne.jp/
  関連記事:ソニーがPSP/PCをエアボード端末にするソフトを出展(AV Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050109/ces08.htm

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(甲斐祐樹)
2005/05/27 14:48
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