■まだビミョーにこだわっている拙者です
去年の7月半ばにADSLが開通し、それから現在まで、フレッツADSLを快適に使っている拙者。モデム接続→ISDN接続→ISDNテレホーダイでの接続→そしてフレッツISDNでの常時接続、さらにはADSLでのヒジョーに高速な常時接続環境へ、思えばまったくもってとても最強にすこぶる快適な通信環境になったモンだなぁ……とは思う。
だが、しかし。まだ少しこだわっている。“だが!! しかしッ!!”とまでは迫力がないけれど、“だが、しかし”程度の意気込みでこだわっているコトと言えば、やはりADSLユーザーの大きな関心事であるスループット値だ。
俺の場合、1.5MタイプのADSL接続である。1.5Mタイプで1200kbpsくらいのスループット値が出ていれば、スループット値にこだわることはない。そこまで出れば十分にオーケーだと言えよう。1000kbpsくらいでもこだわるほど低い値じゃないと思われる。900kbpsでもまあいいかって気になるような気がする。のだが、俺の場合、だいたい630~660kbps程度なのだ。1.5Mタイプの最高(下り)スループット値の半分以下。もーちょっとどーにかなんないモンだろーか、とこだわりがちな、わりと残念感の高い数値なのである。
でも、俺の場合は、ウェブページの表示とか、メールの送受信とか、たまーに動画のストリーム受信とかする程度。なので、600kbpsくらいでも特に問題があるわけじゃない。より速いに越したことはないが、この程度のスループット値でも実用上は便利だし快適だと感じられるのだ。
でもでも、論理上の最大下りスループットの半分以下ってのは、どうも利用料金の半分がどっかに消えちまってるような、そんな、なんか、えーと、完全に閉まらなくてポタポタ水滴が落ち続ける水道のような、あるいは窓の隙間から吹き込む暖房中の室内への冷気のような、そんな「もったいないなぁ」的な残念感がある。
ところで、この残念感は、俺とゆー怠惰なヤツに、意外なほどの行動力をもたらした。それは、こまめなスループット値計測習慣である。もうちょっとスループット値上がらないかなぁ……ひょっとしたら本日いきなり突然超ッ速になってるかも!? てな希望を前述の残念感が増幅し、俺は毎日のようにスループット値を計測するようになった。その結果が以下のグラフである。
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昨年9月以後はほぼ毎日計測。おおむね630~670kbpsで、安定しているとも言える |
■めざせ750kbpsオーバー!!
って、いきなりセコい目標を掲げた小見出しだが、俺としてはスループット値が750kbpsを超えれば「まあいいや」と思えそうなのだ。1.5Mのサービスで、その半分までスループットが出れば、まあいいやっていうかしょうがないかなぁ、みたいな。
ともあれ、さっきの表をご覧頂くと、たぶん全然面白くないフィーリングになると思うが、俺のスループットは妙にリアルで現実的で平凡なのだ。状態が良い時で約670kbps、イマイチの状態だと約630kbps、時々最悪の状態となって400kbps前後、のスループット。たまーに最高で絶好調の状態になって900kbps出たりすることが全然ないあたり、夢も希望もない完全にリアルな現実という感じがしまくりだ。
以前はADSLユーザーに会うたびに「スループットを上げる方法ってなんかないですかね~」と質問していた。そして得られるヒントはすべて実行した。たとえ10kbpsでも、いや、1kbpsでも、スループット値が稼げれば御の字だゼ!! って感じで、この連載でもいくつかご紹介したように、いろいろ試した。
ADSLモデム電源周辺のノイズ除去――たこ足配線の廃止から始まってADSLモデムの設置位置の工夫、各種ケーブルをできるだけ短くするようにもした。WindowsのMTU値を調整するとイイって話を聞いて試した……が、どーも拙者の環境ことWindows2000には無用の小細工だと判明。スプリッタを外してADSLモデムとモジュラーケーブル(アナログ回線)を直接接続すると速くなるらしいってことで、試してみたが、ほとんど全然変化ナシ。
ちょいと効果があったと思えるのは、ADSLモデムの電源をOFFにして、モデムが行うフォールバックの初期化(9月25日掲載分参照)について。急激にスループット値が低下した時はフォールバックによる速度低下を疑うべきで、これを解消するにはADSLモデムの電源をOFFにして(数分待ってから)再度ONにするといつもの速度に戻ることが多い。加えて、このADSLモデム電源OFF・ONは、真夜中などの比較的にノイズが減りがちが時間帯にやった方がいいようだ。
外にはクルマが走り回り、たぶん各家庭でテレビとかエアコンとかパソコンとかファミコンとかラジコンとかを使いまくりの時間帯(午後から夜あたりですな)なんかだと、ADSLモデム電源OFF・ONによるフォールバック機能初期化の効果が薄いことが多いようだ。逆に、多くの電気製品がOFFになる時間帯っていうか人間が活動しないから電気製品も使われないゆえノイズが減る真夜中などに、ADSLモデム電源OFF・ONをやると、フォールバック機能によるスループット値上限が高くなるようで、自分の環境での平均的なスループット値よりも高めの値が出ることが多い。
でまあ、細かな工夫をし、たびたびのADSLモデム電源OFF・ONをやって、そして出てくるのがだいたい630~660kbps程度という俺の環境におけるスループット値。具体的には、しばらく使っているとある時630kbps程度にまでスループット値が落ち込み、そこでADSLモデム電源OFF・ONをやって、660kbps程度までスループット値が上がり、そして1週間から10日程度使っているとまた630kbps程度になり……という繰り返し。そんな行動から出てきた630~660kbps程度というスループット値なのであった。
■む。むむ。むむむむッ!! そうかもしんない!!
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ADSL普及とともに、家電量販店などでもツイストペアケーブルが入手できるようになった |
もう俺のスループット値なんか上がりもしねえし下がりもしねえや。ケッ。まあ下がんねえだけ有り難いと思うしかな……えっ!? ナンですってクドーさん!! そそそ、それは確かにそうかもしれませんよ!!
と、ADSLのスループット値に対して徐々に平坦っつーかつまんねー気持ちになりつつあった俺を急に熱くさせたのは、本連載担当編集のお姉様ことクドーさんのご指摘であった。
「あーなんかスタパさんちはADSLモデムからモジュラージャックまでの距離長いみたいっスねー。もしかしたらツイストペアのモジュラーケーブル使うとイイかもしれないっスよ!! ツイストペアってノイズに強いっスからね~」てなご意見。
む!! 確かに確かに確かに!! ツイストペア線と言えばLANっていうか10BASE-Tなんかのデータ線にも使われているタイプの導線!! 2本の線がよじって(撚って)あるからツイスト。電気的な細かいコトはわからんが、撚った導線ってのは外部からのノイズの侵入を防ぐらしい。そして現在使っているモジュラーケーブルは普通一般のものだ。コレの中にも2本(もしくは4本)の導線が入っているが、それぞれの導線は平行に並んでいるだけ。ぶっちゃけた話、アンテナみたいなモンらしく、ノイズを簡単に拾っちまうらしい。
そうかわかったコレだよコレ!! そう言われてみれば俺んちの場合はADSLモデムからモジュラージャックまでの距離が約20メートル!! この20メートルの間を普通のモジュラーケーブルすなわちアンテナ同様のノイズ拾いまくり導線を這わせている!! 危険危険!! 超危険だし大問題!! たっぷりとノイズを拾って俺のスループット値を低下させているに違いない!! そうだよきっとホントは750kbpsもある、いやいや、実は1000kbpsオーバーのスループット値を、この普通のモジュラーケーブルが630kbpsとか660kbpsに下げてるに違いないんだよふざけんじゃねえ冗談じゃねえスループット値返せ俺の1000kbps、いやいや実はたぶんきっと1394kbpsのスループットを返せーッ!!
ということで、超速攻でショップに出向いた瞬間に20メートルのツイストモジュラーケーブルを大購入!! これを使えば俺の環境における本来のスループットである1394kbps、いやいやいや、実は1499kbps(1kbpsくらいの損失なら許す!!)が計測されるハズだ!! って徐々に希望のスループット値を高めてんじゃねーよ>俺。
■とってもカンタ~ン!! 繋ぐだけっ!!
購入したツイストモジュラーケーブルは、エレコムの製品。型番はMJ-20Tというもので、これが20メートルのケーブルだ。パッケージには“高速通信対応”とか“外部ノイズの干渉を受けにくいツイストペアケーブル”とか“サビや信号劣化の心配がない金メッキピンを使用”などと書いてあって、ん~こりゃ期待できそう。ちなみに、長さ違いで5メートルのもの(MJ-5T)、10メートルのもの(MJ-10T)、15メートルのもの(MJ-15T)がある。
さぁコイツを使うぜ!! ってことで作業を始めたら即終了した。なんせ簡単な作業だ。このツイストモジュラーケーブルの一端を壁のモジュラージャックに、もう一端をADSLモデムに繋ぐだけ。1000円チョイの出費と10分程度の作業で最高660kbpsだったスループット値が1499kbpsまで上がるなんてまったくたまらんぜ嬉しいぜニヒヒヒヒ~という皮算用的気分でスループット値計測サイトにアクセース!!
そして!! お!! おおおおっ!! やったァ!! 見てくれこの凄まじいスループット値上昇を!! なななナンと!! 46784kbps!! すなわち約46Mbps!! だからソレはウェブブラウザのキャッシュにデータが残ってるからだよ>俺!! 前にもこのギャグ書いてたじゃんダメじゃん>俺!!
冷静になってリロードしてみると……げげげっ!! 何これマジかよふざけんじゃねぇよって感じの469kbps。スループット値が激低下!! 何度リロードしても460kbps程度なので、一応、ADSLモデム電源OFF・ONをやってみて、再度リロードしてみたら、あー良かった良かった663kbpsだ。ってかなんか前と同じよーな値なんですけど。
あるいは……と思って、夕方、夜、真夜中、明け方、と計測してみた。もちろんその都度ADSLモデム電源もOFF・ON。しかし、やはりスループット値は変化なし。時間帯によっては数kbps~10kbps程度の上下があるものの、ツイストモジュラーケーブルを使ったゆえって感じの目に見えるような効果はなかった。
その後、いろいろ試し、モジュラジャックからADSLモデムまでの距離をどうにか5メートルほど短くし、15メートルのツイストモジュラーケーブルを使って試してもみたが、残念ながら変化なし。結局のところ、俺の環境においては、フツーのモジュラーケーブルでもツイストペア線のツイストモジュラーケーブルでも、どっちを使ってもスループット値は変わらないっちゅー結果が出てしまった。あ~あ。いわば徒労に終わったのであった。
ただ、環境によってはツイストモジュラーケーブルを使って効果が出る場合もあるようだ。クドーさんちではけっこー効果があったと言うし、読者様からも「ウチではツイストモジュラーケーブルを使って大きくスループット値が上がりました!!」的なメールをいただいた。そんなケースでは、室内の、モジュラーケーブル周辺に漂っていたノイズがカットされてスループット値向上という効果をもたらしたのだろう。
ともあれ、ADSLユーザーの話を聞く限りでは、場合によってはツイストペア線を使ったモジュラーケーブルの使用が効果的なこともあるらしい。環境にもよるわけだが、ツイストモジュラーケーブル自体はけっこー出回っていて、価格もそんなに高くないので、試してみる価値はあるかもしれない。
で、結局、ウチの場合は、モジュラーケーブル周辺にすげー強力なノイズがあってツイストモジュラーケーブルでもノイズを受信しちゃってるか、あるいは、モジュラーケーブル周辺に大したノイズがなくてその先NTT方向のどこかにノイズ源があるとかいった状況なのであろー。んむ~……でも、まだ俺には新たなウェポンがあるのダ!! 次回は、そのいくつかを使って、ADSLモデムや回線に侵入するノイズを減らし、1499kbps……いやいや1394kbps……いやとりあえずは750kbpsを目指していきたい!! って弱気になってますな>俺。
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2002/02/12)
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