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第2回:おサイフケータイとは

 24時間365日、いつでもどこでもそばにある携帯電話。この携帯電話を”オカネ”の代わりとして、決済に使ってしまおうというのが「おサイフケータイ」です。その概要やICカード型電子マネーとの違いについて見てみましょう。





一般用語になった「おサイフケータイ」

「おサイフケータイ」のロゴマーク
 NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイル。どの事業者の携帯電話でも採用され、今や幅広い機種で使えるようになった「おサイフケータイ」。電車に乗るために使ったり、コンビニでの支払いにと、まさに「おサイフ」として使っている人も多いのではないでしょうか。

 このように、今でこそ事業者を問わず使われている「おサイフケータイ」という言葉ですが、もともとは2004年7月にNTTドコモによって開始されたサービスです。よく見ると、NTTドコモ以外の事業者の表記には、「R」を丸で囲んだ印が記されています。今ではすっかり一般的な用語として定着していますが、実はNTTドコモの商標登録なのです。

 おサイフケータイも、NTTドコモの「iモードFeliCa」、auの「EZ FeliCa」、ソフトバンクの「S!FeliCa」というサービス名からもわかる通り、技術的には前回概要を紹介した非接触IC電子マネーと同様、ソニーの「FeliCa」の技術を採用しています。携帯電話の中に、カードでも使われている非接触ICチップが内蔵されていると考えればわかりやすいのではないでしょうか。

 国内の携帯電話事業者のサービスをまとめてみましょう。以下の表を見ればわかる通り、いずれのサービスも基本技術としてFeliCaを利用し、サービス提供者が開発したアプリをダウンロードして利用するという形態のため、事実上サービスとしての差はほとんどありません。

 唯一、NTTドコモではNTTドコモ自らが提供する後払い方式(ポストペイ)の電子マネー「iD」が利用できるようになっていますが(iDで使えるクレジットサービスDCMXも提供している)、そのほかのサービスについては、キャリアを問わずほぼ共通して利用することができます。


おサイフケータイ対応の携帯電話にはFeliCaマークが表示されている




複数のサービスをケータイ1台で

 カードがあるんだから、わざわざ携帯電話で使わなくても……。もしかすると、そう考えている人もいるかもしれません。

 ところがそうではないのです。カードの場合と比べたおサイフケータイならではの特徴は、前述したような豊富な対応サービスを1台の携帯電話でまとめて利用することができる点です。

 ICカード型の電子マネーの場合、電車用にSuica、セブン-イレブン用にnanaco、イオンのスーパーやショッピングモール用にWAON……、などというようにそれぞれのカードを個別に持たなければなりません。

 もちろん、対応する店舗が多いサービスを利用していれば、電車も、コンビニも、スーパーも1枚の同じカードで支払うことも不可能ではないでしょう。しかし、詳しくは次回以降に紹介しますが、それぞれの電子マネーは独自のポイント制を導入しており、店舗によってサービスをうまく使い分けないと、このポイントを損することにもなりかねません。

 このため、人によっては、サイフが分厚くふくれあがるほど、いろいろな電子マネーのカードを持ち歩く、なんてことも珍しくないのです。

 しかし、おサイフケータイの場合、FeliCaの心臓部であるICチップやアンテナといったハードウェアはアプリケーション(=サービス)で共有できるため、各サービスアプリケーションをダウンロードすれば1台の携帯電話でサービスを利用できます。


複数の電子マネーサービスを携帯電話1台で持ち歩ける

 このため、Suicaやnanaco、WAON、QUICPayといった電子マネーだけでなく、FeliCaを使ったレンタルビデオの会員証や飲食店のポイントカードなど、さまざまなサービスを1台の携帯電話にまとめることができ、どこでも同じ携帯電話をピッとかざすだけでサービスの違いを意識せずに決済できるのです。


 このため、Suicaやnanaco、WAON、QUICPayといった電子マネーだけでなく、FeliCaを使ったレンタルビデオの会員証や飲食店のポイントカードなど、さまざまなサービスを1台の携帯電話にまとめることができ、どこでも同じ携帯電話をピッとかざすだけでサービスの違いを意識せずに決済できるのです。




通信機能でチャージも可能

 さらに、もう1つ、非接触ICカード型にはないおサイフケータイならではの特徴があります。それは、携帯電話の通信機能を利用できる点です。

 通常のICカード型電子マネーの場合、チャージや残高の確認には、基本的に店頭のレジや専用端末、もしくはPCとICカードリーダーなどを利用します。

 これに対しておサイフケータイでは、各アプリケーションから携帯電話の通信機能を利用して、残高を確認したり、登録したクレジットカードなどからチャージを行うことができるようになっています。


Edyは携帯電話からチャージできる

 ICカードタイプの場合、いざ使おうというときに「あれ、残高いくらだっけ?」などと不安になったり、実際にかざして残高不足だったり、などということがよくありますが、おサイフケータイなら事前にチェック、チャージが手軽できることになります。

 このほか、携帯電話のロック機能を利用して、実際に決済するときだけパスワードを入力してFeliCaによる決済を可能にするといったこともできるようになっています。

 ICカード型電子マネーは、年齢認証不要、サイン不要、即時決済と、すぐに使えるのがメリットではありますが、その反面カードを紛失してしまうと、本人認証が不要なだけに誰でも使えてしまう可能性があります。

 一方、おサイフケータイの場合は、このようなロック機能で利用を制限することができるだけでなく、万が一携帯電話そのものを紛失した場合でも、事業者に連絡することによって遠隔ロック(おサイフ機能、携帯電話全体などサービスがいくつかある)するといった対策も備えています。

 そもそも、電子マネーが普及したのには、身近な携帯電話で使えるようになったことも大きく影響していますが、手軽でありながら、より便利にそして安心して使える点こそがおサイフケータイならではのメリットと言えるでしょう。


関連情報

URL
  おサイフケータイ(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/service/osaifu_shopping/osaifu/

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2008/08/21 10:53

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ
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