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AM/FMラジオに両対応! パソコン用ラジオチューナ「USB AM/FM RADIO」


「USB AM/FM RADIO」の価格は6,980円。製品には専用の二股ケーブルとFM放送受信用の外部アンテナが付属
 サンコーの「USB AM/FM RADIO」は、その名称からもわかる通り、パソコンでAMおよびFMラジオ放送を聴くためのアイテムである。外部の電源やアンテナは不要、受信用のソフトウェアをインストールしたパソコンに付属ケーブルで接続するだけという手軽さが大きな特徴だ。しかも、受信中の音声をWMAまたはWAV形式で保存できるほか、日時を設定した予約録音が可能。シンプルながら使い勝手の良いパソコン用ラジオと言えそうだ。

 本体は110×17×91mm(幅×奥行×高)で、長方形のパネル型。文庫本の半分ほどのサイズで、車のダッシュボードに置くGPSアンテナのようにも見える。色は光沢のあるホワイト。ボディの周りを取り囲むように透明なアクリルの縁取りがついており、底面に取り付けるスタンドも透明な素材。なかなかオシャレなデザインである。

 パネル前面中央付近、U字形の切り込み裏側にはインジケータランプが2つ隠されていて、AM放送受信中はオレンジ、FM放送受信中はブルーの光が透けて見える。背面にはミニBタイプのUSBポート、ヘッドホンのマークがプリントされたオーディオ出力端子、それに外部アンテナ端子が並んでいる。


中央にあるU字形の裏側に2つのインジケータランプがあり、AM放送受信中はオレンジ、FM放送受信中はブルーに発光する 裏側にはミニタイプのUSBポート、オーディオ出力用のミニピンジャック、外部ホイップアンテナ接続用の端子が並ぶ

 USB AM/FM RADIOは、本体内にAM放送受信用に加え、FM放送受信用のアンテナも内蔵しているようである。一般的なラジオのように簡易アンテナを取り付けたりロッドアンテナを引き伸ばしたりする手間がかからないのだ。本体だけでは感度が不足する場合は外部アンテナを接続することもできる。付属のホイップアンテナは全長が約15cm。台座部がマグネットになっており、電波の入りやすい場所にしっかりと固定できる。

 ラジオとしての感度は標準的なレベルといって良いだろう。周囲にビルが多いため、受信条件の悪い筆者の部屋ではAM用の外部アンテナが欲しかったところだが、本体の設置場所に気を付けさえすればクリアな放送を聴くことができた。

 意外なことに、USB AM/FM RADIOは、USBオーディオデバイスではない。USBはパソコンからのリモートコントロールとバスパワーによる電源供給用途に利用されているだけ。受信した音声信号は、本体のオーディオ出力端子からケーブルを通してパソコンのマイク入力端子やライン入力端子に送られるのだ。

 ということは、外部からのオーディオ入力端子がないパソコンではスピーカーから音を出すことができないし、放送を録音することもできないということになる。しかし、本体のオーディオ出力端子に直接ヘッドホンやスピーカーユニットなどを接続し、放送を聴くことは可能だ。出力レベルは比較的高いらしく、筆者が普段使用しているヘッドホンでは音量が大きすぎたが、ポータブルオーディオ機器用のスピーカーユニットなどを接続するにはちょうど良さそうである。


本体は軽量コンパクトだが、端子類が本体の底面近くに配置されているので、接続してもバランスを崩すことはないだろう 付属のFM放送受信用外部アンテナは全長約15cm、ケーブル長約1m。スタンド部底面の磁石でスチール製の家具などに固定できる

CD-ROMなどは付属しておらず、専用の受信用ソフトウェアはメーカーのダウンロードページから入手する必要がある
 USB AM/FM RADIOのパッケージにはCD-ROMなどは付属しておらず、専用のソフトウェアはサンコーのダウンロードページから入手してインストールする。ファイル自体は約3.3MBほどなので、ブロードバンド環境ならば、問題なくダウンロードできるだろう。少々面倒にも思えるが、手間はCD-ROMからのインストールと大差ないし、ムダを省いてコストを抑えるという意味では有効な方法といえるのではないだろうか。

 専用ソフトウェアを起動すると、メディアプレーヤー風のわかりやすい構成のウィンドウが表示される。上部に受信周波数や受信局名表示、下部に大きなAMとFMの切り替えボタンとショートキーと呼ばれるプリセット選局ボタン、中ほどのバーにはスライド式ボリュームのほか、録音再生、各種設定といったコントロール用ボタンという配置だ。ウィンドウサイズは変更できないが、デスクトップに常駐させても邪魔にならないようコンパクトにまとめられている。各ボタンで呼び出されるサブウィンドウは常にメインウィンドウの右側にポップアップするのでデスクトップ左側に置くのがお勧めだ。

 選局はシークボタンを押すたびにAMで9KHz、FMは0.1MHzずつジャンプする方式。ウィンドウ右上の小さなボタンを使えば、それぞれ1KHz、0.01MHz単位での微調整が可能だ。また、感度を高/中/低の3段階に設定できるオートスキャン機能を備えており、受信可能な局を自動的に見つけ出してくれる。プリセットはAM、FMそれぞれ0から99のショートカットキーに計200局分を割り当てることができる。


設定画面では日本、アメリカ、ヨーロッパといった地域や言語、入力デバイス、録音ファイル形式や音質を指定できる メインウィンドウ下部のショートキーは上下ボタンでスクロールする。AM、FMそれぞれ100局分と、十分すぎるほどのプリセットが可能

 放送を聴いている間に録音ボタンをクリックすると、すぐに音声記録が開始される。ファイル形式はWMA、またはWAV。64kbpsの「標準」、96kbpsの「良質」、128kbpsの「最高」と、3段階の音質を選ぶことが可能だ。もちろん、録音開始時刻と録音終了時刻を指定した番組予約録音機能も搭載されている。

 筆者としては番組予約時に、例えば情報番組は「標準」、音楽番組は「最高」というように音質を選べるようにして欲しかったところだが、実用上の不便はなさそうだ。保存されるのはWindows Media Playerなどで再生できる一般的な形式の音声データファイルである。とりあえず高音質で録音しておき、あとからコンバートソフトなどでファイル形式を変更したりビットレートを落とすといった方法を使えばストレージ容量を圧迫する心配はないだろう。


番組予約録音はタスクと呼ばれている。録音開始日時と録音終了日時、それに受信チャンネルを指定する一般的な方式だ 再生はサブウィンドウ内に表示されたファイルリストから選択する方式。右下のボタンでエクスポートや削除が行なえる

二股ケーブルはUSBと一般のアナログオーディオ用ケーブルを束ねた見慣れないタイプ。ノイズ対策のためか、長さは約2.5mある
 付属のUSBとアナログオーディオを束ねた二股ケーブルは全長約2.5mもある。この長さには理由があるようだ。試しに、お手持ちのラジオをAM放送を受信しながらパソコンの本体に近づけてみていただきたい。ブーンという雑音にかき消され、聞き取れなくなってしまうことがあるはずだ。AMラジオはパソコンのような機器が出す電気的なノイズの影響を受けやすいのである。デジタルオーディオでAMラジオが内蔵された製品が少ないのは、このノイズの遮断が難しいからだそうだ。

 USB AM/FM RADIOでは、ケーブルの長さに余裕を持たせ、パソコンから遠ざけるという単純だが効果的な方法でノイズを防いでいるというわけである。参考までに、筆者の環境では30cmほど離せば雑音は気にならないレベル、1m程度離してしまえば影響はなくなるように思えた。ラジオの性能をフルに発揮させるには、パソコンだけでなく、ACアダプタや蛍光灯など、ノイズを出しやすい電気製品からも離れた場所に設置すると良いだろう。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.thanko.jp/usbamfmradio/
  サンコー
  http://www.thanko.jp/


(斉藤成樹)
2007/06/06 11:00
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