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イー・アクセス、「TD-SCDMA(MC)」技術のデモを公開
~2km以内のエリアで下りスループットは約4.6Mbpsを実測~
イー・アクセス 新規事業企画本部長の諸橋知雄氏
イー・アクセスは、TD-SCDMA(MC)技術を用いたモバイルブロードバンドサービス実証実験に関するデモンストレーションを報道向けに公開した。実証実験では基地局から2km離れた地点でも4.65Mbpsのスループットが得られたという。
TD-SCDMA(MC)は、ITU(国際電気通信連合)で策定された次世代の移動通信規格「IMT-2000」で標準化されている「TD-SCDMA」の拡張版という位置付けの通信方式。イー・アクセスではTD-SCDMA(MC)方式による実験局本免許を5月28日付で取得、同日より同社屋上にアンテナを設置してフィールド実験を開始している。
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下りスループットは約4.6Mbpsで増速も可能
実証実験のエリア。北を基準に240度の角度にアンテナを向け、周囲120度のエリアをカバーする
デモンストレーションでは、基地局から2km離れた地点での下り速度スループット測定結果が公表された。3台の端末を利用して同時にスループットを測定したところ、端末ごとのスループットは平均して約1Mbps~2Mbpsを記録、1基地局あたりのセクタスループットは実測値で平均4.65Mbpsという結果が得られた。なお、この測定結果は上りと下りのトラフィック比率を1対1に設定して行なわれており、下りの比率を高めることでスループットの高速化も可能だという。
イー・アクセス 新規事業企画本部長の諸橋知雄氏は、「基地局から2km離れた地点でも、セクタスループットの実効値が理論値5.4Mbpsの86%に達している」とコメント。「IMT-2000技術調査作業班で示されたTD-CDMAのセクタスループットは理論値上1.5Mbps程度」というデータを紹介し、TD-SCDMA(MC)技術に自信を示した。
現在は実証実験のため基地局の数は1つだが、サービス提供時にはユーザー数に合わせて基地局を増設していく方針。諸橋氏は「1基地局あたりのセクタスループットが決まることで、1基地局でカバーするサービスエリアも変化してくる。利用ユーザーの人数や求められる速度、郊外か都市部かといった環境に合わせて、基地局の設置場所やセルを設定する」と説明した。
実験データの測定環境。イー・アクセス本社の基地局から2km地点で測定
1基地局で利用できるセクタスループットは4.65Mbpsを記録
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商用のモバイル通信サービスとの比較デモも実施
ストリーミング動画視聴の比較
すでに商用サービスが提供されているモバイル通信サービスとの比較も行なわれた。最大30kbps程度の「システムA」、最大400kbps程度の「システムB」、最大2Mbps程度の「システムC」の3サービスを動画のストリーミング視聴、スループット測定の2方式で比較している。なお、今回比較に用いられたサービスはすべて名前が伏せられているが、「システムB」「システムC」は3G(第3世代携帯電話)の技術を用いているという。
動画のストリーミング比較ではインターネット上にストリーミングサーバーを用意し、700kbps程度でエンコードされた動画ブロードキャストで配信、各サービスごとの視聴環境のデモが示された。システムAとシステムBは画面が時々止まるほか、ブロックノイズも発生。また、システムCは比較的スムースに動画が流れるものの、TD-SCDMA(MC)よりやや遅れて映像が再生されていた。
スループット測定は、インターネット上のスピード計測サイトによる結果が示された。スループットはTD-SCDMA(MC)の1.122Mbpsに対して、システムAが28kbps、システムBが158kbps、システムCが511kbpsを記録。また、TD-SCDMA(MC)では測定中のスループットが安定している点も特徴だという。
なお、TD-SCDMA(MC)は実証実験のために利用する端末がイー・アクセス内の端末に限られるのに対して、今回比較に用いられたシステムA/B/Cはいずれも商用サービスで、一般ユーザーが同時に利用している。このため測定結果は一慨に比較できるものではないが、諸橋氏は「システムA/B/Cはさまざまな時間帯や曜日で測定しており、平均的な実効速度を示している」と補足した。
TD-SCDMA(MC)のスループット測定結果
システムAの測定結果
システムBの測定結果
システムCの測定結果
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時速40kmで1Mbps超を実現
今後の実証実験エリア拡大予定
デモではこのほかにもMicrosoft NetMeetingをを利用した音声通話実験や、車で走行中のスループット測定結果が紹介された。イー・アクセスの井桁節哉氏によれば、時速40kmで走行時にも、1Mbpsを超えるスループットが測定できたほか、動画も安定した視聴が可能だったという。
イー・アクセスでは今後、四谷と渋谷に基地局を増設してハンドオーバーなどの実証実験も行なう予定。諸橋氏は「エリアが広がることで実験の内容にも柔軟性が出せる」と語った。
NetMeetingを利用した音声通話デモ
時速40kmで走行中のストリーミング視聴デモ
実証実験で利用する端末
impress.TVを700kbps、画面サイズ大で視聴。スムースに再生できた
イー・アクセス本社屋上に設置されたアンテナ
屋上の基地局設備。アンテナとセットで設置する必要がある
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URL
イー・アクセス
http://www.eaccess.net/
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(甲斐祐樹)
2004/06/14 18:01
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