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J:COMの森泉社長
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第1四半期の連結業績概要
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ジュピターテレコム(J:COM)は、2006年12月期 第1四半期(2006年1月~3月)の連結業績概況を発表した。発表会ではHDD内蔵STB「HDR」の注文状況や将来的なJ:COM NET高速化などにも触れられた。
第1四半期の営業収益は前年同期比20%増の511億円、営業利益は同14%増の76億円。税引前利益は同42%増の70億円、純利益は同30%増の44億円となり、いずれも二桁の増収・増益を達成した。
サービス別の営業収益状況は、テレビサービス「J:COM TV」が18%増の237億円、インターネット接続サービス「J:COM NET」が24%増の137億円、電話サービス「J:COM PHONE」が19%増の84億円といずれも拡大。同社では加入世帯やデジタルユーザー、30Mbps加入世帯割合の増加が、各サービスの売上に繋がったとしている。なお、511億円の営業収益のうち、54億円はその他収入。
連結子会社以外の運営会社も含めた20社35局のサービス加入者数は、J:COM TVが前年同期比10.9%増の180万7,000件。デジタル放送加入世帯数は71万9,100世帯で、J:COM TV全体の40%に達した。J:COM NETは19.9%増の93万1,600世帯で、J:COM PHONEは24.5%増の101万1,100世帯。総加入世帯数は12.2%増の215万8,200世帯、RGU(収益獲得単位)は16.5%増の374万9,700世帯に拡大した。
また、集合住宅向けの一括契約型サービス「J:COM in the Room」も順調に推移しているといい、累計加入世帯数は25万9,000世帯になった。なお、J:COM in the Roomでは月額料金が割り引き提供されているため、割り引き前で換算したGRUは15万4,300世帯。
サービスのバンドル化状況は、3サービスに加入する世帯が全体の23%で、2サービスに加入する世帯数を含めると全体の半数以上が複数サービスに加入しているという。また、第1四半期の解約率はJ:COM TVが1.3%、J:COM NETが1.6%、J:COM PHONEが0.8%。J:COM NETでは前年同期から0.1ポイント解約率が上昇したが、同社ではバンドル化効果によって引き続き低減傾向にあるとした。ARPUは前年同期比362円増の7,653円。
2006年通期予想は前回発表時から変わらず、営業収益が2,200億円、営業利益が315億円、税引前利益が270億円、当期純利益が185億円。J:COMの森泉知行代表取締役社長 最高経営責任者は「進捗状況はそれぞれ23~26%で推移しており、計画通り」とした。
■ HDD内蔵STB「HDR」の注文が1万件を突破。J:COM MOBILEも順調に推移
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HDRは250GBのHDDを搭載したSTB。J:COMではHDRとJ:COM MOBILEのプロモーションを積極的に展開する方針
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第1四半期に提供を開始したサービスのうち、HDD内蔵STB「HDR」に関しては3月の発表から1カ月半で注文が1万件を超えたという。森泉社長は「VODやハイビジョンとともにデジタル加入を加速させる主力サービスとして位置付け、積極的に展開する」とコメント。今後はHUMAX以外の端末を視野に入れたマルチベンダー化を進めて、供給体制も拡充する方針を示した。
3月1日にサービスを開始したウィルコム回線利用のモバイルサービス「J:COM MOBILE powered by WILLCOM」については、「コールセンターへの問い合わせや申し込みも増えている」といい、現時点の加入数は3,000~4,000件程度だとした。また、独自開発の端末提供に関しては「W-SIM対応端末をメーカーと共同開発できるかを検討している」と加藤徹取締役 商品戦略本部長は述べた。加藤氏は「具体的な時期は未定だが、位置情報など付加サービスの提供も進めている」と付け加えた。
今後のマーケティング施策としては、団塊の世代向けの「エルダーマーケティング」を5月に開始する。森泉社長によれば「同世代からサービスの説明を受けたいというユーザーニーズに応えたもの」だといい、既存顧客のエルダー層をコミュニティ担当として登録、組織化して新規顧客獲得や既存顧客の継続を目指していく。さらに、エルダー層向けのサポートサービス拡充、会員特典を用意した「J:COMプラチナクラブ(仮称)」の新設に加え、地域イベント運営など団塊の世代に活躍の場を提供する施策も行なっていく。
このほか、導入を予定している同社独自の視聴率調査について森泉社長は、「システムはほどんどできているが、最終的なバグチェックを行なっており、完成時期は6月頃になる」と述べた。正式な開始時期は7月か8月頃を予定するとのことだが、「番組を提供する事業者向けに日/週/月別の視聴率状況をモニター提供している」という。
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第1四半期には「インタラクTV」やSNS「@myページ」などの開始や拡充も実施された
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イオンとの業務提携により、アンテナショップを展開
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■ アナログサービスのスロットを利用したJ:COM NET高速化の可能性も
質疑応答では、ブランドイメージとしての“光ファイバ”やFTTH対する取り組みに関する質問があった。森泉社長は「FTTHは万能だといわれているが、素材コストや工事期間を考えると当社が採用するHFC(光同軸ハイブリッド)の方が極めて優れている」と回答。続けて「2008年までに簡易型デジタルSTBの提供によってアナログサービスをすべて終了した場合には、帯域に40~50スロットの空きが生まれる」とした上で、「このうち3スロットを使えば100Mbps、5スロットを使えば200Mbpsの通信が可能で非常にパワフルな速度をHFCネットワークで提供できる」と将来的なインターネットサービス高速化を示唆するとともに、ネットワークすべての光ファイバへの切り替えの考えはない点を強調した。
USENの動画配信サービス「GyaO」に対する質問では、「新たなビジネスモデルを創造した点に関してはUSENさんに敬意を表するが、我々に影響のあるビジネスだとは思っていない」とコメント。森泉社長は「広告収入に依存するビジネスモデルは相当厳しい面があり、収益が生まれるまで相当時間がかかるのではないか」としたほか、「動画を配信する際には大きなトラフィックが生じるため、米国で言われているようなネットワークインフラのただ乗り論が日本でも起きる可能性があり得るのではないか」と語った。
■ URL
J:COM IR情報ページ
http://www.jcom.co.jp/ir/index.html
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(村松健至)
2006/04/26 17:27
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