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USB接続LANアダプタとUSBハブが合体! ロジテック「LAN-TX/U1H2」


ロジテックの「LAN-TX/U1H2」。標準価格は4410円。USB×2ポートハブ+LANアダプタとしてはリーズナブルな価格設定
 ロジテックの「LAN-TX/U1H2」は、USB接続のLANアダプタに、2ポートのUSBハブが合体した製品。LANへの接続に加え、USBマウス&USBメモリの利用も1つのUSBポートを使用するだけで可能になる製品である。

 USB接続の有線LANアダプタは、店頭では堅実に売れる商品として知られる存在である。USBポートさえあれば多くの環境でLAN環境が構築できるため、一部のプロバイダーではPCカードタイプよりも積極的に客に勧めているケースもあるという。

 本製品は、そのUSB接続のLANアダプタに、USBハブの機能を合体させた製品だ。これらの機能が一体化した製品は、筆者が知る限り初めてではないかと思われる。発売元のロジテックはLANパーツの分野では後発となるが、競合他社との差別化を図った独自路線の製品として興味深い。

 本製品の機能そのものは、あえて説明するまでもないだろう。USBポートを用いてLANに接続が可能なアダプタ機能を備え、さらにUSBハブ機能でUSBデバイスを2台までまとめて接続できる。これだけである。USBが2ポートあることから、例えばマウスと外付けキーボード、あるいはマウスとUSBメモリといった組み合わせで使うパターンが現実的に多いのではないかと思われる。


一昔前のノートパソコンが、ブロードバンド接続用のサブマシンに変身

パソコンとは約15cmのショートケーブルで接続する。本体直付けでないため、環境に応じて長いケーブルと交換できるメリットもある
 本製品のターゲットは、Windows 98を搭載したノートパソコンだと考えられる。当時のノートパソコンはUSB 1.1ポートがようやく標準搭載となったものの、モバイルノートではUSBは1ポートだけということも珍しくなく、有線LANポートも標準で搭載されている機種は少なかった。当時はADSLがようやく登場した頃であり、有線LANポートはPCカードスロットで増設するのが当たり前の時代だったのだ。

 例えば、1999年9月に発売されたソニーのサブノート「VAIO C1 PCG-C1XE」は、OSがWindows 98SE、USB1.1ポートは1ポートのみであり、有線LANポートはない。また、2年後の2001年5月に発売された東芝の「Libretto L1」では、USBポートは2基搭載されているものの、1.1準拠で、やはり有線LANポートは搭載されていない。

 しかし、これらのノートに本製品を追加することで、インターネット接続用のサブマシンとして再生させることができる。画像編集の重い処理は無理でも、ネット接続用としては十分利用できるのではないか。押入れの中に眠っていたノートパソコンを再生し、子供にネット接続専用のパソコンとして与える、といった場合にも良いだろう。

 最近では、古いノートパソコンを再生し、リユースPCとして販売するケースが増加している。OSを再インストールしてもハードウェアの古さだけはいかんともしがたいが、本製品を組み合わせれば、一昔前のノートパソコンをブロードバンド接続用マシンとして使うことができる。数千円の投資で旧来のマシンを蘇らせることができるのは大きな魅力だろう。

 ちなみに本製品は、最近のUSB接続のLANアダプタとしては珍しく初代のWindows 98にも対応している。このことからも、本製品が一昔前のノートパソコンをターゲットとして強く意識していることがわかる。


ノートパソコン持ち出し時に機器をまとめて取り外せる。給電能力も十分

 しばらく試用してみて便利だと感じたのは、ノートパソコン本体を持ち出そうとする際、USBケーブル1本を抜くだけで良いこと。パソコン本体にLANケーブルやUSBマウス、USBメモリといったデバイスを個別に装着していた場合、パソコンを持ち出す際は機器を1つずつ外す手間がかかる。この製品を使えば、USBポートから1本ケーブルを引き抜くだけで、すべての取り外しが完了してしまう。LANアダプタとUSBハブが一体化している大きなメリットだと言えるだろう。

 USBポートは、1ポートあたり100mAまで供給可能とされている。試しにアイ・オー・データ機器のポータブルHDD「HDP-Uシリーズ」を接続してみたが、きちんと起動した。LANにも接続してUSBハブも2ポート装備と、それなりの電力は消費していると思われるが、この結果を見る限りでは給電能力の心配はなさそうだ。マウスやUSBメモリなど、低消費電力のデバイスを接続するのであれば、問題が起こることはまずないと思われる。


アダプタ側はminiBコネクタを採用。筐体の薄型化に貢献していると考えられる マウスとUSBメモリを接続し、さらにLANにつないだ状態。1つのUSBポートだけでこれだけの機器を接続できるのは画期的。パソコンを持ち出す際は、USBケーブルを抜くだけでまとめて取り外せるのも便利だ

 ところで、本製品で1つツッコミどころがあるとすれば、USBが1.1準拠であり、2.0ではないことだろう。筆者も初めて本製品を知った際、「え、いまどきUSB 1.1なの?」と意外に感じた。

 しかし、製品のコンセプトを考えてみると、USB 1.1が選択されたのはごく妥当な判断であることがわかる。前述のように、本製品のターゲットは標準でLANポートが搭載されていなかった時代のノートパソコンであると考えられ、その頃の機種はそもそもUSB 2.0が搭載されていないからである。

 仮にUSB 2.0対応のチップを採用しても、高速化につながらないばかりか、逆に製品の価格アップになってしまう。なにより、USB 2.0を装備しているパソコンであれば、その多くがLANポートを標準で装備していると考えられ、本製品を使う意味そのものがない。従ってUSBが1.1なのはごく妥当だと言えるだろう。標準価格は4,410円で、LANアダプタとUSBハブのオールインワンモデルとしてはリーズナブルな価格設定を実現している。


接続した状態のアップ。側面のUSBポートの間隔は多少狭めだが、コンパクトな筐体であることを考えると設計上やむを得ないだろう 試しにバスパワー式のポータブルハードディスクを接続してみたが、問題なく起動した

随所に感じられる細かいこだわり。シンプル&コンパクトで優れたデザイン

一般的なUSB接続アダプタ(左)と比較してもスリムな筐体。側面にUSBポート×2が装備されていることを感じさせない
 本製品はほかにも、細かいこだわりが随所に見られる。1つは筐体のコンパクトさ。写真を見ればおわかりいただける通り、LANアダプタとしては非常に薄く、USBハブまで内蔵しているとは思えないサイズだ。発売元のロジテックからは、本製品と同時にギガビット対応のUSBアダプタが発表されているが、こちらも同じ筐体デザインを採用している。言い換えれば、単機能のLANアダプタと同じ筐体の中にUSBハブ機能を押し込んでいるわけで、同社のこだわりが感じられる。

 また、USBケーブルが着脱式である点も1つのポイントだ。これにより、製品をパソコンから取り外す際に、USBケーブルをパソコンに挿したまま、アダプタだけを外すという芸当を可能にしている。本製品に付属するUSBケーブルはA-miniBの構成なので、miniBコネクタ採用のポータブルHDDや携帯電話を持ち歩く場合、ケーブルを共用できるメリットもある。

 例えば、「京ぽん」ことウィルコムの「AH-K3001V」のように、miniB端子でPCと接続する携帯電話があれば、職場ではminiB端子を本製品につないでLANに接続、外出先ではminiB端子をAH-K3001Vにつないでダイヤルアップ接続、といったスマートな使い方もできるだろう。

 惜しむらくは、本製品のホワイト系のカラーが、旧来のノートパソコンに多く見られた黒やウォームグレー系のカラーリングとは、若干ミスマッチである点だろうか。とはいえ、シンプルでコンパクトな筐体は機能美という言葉を使うにふさわしい形状で、インターフェイス機器と思えないスタイリッシュさを感じる。旧型のノートパソコンの使い勝手を大きく向上させる画期的な製品として、多くの方にオススメしたい。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logitec.co.jp/products/lan/lantxu1h2.html
  ロジテック
  http://www.logitec.co.jp/

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(kizuki)
2005/11/16 10:56
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