ニフティ ソーシャルシステム部の清田一郎氏は、「@nifty『ココログ』の、ブログビジネス戦略」と題し、ココログのサービス開始に至るまでのコンセプトや今後のサービス展開を紹介した。
■ 技術者層に留まっていたブログの一般層への普及が命題
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ニフティ ソーシャルシステム部の清田一郎氏
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清田氏は、ココログがサービスを開始するまでのブログ業界の現状と、これに対するココログのコンセプトを紹介。ブログサービスの検討は2003年3月から行なっていたが、当時ブログは技術者の間で話題にはなっていたものの、「サービスが理解しにくい」「日記サービスとの違いがわからない」といった疑問の声も多く、「技術者のおもちゃであって、一般化する前に廃れるのでは」との意見が主流だったという。清田氏は「通常インターネットサービスは17~20文字で説明できないものはやらないと言われている」と説明した。
当時のニフティは、パソコン通信時代の「フォーラム」に匹敵するコミュニティ作りに取り組んでおり、新しいネット上のコミュニティが必要だと考えていた。また、個人ホームページサービスの登録者増加も一段落し、今後は技術力や時間のないユーザー向けの新しいホームページサービスが必要」との考えもあったという。清田氏は「作成・運営が簡単で、コミュニティとしても機能するブログは上記条件を実現できる」とし、「流行しないとは言われていたが、新しいからこそやってみる価値があるのではないか」との考えを示した。
ブログサービス提供のコンセプトは、本格的に取り組むISPとしてアピールするために「とにかく早く始めること」を主眼に置くとともに、技術者層に留まっていたブログを一般層へ普及させることを最優先の課題とした。また、当時は「ブログとはなんぞや」という議論が巻き起こっており、清田氏は「サービスを開始した後で、『あれはブログではない』と言われるのは避けたかった」と述べ、「誰が見てもブログであるスタンダードなもの、ということで技術面ではもっとも進んでいたTypePadを採用した」と説明した。
清田氏は「ニフティには、良質なサービスを提供してユーザーから直接対価をいただくという、NIFTY-Serve時代から続くカルチャーがある」とコメント。「広告による無料モデルも1つの方法だが」とした上で、「お金を払ってでも使いたくなる質の高いサービスもコンセプトの1つであり、今後も継続してシステムの増強やスパム対策に取り組んでいく」と語った。
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サービス検討時はブログにニーズがあるのかという疑問が
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ブログの一般層への普及をミッションに
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■ 有名人ブログでブログの認知度を向上
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ココログに“ハマった”有名人。ニフティの古河社長はブログの更新のために残業している姿が社内で見かけられるという
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ココログの今後のビジネス展開を説明する前に清田氏は、「ちょっと休憩」と前置き、「ココログにハマった有名人」を紹介。「週刊!」との名前を冠しながら現在では日刊化している「週刊!木村剛」、メガネをかけた写真の公開で膨大な数のトラックバックが寄せられた「眞鍋かをりのここだけの話」などを挙げた。
眞鍋かをりのメガネ写真を公開した「なりきりTommy february6」のトラックバック数は「おそらく日本一の数字で、世界で2位ではないか」とコメント。「Movable Type 3.0が公開された時のユーザーから寄せられた質問のトラックバックが1,000近くで世界1位だと言われている」とした上で、「単にメガネをかけた画像だけでトラックバックが集まるというのは日本ならではの独自の進化ではないだろうか」との考えを示した。
有名人によるココログは「世間の90%がブログを知らない現状で、有名人を使うことでブログをもっと知っていただきたい」とのコンセプトで始められたという。清田氏は「検索で表示された有名人ブログを読んで楽しんで、同じようなサイトを自分でも簡単に作れることを効果的に示せる」とコメント、「単なる有名人の日記やコラムに留まらないよう、ブログを説明して興味を持った方に書いていただいている」との方針を示した。
■ ニフティのサービスをXML化してブログと連携
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ココログの今後の展開
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ココログは10月には5万ユーザーを突破、ユーザーページ全体の月間ページビューは1億に上るという。しかし清田氏は「ブログはまだまだ認知を広げるべき段階」と指摘、さらに積極的なプロモーションを行なうとともに、潜在的なココログユーザーの掘り起こしが必要とした。機能面では有償の高機能サービスや、差別化を目的とした実験的な無償サービスを準備中であり、携帯電話に対応した機能も積極的に展開予定という。
ニフティではココログ以外でもブログサービスを積極的に展開していく方針。@nifty内のサービスではブログをCMSとして導入しているほか、社内でも社員や部署、プロジェクト単位でブログによる情報共有も行なっているという。また、10月下旬にはパチンコ店チェーンへCMSとしてブログを提供する予定。「チェーン店ごとのWebサイトデザインを揃えることが可能で、デザイン変更もテンプレートを渡すだけでチェーン店を統一できる」とそのメリットを語った。
清田氏は「ブログではXML-Webサービスを採用しているが、ブログ以外のサービスでもXML-Webサービスをサポートすることでそれぞれのサービスが連携しやすくなる」とコメント。「ニフティはココログに限らずサイト内をXML化することでサイト内の親和性を強化するとともに、今後もブログとその関連技術を重要項目として積極的に対応していく」と講演を締めくくった。
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ココログを社内のCMSとして利用
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社内の情報共有ツールとしてもブログを導入
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■ URL
ココログ
http://www.cocolog-nifty.com/
ニフティ
http://www.nifty.com/
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(甲斐祐樹)
2004/10/18 14:27
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