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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
So-net経営方針説明会、「トップニッチ戦略」で東証一部上場を狙う

 ソネットエンタテインメント(So-net)は27日、同社の経営方針説明会を開催した。説明会では代表取締役社長の吉田憲一郎氏が登壇し、So-netグループが考える今後の戦略について説明した。


マザーズ上場以降はSo-net再成長のフェーズに

So-netの吉田憲一郎代表取締役社長
 吉田氏は冒頭、これまでのSo-netの歩みを紹介。1995年にソニーグループのジョイントベンチャーとして設立し、1996年1月にインターネット接続サービスを開始したSo-netは、1997年のPostPet発売を経て2001年にはソニーによる子会社連動株式を発行。さらに2005年12月には普通株式で東証マザーズに上場、翌2006年10月にはソネットエンタテインメントに社名変更した。

 こうしたSo-netの歴史を吉田氏は「3つのフェーズに分けられる」と指摘。2001年までのソニーグループのジョイントベンチャーだった第1フェーズはダイヤルアップ接続時代であり、続く2001年から2005年までの子会社連動株式時代はADSLが主流だったとし、マザーズ上場を果たし、FTTHの普及率が伸びてきた2005年以降の第3フェーズを「So-net再成長の場にしたい」との意欲を示した。

 2006年度の連結業績予想は、売上高が480億円、営業利益が34億円、経常利益が32億円で、売上高と営業利益はともに過去最高を記録。2006年度は創業以来初となる配当を実施予定とした。


So-netの歩み 3つのフェーズのうち第3フェーズはSo-net再成長の期間に 2006年度の連結業績予想

FTTH事業が順調に伸びる一方、ポータル事業の成長に期待

So-net事業の位置付け
 So-netの事業分野を売上別に見ると、インターネット接続事業が全体の2/3を占めており、残りの1/3がポータル事業と接なっているが、吉田氏は「接続事業は安定したキャッシュフローを生み出すことが目的。ポータル事業にこそ利益成長の牽引役を期待している」とコメント。So-netの中期ビジョンとして「ネットワークエンターテインメント」という言葉を掲げ、「So-netはPostPetでインターネットを身近にしたという自負がある。ネットワークエンターテインメントは21世紀の成長領域であり追求していく分野」とした。

 2007年以降は「FTTH」「広告」「ソリューション」の3事業に注力し、「トップニッチ戦略」「グループ連携」という2つの大きな施策を展開していく。FTTHに関しては接続事業売上が2006年度第4四半期以降、過去最高を更新中と成長が続いており、「あと数年はFTTHの成長が期待できる」(吉田氏)。一方、加入者獲得コストのコントロールも重要なポイントであり、販路の厳選や大学生を狙った販促キャンペーンなどを展開していくとした。

 広告事業では、アジアのドラマなどを放送するCSチャンネル「アジアドラマチックTV★So-net」の事例を紹介。視聴者の9割が30~40代の女性というセグメントのはっきりした番組であり、2006年度下期はこの番組の広告が売上に貢献したという。今後はCS番組以外にもテレビやゲーム内広告、グループと連動した広告展開など、広告のマルチウィンドウ化を進めるとともに、コンテンツの外販なども行なっていくとした。

 ソリューションビジネスは、「So-netの会員ビジネス基盤の外販」(吉田氏)であり、データセンターやMVNO、会員登録システムなどに加え、SNSやカレンダーサービスなどWebサービスも外販を進める。成長が見込める分野ではあるが、「人的リソースの不足が課題」(吉田氏)であり、M&Aも機会があれば検討するとした。


接続事業はFTTH効果で成長 大学生向け販路など販路のコントロール

広告が売上に貢献した「アジアドラマチックTV★So-net」 ソリューションビジネスも拡大を図る

エンターテインメントの特定ジャンルでトップを狙う

So-netのキャラクター「Livly Island」

積極的な投資も実行
 So-netが掲げる施策であるトップニッチ戦略では、特定のジャンルに特化してビジネスを拡大。具体例としては「Livly Island」などSo-netの持つキャラクター資産が挙げられ、アニメ化やゲーム化といったマルチユース以外にも、キャラクターグッズのEC販売などを進めていくとした。

 また、女性に人気のある「アジアドラマチックTV★So-net」や、月に800万の録画が行なわれているというiEPG「テレビ王国」なども紹介。「特定の領域に限定して価値を創出するのがトップニッチ戦略」とし、ネットワークのエンターテインメント分野に注力していくとした。

 グループ企業との連携も重要な施策であり、マザーズ上場から約60億円の投資を実行。会員数150万人のオンラインゴルフゲーム「スカッとゴルフパンヤ」を運営するゲームポット、アニメ制作会社のゴンゾを子会社に持つGDH、松下電器やソニーなどテレビメーカー5社と共同設立したテレビポータルサービスなどを紹介した。テレビポータルサービスは、2月1日からデジタルテレビ向けポータル「アクトビラ」のサービスを開始しており、2007年度秋にはストリーミング型の映像配信サービスの提供を予定する。

 なお、So-netが2006年の決算発表の場で紹介した、Edy決済によるSTB型の映像配信サービスについては、アクトビラがサービスを開始したこともあり、So-netとしてのサービス提供は予定していないという。吉田氏は「アクトビラでも秋には動画配信が始まる。Edyがどうなるかはわからないが、さまざまな形で課金システムの導入を検討している」とコメント。同システムはSentivision単独でのサービス提供も検討されていたが、So-net広報では「サービスを提供しないということはないが、Sentivisionが主体となって提供するという予定もない」との実情を説明した。


Livly Islandの会員数 キャラクターグッズなど多角的な展開

iEPG「テレビ王国」 エンターテインメントでトップニッチを目指す

「スカッとゴルフパンヤ」を運営するゲームポット ゴンゾを子会社に持つGDH

アクトビラを運営するテレビポータルサービス 会場にはアクトビラのデモも

CGM分野や投資にも注力。東証一部への上場も視野に

エニグモの須田将啓代表取締役共同最高経営責任者
 グループ会社によるCGM分野にも注力する。エニグモでは会員制の買付け代行コミュニティ「BuyMa」、ブログを使ったクチコミマーケティング「プレスブログ」、ユーザーが映像CMを制作する「filmo」などを展開。プレスブログについては最近になって同様のサービスが多く登場しているが、同社の代表取締役共同最高経営責任者である須田将啓氏は、「まだ同様のサービスが無い頃からのノウハウや企業との取引実績が強み」とコメント。filmoに関しても「第1弾は予想以上の反響があった。CM制作を目指す若者など、映像を発表したいニーズはあるのではないか」との考えを示した。

 エニグモではサービスの世界展開も考えており、BuyMaは世界54カ国でサービスを展開。プレスブログもすでに韓国でサービスを開始したほか、米国でのサービスも検討している。ただし、米国では報酬を受けていることを明らかにしないというクチコミマーケティングに対する批判もあり、須田氏は「米国では日本とまた違った形のサービス形態になるだろう」とした。

 日本では、プレスブログの記事であることを明記する必要はないが、須田氏は「プレスブログの記事だと明記することを強要するのではなく、すべては個人に委ねたい」とコメント。「個人の力は1つ1つでは大したことがないかもしれないが、それを集めることでまったく新しい市場を作り出したい」とした。

 ソネットキャピタルパートナーズが出資するマスチューンは、株式に特化したSNS「みんなの株式」を4月に開始する予定。ユーザーがそれぞれ予測した株価を集めた集合知により、市場の株価を予測するサービスだという。

 こうしたグループ会社との連携だけでなく、国内ベンチャーを担当するソネットキャピタルパートナーズを2006年7月に設立したほか、中国を中心とした海外ベンチャーを手がけるADSLグローバルパートナーズにも2006年4月に出資。吉田氏はこうした投資活動を広げるために「現在はマザーズだが、東証一部への上場も目指したい」とした。


「プレスブログ」「filmo」などを展開するエニグモ 集合知を使った株式SNS「みんなの株式」

関連情報

URL
  So-net
  http://www.so-net.ne.jp/

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(甲斐祐樹)
2007/03/27 21:46
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