前回紹介したnanacoのポイントサービスですが、特定の環境ではnanacoよりも別のポイントサービスを使った方がお得なケースがあります。賢くポイントを貯めるための方法を見てみましょう。
■ アイワイカード VS nanaco
電子マネー「nanaco」は、国内トップの流通企業セブン&アイホールディングスが提供する決済サービスです。
同グループには、コンビニエンスストアのセブン-イレブン、スーパーのイトーヨーカドー、レストランのデニーズという大きな3つの企業が存在し、国内のいろいろな場所でnanacoを決済手段として使えるのが強みです。
しかし、決済手段という意味では、同グループには、これまでにも「アイワイカード」というクレジットサービスが存在しました。実は、nanacoもアイワイカードも、アイワイ・カード・サービスという同じグループ企業が提供しているのですが、アイワイカードはイトーヨーカドーのポイントサービスを兼ねたクレジットカードとなっており、イトーヨーカードーの利用者を中心に数多く普及しています。
このため、イトーヨーカドーで買い物をする人の中には、支払いにnanacoよりも、アイワイカードを利用することの方が多いかもしれません。では、ポイントサービスを考えた場合に、果たしてアイワイカードとnanacoのどちらで買い物をするのがお得なのでしょうか?
|
|
nanaco
|
アイワイカード
|
■ クレジットポイントで有利なアイワイカード
実際に比較してみる前に、アイワイカードのポイントサービスについて確認しておきましょう。
アイワイカードのポイントサービスは大きく2つに分類できます。1つはクレジット払いで付与されるクレジットポイントです。一般的なクレジットカードのポイントサービスと同様のサービスで、100円の支払いにつき0.5ポイントが付与されます。
もう1つは、加盟店での利用で付与されるショップポイントです。イトーヨーカドー、エスパ、ヨークマート、ロビンソン百貨店の各店での商品購入に際して、100円の支払いごとに1ポイントのポイントが付与されます。
ショップポイントは、いわゆるポイントカードサービスと同等で、商品購入時にカードを提示すれば、現金での支払いでもポイントが付与されます。つまり、以下のようにクレジット払で合計1.5ポイント/100円のポイントが付与されます。
なお、アイワイカードの年会費は初年度無料ですが、翌年以降は年間500円の会費がかかります。しかし、年間利用金額が5万円以上の場合は年会費が無料となるため、日々の買い物に使っている場合は年会費は不要となるケースが多いようです。
■ 実際の買い物でポイントを比較
では、実際にイトーヨーカドーで同じ商品を購入した場合に、nanacoとアイワイカードのどちらが得かを比べてみましょう。
結論から言えば、イトーヨーカドーでの支払いに限れば、nanacoよりもアイワイカードを利用した支払いの方がお得になります。
以下は同じ商品をアイワイカードとnanacoで支払った場合の実際のレシートです。左側がアイワイカードでの決済、右側がnanacoでの決済です。
この日は、歳末ボーナスキャンペーンで対象商品のポイントが2倍付与されるキャンペーンが行なわれていました。このため、650円の弁当の税抜き価格となる620円に対して、アイワイカード(左側)は、12ポイイントのショッピングポイントと3Pのクレジットポイントで合計15ポイントが付与されています。
一方、右側のnanacoの場合、税抜き価格620円に対して、「nanacoサービス」の項目で6ポイント(1ポイント/100円)がまず付与されています。この決済の際、アイワイカードをポイントカードとして一緒に提示することで、こちらもポイント2倍キャンペーンの12ポイントが付与されますが、ここから先に付与されたnanacoポイントの6ポイント分が引かれ、「12P-6P=6P」のショッピングポイントが付与されています。
つまり、アイワイカードは合計15ポイント、nanacoは合計12ポイント(nanacoポイント6P+アイワイポイント6P)と、クレジットポイント分の3ポイントの差ができたというわけです。
実は、このような差は、nanacoへのクレジットチャージがアイワイポイントの対象外になっていることが原因です。クレジットチャージでも同様に100円あたり0.5ポイントのクレジットポイントが付与されていれば、合計のポイントレートは同等となり、どちらの支払い方法でも結果的な差はないことになります。
もちろん、チャージ時にポイントを発行すると、一時的にしろ実際の利用金額よりも多くのポイントを発行しなければならいため、ポイント引当て金の方法や額が変わってくる可能性があります。ほかにもさまざまな理由から、一般的にチャージへのポイントは付与されない方向性になりつつあることもあり、ある意味致し方ないところとも言えるでしょう。
■ ショッピングポイントはnanaco決済でも貯まる
なお、イトーヨーカドーでの買い物の際には、nanacoで決済する場合でも、必ずアイワイカードをポイントカードとして提示することが大切です。
たとえば、今回のケースではnanacoの決済時にアイワイカードを提示しなかった場合、右側のレシートの下側に記載されているポイント2倍対象となる6ポイント分のアイワイポイントは付与されません。イトーヨーカドーのポイントは通常1ポイント/100円でnanacoポイントと同じですが、キャンペーンなどでは、今回のポイント2倍や5倍など、通常以上のポイントが付与される場合があります。
このような場合、アイワイカードを提示せず、単純にnanacoのみで決済するとキャンペーンのアイワイポイントが付与されないのです。
このため、先のレシートの例も、仮にnanacoのみで決済したとすると、nanacoポイント6ポイントのみの付与となり、アイワイカードでのクレジット決済15ポイントと比べて、9ポイントも損をすることになります。キリの良い数字でまとめてみると以下の図のようになります。金額が大きくなるほど、その差も大きくなることになります。
■ 貯まったポイントをどう使うかも要検討
なお、このようにして貯めたアイワイポイントは、「ポイント交換商品との交換」「ショッピング時の支払いへの利用」「他のポイントへの交換」という3つの方法で利用できます。
この際、もしも支払いに使いたい場合は若干の注意が必要です。先の例では、nanacoよりもアイワイカードのクレジット払いの方が多くポイントを貯めることができましたが、この支払いをポイントと組み合わせると結果が変わってくる場合があります。なぜなら、ポイント支払い分に対してはポイントが付与されないからです。
たとえば、1000円の商品を全額アイワイポイントで決済するとしましょう。この場合、ポイント支払い分にポイントは付与されないため、獲得できるポイントは0となります。また、500円分など、一部金額の支払いにポイントを充当した場合、ポイントの対象となるのは、その差額、つまり「1000円-500円=500円」となります(ショッピングポイント5+クレジットポイント3=8ポイント)。
一方、貯まったアイワイポイントをnanacoポイントに交換し、それをさらにnanacoにチャージして、支払ったとしましょう。この場合、nanacoへのチャージで手数料1%がかかるので実質的に1010ポイントが必要になりますが、通常の1ポイント/100円が付与されるレートの場合、1000円の買い物で10ポイントが付与されます。つまり、手数料を考えてもプラマイゼロとなるわけです(チャージする金額が多くなるとそれだけ余分に手数料がかかるので以下の計算で考慮する必要あり)。
しかし、前述したようにイトーヨーカドーではキャンペーンでアイワイポイントが2倍などになる場合があります。このケースを想定するとポイント2倍の場合は、1000円の商品を再チャージしたnanacoで支払うと、全額がポイント付与対象金額となりますので、nanacoポイントが10ポイント、ショッピングポイントが10ポイントの合計20ポイントとなり、nanacoポイントからnanacoへのチャージ手数料を考えても、その差額ポイント分を得することになります。
ただし、この計算はあくまでも1000ポイントをチャージした場合(手数料が10円で済む場合)を基準に考えています。より多くの金額をチャージすると、差額として考慮すべきポイントが20、30と増えていきますので、その分、損益分岐となるポイント還元される倍率が高くなる必要があります。ここでの計算は、あくまでも一例として紹介しているに過ぎませんので、実際の損得は計算してみる必要があります。
なお、この考え方は、セブン-イレブンなどイトーヨーカドーやエスパでの買い物以外では通用しません。なぜなら、セブン-イレブンなどではアイワイカードでの支払いに0.5%のクレジットポイントしか付与されず、ショッピングポイントが付与されないからです。
特にセブン-イレブンの場合、100円で1ポイントが付与されるうえ、期間や商品によってボーナスポイントを得ることができるnanacoの方が断然お得となり、この損得計算は完全に逆転します。
以上、nanacoとアイワイカードのポイントサービスを比べてみました。2つの決済手段が使える以上、どちらをどこでいつ使えば良いのかをよく考えてから、決済に使うと良いでしょう。
■ URL
nanaco
http://www.nanaco-net.jp/
アイワイ・カード
http://www.iy-card.co.jp/index.html
■ 関連記事
・ 第19回:電子マネーのポイントを賢く貯めよう(nanaco編)
・ 第8回:セブン-イレブンなどイトーヨーカドーグループ中心の「nanaco」
2009/01/08 10:39
|