■ADSLが変えた俺の生活
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ADSLを使い始めて、ネット利用に心のゆとりが! |
ISDN(1B)のダイヤルアップ接続、INSテレホーダイの利用、それからフレッツISDNへの加入。俺の通信環境は徐々に低料金に、そして徐々に使いやすく変わってきた。と同時に、ネットユーザーとしての意識も変わった。実際はそうではないかもしれないが、ネットっつーモンはブロードキャストされる電波を視聴するように、受信機すなわち端末と通信回線さえあればアクセスできる、そこにある当たり前の存在なのダ、と感じるように。
会員制のラウンジのように、入口に黒服がふたり立っていて、そこを通り抜けて入るにはそれなりの料金や契約が必要、という感覚だったインターネットであった。しかしここ数年で、実はそうではなく、公園のベンチのように、誰でも入って座れるし、そうすることに何ら敷居はない、というイメージが強くなった。もちろん、公園に行くために服を着たり乗り物を使ったりするように、それなりの用意や経費は居るが、ネット自体は開かれた空間なのだという意識がより強くなったわけだ。
で、そんな空間へのアクセス。徒歩で行くより自転車で、自転車よりもタクシーで行なった方がラクに公園へ行けるように、ネットへのアクセスも速いほうがイイ!! 通信回線は速度命!! 速さがあれば目的をよりイージーに達成できるのダ!! という了見の狭い心意気で、俺はADSLを導入した。もちっと歳をとっていれば、「歩いて行っても公園にはつく。ゆっくり行くときだけ見える風景もあるんじゃよ」とかいった指向でフレッツISDNで良しとしていたかもしれないが、とにかく現在は通信速度的欲望大増幅であって年寄りの話にゃ耳傾けてるヒマねえんだよ悪ぃなじいさんという勢いで、フレッツADSLを導入したのであった。
フレッツADSLの速度的使用感については、本連載のバックナンバーでもさんざん述べているので割愛する。ISDNに比べたら別モンの速さであり実に気持ちイーということである。また、ADSLの通信速度は、場合によっては企業で使う専用線よりも速度的な快適さがあるらしい。企業が使う専用線は多人数で使うのに十分な通信速度があるものの、それを一気に多人数で使うと、一人一人のスループットは意外なほど低下する(ケースがわりと多い)らしい。
ともあれ、ADSLを導入後、俺の通信環境における通信速度は、64kbpsから一気に640kbps前後へと向上。速度的にヒジョーに快適になって、つまり気持ち良くなったということ以外に、多くの点で俺の生活……というよりもコンピューティングスタイルが変わった。
■全然ムカムカしないんです
ISDN時代の俺は、ネット利用時にややムカつきがちだった。ページ表示が遅くてムカつくゼ!! という単純な苛立ちもあったが、それよりも自分のエゴがたびたび頭をもたげた感覚が強い。
例えば、ハードウェアメーカーのウェブサイトなんかを見た時。ISDNを使っていた頃は、まあ多くのページは何ら問題なく普通に表示されるわけだが、凝ったデザインで画像が多いページとか、あるいはショックウェーブなど動画・音声のギミック多用のページとか、そういう“ISDNではやや重いページ”に出くわすと、ムカツキ率が高まった。
おもしろい表示や説得力があるグラフィックなどなら、「なるほど、ふーん」と納得できるのだ。が、さんざんデータを読み込まされた挙げ句、どーでもいいし糞おもしろくも何ともねえ表示結果となると、「ふーざけんなふざけんなふーざけんな!! 俺様の大切な時間をテメェんトコのくだらねー表示に費やしやがって!!」という怒りが生まれたりする。こういうイラつき、いったい誰が悪いのかと言えば、結局、俺が悪いと言える。
ページを公開している個人なり企業なりは、嫌がらせが目的ではない。ごく希にどう考えても嫌がらせをやろーとしているよーなページもあるにはあるが、ほとんどのページは、エンタテイメント指向やボランティア指向や商売指向(好奇心ソソり指向とも言える)を持ち、サービス精神旺盛かつ無料で情報を提供しているのだ。それを見てムカつき、因縁付けるなんて!! ダメじゃん>俺。というわけである。
しかし、ムカつくのは事実だ。なら、どうしてムカつくのか? それは前述のように“自分の時間を勝手に消費された気がする”からだ。なんで消費された気がするかと言えば、表示されるのを期待して待っていたからだ。なぜ待っていたかと言えば、通信速度が遅いからである。ならば、通信速度が速ければ、ムカつかないとでも言うのかよオイ>俺!!
そうなんです!! ムカつかないんです!! フレッツADSLにしてからというもの、“表示が遅くてイラつく”ってことがない。もちろん通信速度が十分に速いからであり、多くのページを一瞬感覚で表示できるからだ。表示が速いと、見るだけムダであってすげーくだらねーと思えるページでも、ストレスがたまらない。「いろんなページがあるんだなぁ」とか「ヘンな人がいるんだなぁ」程度の、まったく穏和で懐の深い気持ちになれちまうのである。糞くだらねえグラフィックやCPUが汚れそうなほどダメなムービーを見ても、自分の時間を浪費されたなんて気分には全然なんないのである。「ああそうですか」と受け流せる余裕があるのだ。
何となく、遅いクルマと速いクルマの違いに似ている。遅いクルマに乗ってると、追い越されたり煽られたりするたびに「こんにゃろ~」とか「何をぉ~」と思ってカチンとキて無理に競り合ったりしがちだ。が、速いクルマに乗ってると「ずいぶん飛ばすなぁ」とか「急いでるらしい」と思ってスンナリ道を譲ったりする。コンプレックスとかストレスとか余計な妄想があるから過剰に反応するのであり、十分な余裕があるから受け流せるのだろう。
ADSLを使い始めてから、ネット利用に関して、そんなゆったりした心の余裕が得られたような気がしてならない。
■実務上の姿勢もかなり変わった
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Internet Explorer 5.0以後で利用できる拡張モジュール「GoogleToolbar」。これが非常に便利!! |
やはり通信速度は速いほうがいい。ADSLの十二分な通信速度を得てから、それまで些細な敷居の高さを感じて行なわなかったことも、非常に積極的に行なうようになった。
例えば、より頻繁かつ前向きに調べものをするようになった。単純な話、サーチエンジンの積極活用だ。もちろん、以前からサーチエンジンには超お世話になっていたが、サーチエンジンを使った後のステップに“面倒な感じ”がつきまとっていた。
サーチエンジンでキーワード検索すると、キーワードに該当するページがたくさんリストアップされる。ひとつのページだけで目的の情報が得られれば良いが、たいていは、いくつかのページにアクセスし、ようやく目的の情報に辿り着ける。わざわざ書くのもナンだが、その手順は、[サーチエンジンの使用]→[リンク先ページへのアクセス]→[読む]→[イマイチ]→[また別のページへアクセス]、となる。目的の情報が見つかるまで、[リンク先ページへのアクセス]→[読む]→[イマイチ]→[また別のページへアクセス]、という操作の繰り返しになる。サーチエンジン使用後は、個別のページへのアクセスを繰り返すわけだ。
で、ISDNなど遅めの通信速度でのアクセスだと、この“個別のページへのアクセスを繰り返す”ことに、かなりの時間がかかる。また、「このページにはきっと載ってるだろう」という期待とともにアクセスするわけで、結果、その期待は何度も裏切られがちだ。まあこのあたりはサーチエンジンの使い方次第で快適になるものの、それでもやや特殊なキーワードでの検索となると一発でヒット!! ということにはなりにくい。
人に聞いたり書籍を調べたり辞書を引いたりすることを考えれば、サーチエンジンは非常に便利に使えるオールマイティな百科事典ではあるが、ウェブページを表示するのが遅い環境だと、結局物事を調べるのにある程度時間がかかり、ストレスがたまる。それがわかっているので「サーチエンジンって便利だけど、サーチエンジン使うの面倒だからいいや」という気分になりがちであった……かつては。
だが、ページの表示が十分速いとなると、サーチエンジンが手軽な巨大百科事典に見えてくる。何百のもURLが表示されても、それをウィンドウからウィンドウへドラッグ&ドロップするだけで、パパパパッとページが現れる。デカいgifタイトルの表示を待っていたらその結果出てきた文字列が「工事中」であってもガックリすることがない。「はいはい、ココはダメね、次!!」というテンポの良さで目的の情報を探し続けられるのだ。
話は逸れるが、サーチエンジンと言えば、最近のGoogleはすげー勢いで便利化が進んでますな。元々、表示も動作も非常に軽いサーチエンジンなので愛用していたが、最近新たにリリースされたGoogleToolbarってのが非常に便利。これはInternet Explorer ver.5以降に使える、IE用の拡張モジュールだ。これをインストールすると、IE上にGoogleのキーワード入力スペースが現れ、GoogleのホームへアクセスせずともGoogleの検索機能が使えるのだ。Googleのホームを表示させる、という操作を省略できるので、ADSLユーザーにはもちろん、ISDNユーザーにはことのほか有利なソフトウェアなんじゃぁなかろうか。
それから、Googleのイメージ検索も凄い。使い方は一般的なサーチエンジンのキーワード検索と同じだが、検索結果として写真類が表示される。例えば「宇多田ヒカルってどんな顔だっけ?」とか思った場合(←思わねーよ普通>俺)、キーワードとして“宇多田ヒカル”を入れて検索すると、宇多田ヒカルの顔写真が何枚もドバーッと表示されたりする。ちなみに今実際に検索してみたら、638件の画像が見つかった。さすが超有名な日本の歌姫。さておき、検索結果としてサムネイル状の画像が表示されるので、ISDNユーザーだと「少々重い」と思うかも。ADSLユーザーならすげー実用的な機能だと言えよう。
■ADSLでファイルもスッキリ
やや細かいことであり、比較的に私事ではあるが、ADSLを使うようになってから、ローカルディスク上にファイルをため込まなくなったってのもある。ISDNの時は「コレもアレもソレも」といろんなファイルをHDD上に保存していたが、現在はそうゆーコトをしなくなった。
具体的には、例えばフリーウェア・シェアウェアをローカルHDD上に保存しなくなった。ISDNを使っていた頃は、例えば1MBとか2MBのソフトウェアをダウンロードするのにけっこー時間がかかったので、一度ダウンロードしたソフトウェア類は「再度コレが必要になった時にまたダウンロードするのがかったりぃから」という理由で、しっかり整理してHDD上に保存していた。
だが、ADSLにしてからは、「たぶん近々必要になるから」ってことでHDD上に確保しておくということは全然しなくなった。ADSLなら、1MBや2MBのソフトウェアなら十数秒程度でダウンロードできるので、必要になった時にネットから取り出せばいい。ローカルHDD上に使っていないソフトウェアがあると邪魔ってのもあるが、それ以上に、必要な時にダウンロードすればいつでも最新版が使えて何かと都合が良いのだ。
ハードウェアのデバイスドライバの類もそうだ。必要な時にネットで探してダウンロードすれば、やっぱりいつでも最新版にありつけがち。マイナーな企業のマイナーなハードウェアだと、デバイスドライバが置かれたサイトごと消えたりするので、何から何までネット依存ってのは、多少危ないかもしれない。でもメジャーどころのデバイスドライバならおおむね大丈夫と言えよう。
ISDNを使っていた頃は、ダウンロードに時間がかかる=せっかく時間を使って手に入れたソフトやファイル、ということで、何から何までローカルHDD上にキッチリ整理・保存していたが、ADSLを使う現在、俺のHDD上にはそーゆー使用頻度の低いファイルは全然ないのであり、とてもスッキリ!!
それから、非常に細かい話だが、URLもためこまなくなった。つまり、お気に入りからどんどん削除しがちになった。もちろん、毎日のようにアクセスするページのURLは登録しておくが、「けっこー良さそうなページゆえいつか見るかもしれないから一応登録しておこう」ってコトをまるでしなくなった。これもやはり、通信速度が十分高いゆえ、サーチエンジンからのページ探索を手早く行なえるからのことである。
あとは、Windows Updateを以前よりもずっと頻繁に行なうようになった。Windowsマシンのスタートメニューをクリックすると、上の方にある“Windowsのオンラインアップデート機能”の使用である。
ISDNの時は、これをほんのたまにしか行なわなかった。Windows UpdateでIEのバージョンアップなんかすると、最初は数分で終わると見せかけて、実は30分以上かかったりする。セキュリティ上の脆弱性を克服する意味でも、OSをより安定させる意味でも、Windows Updateはやっといたほーがいい処理なのだが、時間がかかるというイメージが強くてついつい怠りがちだった。が、ADSLならほとんどのUpdate処理をサクサクッと短時間で終えられる。やる気になる。そして実際にUpdateを頻繁にする。と、Windows上の細かな機能がちょいと便利になったり、IEがブラウザクラッシャーに対してタフになったり、Outlookがウィルスかなんかと思われるexeファイルを自動的に無効化してくれたりするようになる。
てなわけで、ADSLを使い始めてから、単に通信速度が超っ速になってキモチイーというだけでなく、ネットに対する姿勢や、あるいはコンピューティングスタイルまで変わってきた俺なのであった。
□フレッツ・ADSLサービス情報
http://www.ntt-east.co.jp/flets/
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2001/12/11)
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