■ついにやった!! スループット値急上昇!!
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夢の1Mbps超!! ……と思ったら。一度でいいから1Mbpsを超えたい拙者は、これまであまり信用してなかったノイズフィルターを購入! |
みなさん!! ついにやりました!! 最高で671kbpsだったこの拙者のスループット値が!! これまでの倍以上の!! 何と1394kbpsになったんですよIEEE-1394の1394なんですよさすがファイヤワイヤー!! DV機器経由でADSLモデムをつないだ甲斐があったってもんだ!! PCカードスロットにはIEEE-1394カードがあってソコにはふたつのIEEE-1394コネクタがあるからこの両方につなげれば1394×2でえーとえーとえーとえーと……というやや複雑な計算をしようとしたら間もなく、久々の福々しくてシアワセで楽しくて嬉しい夢から覚めたっていうか、夢に見るほどスループット値の上昇を願っている俺なのであった。なーんだよのっけから夢落ちかよ読者様をナメるとノイズ発生させててめぇのスループット値下げるぞコラぁ>俺。
はぁ~あ。こないだのツイストペアモジュラーケーブル大作戦は見事に失敗して我が軍壊滅って感じだし、もう何しても上がんないのかも拙者のスループット値……ダメかもヘボかも終了かも。
……だいたいいつまでも630kbpsになっちゃったァ~とか660kbpsまで上がったゼーとかセコくて細かい数値に一喜一憂してるのも情けない。男なら割り切れ!! そうだ割り切ってADSLというモンは最高のスループットが660kbpsだと信じ込むんだ>俺!! ……むむ……む!! 喝!! よし信じ込んだ!!
ADSLは660kbpsがギリギリ限界の最高値!! そして時には671kbpsまで出ちゃう俺の環境ったら神をも恐れぬ最強の環境なのだ!! 奇跡の環境なのだ!! 凄い!! 凄過ぎる!! さぁ凄いぞ凄いぞハードに凄いぞ!! 通信するぞ通信するぞハードに通信するぞ!! この喜びを多くの通信愛好家にハードに伝えるべくBBSに書き込んでいきたい!! そしてADSL関連BBSを見た瞬間に“最大スループットは900kbps程度でぜひ1Mbpsを超えたいと思っています何かアドバイスください”とかいった書き込みを見て俺の脳内宗教は滅亡するのであった。
といった具合に、ネチネチかつジタバタしつつスループット値の向上を夢見る俺は、この一章の内容の如く、不毛なフィーリングであーでもないこーでもないと今日もやっぱり足掻き中なのである。
■これでダメならきっとダメ
ちょっとでもスループットが上がらんだろーかと考えるのが、日頃のクセとなっている俺は、あるいは!? と思う工夫を端から試しまくりなのだが、そろそろ工夫も試し尽くした感じ。だが、ひとつ試していなかったものがある。ノイズフィルターの類である。
最初からこんなコト言っちゃうのは拍子抜けかもしれないが、俺にとって、ADSLにおけるノイズフィルターの印象は良くない。本連載の『スループットが100kbps以上も謎の減速!!』の回にてノイズ対策のためにフェライトコアを使ったが全然効果なしだったし、さらに『またしてもスループットが低下!! 480kbpsに!』の回で書いているように、フェライトコアのノイズ除去伝説はヒジョーに疑わしいということ。フェライトコアはケーブルへのノイズの侵入を防ぐのではなくケーブルからノイズが外に漏れるのを防ぐことと、フェライトコアのノイズ対策性能自体がなーんとなく怪しいってことを知ったわけだ。……それにしても、この2回の連載のタイトル、どちらも脱力モンの情けなさですな。
さておき、ところが、パッケージで売られているフェライトコア系グッズの多くには、“ノイズ対策に効果的”とか“高速通信対応”とか書いてあるのだ。つまり、いかにもノイズを消して快適で安定した通信ができる製品かのように売られていたりして、すなわちソレってJAROに言うしかないでしょ的な胡散臭い煽り文句なのであって、要するにノイズフィルター関連製品ってのはその程度のモンだろ眉唾モンだろパチモンだろと思い込んでいる俺なのであった。
それだけではなく、ノイズフィルター付きのテーブルタップに裏切られたこともあった。『またしてもスループットが低下!! 480kbpsに!』の回で“ADSLモデムをタコ足配線のテーブルタップから離したらスループットが向上した”って話を書いたが、そのテーブルタップをノイズフィルター付きという製品にしたらスループットが下がったことがあった。ハッキリした原因はわからないものの、単なるテーブルタップをノイズフィルター付きテーブルタップに交換したらスループットが下がったあたり、怪しいのはノイズフィルターの存在と言えよう。あるいはそのノイズフィルター付きテーブルタップって製品が怒濤のパチモンだったのかもしれないが、ともあれ、俺にとってノイズフィルターってのはどーも信用ならないのであった。
そういう感じなのだが、でも、市場にはノイズ除去グッズが溢れていたりする。けっこー有名なメーカーが、けっこーなお値段でノイズ除去グッズを出していたりする。そこまで堂々と販売されると、溺れる者は藁をも掴むという心意気で、もう一度だけ、あと一度だけ、ノイズフィルター系の製品を試してみたくなってくる俺。コレでダメならもう何やってもダメってことにしよう、という割り切りのきっかけとしても、最後の最後、ノイズフィルターを使ってのスループット値向上に希望を託してみた!!
■夢と希望のノイズフィルター3種類
試したノイズフィルターは3種類。
ひとつは、コンセントからADSLモデムなどに伝わるノイズを除去する製品で、audio-technicaブランド(株式会社オーディオテクニカ)の『デュアル ノイズ フィルター・コンセント』(AT-NF1)。壁のコンセント差し込み口と、ADSLモデムやテーブルタップのACプラグの間に繋ぐ製品だ。このノイズフィルターの中にはふた組みのフェライトコアおよびコンデンサーが仕込まれていて、audio-technica最強の性能を誇り、デジタルノイズを最大1/2000(-66dB)に低減するのダ、てなことがパッケージに書かれている。
あとのふたつは両方ともMCOブランド(株式会社ミヨシ)の製品で、片方が『ISDN・ADSL対応ノイズフィルター』(NTF-22)。壁のモジュラープラグ(もしくはスプリッタ)とADSLモデムの間に挟み込むように配線する。
もう片方は『ネットワーク用ノイズフィルター』(ANF-L01)というもので、こちらはLAN用。コンピュータとADSLモデムの間をつなぐLANケーブルの途中に挟み込んで使う。ADSLモデム用のノイズ対策グッズというよりは、LAN用のノイズ対策グッズなのだが、この際そんなこたぁ関係ねぇんだよノイズフィルター全部試すんだよ俺はな!! という勢い余って買ってきてしまった。
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オーディオテクニカのデュアル ノイズフィルター・コンセント。標準価格2200円 |
ミヨシのモジュラーケーブル用のノイズフィルター(左、購入価格2980円)とLANケーブル用のノイズフィルター(右、同4980円) |
で、この3つのノイズフィルターを試していった。
具体的には、『デュアル ノイズ フィルター・コンセント』をA、『ISDN・ADSL対応ノイズフィルター』をB、そして『ネットワーク用ノイズフィルター』をCとして、それぞれの組み合わせを試した。組み合わせとしては、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、AとC、BとC、AとBとC、この7パターンになる。
なお、ノイズフィルターを一切使用しない状況での平均的なスループット値は約637kbps。あらかじめ何度も計測したが、637kbpsを中心として上下に3~4kbps程度の変動があるだけなので、まあ、低めながらも安定したスループット値になっているのだと思う。
さてさて、このスループット値がどーなるのか!? ノイズフィルターの効果が出てスループット値が急上昇したりするのか? あるいは裏目に出てスループット値が下がったりするのか!? その結果は次回に持ち越したりはせず、約3行下で大公開!! 驚きの事実が!! この後スグ!! URLはそのままで!!
■こりゃたまげた驚いた!!
前述の各組み合わせにおけるそれぞれの実験結果をご報告申し上げようと思ったのだが、比較的にアッサリとした結論となったので、おもむろにソレを申し上げたい。
結論!! 全部効果ナシ!! なァし!! 全然何にも、なァーし!!
この日の俺のスループット値である637kbpsは、ノイズフィルターをどんな組み合わせで接続しようが、おもしろいほど、全然上がりも下がりもしなかったのだ。
前述の7種類の組み合わせをひとつ試すたびに、ADSLモデムのフォールバックを解消するために電源を切り、一応何か影響があるかもという心配からルータもパソコンも電源を再投入した。なのでけっこー時間がかかって、結局4時間もかかっちまいましたよ4時間も!! なのに!! 何もナシ!! 全然ナシ!! 喜怒哀楽まったくナシ!! 逆に、あまりの意外さにこりゃたまげた驚いたという心境である。
この実験の技術的・論理的な正当性ってことについては、俺なんざぁシロートだからわかりゃしねえ。そんなこたぁ関係ねえ。唯一言えるのは、実際に3種類の製品を試し、何ら変化ナシという結果が出たってことだ!! すなわちッ!! 俺のスループット値の夢と希望と愛と勇気その他ポジティブな4096種類の期待は全部キレイさっぱり消え去ったってことなんだよアニキ!! もう俺はオシマイなんだよ兄弟!! さよなら~後は追わないでくださいしばらく旅に出ますよどっか遠い遠いよその国へとTCP/IPに乗って……ってソレはインターネット経由の仮想旅行かよたまには部屋から出ろよ>俺。
ちなみに、これら製品がパチモンだという気はさらさらない。なぜなら、少なくともこれらのうち2種類の製品―――『デュアル ノイズ フィルター・コンセント』と『ISDN・ADSL対応ノイズフィルター』は、実際に使って効果があったって人がいるからだ。効果があったって話を聞いたから俺も俺も俺も効果があって欲し~い!! ということで使ってみたのである。なので、通信環境などによっては、これらのノイズフィルターを使うとスループット値の向上が認められるのかもしれない。結局、俺の環境とノイズフィルターはマッチしなかったというだけのこと……だと思う。
それにしても……はァ、あっけなく玉砕。夢も希望も玉砕。……どなたかスループット値向上の秘技をご存じでしたらぜひご一報くだ……いや、もうやめよう。もうこれ以上の努力はムダなのかもしれない。
そんな、既に焦燥のかけらすらない空振り感を噛みしめつつ、まったく不毛な一連の行為は終了したのであった。……最初から最後まで不毛の連続的情報羅列に終わっちまって、どーもすいません。
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2002/02/26)
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