NTT東日本による「フレッツ・ADSL 8Mタイプ」が開始された。編集部スタッフもサービス受付開始と同時に申し込みを行ない、めでたく12月25日に8Mタイプのサービスが開通した。その模様と使用感をレポートしよう。 
■ 申し込み~開通はあっさりと 
  | 
 
| ADSLモデム設置環境。右からルータ、ADSLモデム、電話機 | 
 
 
 今回レポートする環境は、編集部スタッフの自宅である。集合住宅の1室で、以前から1.5Mタイプのフレッツ・ADSLを利用していた。今回の申し込みは1.5Mタイプのサービスから8Mタイプのサービスへの乗り換え、という形で行なった。 
 申し込みは、受付開始当日(11月30日)にNTT東日本のホームページより行なった。ちなみにレポート環境のADSLは、アナログ回線と共有するタイプで、モデムはレンタルだ。申し込み時には開通予定日などの通知はなく、12月18日にNTT東日本のWeb受付センタから「フレッツ・ADSL【1.5Mタイプ→8Mタイプ】申込み内容の最終確認」というメールがきて、そこで最短で12月25日に開通するという旨が通知された。 
  | 
 
| 8Mタイプ対応のADSLモデム | 
 
 
 このほかメールには「8Mタイプ対応のADSLモデムの配送はいつにするか?」「開通工事の際の電話連絡先は?」などの質問があったが、とりあえず最速で工事するように返信のメールを出した。すると、その2日後の12月20日に「12月25日に開通します」と、やはりメールで連絡があった。 
 開通当日の12月25日は、自宅でひたすら開通工事の電話連絡を待っていたのだが、NTT東日本からは一向に連絡がなかった。12月25日、いわゆるクリスマスに朝から夕方までずーっと一人自宅待機などしていると、さすがにほんのりと寂しい気分になってくるので、気分を紛らわすために試しに8Mタイプ対応モデムに付け替えてみた。すると、なんと接続できてしまった。 
 直前まで1.5MタイプのADSLモデムが使えていたので、てっきり工事はまだ行なわれていないと思い込んでいたのだが、どうやらいつのまにかに工事は終わっていたようだ(ちなみに8Mタイプの環境でも1.5Mタイプ用のモデムは使用可能)。 
 それにしても、電話連絡をするように先方に言っていたのに、連絡なしで工事が完了してしまうとは「子どもたちに姿を見せずにプレゼントを配るサンタクロースかおまえは」と小1時間問い詰めたい気分にもなったが、これも合理化というヤツだろうか。結局、フレッツ・ADSLの1.5Mタイプから8Mタイプへの変更は、一度もNTT東日本と電話連絡することなく、Webとメールだけで完了してしまった。 
 ちなみに8Mタイプ対応のADSLモデムはペリカン便で配送されてきたが、これまでレンタルしていた1.5Mタイプ用ADSLモデムは、日付を指定しておけばNTT東日本が回収にくる。回収時には在宅の必要はなく、玄関先にADSLモデムを置きっぱなしにする形でもOKだ。 
■ で、速度はいかほどでしょう 
 今回「フレッツ・ADSL 8Mタイプ」が導入された環境は、11階建てマンションの9階の1室だ。電話局からの回線距離は不明だが、地図上の直線距離は150mほど。ただし、マンション自体がそれなりの大きさがあるので、マンション内だけでも+50mの回線があると推測される。 
 この環境でどのくらいの速度がでるか実際に測定した。ルータなどは介さず、ノートパソコンを直接ADSLモデムに接続する。使用パソコンは「ThinkPad i1620」(Celeron 500MHz/メモリ:192MB/OS:Windows 2000 SP2)で、ネットワークカードにはメルコの「LPC3-CLX」を使った。 
 壁面のモジュラーコンセントからスプリッタまでは2m程度。ノイズ遮断効果の高いシールド付きツイストケーブルを使用している。 
 これまで利用してきた1.5Mタイプのフレッツ・ADSLでは、NTT東日本が提供しているフレッツサービスのサポートサイト「フレッツ・スクウェア」で測定したところ、最大で1.2Mbps程度の通信速度が確認された。 
 8Mbpsのサービス開通後、同様にフレッツ・スクウェアで回線速度の測定を行なった。フレッツ・スクウェアでは、ブラウザ上で専用のJavaアプレットを動作させることで回線速度を測定している。ちなみにブラウザはIE6.0で、ウイルスソフトなどは無効化している。測定は5回、その平均値を取った。 
 平均して4.3Mbps程度の速度が出ていることが確認された。1.5Mタイプに比べると4倍近い数字である。フレッツ・スクウェアで測定する場合は、NTT東日本が用意する特別なアクセスポイントを使い、インターネットを介さずにほぼ自宅からNTT電話局までのADSL部分の回線速度が測定できる。しかし、Javaを使っているため、パソコンの処理能力に依存する部分もあると考えられる。つまり、低速なパソコンでは処理能力がボトルネックとなり、計測結果に影響をおよぼす可能性があるのだ。 
  | 
| フレッツ・スクウェアで測定 | 
 
| 1回目 | 4515kbps | 
 
| 2回目 | 4015kbps | 
 
| 3回目 | 4301kbps | 
 
| 4回目 | 4127kbps | 
 
| 5回目 | 4515kbps | 
 
| 平均 | 4294.6kbps | 
 
 
 | 
 
 
 続いて、@niftyのアクセスポイントを使用して、@niftyのユーザーホームページ用のFTPサーバーと通信を行なった。FTPサーバーにはテスト用のファイル(10,477,568バイト=約10MB)を置き、それをWindows 2000標準のコマンドプロンプトから実行するFTPクライアントを使ってダウンロードした。 
 FTPでのダウンロード速度測定では、だいたい5.4Mbpsとなった。1.5MタイプのADSLが1.2Mbps程度だったので、実に4倍以上の速度となっている。フレッツ・スクウェアよりも測定速度が速くなった理由としては、おそらくJavaを利用したフレッツ・スクウェアの回線速度測定方法よりも、@niftyで行なったFTPのほうがさまざまなオーバーヘッドが小さいため、より高速だったと考えられる。 
  | 
@niftyのアクセスポイントを使用 @niftyのFTPサーバーからのダウンロード | 
 
| 1回目 | 5393.2kbps | 
 
| 2回目 | 5141.4kbps | 
 
| 3回目 | 5606.3kbps | 
 
| 4回目 | 5598.5kbps | 
 
| 5回目 | 5632.7kbps | 
 
| 平均 | 5474.4kbps | 
 
 
 | 
 
  
JENS SpinNetのアクセスポイントを使用 JENS SpinNetのFTPサーバーからのダウンロード | 
 
| 1回目 | 2561.9kbps | 
 
| 2回目 | 3225.4kbps | 
 
| 3回目 | 3832.4kbps | 
 
| 4回目 | 4276.9kbps | 
 
| 5回目 | 4246.4kbps | 
 
| 平均 | 3628.6kbps | 
 
 
 このほか、JENS SpinNetでも同様にFTPを使った方法で速度測定を行なった。 
 こちらは@niftyに比べるとかなり遅い結果となった。JENS SpinNetも@niftyも、使用するADSL回線自体は同じなので、インターネット部分とサーバーの速度の差が、最終的な通信速度の差に表われたと考えられる。8MbpsのADSLの場合、実際のダウンロード速度は5Mbpsを超えるため、自宅からインターネットまでの速度、つまりADSL部分の速度ではなく、サーバーやインターネット部分の速度がボトルネックとなる可能性が高くなるわけだ。 
 @niftyでの5.4Mbpsという通信速度はおそらく今回のテスト環境のADSL速度の限界に近いと思われるが、それでも@niftyのFTPサーバーがボトルネックになっていないという保証はないので、注意していただきたい。 
 さらに、同じようにFTPサーバーへファイルをアップロードする際の速度も測定した。使用したのはダウンロード速度を測定した際と同じく、約10MBのファイルだ。 
@niftyのアクセスポイントを使用 @niftyのFTPサーバーへアップロード | 
 
| 1回目 | 728.0kbps | 
 
| 2回目 | 728.8kbps | 
 
| 3回目 | 729.0kbps | 
 
| 4回目 | 727.84kbps | 
 
| 5回目 | 728.8kbps | 
 
| 平均 | 728.5kbps | 
 
 
 | 
JENS SpinNetのアクセスポイントを使用 JENS SpinNetのFTPサーバーへアップロード | 
 
| 1回目 | 716.2kbps | 
 
| 2回目 | 721.8kbps | 
 
| 3回目 | 720.2kbps | 
 
| 4回目 | 717.6kbps | 
 
| 5回目 | 718.2kbps | 
 
| 平均 | 718.8kbps | 
 
 
 | 
 
 
 アップロード速度は、@niftyとJENS SpinNetともにほぼ720kbps程度だ。それほど速い速度ではないので、これはFTPサーバーがボトルネックになっていない、テスト環境でのアップロード速度そのものだと思われる。「フレッツ・ADSL 8Mタイプ」のサービスでは、ダウンロードが最大8Mbps、アップロードが1Mbpsとなっているので妥当な数値といえるだろう。 
 最後にマイクロソフトからWindows 2000のService Pack 2の「Network Installation」をダウンロードしてみた。アクセスポイントには@niftyのものを使っている。ダウンロードするファイルのサイズは約105MB(110,048,392バイト)で、IE 6.0でダウンロードした。実測で4386kbpsくらいの速度が出ていると思われるが、ブラウザのダウンロードウィンドウでは、最終的に「531KB/秒」という速度を表示していた。 
■ 速度を求めるならば導入即決せよ! 
 結果として、今回のテスト環境ではダウンロードが最大で5.4Mbps、アップロードが最大で0.7Mbpsとなった。フレッツ・ADSL 8Mタイプの公称最大値の7割弱ではあるが、それでも低価格でこれだけの速度の回線が使えるのだから、非常にコストパフォーマンスの高いサービスといえる。 
 それよりも速い通信速度を使いこなせる環境を整えるほうが問題だろう。実際に使ってみた印象だと、たとえば画像の多いWebページでは、ダウンロードの時間よりも画面描写時間のほうが長いという印象を受ける。先の105MBのファイルダウンロード時などは、ダウンロードは3分で終わったが、テンポラリエリアからのコピーにも3分あまりがかかってしまった。 
 つまり、高速な回線で高速なWebブラウジングをするためには、高速なCPUとHDD、大容量のRAMを積んだ高速なマシンも必要になるというわけだ。 
 ルータを使っている場合は、そこがボトルネックになる場合もある。レポート環境では、通常時はルータ機能付き無線LANアクセスポイントを使っているが、このルータを使うと2Mbps程度と速度がガクンと落ち込んでしまう。レポートはルータを使わずに直結して測定などを行なったが、ルータも高速なものへの買い替えが必要なわけだ。 
 また、サーバーやインターネット回線がボトルネックとなり、十分な速度が得られないことも考えられる。これらに対してはプロバイダを変えるという手もあるが、最終的にはバックボーンが整うのを期待するしかないだろう。 
 このように、高速な回線を100%活用するには、他の部分がボトルネックとならないように工夫する必要がある。めんどうを避けたいというのならば1.5MタイプのADSLでも十分だ。ADSLの最大の利点は「常時接続環境が安価で利用できる」であり、それは1.5Mタイプでも十分ともいえる。1.5Mタイプならば、ルータなどがボトルネックになることも少ない。 
 しかし、いろいろと手間がかかるわけだが、ダウンロードが5Mbpsを超える常時接続環境は、想像以上に爽快だ。10MBを超えるファイルがあっという間にダウンロードできてしまう。1.5Mタイプと比べると、4分の1くらいの時間ですむのだ。サービスエリア内の人は、自分の家の環境を考慮の上、導入を検討してみてはいかがだろうか? 
 
□関連記事「フレッツ・ADSLの1.5Mから8Mタイプへの切り替えを申し込んでみました」 
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/11/30/flets.htm 
□関連記事「NTT東日本、フレッツ・ADSL8Mタイプの関東でのエリア拡大計画」 
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/12/27/ntt.htm 
□関連記事「NTT東日本、フレッツ・ADSL8Mタイプの申込受付を11月30日より開始」 
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/11/28/ntt1.htm 
□関連記事「NTT西日本、フレッツ・ADSL8Mタイプの提供スケジュールを発表」 
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/11/29/ntt1.htm 
 
(白根 雅彦) 
2001/12/27 17:27
  |