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ミニコンポと連携するSDカードオーディオプレーヤー「D-snap Audio」


松下の「SV-SD100V」。4月8日発売で、実売価格は18,000円前後。本体は1辺42mmのスクエアデザイン。フロントパネルはフラットな鏡面だ。知人は一目見てコンタクトレンズのケースだと思ったらしい(笑)
 SV-SD100Vは、松下電器産業が展開するSDメモリーカードを利用した「D-snap Audioシリーズ」のポータブルプレーヤー。真四角なスクエアデザインと、鏡のようなフロントパネルが特徴的なシリコンオーディオ製品だ。バックパネルにシルバーとブルー、2色のカラーが用意されているほか、SV-SD100VからFMチューナー機能とボイスレコーディング機能、それに一部の付属オプションを省略した同デザインの「SV-SD90」がラインナップされている。

 外観は1辺42mm、厚さ17.5mmの真四角な小箱だ。重量は約27.4gと非常に軽い。写真撮影時、バッテリーを入れずにカメラ用のブロアーでパネルに付いたホコリを飛ばそうとしたら、本体ごと吹き飛んでしまったほどである。付属の充電式ニッケル水素バッテリーとSDカードを含めても50gに満たないだろう。ネックストラップに付けて首からさげていても、まったく気にならないサイズと重さだ。

 鏡のように見えるフロントパネルはハーフミラーになっていて、電源を入れると中央部分に有機ELの鮮やかな文字が浮かび上がる。ボディに見合ったミニサイズだが、5行にわたって各部のステータスや曲名などが表示され、機能的な不満はまったく感じない。電源のオンオフ時にはドットが飛び交うアニメーションに続き、「Hello!」や「Goodby!」といったメッセージが表示されるというギミックも用意されている。


左側面に4つのスイッチ。電源スイッチはスライド式、モード・ホールド兼用ボタンはメカニカルなプッシュ式、音量調整ボタンはシームレスタイプだ 右側面手前にSDメモリーカードスロットがある。フタはないが不用意に飛び出してしまうようなことはなかった。シームレスタイプのボタンは少々硬めの手応えがある

 上面にはヘッドフォンジャック、ボイス録音用の小さなマイク穴、それにストラップ穴がある。下面にはバッテリー収納スロットと電源供給も兼ねたミニBタイプのUSBケーブル接続コネクタ。USBコネクタのカバー部分はバックパネルと同色だが、ここだけ素材が違っていて柔らかいゴム製だ。

 全体的には非常にコンパクトで、まとまりの良いデザインという印象である。メカニカルなスライドスイッチとプッシュスイッチも小型ながら扱いやすく設計されているようだ。しかし、バックパネル側にあるシームレスタイプのボタンは意外に手応えがあり、指で挟んで両側から支えないと確実にプッシュできない。このボディサイズで誤動作を防止するには仕方ないのだろうが、操作性は今ひとつのようである。また、ボディが上下左右対称なので、たとえばポケットなどに入れたまま手探りで操作するには慣れが必要だろう。

 ほかに筆者が気になったのはフロントパネルが汚れやすいという点だ。目に入ったゴミを取るのにも使えるほどの鏡面なので、指紋など、ちょっとした曇りがやたらと目立ってしまうのである。ティッシュや布で拭き取っても、なかなかキレイになってくれなかった。これは筆者の手が脂っぽいのかもしれないが(笑)。

 付属のACアダプタは携帯電話などでお馴染みの刃の部分を90度回転させて内部に収納するタイプ。非常にコンパクトなので、上着やバッグのポケットに入れてどこへでも持っていくことができる。

 さらに外部電源ユニットとして乾電池チャージャーが付属。これは単4アルカリ乾電池2本を使用するコードレス充電器だ。ただ充電するだけでなく、内蔵バッテリーと併用することもでき、両方を合わせると最大50時間の連続再生が可能になる。小型のポータブルオーディオ機器はバッテリー駆動時間に不満を感じることが多いが、SV-SD100Vに関していえば、電源の心配は無用なようである。


付属のニッケル水素バッテリーは底面のフタを開けて収納。左にあるUSBポートは電源供給も兼ねている 鮮やかな3色有機ELディスプレイを採用。小型ながら5行表示。直射日光下では見にくくなることもあったが、視認性は良好だ

付属のソフト SD Jukebox Ver.5.0LE。パーソナルサラウンド、ミュージックソムリエといった多彩な機能を搭載している

SC-PM910DVD(シルバー)
 SDカードへの音楽データ書き込みは、付属ソフトの「SD Jukebox Ver.5.0LE」をパソコンにインストールし、USBケーブルで接続、ファイルを転送するという形をとる。一般的なシリコンオーディオ機器と同じ要領だ。しかし、SV-SD100Vにはもう1つ、ミニコンポと連携させるという方法も用意されている。

 SV-SD100Vと同時に発表されたパナソニックのミニコンポ、「SC-PM710SD」と「SC-PM910DVD」にはSDメモリーカードスロットが搭載されている。これを利用してCDなどの音楽ソースからSDカードへデータを転送、そのままカードを差し替え、SV-SD100Vで再生することができるのだ。

 まるでMDやカセットテープに録音するような感覚である。シリコンオーディオに興味はあるものの、やはりパソコンというハードルは高く、手が出せずにいるという話はよく耳にする。そんな人たちにも気軽に使いこなせてしまうのだ。

 パソコンを中核としたデジタルオーディオに慣れているユーザーなら単体で、従来のオーディオの雰囲気を継承しつつ話題のデジタルプレーヤーも楽しみたいというユーザーはミニコンポと組み合わせて利用する。この自由度の高さは今までの製品にはなかった特徴ではないだろうか。

 SV-SD100Vには、D-SOUNDエンジンという独自の部品が搭載されている。音声信号をフルデジタルで処理する高音質指向のLSIだ。これにより、リマスターと呼ばれる音楽データ圧縮時に失なわれた高音成分を再構成して再生音に加える機能や、違和感のない低音域強調機能、さらに電車内での迷惑な音漏れを防ぐトレインモードなど、さまざまな音質効果を実現している。


SV-SD100VはFMチューナー内蔵。ボイス録音再生機能を利用して、ラジオの音声を録音再生することもできる 付属インサイドホンのクォリティは高い。ネックストラップは虹色の光沢があるリボンを透明なビニール系素材でコーティングしたもの

 プレイリストにもミュージックソムリエという凝った機能が用意されている。テンポや音の強弱から曲調を自動的に判断して、「ウキウキ」「いやし」「ゆったり」といったカテゴリに振り分けてくれるのだ。もちろん普通のアルバムやアーティスト、ジャンルごとといったプレイリストの作成も可能。リムーバブルというSDメモリーカードの利点と合わせて、それこそ無限のバリエーションを楽しむことができる。

 このほか、SV-SD100Vにはラジオ受信用のチューナーとボイス録音再生機能が搭載されている。チューナーはテレビの1から3チャンネルを含むFM放送専用。ボイス録音再生機能はICレコーダと同じように会話を録音したり音声メモを取ったりできるほか、チューナーで受信した音をデータファイルに保存しておくといった用途がある。

 対応するSDメモリーカードは容量8MBから1GBまで。SV-SD100V本体はカードリーダー・ライターとしても機能するので、USBケーブルでパソコンと接続すれば空き容量はそのまま外部ストレージとして利用できる。

 今回、SV-SD100Vと同時に試用したのはパナソニックのPRO HIGH SPEED SDカードの1GBタイプ。データの読み出しや書き込み速度を20Mbpsまで引き上げたハイスピードタイプのSDメモリーカードだ。今のところこの速度を活かしきれるシリコンプレーヤーやデジタルカメラは見あたらないようだが、パソコンとデータをやりとりするときには従来品との速度差を実感できる。映像音楽用としてだけでなく、パソコン用ストレージメディアとしてもお勧めしたい一品だ。


右がACアダプタ。左下が単4アルカリ乾電池2本を収納する乾電池チャージャー。左上はパソコン接続用のUSBケーブルだ 今回試用したPRO HIGH SPEED SDメモリカード。従来品の倍、20Mbpsのデータ転送速度を実現している。1GBタイプなら約500曲分、約33時間48分の音楽データを保存できる(長時間モード、64kbps)

関連情報

URL
  製品情報
  http://panasonic.jp/d-audio/sd/index.html
  パナソニック
  http://panasonic.jp/

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(斉藤成樹)
2005/04/06 10:48
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