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【FOE 2007】
ソフトバンクBB高橋氏「FTTH市場の“本格参入”へ全力で取り組む」

 FOE 2007の専門技術セミナーでは、ソフトバンクBB 光サービス推進統括部の高橋正人統括部長が「ソフトバンクが考える! 次世代『光』アクセスラインの在り方」との講演を行なった。講演ではソフトバンクが考えるFTTH市場の問題点や今後の展開に関する考え方が示された。


「FTTH市場の低価格化は現状では困難」

ソフトバンクBB 光サービス推進統括部の高橋正人統括部長
 高橋氏は冒頭、「TTH事業になぜソフトバンクは本格参入しないのか、という声を多くいただいている」とした上で、「実はソフトバンクは、2004年に開始したYahoo! BB 光で日本のFTTHの低価格化にも挑戦した」と説明。しかし現状は数々の課題があり、低価格化には限界があるとした。

 高橋氏はそうしたFTTHの低価格化に関する課題を説明。光ファイバ網を自ら構築することはコスト的に難しく、現状はNTTの光ファイバ貸し出しを受けているとした上で、光ファイバの借用費用が1芯につき月額5,074円と高額であるほか、1ブロック(30~50世帯)ごとに3~5ユーザー以上を獲得しなければ採算が取れないという現状を説明。「結果としてYahoo! BB 光の月額料金は、戸建て向けでは最も高額な7,432円でしか提供できていない」と語った。

 こうしたFTTH市場に対し、高橋氏は「競争原理が働いていない」との問題意識を示しながら、ソフトバンクが考えるさまざまな施策を披露。その1つが孫正義氏が提案するユニバーサル回線会社の設立で、NTT東西から光ファイバ敷設だけを行なう会社を独立させ、6,000万ユーザーに行き渡る光回線を整備することで接続料は月額690円まで下げられるとの考えを披露。「国家規模の話であるため、いろいろな意見は出ているが残念ながら動きは見せておらず、むしろ先送り状態にある」とした。

 現状は光ファイバの貸出単位が8分岐ごとに設定されているため、前述の通り3~5ユーザーを集めなければ収益が見込めないが、「貸出単位が1分岐単位であれば設備稼働率も上がり、コストダウンも図れる」との意見も出された。高橋氏は「技術的には不可能ではないが運用面など課題は残されている」との考えを示した上で、「KDDIも同じ構想を提案しているが、現在のところ許可は下りていない」との現状を説明した。


Bフレッツとまったく同じ構成で貸し出される光ファイバ網 ブロックごと1割程度のシェアがなければ採算が取れない

ユニバーサル回線会社の設立を主張 スプリッタ分岐単位での貸し出しを希望

光ファイバ接続料値下げがFTTH戦略の大きな鍵に

光ファイバ接続料の大幅値下げを期待
 光ファイバ網接続料の値下げもソフトバンクが期待する要件の1つ。高橋氏は2006年8月に日本経済新聞が「光ファイバ網接続料を大幅値下げ」と報道し、これをNTTと総務省が否定したという経緯を紹介した上で、「2008年以降の光ファイバ接続料金は決まっていないため、半年以内に接続料金が決定される」という経緯を説明。「光ファイバが急送に普及している現状を考えれば、光ファイバ接続芯線数が500万を超えていればコストは2,600円程度になると見ている」とコメントし、「FTTH市場ではこの接続料金の決定が戦略のキーになる」と主張した。

 加入者数では伸び悩むYahoo! BB 光だが、戸建向けではすでに約1,600局舎に機器を設置済みであり、最大で65~70%の世帯をカバーできるという。また、マンション向けにもVDSLやイーサネット、構内光ファイバなどのメニューを用意しており、すでに1万棟以上にサービスを提供しているとの実績を紹介、「FTTH本格展開の準備は完了している」とした。

 ソフトバンクが現在トライアル中のFTTN(Fiber To The Node)」も紹介。これは局舎から電柱までは光ファイバを利用し、電柱から戸建てまではVDSLを利用するサービス形態で、トライアルでは下りで71.1~96.5Mbps、上りで30.2~42.8Mbpsの速度を記録したという。高橋氏は「VDSLは枯れた技術でコストも低い」とのメリットを説明。「VDSLを使うために電波の干渉が懸念されるが、商用化に向けてトライアルを続けている」とし、「ソフトバンクは安価に光ファイバを提供するための施策を積極的に研究している」との姿勢を示した。


芯線数が500万あれば月額料金は2,600円台になるとの試算 ソフトバンクが取り組むFTTR

関連情報

URL
  FOE 2007
  http://www.foe.jp/
  ソフトバンク
  http://www.softbank.co.jp/

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(甲斐祐樹)
2007/01/24 19:11
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