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【OGC 2009】
MS鶴淵氏、ユーザー開発のゲームをXboxで配信できる仕組みを紹介

 OGC 2009では、マイクロソフト ホーム&エンターテイメント事業本部 XNAグループの鶴淵忠成氏が登壇し、Xbox 360のゲームをユーザーが開発できる「Xbox LIVE コミュニティ ゲーム」の概要と今後の展開を紹介した。


ユーザー開発のゲームをXboxで配信。日本は2009年前半に開始予定

マイクロソフト ホーム&エンターテイメント事業本部 XNAグループの鶴淵忠成氏

 鶴淵氏は初めに、Xbox 360およびXbox Liveの現状について説明。2009年1月7日のデータでXbox 360は全世界で2800万台、Xbox Liveのユーザーは1700万に上り、2008年末には史上最高という同時接続数150万を突破したという。

 こうしたXbox 360というゲーム機に、Xbox Liveを利用してユーザーが開発したゲームを配信できる仕組みが「Xbox LIVE コミュニティ ゲーム」。Xbox Liveのコンテンツ配信システム「Xbox LIVE マーケット プレース」を通じて配信することを条件として、マイクロソフトがゲームの開発環境を無償で提供、ユーザーが自由にXbox 360のゲームを開発して配信できる。

 2008年11月より欧米6地域でサービスを開始し、すでにゲームタイトル数は138本に上るという。鶴淵氏はXbox 360のゲーム配信サービス「Xbox LIVE アーケード」の配信タイトル数が186本という数字を紹介し、「クリエイターが(アーケードに並ぶほど)活発にゲームを開発しているという意味で、比較すると印象深い数字ではないか」とした。日本では現在のところ未提供だが、2009年前半の提供を目指して準備を進めているという。


Xbox 360とXbox LIVEの現状 Xbox LIVE コミュニティー ゲームは日本で2009年前半にスタート予定 マーケット プレースでの配信を前提に開発ツールを無償で提供

開発者は70%の収益。Xbox LIVEによるオンライン機能も利用可能

開発ツールは無償提供。Windows搭載PCとXbox 360があれば開発できるという

 開発したソフトはXbox LIVE マーケット プレースを通じて配信し、販売額の70%を開発者がユーザーとして受け取れる。販売はマイクロソフト独自の「マイクロソフトポイント」で行い、ポイント数は800、400、200ポイントから自由に選択できる。ただし、ファイル容量は最大150MBに制限されるほか、50MBを超える場合は400もしくは800ポイントでのみ販売できる。

 容量の制限はあるものの、開発に際して利用できるXbox 360の機能は多く、Xbox LIVEを利用した対戦や協力プレイ、マッチメイキング、自分が今どのゲームのどのシーンをプレイしているかをほかのユーザーに通知できる「リッチ プレゼンス」といった機能を使ったゲームも開発可能。ただし、すべての機能が利用できるわけではなく、ランキングやアバター、ダウンロードによる追加コンテンツといった機能は利用できないとした。

 開発環境はWindows XP/Vista搭載PCとXbox 360があればよく、開発環境はマイクロソフトが無償で提供。ただし、開発したソフトをXbox Live マーケットプレースで配信するためには、4カ月4800円または12カ月9800円の有料会員サービス「XNA クリエーターズ オンライン」の加入およびプレミアム メンバーシップの購入が必要になる。

 購入するユーザーのため、すべての開発作品には無料で利用できるお試し版と、実際の製品の2種類が必要になる。ただし、お試し版に関しては8分間を経過すると終了する機能が自動で搭載されるため、製品版とは別にお試し版を開発する必要はないという。一方、クオリティを重視して別途お試し版を開発することも可能とした。


売上の70%が開発者の収益に 価格は3段階から自由に設定 Xbox LIVE対応ゲームも開発可能

開発ツールに収録されているゲームの一例。オーソドックスなRPGも開発可能だという


不適切なコンテンツにも事前事後で対策

マイクロソフトはパブリッシャーではないという立場
 こうしたユーザー開発のコンテンツをXbox 360で提供するマイクロソフトだが、鶴淵氏は「我々はゲームのパブリッシャーではなく、クリエイターが作成したゲームをクリエイターの意向に沿って販売するためのインフラを提供する存在」との立ち位置を説明。ゲームに関連する権利はすべて開発者が所有し、ゲームの販売スケジュールや公開の承認には一切関与しないため、基本的にはユーザーが投稿したゲームはすべて公開されるという。

 なお、国内のゲームには、CERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)により、ゲームの内容に応じて年齢区分などを行う「CEROレーティングマーク」が表示されているが、コミュニティゲームで配信されるゲームはCEROレーティングの対象外となる。鶴淵氏は、「この点について関係機関との話し合いも行い了解を得ている」とした上で、各ゲームにはマイクロソフトおよびレーティング機関の審査が行われていない旨を必ず明示するとした。

 ただし、不適切なコンテンツに対してはマイクロソフト側でチェック機構を実装して対策。「苦情を報告する」機能によって、ユーザーから不適切との連絡があったゲームはチェックを行い、不適切と判断した場合は配信の停止やすでにダウンロードしたゲームの無効化、購入金額の返金といった対応を行う。また、ゲーム公開前の対策として、「ピアレビュー」と呼ばれる対策も講じているとした。

 ピアレビューは、Xbox LIVE コミュニティーゲームの開発者同士でゲームを評価する仕組みで、ゲームのクオリティではなく、不具合や禁止されているコンテンツが存在しないかをチェック。承認が得られない場合はクリエイターへゲームを差し戻すが、その際にクリエイターへのペナルティはなく、指摘された部分を修正すれば配信が可能になる。

 ゲームに含まれる表現は、暴力的、性的、成人向けの表現を4段階でチェック。これらチェックの結果はゲーム購入時の説明画面の上部に必ず記載される。これに加えてXbox 360に搭載された保護者による設定機能も利用。「お子様」に設定されたアカウントはXbox LIVE コミュニティゲームでゲームが購入できなくなる。これは「お子様」設定のアカウントで購入できるゲームはCEROによるレーティングを基準としているが、コミュニティゲームにはCEROのレーティングが存在しないためにそもそも購入の対象外になるのだという。


不適切なコンテンツへの対策は公開の事前事後で実施 「ピアレビュー」で作品の内容を事前にチェック 暴力的、静的、成人向けの表現をそれぞれ4段階で表示

マイクロソフトおよびレーティング機関による審査が行われていないことを明示 ソフトの説明にはピアレビューの評価結果を表示 Xbox 360本体の保護者機能も活用

開発ツール環境の拡充でゲーム開発者の裾野を広げる

今後の展開
 今後の展開としては、開発者の裾野を広げるための施策を予定。Xbox 360のコントローラでゲームを作成できる「KODU」を海外で発表したほか、日本でもエンターブレインから開発環境であるXNA Game Studio 3.0に準拠した「アクションゲームツクール」が発売予定であり、こうしたツールの提供によって、ゲーム開発にそれほど詳しくないユーザーでもゲームを開発できる環境を整えていくとした。

 こうしたユーザー作成コンテンツの促進により、才能あるクリエイターが世に出る機会を創出することがマイクロソフトの狙い。作品の評価や報酬、認知度が高まることでクリエイターのモチベーション向上にもつながり、企業や業界が優秀なクリエイターを出会うチャンスと、より優秀なコンテンツをユーザーに届けるチャンスがあるとした。


「KODU」の日本提供は現在のところ未定 コントローラの操作でゲームを開発できる ツールの提供でクリエーターの裾野を広げる

関連情報

URL
  Xbox公式サイト
  http://www.xbox.com/

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(甲斐祐樹)
2009/02/05 18:15
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