Broadband Watch logo

シフト機能で1ボタン2役! ソニーの学習リモコン「RM-PLZ510D」


 ソニーの学習機能付きリモートコマンダー「RM-PLZ510D」は、“学習リモコン”と呼ばれるカテゴリーに属する製品。1つのリモコンで複数のAV機器を操作でき、さらに未知のリモコン信号も学習させられるのが特徴だ。


テレビ+7台を1つのリモコンで操作

ソニーの学習リモコン「RM-PLZ510D」。標準価格は4935円
 RM-PLZ510Dは、テレビと7台のAV機器を合わせた8台分のリモコン信号を登録できる製品だ。リモコン信号は製品の種類やメーカー別にプリセットされており、説明書の記述に従って4桁の数字を入力すれば簡単に登録できるようになっている。

 また、学習機能を搭載するのも大きなポイント。リモコンの仕様やボタン配列はメーカーや製品によって異なり、プリセットされている設定値だけでは操作すべてをフォローしきれない場合がある。そうした場合でも学習機能があれば安心、というわけだ。

 それでは製品を見てみよう。実際に製品を手に取ってみると、手が当たる角の部分がほとんどなく、非常に持ちやすい。これは側面から背面にかけて、丸みを持った筐体だからだろう。また、重心が一方に偏っている印象もない。単3形乾電池2本を使用するため、単4形乾電池を使用する製品と比較して重量感はあるが、持ちやすさを重視したデザインがそれをカバーしているとも言える。


本体筐体は丸みを帯び、持ちやすいデザイン 背面全体が電池カバーになっている

 これまで筆者は日本ビクターの「RM-A1500」、ソニーの「RM-PL1400D」という学習リモコンを長期間利用していたが、本製品がもっとも“手に馴染む”製品だと感じた。ただし、比較した2製品はボタン名表示用の液晶画面が搭載されているのに対し、RM-PLZ510Dは非搭載という違いはある。

 リモコン先端部には、赤外線発光用のLEDを3つ搭載。本体内部に隠されているため目視では確認できないが、広角での発光に威力を発揮しているようだ。前述のRM-PL1400Dと比較した限りでは、目的とする機器に対してリモコンの先端を意識して向けなくても、操作を受け付けてくれるケースが多いと感じた。

 各ボタン押下時には「ピッ」という電子音が鳴るが、設定でオフにすることも可能。ただ、電子音を有効にしていた方が「機能未割当ボタン押下時に電子音がならない」ので、操作時にボタン割当状況の有無を判別しやすいだろう。

 もう1つ、重要になるのがボタン数と配列だ。学習リモコンたる本製品の特徴として、最上部にリモコンの機能を切り替えるための「操作切換」ボタンが8個ある。これらボタンを直接押下した場合、あるいは他の一般キーを押した場合に一瞬だけランプが点灯する。また、プリセット信号の選択時や学習操作時にも随時明滅し、設定成功やエラーを教えてくれる。

 テンキーや音量、データ放送用の青/赤/緑/機ボタンなど一般的なボタンは、過不足なく揃えられている。ソニーの従来モデルとも簡単に比べてみたが、これまで「放送切換」ボタンが1つだけだったのに対し、本製品では地上アナログ/地上デジタル/BS/CSと独立した4ボタンとなったのが大きな変化のようだ。また、再生や停止、早送り/早戻しといった映像操作系のボタンが全部で10個と、比較的多い点も嬉しいところだ。


リモコン上部。点灯する8つの操作切換ボタンがある リモコン下部にはカーソルキーや映像操作系のボタンが集中している。ソニー製品に多いフラッシュ(1回押すと既定秒だけ早送り・早戻しする機能)ボタンもある

リモコン信号学習時や操作切替時は一部のボタンやLEDが点灯 リモコン先端部。外観からは確認できないが赤外線発光用LEDを3つ搭載している

シフトボタンで“1ボタン2役”を実現

リモコン信号を学習をさせるには、目的のリモコンと向かい合わせて作業を行う
 学習機能の具体的な手順も確認しておこう。まず、本製品と学習させたいリモコンの発光部を向かい合わせる。その上で、本製品のSETボタンを3秒以上押してSETランプを点滅させ、目的の操作切換ボタンと記憶させたいボタンを押す。

 すると、SETランプの点滅が早くなるので、その間に学習させたいリモコンの当該ボタンを押し続ければ、電子音が鳴って学習が完了するという流れだ。学習完了後、すぐに本製品の操作切換ボタンと学習させたいボタンを押せば、再びSETランプの点滅が早くなる学習モードへと移行するので、連続して学習させることもできる。

 ちなみの学習操作にあたっては、登録したリモコンの全ボタン分の作業を行う必要はない。メーカー番号登録によって、ほぼ基本的な割り当てが完了するからだ。一方で、メーカー番号が掲載されていないメーカー製品のリモコン信号を学習させたり、非AV機器ながらリモコンを持ったエアコンや扇風機、照明などの信号登録にも対応している。

 このほか便利なのが、テレビ入力切換ボタンと音量操作ボタンが本製品の操作切替状態に関わらず常に動作するという仕様だ。つまり、例えばHDDレコーダを操作している際でも、テレビ側の入力切替や音量調整を「操作切換ボタン」を押す手間なくコントロールできる。

 また、ソニー製品をリモコン登録した場合には、操作切換ボタンを押すだけで電源がオンになるというオプションもある。こちらは電源ボタンを押す手間を1回減らせるわけで、逆に「機器が稼働中に操作切換ボタンを押したときは電源がオフにならない」という賢い仕組みになっている。


シフトボタンを押すとLEDが点灯して「シフト状態」へ移行。ボタン押下後10秒程度でシフト状態は自動解除される
 そして、本製品最大の魅力と言えるのが「シフトボタン」の存在だ。これによって、1つのボタンで2種類の機能を学習させられる。大画面テレビやHDDレコーダは多機能化に伴って、リモコンのボタン数が増えており、効率よく学習リモコンへボタンを割り当てるのに便利な機能に仕上がっている。

 一例を見てみよう。例えば、本製品に字幕切換ボタンを割り当てたいとする。字幕切替自体は頻繁に利用するボタンではないが、繰り返し視聴する映画などでは使いたいケースもある。しかし、本製品では好適と言える名称のボタンがなく、ボタン数の絶対数も足りない。

 こうした場合に、「シフト+音声切換」と似た系統のボタンへ割り当てれば、操作切替ボタンを押す手間もなく、また割当先のボタンを忘れることなく字幕切替が可能になる。

 シフトボタンの存在は、「利用頻度の低いボタンが数多くあるリモコン」を登録する際に重宝する機能と言える。なお、10秒程度でシフト状態は自動解除されるが、シフトボタンを再度押すことでも解除される。

 本製品ではこのほか、操作切換ボタン長押しで起動する「コンポーネントマクロ機能」も備えている。最大16ステップのリモコン操作を長押し1回だけで行えるという機能で、複数のAV機器の電源を一斉に入れるといった操作などに適している。


「ボタンが足りない問題」が一挙解決。液晶画面搭載モデルの登場も期待

製品添付の説明書には、学習させた機能をメモするための表が印刷されている
 以上、製品を試用してみたが、ボタン数の増加やシフト機能など、学習リモコンの着実な進化を感じさせてくれた。もちろん、各製品付属のリモコンとはボタン配置が異なるため、100%代替できるかと言えば難しいかもしれない。例えば、東芝・REGZAシリーズのリモコンでは、テンキー部に携帯電話風文字入力用のガイダンスがプリントされているが、本製品にはそうした表示はない。

 また、1万円前後の学習リモコンと比較した場合は、ボタン名表示などに利用する小型画面が非搭載となっている。本体の軽量化とも密接な部分ではあるし、実売価格4000円前後の本製品と比較するのも筋違いだが、機能性に直結する部分でもあり、今後登場するであろう上位モデルに期待したい。

 また、学習リモコン自体、“電池が節約できる”という隠れたメリットも見逃せない。本製品で複数のリモコン操作を登録した上で、製品リモコンは使用する際に電池を使うなどすれば、不要となった電池の処分などの発生は若干なりとも緩和できるからだ。

 繰り返しになるが、シフト機能は学習リモコンの“ボタンが足りない問題”を緩和する便利な存在だ。本製品では加えて、手に馴染みやすく、持ちやすいデザインも評価できる。価格も4000円台とお手頃で、“はじめての学習リモコン”として利用するには最適な製品と言えるだろう。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.ecat.sony.co.jp/avacc/avacc/acc/index.cfm?PD=31236&KM=RM-PLZ510D
  ソニー製品情報
  http://www.sony.jp/


Amazon.co.jpで購入する



(森田秀一)
2008/09/10 11:03
BB Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.