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(左から)イー・アクセスの石田雅之 CSOと千本倖生 取締役会長
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イー・アクセスは19日、3月18日を回答期限としたアッカ・ネットワークスの自己株式取得に関する質問状について説明会を行なった。同社では、現任取締役等に対する株主代表訴訟を準備することを明らかにした。
アッカは3月7日付で、三井物産が所有するアッカ株式10.3%を取得したと発表しており、これに対してイー・アクセスは「通常取引時間外での売買成立などが問題」と指摘。アッカに対して質問状を送付するとともに、回答次第では法的手段も検討する方針を示していた。
千本倖生 取締役会長は、「発表当初は自己株式取得について、企業価値向上や株価上昇の面で大歓迎した」とコメント。しかし、「発表から取引までの時間が短く、周知・検討時間が不十分」「通常取引時間外かつ立会外で、通常時の80倍にあたる発行株式10.3%を実質的な相対取引で行なった」「当期純利益140%にあたる19億円超の自己株式取得を、社外取締役を派遣する三井物産1社に対して事実上行なった」点を問題視し、アッカに対して質問状を送付したという。
また、「回答期限前日の17日には、三井物産から派遣されている佐藤元信 社外取締役と垣外彰 社外監査役の2名が任期10日前に突然辞任した」と指摘。「その発表は当日ではなく、翌18日の夜に行なわれており、この点で明らかに不合理な感じがした」と語り、「あくまで推測だが、何かやましいところがあるのではないか」と述べた。
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アッカに対する質問内容
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アッカからの回答
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■ 訴訟の実施は株主総会後に決定。新経営陣には取引を戻すよう質問状
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現経営陣などへの株主代表訴訟を準備するほか、新経営陣への質問も実施
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イー・アクセスによれば、アッカからの回答は「実施した自己株式取得はジャスダック取引所の規則に従った市場取引で会社法には違法しない」「売付申込数量が買付数量を超えたら按分する仕組みで、相手方は特定されていない」との内容だったという。
千本会長は「規則や形式論に終始しており、当社が問題視した実質的な違法性、株主平等という大原則に何ら回答していない」と発言。その上で、「今回の取引は会社法の精神である株主平等の原則に反し、全株主をフェアに扱う意識が薄いと考えざるを得ない」と述べ、「現経営陣および三井物産派遣の2氏に対する株主代表訴訟を準備する」とした。
「違法的な自社株買いであり、限りなく黒に近い取引」と指摘した千本会長は、「本日付けでアッカに対して新たに質問状をバイク便で送付しており、受取証も取得している」という。
また、アッカの代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)に内定している須山勇氏に対しても質問状を送付。千本会長は「今回の取引を元に戻すよう求めており、3月28日開催の株主総会で必ず回答が行なわれると考えている」とした。千本会長は「株主総会に際しては、特に個人株主の皆様が多数参加され、須山CEOからどのような回答があるか慎重に見守りたい」とした。
石田雅之 CSOは、株主代表訴訟の時期に関して「株主総会の回答を踏まえて判断する」と述べ、回答次第では訴訟を行なわない場合もあるという。また、株主総会で発足する新経営陣に対しては「当面様子を見る考え」とした一方で、「同社の株主に対する対応は、個人株主の方を含めて不満を持っているのではないか」とコメント。「これを機に株主を重視し、公平な取り扱いをされるよう求めていきたい」と述べた。
なお、アッカ広報によれば質問に関する回答は株主総会で行なう考えだという。
■ ジャスダック証券取引所の対応にも不満を示す
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(左から)同席した戸倉弁護士とイー・アクセスの安井代表取締役社長
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説明会ではさらに、3月7日にイー・アクセスもアッカ株の買い注文を試みたことが明かされた。しかしながら、千本会長によれば「買い注文は大手証券会社3社を通じて行なったが、(アッカが上場する)ジャスダック証券取引所に断わられた」という。
質疑応答で「同様の取引は過去にも他社が行なっているのではないか」と質問を受けた千本会長は「これまで持ち株や持ち合いの解消をやられたケースがあったかもしれないが、我々が調べた範囲ではグレーな取引」と回答。さらに「自社株買いに1社だけというのは、持株解消とは違い黒に近いものである」と付け加えた。
また、買い注文を入れる際に千本会長とジャスダック代表者の間で話し合いも行なわれたという。しかし、石田CSOによれば「先方からは法律的な根拠はないが、当社からの買い注文が可能かと言われれば、できないと断わられた」という。こうした取引に関して同席した戸倉圭太弁護士は「補足的に記されているのみで、取引上の規則ではない」と説明した。
千本会長は、「このような取引は今まで慣行的に許されていたかも知れないが、法律的な裏付けは一切ない」と発言。「本来のフェアでグローバルな世界から見れば、綺麗でオープンな取引ではない」と付け加えた。石田CSOも「日本に納得できない制度がある以上、引き下がることはできない」と語り、「変えられる部分は変えるべく、取り組んでいきたい」と述べた。
■ URL
ニュースリリース
http://www.eaccess.net/cgi-bin/press.cgi?id=720
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(村松健至)
2008/03/19 16:36
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