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シックス・アパート関氏「ブログは親しい人へのメールの延長に」

 シックス・アパート代表取締役の関信浩氏は「急成長するブログ業界とブログ業界をリードするシックス・アパート」と題し、ブログの現状や今後の展開と、これらに対するシックス・アパートの取り組みについて講演した。


ブログは親しい人へのメールの延長に

シックス・アパート代表取締役の関信浩氏
 関氏はブログの特長について「携帯電話を使って通勤途中でも更新できるほど簡単な点が魅力」と指摘。約7割のユーザーがホームページの開設・運営を断念するというデータを引用して、「ブログが注目されるのは、ホームページを作るのが難しかったからに尽きるのではないか」と語った。また、情報を発信できるインフラが整ってきたこともブログが発展した理由の1つとして考えているという。

 次に関氏はブログの使われ方を説明。関氏によれば、従来までは世の中に自分の意見を問うジャーナリズム型、備忘録の役割を果たす日記型が主だったが、最近ではグループでの情報や意見を共有するコラボレーション型や、少人数の読者しか想定していない近況報告的なメール代用型のブログが増えてきているという。関氏はSix Apartの創業者ミナ・トロットの「これからのブロガーは技術志向ではなく、むしろ家族や友人への近況報告のために使っている」という言葉を引用し、「ツールのセッティングといった手間が減ってくれば、ブログはメールの延長としても使っていけるのではないか」との考えを示した。

 ブログサービスは2003年冬頃からISPやポータルが続々と提供を開始しており、「ブログがインターネットの基本サービス化している」と関氏は見る。また、トラックバックも言葉ではとてもわかりにくい概念ではあるものの、今ではトラックバックによるコミュニケーションやプロモーションが生まれており、技術の垣根も下がってきているという。関氏は「ブログ数も2004年4月頃から急増しており、これからがブログによるビジネス展開のチャンスだ」と語った。

 トラックバック機能はシックス・アパートが「日記を超える機能」として、Movable Typeで実装した機能だが、関氏は「今でこそブログ業界に受け入れられて定義にもなっているが、シックス・アパートが提供する1年半前にはなかった機能だ」とコメント。Webサービスと連動したリスト機能「TypeList」や携帯電話からの投稿といった新機能や、標準規格「Atom」の策定など、シックス・アパートは常にブログ業界をリードしていると自信を見せた。


約7割のユーザーがホームページの開設・運営を断念 ブログは「親しい人へのメールの“延長”」

個人利用からビジネス展開につながるブログ

シックス・アパートの概要。会社名はトロット夫妻が同じ年に生まれ、誕生日が「6日離れている」ことからつけられている
 ブログがビジネスで利用されるシーンも増えているという。関氏は「個人で使っていてブログの便利さに気づいたユーザーが、会社でのWeb更新にもブログを使いたいというのは当然のニーズ」と述べ、「実際に個人で使っている方から“会社でも使いたい”という相談を受けている」とコメント。「Windows 95がOfficeを低価格でバンドルしたことで、個人で使っているOfficeを会社でも使いたいというニーズが生まれた。こういった個人の意識が会社に反映されるという事例にブログは近いのではないか」との考えを示した。

 実際のビジネス利用シーンとしては「社長ブログに代表される広報的な使い方は非常にブログと親和性が高いだろう」とコメント。また、ECサイトでも従来までメールマガジンで行なっていたマーケティングが徐々にブログ化しており、Movable Typeでサイトを構築しているオンラインショップも増えているという。関氏は「サイトを使っているのでメールよりも表現力が高く、書くのが大変だったのもブログで容易になる」とし、「ブログによる効果が生まれていると夏頃には雑誌に取り上げられており、利用は増えていると聞いている」と語った。

 ブログでの商品プロモーションを関氏は「テレビ通販に似ている」と説明。「商品名があって値段があってでおしまいのところを、いろいろな説明を付け加えていくことで購買意欲をかき立てる」とした上で、「テレビは蓄積されないため、旬のピークが1回で終わってしまう。ブログであればTOPページで紹介するという旬の後も、情報が蓄積されることで価値が残っている」とブログによるプロモーション利用のメリットを説明した。

 関氏は今後、「ブログ以外にもソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やフォトシェアリングなど、コミュニケーションのためのインフラが急速に普及するだろう」と予測。これらを「ソーシャルメディア」として総称し、「その中でも情報を蓄積するブログは、競合ではなく緩やかな連携を遂げていくのではないか」との考えを示すとともに、「ブログの技術を使って、ソーシャルメディアやコミュニケーションを円滑にしていければ」との意気込みを述べた。

 会場からは「海外で面白い取り組みをしているブログはありますか」との質問があり、関氏は「実は日本のほうがブログは進んでいるのではないか」との意見を披露。「アメリカではブログが2000年には普及していたが、携帯電話にしてもブロードバンドにしても導入は早いが伸びない傾向がある」述べた。それに対して日本では、先行して伸びた個人ブログだけでなく法人もさまざまな試みを行なっており、この歩調の合い方は日本が上と見ているという。関氏は「アメリカと日本に会社を持つeコマース企業でも、『日本のブログの使い方を研究している』という話を聞いている。日本でブログの使い方を提案し、アメリカに逆輸入するという形もあるのではないか」と語った。


シックス・アパートは新機能でブログ業界をリード ブログは今後ソーシャルメディアの中心に

関連情報

URL
  シックス・アパート
  http://www.sixapart.jp/


(甲斐祐樹)
2004/10/18 14:26
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