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東京電力の田代哲彦氏 |
NET&COM2002 Forumのネットワーク・トラックでは、東京電力の情報通信事業部光ファイバ事業グループの田代哲彦氏が「東京電力が乗り出すFTTHサービスの概要と展望」と題した講演を行なった。
■DSL並みの低料金は難しい
東京電力は、2001年10月に100MbpsのFTTH参入発表を行ない、2002年3月に東京都の一部でサービス開始するとしている。発表に至った経緯について田代氏は「FTTHは2~3年後のサービス。しかし、その時期に参入を決めたのでは遅い」として、今から準備することが必要であることを強調した。また、現在DSLが普及を続けていることも折り込みずみで、現在は競合でも最終的にFTTHに移行していくという見通しを示した。
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現在の各社の光ファイバ保有状況 |
料金の点については「光ファイバはコストがかかるので、(DSLと)同じ料金になることはなく、赤字を出してまで競争したくない」と値下げが難しい状況を示し「水を差すようだが月々2~3000円時代は来ないかもしれない」と予測を語った。なお、現時点でも東京電力はFTTHサービスの料金体系は明らかにしていない。
NTTとの競合については「光ファイバでもNTTはチャンピオン」と前置きした上で、「新しいサービスなので(勝つ)戦い方がある」とした。
■東京電力本社で手がけることにした理由
次に、東京電力本体が参入した経緯についても説明した。子会社のTTNetに「東京電話インターネット」やスピードネットがあるが、それだけではFTTHのサービスを開始した場合に自社で持つ光ファイバを使い切るだけのユーザーの数が集まらないという。
メールアドレスなどの問題からプロバイダの乗り換えも期待できないため、プロバイダを換えずにFTTHユーザーを集める方法として、NTTの「フレッツシリーズ」のような方式を選択することに落ち着いた。
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東京電力の光ファイバ事業への取り組み |
提供方法の次は、実際に誰がサービス提供をするかという問題が挙がったという。論議の中で「東京電力が直接やる」「子会社を新たに作る」「TTNet、スピードネットがやる」の3つの選択肢が挙げられた。これをもとにプロバイダにヒアリングを行なったところ、TTNetやスピードネットでは、同業他社に頼むような感覚で印象が悪く「儲かった分でTTnetのISP事業へ利益補填があるのでは」という勘ぐりもあったという。
一方、子会社を作ったときの問題としては、「会社を作るだけで数億のお金がかかり、事業開始時はユーザーが少なく、すぐに利益が出ないので先行投資が膨らむ」とした。
その上で本体でやることを決めた理由は「ブランド面で有利」とした。参入にあたっては、会計も分離したカンパニー制を3月1日から導入する予定と発表した。最後に、第1種電気通信事業者免許については、「早ければ今月の上旬にも許可がもらえる」と発表し、「これが苦しかった」と率直な感想を述べた。
今後の展開として、サービスの全国統一の可能性に触れ「他の電力会社は経営が別々で、ISP込みで提供したりホールセラー型で提供したりとまちまち。全国統一はないだろう」と現在の見通しを語った。
□関連記事「総務省、東京電力の第1種電気通信事業に条件付き許可、FTTH参入へ」
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/02/01/tepcof.htm
□関連記事「東電、FTTHを事業化、最大100Mbpsのインフラを提供」
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2001/10/03/tdftth.htm
□東京電力
http://www.tepco.co.jp/
(正田拓也)
2002/02/06 20:05
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