NTTは4月19日、2002~2004年度の経営計画について発表した。固定電話網への投資を原則的に停止し、IP網の構築、拡大に投資を集中させる。またNTTグループ各社が独自に展開するISPサービスを段階的に統合していくことを表明している。
3カ年経営計画の冒頭では市場動向について触れている。ADSLの急速な普及によって、2001年度末の段階でインターネット利用者全体の約20%にあたる約400万のユーザーがブロードバンド環境を利用しているという。今後もFTTHサービスを提供する新規事業者の参入でこの傾向はより顕著なものとなり、本格的なブロードバンド時代が到来すると見込んでいる。
定額制を軸としたブロードバンド接続サービスの普及は、固定電話事業にも影響を及ぼしており、既存の電話網を利用した音声通話から、データ通信をベースとしたIP電話サービスへ需要が移行するのは必至とNTTでは見ている。今後は固定電話網や固定電話系オペレーションシステムへの投資は原則的に停止し、IP網への投資を集中的に行なう計画だ。
IP電話サービスはすでに多くの事業者が低廉な価格を武器にサービスを広げており、NTTでは当面、電話網自体のコスト削減によって対抗を図っていくという。
またISPサービスは現在、NTTグループ内でも複数の企業が展開しており、NTTコミュニケーションズの「OCN」やNTT東日本の「ぷらら」、NTTデータなどが出資する「ドリームネット」など、グループ内競争が問題として取り沙汰されてきた。値下げ競争が激化していることなどから今後は段階的に統合を実施し、規模を重視した戦略に転換していく。なお具体的な統合計画については現段階で明らかにされていない。
コンテンツ配信事業に関しては、著作権管理や課金処理機能を統合した配信システムを構築し、コンテンツ所有者と連携した協業を推進する。NTTブロードバンドイニシアティブのコンテンツ配信サービス「BROBA」で構築されている配信ネットワークはグループ各社でも活用するという。
□ニュースリリース
http://www.ntt.co.jp/news/news02/0204/020419.html
□関連記事「NTTグループがフレッツ・ADSL回線を用いたIP電話に参入と一部で報道」
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/02/27/nttgip.htm
□関連記事「NTT、ISPの統合は市場動向次第、FTTHの価格競争には自信」
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/03/26/nttkk.htm
□NTT
http://www.ntt.co.jp/
(森田 秀一)
2002/04/19 18:40
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