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FeliCa/MIFAREカードが利用できる! NFC対応の「ぴタッチ」


MIFAREとFeliCaカードが使える「NFC」に対応のリーダライター

「ぴタッチ」の直販価格は2980円。アイ・オーでは法人向け製品のNFCリーダライター2製品も合わせて発表している
 アイ・オー・データ機器の「ぴタッチ(USB2-NFC)」は、非接触型のICカードに対応したカードリーダライターだ。EdyやSuicaなどの非接触型ICカードの残高や利用履歴を自宅に居ながら確認できるほか、カードの種類によってはチャージまで行える。

 ハードウェアとして注目すべき部分は、短距離無線通信規格「NFC(Near Field Communication)」に対応している点だ。NFCでは、FeliCaやMIFAREといった複数の非接触型ICカード規格をまとめて扱える。従来であれば、ICカードの規格単位で別個のリーダライターを用意する必要があったが、本製品であれば1台で済んでしまうわけだ。


本体は名刺入れサイズ。インストール作業は時間を要する

 まずはハードウェアとしての外観と、インストール作業について見ていこう。製品本体であるカードリーダライター部は、名刺ケースとほぼ同じサイズ。PCとは、USBケーブルで直結して使用する。

 重量は33gと非常に軽量だが、付属のUSBケーブルが硬めで、ケーブルの反発力によって設置場所から動いてしまう場合もしばしばあった。可能であれば、机上に固定するための仕組みなどが欲しかったところだ。


本体は名刺ケースサイズ。重さは33gと軽量 読み取りはかざすだけでOK。おサイフケータイにも対応する

 インストール作業については、ソフトの種類が多いこともあり、やや時間がかかる。まず、「Visual C++2005 SP1」や「.NET Framework 3.0」をインストールし、次いでデバイスドライバをインストールする。その上で、ぴタッチ本体をUSBケーブルを使ってPCに接続して、「Edy用アプリケーション」と「精算快速! Lite」、「WAON TOOL BAR」の中から、必要なアプリケーションを選んでPCにインストールして終了となる。

 インストールするアプリケーションなどが複数あるため、ある程度スキルがあるユーザーでも説明書を見ながら作業に注力する必要があるだろう。このため、インストールにあたっては何らかのウィザード設定が欲しいと感じた。

 本製品にはまた、「NFCポート自己診断」というユーティリティが付属している。同ユーティリティを使用することで、本製品が正しく接続されているか、読み取りは正しく行えているかなどのステータスをチェックできる。トラブルが発生した場合など、原因の切り分けをするのに非常に便利なので、積極的に利用したいところだ。


ソフトウェアのメニュー画面 複数のソフトをインストールする必要があるため、作業完了まで時間を要する

Edyの利用履歴参照やチャージが可能

 記事執筆時点(2008年6月下旬)において、本製品で行える点は大きく分けて2つ。1点目は「Edyの利用履歴参照&チャージ」、もう1点は「Suicaなど交通系ICカードの利用履歴チェック」だ。

 まずは1点目、Edyでの利用履歴参照&チャージについて見ていこう。Edyの場合、残高や利用履歴を確認するためには、Edyの利用に対応した店舗の端末を使用するか、PC向けソフト「EdyViewer」を使うケースが一般的だろう。ただし後者の場合、WAONのように専用Webサイト上でカード番号を入れて履歴を確認するための機能は用意されておらず、リーダライターを使用して、Edyを直接読み取る必要がある。そのため、リーダライターは必須というわけだ。

 「EdyViewer」を起動したのち、本製品の上にEdyカードをかざした状態で残高照会ボタンをクリックすると、取引履歴の直近6件分が表示される。表示項目は、取引日時分、支払額、残高の3点。なお、照会可能件数が6件というのは少ない気がするが、これはEdyViewer側の仕様になる。

 また同様の手順で、Edyへのチャージも行える。チャージは3000円から2万5000円の間で、登録済みのクレジットカードを介して、1000円単位でチャージできる。自宅にいながらチャージができる点は、時間に追われるビジネスマンにとってありがたい機能だろう。


EdyViewerで残高照会を行ったところ。直近6件の明細を確認できる Edyはクレジットカード経由でのチャージも行える

Suicaなど交通系ICカードでは利用履歴をチェック可能

「精算快速! Lite」でSuicaを読取ったところ。定期券以外の利用履歴を20件表示する。定期券を利用した乗降情報は表示されない
 続いては、Suicaなど交通系ICカードでの利用履歴の参照機能を見ていく。本製品付属の「精算快速! Lite」を起動した状態で、リーダライター部に交通系ICカードをかざし、読み込みボタンをクリックすると、交通系ICカードに記録された利用データがPCに転送され、一覧表示される。

 転送して表示される項目は、日付や入出場駅、支払額、残額など。バスなどでは、利用した交通機関名が表示される。また、ショッピングについては「物販支払」という項目で履歴が表示される。

 交通機関の利用記録がPCで閲覧できる点は、交通費を精算したり、家計簿をつける際に非常に便利だ。CSVやテキスト形式でデータの保存もできるので、長期にわたって履歴を残す際にも役立つ。Edyとは異なり、チャージには対応しないものの、残高状況が気になった際にサッとかざして読み取れる。自宅や職場にいながら、利用履歴を参照できる安心感と利便性は、何者にも代え難い。

 このほか、製品パッケージや製品ページでは、WAONへの対応が多く謳われている。しかし、本製品で使用できる点は、WAONのWebサイトで利用履歴を参照する際にカード番号の入力が不要になるという点であり、利用履歴自体はWAONサイト単体でも確認できる。


WAONの公式サイトでログインする際、本製品を用いると番号入力が不要になる トラブルシューティングに便利なユーティリティ「NFCポート自己診断」。ドライバやファームウェアのバージョンも確認できる

MIFARE対応アプリケーションは未添付。将来的な対応を期待

 以上、本製品で利用できる点を見てきたが、本製品の場合は機能よりも規格やソフトウェアに依存する部分が多く、ハードウェアとしての優劣は判断しにくい。冒頭で触れたように本製品は、NFCへの対応、すなわち、FeliCaだけでなくMIFAREカードも読み込めるのがウリだが、対応アプリケーションは添付されていないため、現状ではFelica対応カードリーダライターと差別化しにくい点もあるだろう。

 日本国内でMIFAREを採用したICカードの中で、もっとも知られているのはtaspoくらいだろう。しかしながら、世界的に見ればMIFAREのシェアは非常に高く、対応カードが今後身近に使われるようになる可能性は高い。他社が発売するNFC非対応の製品では、MIFARE自体を読取りには対応しないため、そうした意味では本製品のほうが息の長い製品になる可能性もある。

 標準価格は3255円で、直販サイトの価格は2980円。実売2000円から3000円程度のFeliCa対応製品と比較して、高価な製品というわけではない。今後、本製品の登録ユーザーに対して追加ソフトウェアのソフトのダウンロード配布などが行われる可能性を見越した上で、本製品を選択するのは有りと言えるだろう。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.iodata.jp/prod/mobile/nfc/2008/usb2-nfc/index.htm
  アイ・オー・データ機器
  http://www.iodata.jp/


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(山口真弘)
2008/07/16 11:15
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