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インテルコーポレーション デジタルホーム事業本部 副社長兼本部長のドナルド・J・マクドナルド氏
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千葉・幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2005(10月8日まで)にて、「インテルが提唱するデジタルライフ革命」と題した特別講演が実施された。講師はインテルコーポレーション デジタルホーム事業本部 副社長兼本部長のドナルド・J・マクドナルド氏。家庭内のパソコン、家電、コンテンツを融合させ、シームレスにコンテンツをやりとりしようという「デジタルホーム」構想について解説した。
マクドナルド氏はまず「パソコンや家電機器上でコンテンツをやりとりするデジタルエンタテインメントはニッチ産業ではなく、もはや主流のコンテンツ」と説明。携帯電話の着信メロディ配信ビジネスなどを例に、「ベートーベンの第9を着信メロディにするなど、10数年前に誰が考えたろう」と続け、テクノロジーの進展が想像を超えたビジネスチャンスをもたらすと指摘した。
パソコン向けデジタルエンタテインメントについても、日本ではすでに「iTunes Music Store」や無料の映像配信サービス「GyaO」、日本テレビが予定している「第2日本テレビ」などが立ち上がりつつあると話し、普及の典型例として挙げている。
デジタルエンタテインメントを支える“デジタル技術”の発展についても、マクドナルド氏は「消費者のニーズに変動を呼び起こした」と分析。「(成熟しきったはずの)テレビ市場においても、いまや2,000ドル、3,000ドルという高価な薄型大画面テレビに需要が生まれている」とし、今までと違う観点からビジネスを見なければならない“変異の時代”だと評した。
さらには「消費者自身が求める性能を、開発者自身が設定する目標値を超えて提供せねば」と、消費者本位の商品開発を行なう重要性にも言及。消費者が真に望むニーズを代弁する役目をインテルが果たしていきたいと述べた。
■ デジタルコンテンツを自在にやりとりできる「デジタルホーム」構想
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講演中は「消費者本位」の重要性をたびたび説いた
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マクドナルド氏はマーケティング調査などから、デジタル機器に対する消費者の要求を「使い勝手の良さ」「性能」「機器間の相互接続性」の3点に集約。これらを満たす「デジタルホーム」の上でデジタルコンテンツを自在にやりとりできることが、“変異の時代”における消費者本位のサービスだと主張する。
インテルではデジタルホームを構想として掲げるだけでなく、具体的な規格として標準化するための動きも重視。ホームネットワーク製品の接続性を規定した「DLNA」のガイドラインや、「DTCP」と呼ばれるデジタルコンテンツの伝送保護技術の実用化にも注力している点をアピールした。
講演中では、デジタルホーム構想を反映した製品のひとつ、「Viiv」のコンセプトモデルによるデモも披露した。Viivは、テレビなども楽しめるエンタテインメント向けパソコンのプラットフォームで、リモコンによる操作やパソコン本体の電源を瞬時にオン・オフする技術などを盛り込み、使い勝手の良さに配慮したという。製品については「2006年第1四半期ごろに登場する予定なので、ぜひ期待してほしい」とマクドナルド氏は述べている。
このほかにもインテルでは、次世代の映像記録メディアとしてHD DVDの採用を表明しているが、業界主導による、ブルーレイとの規格間競争的なものは望んでいないという。「消費者の混乱を避け、あくまでも消費者本位で製品を提供すべきだ」との見解を示し、消費者の意向を最重要視する姿勢だ。
講演終盤でマクドナルド氏は「デジタルエンタテインメントの世界は、すでに実現している」「消費者本位の製品開発」という言葉を講演で繰り返し使って強調。「75年前にアインシュタインがテレビ受像器の実験を初めて行なった時、だれが現代のテレビ業界の発展を想像できたろうか。そしてデジタルエンタテインメントもまた、それと同じレベルのチャンスをもつものだ」と語って、講演を締めくくった。
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デモンストレーションに使われた「Viiv」のコンセプトモデル
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コンセプトモデルの1つ「Golden Gate」。弁当箱大という小型な筐体
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■ URL
インテル
http://www.intel.co.jp/
CEATEC JAPAN 2005
http://www.ceatec.com/
(森田秀一)
2005/10/04 14:40
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