■フレッツADSLにした大雑把で抽象的な理由
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仕事環境は安全確実第一! というわけで老舗や定番や大企業に頼りがちな拙者であった |
俺の場合、今年の7月半ばまではISDN(1B)でインターネットに接続していた。で、それ以降はフレッツADSLで接続。フレッツADSLにするまでには、地元のCATVのインターネット接続サービスや、あるいは某プロバイダーのADSL利用も考えたが、自分自身ADSLに関してまだ知識が乏しかったし、また、世の中的にADSLが普及し始めたばかりなので、ちょいと様子見モード。でもNTTが本腰入れ始めたってことで、加入したのであった。
ちなみに、ちょいと保守的でありかつ私事的なコトを話すと、俺の場合は長く使うであろう各種サービスや物理的なツール類まで、多くの状況で“長い物に巻かれたい派”である。ぶっちゃけた話、大企業や老舗や定番を選ぶ。その方がユーザーや周辺情報や関連機器・製品が多く、ユーザーとして安心してコトを進められるからだ。そういう意味で、NTTとかMicrosoftとかIBMとか東芝とか他一連の大企業が提供するサービス・製品が非常に好き。あるいはオモシロミには欠けるかもしれないしオイシサにも欠ける場合があるかもしれないのだが、結局はそーゆー大御所が大好き。一ユーザーとして見ると、やはり頼り甲斐ありまくりだからだ。
例えば、そういう大御所のサービス・製品には、多くのユーザーが集まる。初心者からプロまでが集まる。なので、そんな各レベルのユーザーに対する情報=浅いところから深いところまでの情報が十分に出る。また、ユーザーが多いので、問題の発生というか問題が浮かび上がるのが早い。ユーザーによるデバッグが高速で行われると言い換えられるが、ともあれ、うるさいお客の総数が多いと、サービス・製品はそれだけ速くよくブラッシュアップされる。結果、デフォルトで多くのユーザーが集まる大御所のサービス・製品は、登場後比較的に速攻で安心して使えるようになる。もちろん、そうならないケースもあるが、総じてやっぱり結局ユーザーが多いサービス・製品は、そうじゃないサービス・製品と比べるとヒジョーに安心・有利・問題なく使えがちだ。
細かい点の有利さメリットや、いろいろな角度から見た便利さ良さを見ると、有名でもなく大きくもない企業が提供する製品・サービスにも強い魅力を感じたりする。例えば安さや珍しさやひとつの機能の強力さに魅力を感じ、そういった企業の製品・サービスを使うことも、もちろんある。のだが、それは遊び半分や趣味ベースでのこと。
必要性よりも趣味性に重きを置くなら、他とは違った強い個性やメリットを持つ製品・サービスがイイしおもしろい。その製品・サービス自体に目を向けているからだ。が、ADSLサービスや仕事用パソコンには、ADSLやパソコンのその先にあるものが重要だ。当然のことだが、そのサービスや製品を使って得られる結果が重要なのであり、サービスや製品には“得られる物事”を“しっかり得られる”ような安定性や安心感を望む。ADSLをおもしろがるんじゃなくて、データをADSL経由で高速に送受信したいのだ。パソコンで楽しむんじゃなくて、パソコンによって仕事の効率を高めたいわけだ。
だから、そのツールとしての安定性、有利さ、面倒のなさ、そんな総合的な利便を見込んでフレッツADSLにしたのであり、プロバイダーはIIJなのであって、OSはWindowsなのである。あと牛丼は吉野家でありティッシュは……え? んなこたぁ聞いてない!?
蛇足だが、ユーザーの人数がかな~り限られるような、比較的にマニアックなサービス・製品も実は好きな俺、そーゆーモノも多く使ってきた。で、結局のところは趣味的には実にオモシロいしサイコーなのだが、そういうサービス・製品が長年使えたかというと、我ながら甚だ疑問っていうかハッキリ言って短命なものが多い。
例えば、これは斬新だし普及すればスゴいことになるかも的な新機軸サービスに加入すると、多くは、何年後かに業者から「長らくご利用いただきましてありがとうございました。本サービス(あるいはソフトウェア)の提供は○年○月○日をもって終了とさせていただきます……云々」とかいう手紙(あるいはメール)によって消滅してしまうのである。俺はこーゆーコトで何本のソフトウェアを諦めたろうか!! いくつのサービスを提供されなくなったろうか!! でも趣味的に使っておもしろがっただけだからイイんですけどネ。
ハードウェアなんかはもっとそういう傾向が強い。モノとしてソコに存在し続けるから何となく安心できるよーな気もするが、実質上、使い物になんなくなっちゃうハードは非常に多い。例えば定番であって普通であって当たり前であって売れ線だったりするパソコン周辺機器なんかは、OSのアップデートがあったりしても、しっかり最新のドライバが供給される。一方、定番でも普通でもない珍品的でマニア寄りの製品の多くは、ドライバのアップデートなんか全然されなかったりして、最新OS対応のドライバさえ出れば使い続けられるのに今ではお蔵入りしまくり中って製品を多々――風変わりなリムーバブルドライブ!! プリンタ・スキャナ・コピー機という複合マシン!! DOSから動かす愉快なPCカード!! などなど現状では実用性ゼロと言えるハードウェアをすげぇたくさん持っているけど残念な俺……って、あれれ、話がなんかヘンな方向に行ってますな。つまらねえ俺の私事はこのあたりでよして、現在使用中のADSLの話を、具体的に。
■ISDNとADSLの違い
話を戻して、俺はISDNからフレッツADSLに乗り換えたクチである。で、ISDNとADSLの技術的な違いはムツカシーことをよーく知っている方々に書いてもらうとして、単なるパソコン野郎としてそれらの違いを言うなれば、単純に“ADSLは得する”ということだ。
ISDN(1B)は64kbps、ADSLはかなり遅くとも300~400kbps以上の通信速度。同じデータを入手するのにかかる時間は、当然ADSLの方が圧倒的に短い。タイムイズマネーとかいう言葉が示すように、データなんざぁ短時間で手に入れられる方がいいに決まってる。人生の一部を待ち時間として費すことが少なくなるからだ。ADSLにして、浪費していた待ち時間をなくし、その分できた時間でアルバイトに出かければ、ほらネ、ADSLにしたから賃金得られたってことで得するでしょ!! ってなんか我ながらインチキっぽい理屈である上に仕事ばかりの人生って感じで逆にイヤですな。
ADSLは、メールやウェブを使うには十分に速い通信速度が出る。動画をガンガン観ようってんなら別だが、XGAサイズ程度のデジカメ画像が添付されたメールの送受信や、一般の画像入りウェブページ閲覧をするなら、ほとんどの人が「十分に快適」だと感じる速度だろう。
テキストベースのページをADSL経由で表示させると、多くの場合はパッ!! てな感じで一瞬で表示される。ISDNユーザーにとっては「重い」と評判の本サイトのトップページであっても、(スループット約640kbpsの俺の場合は)いつも10秒以内で表示完了。この速さはヒジョーに気持ちよいのだが、その一方で「せっかくADSLなのに……」という妙な気分にもなる。それは、つまり、多くのウェブページへのアクセスにおいて、ADSLは十二分いや二五六分くらい速く、すなわち速過ぎとも言える。
これは、ハイエンドパソコンで原稿を書いている時の気持ちと似ている。いや、スポーツカーで裏路地をトロトロ走る時のような気持ちだ。いやいや、満充電にした32本のニッケル水素電池が自然放電していくような気持ちだ。……違う!! 激空腹時にコンビニ行ったらおにぎりとサンドイッチとカップ麺と、あとどーせだからお弁当と烏龍茶とコーヒー牛乳とポテチとチョコ買ったけどサンドイッチだけでお腹いっぱいになっちゃったときのような気分……ああっ全然違ってきた!! なので最初のハイエンドパソコンで原稿書きの事例に戻っていきたい!!
すなわち、Pentium IIIの1GHzオーバーのマシンなのに、俺の原稿記述速度は実に遅くて遅くて遅くて全然1GHzのプロセッサなんか要らないじゃんCPU使用率2%じゃんPentium IIIがモッタイナイじゃん!! だってキーボード叩いている時以外はマシンも肉体も静止中で脳味噌だけ動いてるからネ、みたいな。ADSLと一般的なウェブページ閲覧もそうで、そのページに目を通している時はADSLの速度は全然生かされちゃいねえのである。ADSLモデムのLED(データ送受信中にピカピカ光るアレだヨ!!)は消灯中。ああっ、せっかくADSLを使っているっちゅーのに、その通信速度を十分生かしきれていない自分が残念!! ADSLの帯域幅がもったいない!! 誰かにこの余った帯域をお裾分けしたい気持ち!! ISDN使用中にはまるでなかったミョーな使用感だ。
■帯域いっぱい使い倒そう!!
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NTT-MEのMN128-SOHO PAL B&I。1台でADSLとISDNが利用可能。SOHO環境で、FAXと電話のISDN回線はそのままで、ADSLをタイプ2で導入するような場合に便利なルータだ |
で、さて、ここからが本題。本題であると同時に、フツーはADSLを導入する前に考えたり思いついたりすることとも言えるが、ともあれ、前述のミョーな使用感はすげー簡単かつお得な感じで解消できた。書くのが申し訳ないくらい単純なことなのだが、要するに、複数のマシンでADSLを共用するということだ。
俺っていうかウチの場合、ADSL導入以前は、家族の者がそれぞれ別の通信環境を持っていた。大雑把に言えば合計2つの通信環境。両方ともISDNで、それぞれISDN・TA・パソコンを接続した環境。回線とTAとパソコンで、2セットあった。
家庭内LAN組んでTAや回線を共有するってテもある。が、俺がほとんど一日中パソコンも回線も使いまくりなので、そこに家族の者が入り込むと、通信速度的に激不便になったり重要な通話ができなくなったり、という不都合が簡単に予測された。イライラがつきまといそう……と思い、快適さを求めてTAや回線に余分な金を払っていた感じ。そのあたりの料金について半ば諦めていた感じもあって、プロバイダーへの契約も面倒臭いから別々でいーやといういい加減さを発揮し、ふたつの通信環境でそれぞれ別に契約していた。
しかし、ADSLにしたら、これらの問題がスッキリと片づいた。これも単純なことで、ADSLモデムにつながったルータ(MN128-SOHO PAL B&I)に、2台のパソコンを接続しただけ。これで、1本のADSL回線を、2台のパソコンで共有できるようになった。
また、別々に契約していたプロバイダーの片方を解約。同時に新たなメールアカウントをひとつ加えて設定。これに関しては、ADSLとかISDNにあんまり関係ないコトではある。が、MN128-SOHO PAL B&I(ルータ)経由でプロバイダー(インターネット)に接続する場合、ルータへ設定するアカウントはひとつだけ。なので、ふたつあったアカウントは、以前にましてさらに意味を持たなくなったということであり、同時にADSLにしたんだからキッチリと(プロバイダーに払うお金を)節約しましょうてなわけで、今さらながら整理したという感じだ。
ADSLユーザーとなってからは、一家に1本のADSL回線で、一家にひとつのプロバイダー契約で、それでも複数のマシンから十分快適にインターネットへ接続できている。ADSLの帯域のもったいない感と、ルータによるアカウントの一元管理ができ、通信環境的にも料金的にもスッキリした。
■1本の回線を複数マシンで使うと……
俺のADSL環境では、その平均スループットは約640kbpsあり、現在のところこの回線を3台のマシンでシェアして使っている。単純な話、640kbpsの回線を3台のマシンで同時に使用すると、大雑把に1台について約213kbpsのスループットが得られる計算だ。
実際に、よ~いドン!! で、それぞれのマシンから同じスループット計測サイトにアクセスしてスループットを測ってみると、個々のマシンでだいたい200kbps前後のスループットが出ている。……200kbpsじゃあ遅くないですか!? なんてなことも少々思う。
例えば、3台のマシンでそれぞれ、動画を閲覧中、ネットワークゲームをプレイ中、Windowsアップデート実行中、てなことになると、ADSLの有り難みが薄れる。アクション系ネットワークゲームやってるときには動画閲覧禁止!! 動きが鈍るからファイルのダウンロードも禁止!! とかいう世知辛い通信環境になるかナ!? と。
しかし実際は、3台のマシンから同時に重いコンテンツにアクセスするなんてなコトはほとんどない。まああくまでもウチの場合だが、フツー的家庭においては、複数のユーザーが同時にネットを使うってことの方が少ないと思える。さらに同時に動画を閲覧なんてことはもっと少ない。
ひとつのマシンでメールの送受信、あと2台のマシンでウェブページ閲覧、とかって状況はたまーにある。が、結局、メールの送受信は多くの場合非常に短時間で済み、ウェブページの閲覧に関してもページをダウンロードしている時間よりも読んでいる時間(ADSL回線にデータが流れない時間)の方がずっと長い。なので、現実的には、3台のマシンが同時にADSL回線を使うことはあまり……いやほとんどナイのであった。
なので、フツーの家庭において、ADSL回線を複数ユーザーでシェアするのはすげー現実的だと思う。感覚としては、それぞれのユーザーが1本のADSL回線を独占して使っているという速度的な印象が強いのではなかろうか。
逆に、ダウンロードマニアがいるご家庭とか、ネットゲーム野郎がいるオウチとか、そーゆー、少々フツーじゃないご家庭だと、ADSL回線を複数ユーザーでシェアすると「やっぱり複数人数で使うと遅いネ」という印象になるかもしれない。ダウンロードマニアやネットゲーム野郎が複数人数いるご家庭の場合、「オレがゲームやってる時にダウンロードすんなよな!!」とかいうもめ事が起きるかも知れない。アクション系ネットワークゲームマニア3兄弟がいるご家庭では、結局3回線のADSLを契約することになるかもしれない。
加えて、小規模オフィスでADSL回線をシェアするのも、業種によってはその快適さが大きく違うよーな気がする。メンバーそれぞれが、同じ時間に同じよーに行動するオフィスだと、遅く感じるかも。始業前や昼休みや終業直前あたりになるとみーんな急にウェブ見たりメールしたりする、的なオフィスだとシェアは現実的ではない、かも。一方、就業時間帯も仕事内容もバラバラのオフィスなら、快適かも。バイトくんは朝早くから来てて、メインのスタッフは午前中からバリバリ働いて、シャチョーは午後来て夜遅くまでいる、みたいな、いわば小規模編集プロダクションみたいなオフィスなら、けっこー快適、かも。……なんてなことを思った、複数ユーザーでのADSL回線共有の実使用感であった。
□フレッツ・ADSLサービス情報
http://www.ntt-east.co.jp/flets/
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2001/11/13)
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