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【NET&COM 2007】
CCC増田社長、「Web 2.0時代を見据えた消費者目線でTSUTAYAを展開」

 TSUTAYAを展開する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」の増田宗昭代表取締役社長は、NET&COM 2007で「顧客中心主義とCCCのIT戦略」と題した基調講演を行なった。


メールによるキャンペーン認知度はテレビなど既存メディアを上回る

CCCの増田社長
 増田社長は、1983年に創業したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が現在に至るまでの道のりを説明。「当初から企画会社としての企業形態を考えており、その具体例を示すために『TSUTAYA』の展開を始めた」と語り、約100店舗前後の直営店を含めたTSUTAYA店舗数は2006年12月末現在で1,200店を超えるとした。また、第1号店である「蔦屋書店 枚方駅前店」を開店する際には、「生活スタイルの情報を提供する拠点」というコンセプトを掲げたという。

 ツタヤ オンラインが運営するWebサイト「TSUTAYA online」を開始した経緯については、「1998年秋に出店判断が難しいエリアでユーザーにアンケートを採ったところ、47%がインターネットを利用したサービスに期待を示したため」とその理由を明かす。サービスを開始した1999年はNTTドコモがiモードサービスを開始した時期で、主に携帯電話からの利用を想定したサービスを提供。現在は1,000万人を超える会員数を獲得する中で、利用比率もインターネットが30%なのに対し、iモードが41%、auが18%、ソフトバンクが11%と「携帯電話からの利用が大きい割合を示している」とした。

 TSUTAYA onlineではまた、会員向けに新刊情報などを掲載するメールマガジンも配信している。増田社長は「1カ月で配信数が1億通を超えている。郵便であれば、30~40億円のコストが必要になるが、メールであれば配信コストはほとんど発生しない」と語り、「今後はこうしたメール配信インフラを持たないサービスは難しいのではないか」と自身の考えを示した。

 メールに関しては、「キャンペーン認知度が他のメディアより高まっている」と増田社長は説明する。「テレビや新聞折り込みチラシを経由したキャンペーン認知度割合は減少している一方で、メールは増え続けている」とコメントする。その上で、「今後はさらに会員拡大を見込んでおり、“キャンペーン告知はメールだけで良い”という状況になるかもしれない」と語った。

 また、クレジットカード機能にも対応するポイントシステム付きの「Tカード」の現況も紹介。会員数は1,900万人に上るとともに、ガソリンスタンドやファミリーレストランなど33社とアライアンスを結んでいる点などを挙げ、今後も積極的に取り組んでいく姿勢を見せた。


Web 2.0を見据えた事業展開を。ナレッジシステム活用の情報共有も実施

 一方、TSUTAYAを運営するためのITインフラとして「エリアマーケティングシステム」、「発注代行システム」、ナレッジシステムである「TSUTAYA NAVI」を構築しているという。このうち、TSUTAYA NAVIではFC加盟店間の情報交換も行なわれているといい、「駐車場に生える雑草の対策として、『熱湯をかける』というアイデアがあった。これは本社の会議では出てこないものだ」と増田社長は同システムの効果を説明。その上で、「こうした現場の情報をシェアするという、ある種のWeb 2.0的なシステムを5年前から開始している」と述べた。

 こうした中で、増田社長は「SNSやブログと言ったWeb 2.0的なサービスがやってくると、加盟店企業に対して1年ほど前から言い始めている」と語る。「『情報化社会の本質は非対称性の是正』と國領二郎 慶應義塾大学 教授が述べられているが、ITの普及によって企業側よりも消費者がSNSやブログで書き込んでいく情報量が増えてきている」とし、「消費者はこうした情報に価値を見い出しており、今後は体験情報が世の中を動かす社会に一層シフトしていくのではないか」と将来を予見した。

 増田社長自身、個人的にブログの開設を考えているといい、「ここで私が購読している雑誌や観賞した映画などを紹介していきたい」と語った。その中で、TSUTAYA DISCASなどが実施しているアフィリエイトサービスも活用する考えを示し、「グループ会社であるデジタルハリウッドの学生の中には、アフィリエイトで月間100万円の収入を得ている人物もいる」と発言。「こうした具体例を考えると、アフィリエイトを介した新しい可能性があるのかもしれない」と語った。

 消費者の購買行動変化に関して、マーケティング用語である「AIDMA(Attention/Interest/Desire/Memory/Action)」と「AISAS(Attention/Interest/Search/Action/Share)」を例に、こうした変化の流れを取り上げる。「気になった商品を検索して購入した消費者は、情報を発信をしたくなる。こうした発信する場をTSUTAYA DISCASでも用意しており、映画人気タイトルベスト20で言えば、書き込み数はAmazon.co.jpを上回っている」とその効果を上げ、「これらを踏まえてどのように顧客価値を作っていくかが重要になる」とした。

 最後に個人的な思いとして増田社長は、「現在はTSUTAYA店舗にある端末とTSUTAYA Onlineは連携していないが、利便性を考えると連携して店舗在庫がない場合でも注文ができるようになれば良いと考えている」とコメント。さらに「定期購読システムや雑誌の中で読みたい部分だけを購入できる電子書籍システム、購入した商品に対する買い取りメール通知機能などがあれば一層便利になる」と述べるとともに、「商品をリコメンドできるSNS的なスペースもあれば」と付け加える。その上で、「お客様目線でITを捉えて、今後も事業を進めていきたい」と抱負を述べ、講演を締めくくった。


関連情報

URL
  NET&COM 2007
  http://itpro.nikkeibp.co.jp/netcom/
  カルチュア・コンビニエンス・クラブ
  http://www.ccc.co.jp/

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(村松健至)
2007/02/07 18:12
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