11月18日に行なわれたCNET Japan Innovation Conference 2005 Autumnでは、アスクジーブス ジャパンの樋口将嘉氏、NTTレゾナントの内山匡氏、テクノラティジャパンの佐藤匡彦氏、ライブドアの西田光良氏によるパネルディスカッション「立ち上がるブログ検索関連市場」が開催。モデレータはCNETでブログを執筆する渡辺聡氏が務めた。
■ 情報の鮮度がブログ検索の特徴
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パネルディスカッションの出席者
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アスクジーブスが運営する検索サービス「Ask.jp」で提供しているブログ検索の特徴として樋口氏が挙げたのが情報の鮮度。Ask.jpの検索反映速度は1分以内といい、多い時には1分間で2,000記事も集まるという。キーワードだけでなくPodcasting対応ブログ、画像掲載ブログなどを対象とした検索も可能なほか、RSSリーダー「Bloglines」との連携機能もAsk.jpの特徴とした。
一方、「情報の質」を重視するのがgooを運営するNTTレゾナント。内山氏によれば、gooのブログ検索ではブログ記事本文も抽出してインデクス化しており、RSSのみを対象とした検索よりも精度を高めているという。質だけでなく量の面でも、2005年度内に1億記事を収集する予定であり、gooブログやRSSリーダーを効率よく組み合わせることでユーザーのアクセスを図っていく方針だ。
ブログ検索に特化したテクノラティの佐藤氏は、URLを入力することで自分のサイトにリンクしているブログを検索できる機能を紹介。ブログの検索技術を利用としたコンテンツ提供も特徴とし、過去72時間にブログで話題になった書籍やDVDを紹介するサービス、12時間でブログで検索されたキーワードランキングといったコンテンツを挙げた。
ライブドアの西田氏は、livedoor全体の検索サービスにおけるブログ検索のシェアデータを公開。ブログ検索を「Web検索と同じ35%を占めるなど比率が高まっており、非常に面白いサービス」と評した上で、「いかにユーザーの声を早く拾い、早く提供できるかがWeb検索との大きな違い」と説明。「ブログ検索で鮮度の高い情報を各コンテンツに提供し、全体ポータルに人が流れるという、ポータルと検索エンジンの相乗効果が生まれている」点をメリットとした。
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アスクジーブスの考えるWeb検索とブログ検索の違い
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記事本文抽出で精度を高めるgoo
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ブログ検索をコンテンツとして提供するテクノラティ
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livedoorではブログとWebの検索シェアが同程度だという
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■ ブログ検索と他サービスとの連携で新たな価値を
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アスクジーブス ジャパンの樋口将嘉氏
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NTTレゾナントの内山匡氏
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パネルディスカッション最初のテーマは「ブログ検索とWeb検索をユーザーは使い分けているのか」。NTTレゾナントの内山氏は「ユーザーが意識的に使い分けているかはわからないが」と前置いた上で、「gooリサーチの調査ではブログ検索の認知度が4割、ブログを使っていない人でも3割と高い」と指摘。ライブドアの西田氏は「ブログ検索はアクセス数こそWeb検索と同じだが、ユニークユーザーは少ない」との違いを示し、「ブログ検索は濃いユーザーやリサーチ目的などで使われている」とコメント。「初めてlivedoorを使った人はWeb検索を、慣れてくるとブログ検索へ進むようだ」とした。
アスクジーブズの樋口氏は「Web検索とブログ検索を交互に使うユーザーが50%」とのデータを示し、「テレビで話題になったキーワードなどを検索するという流れが顕著にある」と指摘。テクノラティの佐藤氏は「検索結果をブログに投稿するなど、ブログのネタ探しにも使われているようだ」との考えを示した。
4社のうち、アスクジーブスとテクノラティは検索のみの事業展開だが、他のサービスと連携するためのAPI公開という点では「最近話題になったブログの値段を測定するサービスなど、海外ではテクノラティのAPIが使われており、日本でも企業やデベロッパ向けのデータ提供など積極的に行なっていく(佐藤氏)」。一方、アスクジーブスの樋口氏は「ブログ検索はサービスを始めたばかりでAPI公開は検討中」と慎重な姿勢を見せた。
逆にブログ検索以外のサービスも手がけるポータル事業者としては、「ニュースやエンターテインメント系コンテンツと連携し、サイト回遊を強化するための存在(NTTレゾナント)」、「検索結果そのものを新たなデータとして捉え、情報の共有を図る(ライブドア)」など、ポータル内の連携強化としてブログ検索を位置付ける。また、「Web検索とブログ検索が別なのかというそもそもの問題もある(ライブドア)」との考えも示された。
■ 広告やリサーチ、エンジン提供など様々なビジネスモデルを実現
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テクノラティジャパンの佐藤匡彦氏
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ライブドアの西田光良氏
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ブログ検索における各社のビジネスモデルは、各社事業形態が異なるものの、「広告モデル」「検索エンジンの他社提供」「検索データのリサーチ」「ポータルの付加価値」という方向で一致した。また、地図検索などさまざまな検索が登場する中で、ブログ検索の今後の形としては「さまざまな検索を1BOXで利用できるバーティカル検索(アスクジーブス)」、「口コミなど、ユーザーの生の声を専門検索と連携(NTTレゾナント)」との考えが示された。
テクノラティは11月15日にデジタルガレージ、カカクコム、ぴあが設立した合弁会社「WEB2.0」を例に取り、「テクノラティの検索技術を利用して、エンターテインメント系の面白い情報ポータルを作りたい」との意気込みを示した。また、ライブドアは「ユーザーの開設したブログと検索結果のデータを結びつける、検索結果に対して最適なlivedoorのコンテンツを表示するといった検索のパーソナライズ化がポータルならではの展開では」と述べた。
会場からは、「時系列順がスタンダードであるブログ検索の中で、いかにユーザーへ価値ある情報を提供できるのか」との質問も寄せられた。アスクジーブスの樋口氏は「いかにブログの話題の連鎖を追跡するかなど、当然ながら技術的なチャレンジは進めている」と回答。NTTレゾナントの内山氏は「gooブログでのブログディレクトリ構築という取り組みも進めている。また、ユーザーの視点に応じた検索を容易にする仕組みも考えていきたい」とした。
「今後ブログのデータが動画や音声などテキスト以外に広がった場合は」との質問には、ライブドアの西田氏が「画像や音声、動画も研究の対象として進めていきたい」とコメント。「これが正解という検索の姿はないが、そういったマルチメディアに対応した検索こそが最終的なメタ検索になるだろう」との考えを示した。
■ URL
CNET Japan Innovation Conference 2005 Autumn
http://japan.cnet.com/info/cjic2005a/?tag=cjic05a_rb
Ask.jp
http://ask.jp/
gooブログ
http://blog.goo.ne.jp/
Technorati.jp
http://www.technorati.jp/
livedoor ブログ検索
http://sf.livedoor.com/
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(甲斐祐樹)
2005/11/18 19:24
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