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無線LANの電波をカンタンに発見! 「WiFi Finder」


製品にはWiFi Finder本体のほか、キーホルダー装着用のリングが付属する。購入価格は3,980円
 近頃、無線LANによる不正アクセスの話題が、メディアで取り上げられる機会が増加している。セキュリティ面での脆弱性が何かと指摘される無線LANだが、企業で使用される無線LAN製品のうち、WEPなどの暗号化設定が施されているのは約3分の2程度でしかないそうだ。つまり、企業向け無線LANの約3割が全く無防備な状態のままで運用されている一方で、無線LANのセキュリティ機能の欠陥が声高に叫ばれるというアンバランスな現象が起きているのである。意識の差というほかないが、この種の問題に敏感な企業ユースでさえこの状況であるから、ホームユースでは推して知るべしであろう。

 特にここ1、2年は企業や学校で大規模に無線LAN導入が進んだこともあり、ある日無線LANのユーティリティソフトを起動したら、見知らぬアクセスポイントがいくつも表示された……という話はもはや珍しくはないだろう。暗号化機能であるWEPや、ESS-IDを表示させないステルス機能を利用すれば、アクセスポイントの存在が公になってもすぐさま不正利用されることはない。しかし前述の通り、現状ではその設定すらしていないユーザーがかなりの割合で存在している。その結果、ホットスポットと呼ばれるような公衆無線LANサービスとは別に、適切な設定を怠った“タダ乗り可能な”アクセスポイントがあちこちにゴロゴロ転がっているわけである。

 余談だが、現在総務省が準備中の改正電波法では、暗号化されていない無線LANは保護の対象外となるそうだ。従って、WEPなど暗号化機能をオフにした状態での不正アクセスによる被害は、すべてネットワーク運用者の責任と見なされる。つまり、無線LANのセキュリティ設定を怠ると、自分がいつのまにか犯罪者となる恐れがあるわけだ。

 今回紹介する「WiFi Finder」は、そんな“タダ乗り可能な”アクセスポイントを発見できるツールである。といっても、決して不正アクセスを助長するためのツールではなく、その名の通り、アクセス可能な無線LANアクセスポイントの電波を見つけ出すための製品だ。

 本体はカードとほぼ同じサイズ。構造は非常に単純で、ボタンを押すと電波状態によって3つのLEDが点灯するというもの。無線LANが利用する周波数帯域のうち、2.4GHz帯の電波を感知すると緑のLEDが点灯、感知しなかった場合は赤のLEDが点滅しながらスキャンを継続し、一定時間が経過すると消灯する。


WiFi Finder本体。ボタン1個とLED3個だけの至ってシンプルなデザイン 利用方法はボタンを押し、LEDの挙動を確認するだけ

 ちなみに、2.4GHz帯は元々ISMバンドと呼ばれ、無線LAN以外にもBluetoothや電子レンジが使用する周波数帯域でもあるが、説明書によれば、「WiFi Finder」は無線LAN機器にのみ反応する特殊な構造らしい。これが本当なら興味深いが、試しに電子レンジに近づけてスイッチを入れたところ、3つのLEDが激しくフル点灯。レンジの動作が終わると元の点滅状態に戻る、という現象が見られた。現時点では「2.4GHz帯の無線LANにのみ反応」という説明は少々眉唾モノかもしれない。

 内部には2個のコイン形リチウム電池「CR2032」がセットされ、説明書には1年程度の継続使用ができると表記されている。外出先でアクセス可能なホットスポットを発見するという本来の使用目的のほか、自宅の無線LANが設定ミスで“タダ乗り可能な”状態かどうかチェックするのにも利用できる。2.4GHz帯専用ということで、規格で言うとIEEE 802.11b/gに対応し、5GHz帯を利用するIEEE 802.11aは対象外となる。もっとも、11aのみ対応のホットスポットはほぼない現状を考えると、それほど大きな問題ではないだろう。

 ホットスポット発見ツールとして一通りの機能を備えた本製品であるが、前述の電子レンジでの実験結果に加え、受信感度そのものがあまり高くなく、電波の強度や到達状況を確認する用途などには少々厳しい。実は筆者も、無線LANの電波強度測定に使えることを期待して購入したのだが、感度不足の印象は否めない。厳密に通信範囲の測定をするのであれば、やはり無線LANアダプタ付属のユーティリティを使ったほうが無難なようである。

 また、筆者がバッファローの無線LANルータ「WBR-G54」でテストした限りでは、ステルス機能をオンにしている場合、すなわちESS-IDが含まれていないビーコンには反応しなかった。アクセス可能なスポットを見つけ出すのが目的の商品なので当然といえば当然だが、仕様上こうなっていることは購入前に知っておいた方が良さそうである。

 若干気になる点もある本製品だが、ホットスポット検索という本来の用途には間違いなく有用であり、こうした単機能製品が登場するほど無線LANが普及したんだと実感させてくれる貴重な製品である。マニュアルはすべて英語表記だが、使用方法は至ってシンプルなので特に問題はないだろう。国内でも徐々に取り扱い店舗が増えてきているこの製品。出張などでホットスポットのお世話になることが多く、わざわざノートPCを起動して電波状態を検証するのが面倒な方にお薦めできる。


電池はコイン型のCR2032を2個使用。ちなみに電池交換の際はネジを外して本体を分解する必要がある 基板。上方に「ISM Activity Detector」の印字が見える

関連情報

URL
  Kensington
  http://www.kensington.com/
  製品情報
  http://www.kensington.com/html/3720.html


(kizuki)
2004/02/04 11:05
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