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【2007 International CES】
Bill Gates基調講演、Windows Home ServerやXbox 360のIPTV対応を発表

 2007 International CES開幕前日に開催される基調講演初日には、MicrosoftのChairmanを務めるBill Gates氏が登壇。「Connected Experience」と題し、Windows Vistaを中心としたMicrosoftの戦略について講演を行なった。


引退後もCESの基調講演は「続投」

MicrosoftのChairmanを務めるBill Gates氏
 2008年7月にMicrosoft経営の第一線から退くとの意向を示して以来、International CESの基調講演も今回が最後になると見られていたGates氏だが、基調講演に登場して早々に「基調講演は来年もやります」と発言し、最後との噂を払拭。以降のスケジュールに関しては「International CESに招待してもらえるかわからないが、自分の財団で医療事業に取り組むなど、やりたいことはたくさんある」とコメントし、再来年の基調講演については未定とした。

 Gates氏はPCを取り巻く環境を振り返り、「デジタルカメラは毎日約20億もの写真が撮影され、米国では40%の家庭へコンピュータが普及した。また、若い世代ではテレビよりもPCに時間を費やしている」と、生活におけるPCの浸透が進んでいると指摘。ハードウェアも6MピクセルのデジタルカメラやフルHDのスクリーン、TB(テラバイト)まで容量が拡大したストレージなど、技術革新が急速に進んでいるとした。

 一方、「こうした技術革新だけでは十分ではない」と指摘したGates氏は「Connected Experience」というキーワードを挙げ、「ハードウェアだけで考えるのではなく、そのデバイスを人々がどのように使いたいのかという“体験”が重要」との考えを披露。「スケジュールをPCからも電話からも、冷蔵庫の前からでも確認したい。メッセージも職場や家などあらゆるところに持っていきたい、消費者はそういう要望を持っている」との例を挙げ、「これは消費者だけでなく、生産性を高めるという意味で企業においても重要なこと」と付け加えた。


Vista、Office、Liveの連携で「Connected Experience」を実現

Microsoft Group Product ManagerのJustin Hutchinson氏
 約5年の年月をかけて開発したという新OS「Windows Vista」が発売される2007年は「Microsoftにとって大きな到達点」(Gates氏)という。Gates氏は「PCの周辺機器もさまざまな製品が登場しているが、それらをお互い接続するための存在としてWindowsとPCは依然中心的存在である」とコメント。また、同時にリリースされるOffice 2007にも触れ、「OSとOfficeが同時にリリースされるのはWindows 95以来のこと」と説明。「OSとOfficeを同時に移行できることで、慎重なユーザーもどんどんVistaとOffice 2007へ流れていくだろう」との期待を示した。

 Vistaと密接に連携したサービスとしてGates氏が重視するのが「Windows Live」。「Windows Liveではファイルやメール、スケジュールをインターネットを介して共有できる」とのメリットを挙げたGates氏は「Microsoftはこれからサービスとのつながりを広げていく」とコメント。「我々はすでに数十億人規模のIMやメール基盤を持っている。こうした基盤をさらに広げていくことが、ユーザー体験の重要な部分になるだろう」との考えを示した。

 Windows Vistaのデモを担当したMicrosoft Group Product ManagerのJustin Hutchinson氏は、数文字を入力するだけで該当のファイルやメールなどを検索できるインクリメンタルサーチ機能や各種ファイルのサムネイルプレビュー、上書きしたファイルを前の状態に戻せるRestore機能などを紹介。また、Office文書のリンクからWindows Live Searchへのリンクを表示し、地図情報や連絡先、3D表示で移動できる地図などと連携できる機能も紹介。「Vista、Live、Officeの3つを合わせることでConnected Experienceが実現できる」とした。

 また、Media Center機能を利用してテレビで放映中のスポーツのスコアをリアルタイムで表示し、自分の好きなプレーヤーが登場する時などにアラートで通知する機能、写真や動画の作成や編集が可能なフォトギャラリーのデモも披露。上位モデル「Windows Vista Ultimate」のみに搭載される、同じシチュエーションの2枚の画像から良い部分だけを取り出して合成する「Group Shot」機能、動画やアニメーションを設定できる壁紙機能も紹介された。


Windows Vistaのインターフェイス Windows Live Searchの地図機能

Media Centerに連動してスポーツのスコアをリアルタイム表示 動画を壁紙に設定できる

Windowsの情報を一元管理する「Windows Home Server」

 Windwos Vistaのデモに続いて再び登場したGates氏は、「Windowsではすばらしいソフトやデバイスを作り出せるユニークな環境」とし、「Windowsのデバイスは150万以上存在する。これは大変すごい数字だろう」とコメント。「Vistaの登場により、こうした環境はよりユニークな存在になる」とし、HPや東芝、ソニー、Medionから発売が予定されているVista搭載PCやUMPCが紹介された。

 さらにHPとは「Windows Home Server」を共同で開発。家庭内のPC情報を一箇所に集約するための製品で、ZuneやXbox 360との連動機能やリモート操作にも対応。ディスク容量も追加が可能で、新たなストレージを用意すると自動でデータを整理し「ユーザーは何も操作することなく、数TBまではHome Serverで保管できる」(Gates氏)。Windows Home ServerはHPが2007年の上半期に発売するほか、他の企業からもHome Serverモデルが登場する予定で、Gates氏は「このストレージカテゴリはこれから重要になる存在だ」と期待を示した。


Vistaを搭載した発売予定のPC HPが発売を予定する「Windows Home Server」

Zune、Xbox 360などデバイスが好調。Xbox 360は1,000万台の目標を突破

Microsoft PresidentのRobbie Bach氏
 Windows Vistaに関する数々の製品やサービスを紹介したのち、Gates氏は「Connected Experienceの中心はやはり娯楽だろう」と述べた上で、Microsoft PresidentのRobbie Bach氏にバトンタッチ。Bach氏はConnected Experienceをベースに、ゲームやテレビ、音楽といった娯楽に関する機能や製品を「Connected Entertainment」というコンセプトに基づいて紹介していった。

 音楽ではMTVと共同で提供する「URGE」が順調に成長しており、パートナーの数は350を突破。さらに2006年に発売したポータブルプレーヤー「Zune」も100万台を出荷し、「世界第2位のポータブルプレーヤー」になったという。携帯電話もWindows Mobileにより「電話だけでなく動画やテレビ、音楽も1台で楽しめる存在になっている」とコメント。「Connected Entertainmentを電話を通じていかに市場へ提供していくかが重要だ」との考えを示した。

 ゲームに関しては「PCは2億以上のユーザーを抱える世界一のプラットフォーム」とコメントしたほか、家庭用ゲーム機「Xbox 360」も1,000万台を出荷し、ゲームソフトも160タイトルを超えたと好調ぶりをアピール。「2007年はゲームのタイトル数がさらに倍になる」と付け加え、Haloシリーズの最新作「Halo 3」のデモ映像を公開すると、会場からは拍手が巻き起こった。


すでに100万台を出荷したというMicrosoftのポータブルプレーヤー「Zune」 Windows Mobile端末の一例

Xbox 360は目標の1,000万台を達成 「Halo 3」のデモ映像

Xbox 360は2007年内にIPTVに対応

Xbox 360はVistaとの連携が重要
 Xbox 360のコミュニティサービス「Xbox Live」はユーザー数が500万人を超え、「テレビの上で展開する未曾有の大規模SNS」とBach氏は評価。こうしたXbox Liveでの成功をWindowでも展開するとして、Xbox 360とWindows Vistaでのオンライン対戦機能を紹介。カジュアルゲーム「UNO」を使い、VistaからXbox 360へ対戦を呼びかけるデモを行なった。

 Xbox 360でHD映像を楽しむ手段としては、外付け型のHD DVDプレーヤー、Windows XP Media Center Editionと連携するMedia Center Extender、Xbox Liveのコンテンツ配信サービス「マーケットプレース」の3つに加えて、新たにXbox 360がIPTVに対応すると発表。IPTVは映像をIPネットワークで配信するサービスで、米国ではすでにサービスを展開している。

 Bach氏は「IPTVはチャンネルが瞬時に切り替わるのが大きな魅力」と評した上で、「これからはXbox 360でゲームを楽しみながらIPTVでテレビも見られるようになり、テレビの体験が違うものになっていく」と説明。2007年中にはサービスを提供予定で「クリスマスシーズンまでに2つのプロバイダーと共にサービスを開始する」とした。


右のVistaから左のXbox 360に「ウノ」の対戦を申し込み Xbox 360がIPTVに対応

ユーザーやパートナーの強力を得て「デジタルな10年」の可能性を満たす

FordのExecutive Vice PresientであるMark Fields氏
 娯楽に続き、Gates氏が自ら紹介したのはWindowsと「車」との連携。「車は家庭とは異なる特別な存在。サービスやコンテンツはシンプルかつ運転手にとって安全である必要があり、毎日1時間半も車を運転する消費者は情報やコンテンツに飢えているとずっと感じていた」と語ったGates氏は、Fordとの提携による車載システムを紹介。電話の着信を車のスピーカーで受け取る、電話を切ることなく車を乗降できる、メッセージを音声で読み上げるなどの機能を紹介した。

 FordのExecutive Vice PresientであるMark Fields氏は、「これまでこうした車載システムは高級車ばかりで搭載してきたが、これからは安価に提供していきたい」とし、約12車種で搭載予定であると説明。「みなさんが欲しがっている機能を差し上げることがわが社の成功になる」とした。

 最後にGates氏は、これまで説明してきたサービスや技術が5年後に実現するであろう「Conneced Experience」のデモを披露。携帯電話で自分の位置を取得し、近隣店舗のクーポンを入手する、不在時の配達を携帯電話から応対する、材料や好みからレシピを教えてくれるキッチン、寝室の壁を自由に変えられる壁面ディスプレイなどのコンセプトを紹介し、「Connected Experienceは今のハードの能力をはるかに超える可能性を秘めている」と指摘。「より高いConnected Experienceを実現するために、ぜひともたくさんのフィードバックをいただきたい。パートナーの強力も受けながら「デジタルな10年」の可能性を満たしていきたい」との意欲を示し、講演を締めくくった。


レシピが表示されるキッチンのデモ 壁紙を自由に切り替えられるデモ

関連情報

URL
  2006 International CES(英文)
  http://www.cesweb.org/

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(甲斐祐樹)
2007/01/08 18:07
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