■家中でブロードバンドしたいが……
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約2Mbpsとデスクトップでは快適インターネット環境になった。が! 我が家には、まだ、ネット的不便空間がけっこーあるのだ
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フレッツADSLの8Mbpsプランを使うようになって早1カ月余り。平均的なスループットは約1.95Mbps程度で、ウェブサイトを見るにもファイルをダウンロードするにもメールを送受信するにも、おおむね何をしても快適なスループット値となった俺のブロードバンド環境である。
こういう環境になると、ネットに対する腰の重さがなくなり、つまりは多くの場面で積極的にネットを活用するようになる。例えば、ちょっと何か調べものをしようと思うと、まずはネット。紙の辞書や書類やカタログは後回しで、手っ取り早くWebサイトを検索して目的の情報を調べるようになる。
って、いかにも勉強熱心っぽい筆者だが、そーゆーわけではなく、例えばテレビ観てて「あれぇこの人の奥さんって芸能人の人だったっけ!? どんな顔だっけ? 誰だっけ?」とか思ったら、速攻でGoogleのイメージ検索なんかを使って調べて脳内の疑問符およびモヤモヤ感を払拭するヨ、と。
高速なインターネット接続環境があると、インターネット上の情報を積極的に活用するようになり、これは、いつも身近に超物知り人物がいるよーな感覚だ。疑問も愚問も即解決!! そんな環境に慣れると、そうでない環境が不便で不便でしょうがなくなる。
しかし、正直なところ、我が家には、まだ、ネット的不便空間がけっこーある。逆に、ネット的便利空間は2カ所程度で、仕事場と寝室程度。そこにはパソコンがあってADSL回線に接続されているが、他の場所にある端末は、ADSLに接続していないのだ。
いや、接続しようと思えばデキるが、しかし、イーサネットケーブルを這わせるのがイヤで接続していないのであった。イーサネットケーブルは、ご存じのとおり細くてさほど邪魔にはならないケーブルだが、しかしアレが各部屋から延びるとなると、どーも気持ち悪い。
■ケーブル接続信者の拙者
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ふつーは迷わず無線LAN! というところだが、拙者の場合、無線LANにはあまりいい思い出がない……
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じゃあ、各部屋にある端末をワイヤレスLANで接続すればいーじゃないか、となる。のだが、しかし、正直なところ、ワイヤレス接続って方法は好きじゃない。
以前、ISDN(1B)で64kbps接続していた時、何度かワイヤレス接続を試したことがあった。フレッツISDNで家中快適にインターネット!! みたいな感じでワイヤレスLAN構築。だが、その印象があんまり良くない。確かにワイヤレスにはなったが、ISDNってこともあってもちろん速くはないし、複数台で同時に接続するとヤケに遅くてウンザリ。また、ワイヤレスLANカードもなーんか調子悪くて、時々Webブラウザやメーラーごとストールしたりなんかして。
それから、去年あたり、ワイヤレスLAN製品が増えてきた頃、そのユーザーさんから聞いた話もイマイチな印象だった。ワイヤレスLANにしたら遅くなったとか、設定が面倒とか、通信が途切れがちとか、やはり調子悪そーなイメージだった。
なので、システムとしては理想的っぽいものの、現実的には調子悪いシロモノなのダ、と思いこんでいる俺なのだ。そのよーな調子悪くて精神衛生上悪そーなモンを使うなら、問題なんか全然起きやしねぇケーブル接続がいいゼと思っている俺である。
しかし前述のように、平均スループット値が約1.95Mbps程度出るようになった現在、ワイヤレス接続ってモノはさらに理想的な接続環境かも~と思えるようになった。せっかく帯域幅を1台や2台のマシンだけで使うのはモッタイナイなぁ、と。また、ここ最近は、ワイヤレスLANにしたら調子悪くなった的な話を聞く機会も減った。あるいは最近はすげー快適になってるのかもしれない!! と再度ワイヤレス接続に興味を抱いた俺。てなわけで、早速よさげな製品を……とか思ったが、ケーブル接続信者の拙者には、ワイヤレスLAN製品の知識がほとんどナシ。どれを選んでいいのやら……。
そんなところへ渡りに船。タイミング良くNECから新しいワイヤレスLAN製品、Aterm WDR85FHシリーズである。端末をワイヤレス接続できるADSLモデム内蔵ルータで、ADSL野郎にもワイヤレスLAN野郎も大注目中の製品だそうで、しかも太っ腹のNECさんがこの最新製品をケーブル接続信者の俺に貸してくれるっつーことで、早速試してみることに。
■新しいWARPSTAR⊿
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Aterm WDR85FH。今回試用したのはCentilliumチップ採用の本体にワイヤレスカード2枚がセットになった「ワイヤレスLANセット」
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新しく発売されたWARPSTAR⊿・WDR85FHシリーズは、そのパッケージとして3種類ある。それぞれ、WDR85FH(ブロードバンドルータ本体)のみのもの、WDR85FHにワイヤレスLANカードが1枚同梱されたワイヤレスLANベースのパッケージ、それからWDR85FHに2枚のワイヤレスLANカードが同梱されたワイヤレスLANセットとなる。また、それぞれのパッケージは、ADSLのモデムチップ別に、CE版(Centillium社製チップ搭載:eAccessやフレッツ・ADSL向け)とGS版(GlobeSpan社製チップ搭載:アッカ向け)の2種類がある。
このうち、俺が試した製品は、ワイヤレスLANセットのCE版、Aterm WDR85FH/CECというパッケージになる。パッケージの内容は、前述のように、ブロードバンドルータ本体および2枚のワイヤレスLANカード(PCカード)である。1枚のワイヤレスLANカードをルータ本体に挿し、もう1枚をノートパソコンなどに挿せば、すぐにワイヤレスLANを構築できるというスターターキット的パッケージだ。
なお、これら新しいWARPSTAR⊿・WDR85FHシリーズの特徴などは、NECの製品紹介ページをご覧いただきたい。
■WARPSTARでスループット値がプチ向上!?
さてさて早速試用!! まずはWDR85FH/CEを、これまで使っていたDIRECTSTAR⊿ DR35FH/CEとリプレースし、イーサネットのケーブル接続で試した。接続の設定等は一連のNEC製ブロードバンドルータおよび他多くのブロードバンドと同様、Webブラウザでルータ内のWebサーバにアクセスし、チョチョイのチョイ。今どきのルータ製品はカンタンに設定を終えられて楽勝感が高いですな。
新しい製品でありかつ、NEC曰く“ワンランク上の高速ルーティングエンジン&さらに進化した使いやすさを実現!”ってことなので、もしかしたらスループットがちょっと上がるかも!? と期待したら、期待通りにスループット値が上がってくれやがりましたヨ!!
具体的には、これまで約1.95Mbps程度だったのが、WDR85FH/CEにしたら約2Mbpsに上昇。50kbpsくらい上がったフィーリングである。1950kbps→2000kbpsというと、大した差じゃないよーに思うわけだが、でも、以前、1.5Mbpsプラン使用時に10kbpsも上がった30kbpsも急上昇した!! と騒いでいたことを思い出すと、けっこー大きなスループット値向上だと言えよう。
また、細かい話だが、DIRECTSTAR⊿ DR35FH/CEを使っていた時には、約1.95Mbpsと言っても、少々不安定にスループット値が変動していた。時には1.935Mbps、たまに1.969Mbps、みたいな感じで、まあ平均すると1.95Mbps程度かなぁという雰囲気だった。少々バラつきがあったという印象。そして今回、WARPSTAR⊿ WDR85FH/CEに変えてみたら、おおむねコンスタントに2Mbpsのスループット値が出るようになった。低い時でも1.99Mbpsくらい。ともあれ、以前はたまにしか見られなかった“2Mbps”という表示が頻繁に現れまくりになって嬉しい拙者だと言えよう。
■高楽勝感・高快適感のワイヤレス接続
お次はワイヤレス接続にトライ!! 手順としては、WARPSTAR⊿ WDR85FH/CE本体に付属のPCカード型ワイヤレスLANカードを挿し、ノートパソコン等にドライバをインストールしてから、もう1枚のカードを(ノートパソコン等に)挿す。とか書くとカンタンそーではあるが、拙者の経験上、PCカードっつーモンは比較的にご機嫌斜めになりがちであり、ワイヤレスLANってのは設定面でけっこーハマりがち、という印象が強い。……またかったりぃ思いをするのかなぁと思いつつ、作業を進めた。
しかし、これまで抱いていた“PCカードを使ったワイヤレスLANに対する悪い印象”は、とても気持ちよく裏切られた。すなわち、何ら全然ハマることなく、ススッと設定を終えられ、スコッと結果が得られた。てのは、製品付属の設定ツールがとても賢いからだ。
例えばWARPSTARらくらくアシスタントを使えば、画面上の指示どおりに作業を進めるだけで、何らムツカシーことを考えることなく、パパパッと接続設定を済ませられる。ウィザードの言うことに従うだけで良い。最初にワイヤレスLANカードのドライバをインストールするために付属のCD-ROMを入れたら……あれれ、もう使えるようになっちゃった、てな感覚で戸惑うことなくセットアップを終えられた。
ちょっと話が逸れるが、WARPSTAR⊿ WDR85FHはそのマニュアルも非常に良くできていると感じた。図入り絵入りで見やすいこともあるが、作業手順に関わる注意事項がわかりやすくビシッと書かれている。例えばノートパソコンにワイヤレスLANカードを接続・設定する場合、マシンに内蔵LANアダプタがある場合はその機能を停止したほーが何かとトラブルが少ないが、WDR85FHのマニュアルにはそういう細かい注意事項もちゃんと書かれている。オマケに、内蔵LANアダプタの機能停止方法まで書かれている。前述のWARPSTARらくらくアシスタント(ソフトウェア)を使えばほとんどトラブルなしで済ませられるセットアップではあるが、マニュアル全体に、こういう委細に渡った周到さが見られるのは、ユーザーとして大いに安心できるところだ。
さておき、次は、ワイヤレス接続でのスループット計測!! てなわけで、ワイヤレスLANカードを挿したノートパソコンでとりあえず計測してみたスループット値は、約2Mbps。ベースステーション(ワイヤレスLANカードを挿したWDR85FH)と無線接続端末(ワイヤレスLANカードを挿したノートパソコン)との距離は2メートル程度。ワイヤレスLANにするとスループット値が落ちるぞ~とかいう話をいくつも聞いた拙者としては、意外な結果。ケーブル接続でもワイヤレス接続でもおんなじスループット値が出たのであった。
■場所によってはスループット値低下
でもベースステーションと無線接続端末との距離がこんだけ近けりゃスループット値が高いのもフツー……なんですか実際!? つい先日までケーブル接続信者であった俺には、このスループット値がフツーなのか大したモンなのかよくわからないが、まあ距離が近いから良好な値が出て当然という感覚ではある。
でも、ワイヤレス接続にする意義は、ベースステーションと無線接続端末を無結線で離せるという点にある。てなわけで、今度は距離を離してスループット値を計測。結果、ベースステーションがある部屋の中では、どこで端末を使ってもスループット値は同じだった。一般家庭におけるフツー的広さの部屋の中なら、問題なく無線でネットにアクセスできる感じ。
今度はベースステーションのある部屋から出て、ドアの外あたりで試してみる。が、木製のドアを挟んだ程度では、特に変化ナシ。また、ガラス戸を挟んで外に出て(ベースステーションと同じ程度の高さで)通信してみたが、これもスループット値的変化はナシ。
さらに、ベースステーションを置いた下の階での通信……と思って周囲を鉄筋コンクリートで囲まれた階段(室!?)を降りていくと、徐々に徐々に電波状況が悪化。ベースステーション・無線端末間の通信状況は、WindowsXPの無線LANアダプタのダイアログで確認できるが、階段を下りるごとに電波の強さがどんどん下がる。そして階段の下のほーに行く頃には、通信不能状態となった。なるほどやっぱり無線LANの高周波な電波は鉄筋の壁に阻まれちゃうわけですな。
だが、階下に降りたら、再度通信可能となった。拙宅は鉄筋コンクリート住宅で、床と天井と周囲の壁が鉄筋コンクリートだ。窓はフツーの家と同じような大きさ・個数があるが、それぞれの窓には鉄線が入っている。なので、たぶん、階下だと通信状況がすげー悪くなるだろーなと予想していたら、そーでもなかった。ダイアログでは電波の強さが半分くらいに弱まっているが、通信が途切れてしまうようなこともなく、問題なくネットを使えた。ちなみにスループット値はやや変動があって1.85Mbps~1.95Mbpsくらい。ベースステーションのすぐ近くでは出まくりであった2Mbpsはついに出ずじまい。電波状況がちょいと悪いとスループット値も下がるんですな。
しかし、前述のように簡単にセットアップでき、また、鉄筋住宅の階を隔てた通信でも十分実用的だというコトが判明。かなりイイかも無線LAN!! と思うと同時に、WARPSTAR用の豊富な周辺機器類に興味が出まくった。例えばワイヤレスLANサテライトのWL11EやワイヤレスLAN強化アンテナPA-WL/ANT1を使えば、階上・階下でもスループットの低下ナシで通信できるかも!! 家からちょっと離れても高速にLAN接続できるかも!! んむむ~コレはやってみるしか!! などと、つい先日までワイヤード信者だった俺は、ワイヤレスな闘志を燃やしつつ次回に続くのであった。
□Aterm WDR85FHシリーズ製品情報(NEC)
http://121ware.com/product/atermstation/product/warpstar/delta/wdr85fh.html
□フレッツ・ADSLサービス情報(NTT東日本)
http://www.ntt-east.co.jp/flets/
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2002/05/21)
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