NetWorld+Interop 2004 Tokyoのインプレスブースでは2日、「ウェブの新しい潮流ブログ最新動向」と題したセミナーが行なわれた。講演者は、ブログツール「Movable Type」やブログサービス「TypePad Japan」を提供するシックス・アパートの平田大治技術担当執行役員。
■ Webサイトが双方向コミュニケーションへと変化
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シックス・アパートの平田氏
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平田氏はまず、電話と新聞をブログと比較して、簡単な説明を行なった。平田氏は「電話は伝わる時間は早いが相手が限られる」、「新聞は伝わる時間は遅いが多くの相手に伝えることができる」と指摘。様々なコミュニケーションツールに重要なものは時間と伝わる人の2つの軸であり、ブログはその2つをカバーできるツールであるとした。
その上で、「ブログは簡単に作ることが可能なツールで、それ故に更新頻度が高いサイトが多い」とコメント。ブログでは、リンクや参照されるケースも多く、検索エンジンからのトラフィックも多いと語った。そして、平田氏自身が持つブログでも「Googleなどの検索エンジンから訪問してくるユーザーが多い」と付け加えた。
平田氏は、ブログのページ構成について「カテゴリを指定し、記事を書くだけでカテゴリやアーカイブが自動生成される」と説明。カテゴリ機能を利用することで、自分が話題にしたいテーマごとに記事を作成できると語った。
多くのブログサービスでは、URLを指定するだけで自分の記事から相手の記事にリンクできる「トラックバック」機能が実装されている。平田氏は、トラックバック機能のほかRSS配信機能などを利用することで、「参照するだけだったWebサイトが、参照されるものへと変化し、双方向コミュニケーションツールという側面を持ちはじめた」と考えているという。
また、「多くのユーザーが毎日ブログを更新するのは、メールを毎日書いている感覚に近いのではないか」と指摘。複数のユーザーに同じメールを送るよりも、記事としてブログ上に掲載した方が、より多くのユーザーに見てもらうことができるとブログならではの特徴を語った。
続けて、ブログの更新を外部に通知する「ping送信機能」について、自身が運営するpingサイト「PING.BLOGGERS.JP」を例に挙げながら説明した。平田氏によれば、2003年4月頃はクローズドでサイトを開設していたため、1カ月で40~50人のブログユーザーしかいなかったが、2003年末頃からプロバイダー各社からブログサービスが開始されたこともあり、2004年6月末現在で13万9,254のブログからpingを受けるようになったという。
ブログの増加に比例してping数も増加しているとのことで、6月末現在で合計256万1,780件のpingがあったとコメント。また、pingは1日あたり28,000ブログサイトから43,000件のpingを受けているといい、pingを送るサイトも毎日1,300件ずつ増えていると説明した。
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時間軸と伝わるユーザー数の多さを示した表
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各社のブログサービスを開始した2003年末から急速にユーザー数が増加
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■ ネットではプライバシーとパーソナリティーを切り分けることが重要に
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ネットに持って行けるものと持って行けないもの
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平田氏は続いて、リアルの世界とバーチャルの世界について「ネットの世界にプライバシーを持ち込んでしまうと、以降は消すことはできない」とコメント。そして、「ネットではプライバシーとパーソナリティーを分けることが重要ではないか」と指摘した。
また、「以前はバーチャルなネットの世界とリアルな現実世界は乖離していて、ネットでは何をやっていても良いと考える人が多かった」と発言。しかし、実際には個人を特定することが可能だと理解する人が増え、そういう風潮は変わり始めているとした。
そして、「ブログにおいて個人が持つアイデンティティこそがバーチャルとリアルを繋いでおり、記事の更新を重ねることでそれが個人個人の個性として認識されていく」と指摘。ブログの記事には更新時間がついており「1つの時間を辿ることで、そのとき世界で何が起こっていたかを理解することもできる」と付け加え、今後は「ネットの世界からリアルの世界をみるような時代が来るのではないか」と推測した。
加えて、「リアルの世界からネットの世界に持っていけるのは、知識と経験」とコメント。ただし、経験については「持って行けるのは半分くらいでは」としたほか、一方、スキルや想像力、ブランド、評判といったものは自分自身にしか残らないため、それらを「そのままネットの世界に持って行くのは難しい」との考えを示した。
平田氏は、「知識は自分しか持てない部分であり、それをネットに出すことで、さらに今まで持っていなかった知識を知ることができる」と考え、「そうしたことが今後、ネットの世界で広がっているのではないか」と指摘した。そして、「ネットでは知識を隠しても意味がなく、知識を出せば出すほど多くのメリットがある」とコメント、そうした面でブログが適していると語った。また、今後は知識をいかに手に入れるかが重要になり、スキルの経験と質が変貌していくとして、評価管理の仕方も変わっていくのではないかと指摘した。
平田氏は、自身が注目しているブログの機能についても説明した。まず「携帯電話を利用したリアルタイムでのコミュニケーションに関心を持っている」と発言。ほかにも、Flashといったリッチクライアントのインターフェイスも今後重要になっていくと考えているとのことで、「Flashの性能がもう少し伸びてくれれば、ブログとのつながりを増やしていけるのではないか」と語った。また、バーコードの番号をブログに書き込むことで自分の表示した書籍情報を手軽に利用できるなど、メタデータとコマースの世界を繋げることにも関心を持っているとした。
■ URL
NetWorld+Interop 2004 Tokyo
http://www.interop.jp/
シックス・アパート
http://sixapart.jp/
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(村松健至)
2004/07/02 20:43
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