■禁メッセンジャーなわたくし
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「ボイスチャット機能がイケてる」との友人情報により、IPボイスメッセンジャーを試用!
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従量課金のダイヤルアップ接続からフレッツなどの常時接続に乗り換えると、ネットに対するスタンスが大きく変わる。焦って急いで必要な情報をゲットして即切断!! というあくせくしたアクセス(やや駄洒落)をしなくなり、ローカルディスク上にあるファイルを開く感覚でいつでも好きなときに情報へと手を伸ばせるようになる。また、メーラで5分おきのメールチェックを自動実行させるとか、バックグラウンドでデカいファイルを落とすなど、接続回数や接続時間に糸目を付けない使い方も茶飯事になる。
とりわけ、それまでは「アレって専用線引いてる会社用だよね」と思いがちだったサービスを多用するようになる。例えばメッセンジャーの類だ。端末すなわち自分のパソコン上のメッセンジャーアプリケーションに、ひょいと顔(っていうか文字)を出す知人友人。電話を受けた感覚で始まる文字コミュニケーション。暇になったらオンラインの誰かに話しかければ、やはり文字でのやりとりができる。集合場所やたまり場を決めておかなくても、同じ種類のメッセンジャーさえ使っていればスムーズに連絡が取れる便利なチャットシステム、それがいわゆるメッセンジャーの良さだ。
で、実際、各種メッセンジャーを使うと手っ取り早くチャットできるので愉快だが、実のところ俺はほとんど使っていない。いや、オモシロイってのはわかるが、アレを使ってると仕事にならないのである。すなわち、ヒジョーに手軽に現実逃避っていうかチャットで遊べちゃうので、原稿を書きつつ常に誰かチャット相手が居ないかと探してしまう俺なのである。で、チャットが始まるとアレやコレやナンだカンだと徹底的に世間話をしてしまい、仕事時間を圧迫してしまう拙者なのだ。
てなコトを知ってるハズの友人から、メッセンジャーのお誘いメールが届いた。「東京電話インターネットのTTNetメッセンジャーをやりたまえ!!」というのだ。えー、めっせんじゃぁ~、インストールしたくないんですけどぉ仕事になんなくなるからぁ~。とは思ったが、その友人によれは「ボイスチャット機能がイケてる」というのだ。「他のボイスチャットシステムとはひと味もふた味も違うゼ」てなことらしい。そこまで言われると興味がわく。
てなわけで、ひっさびさのメッセンジャーであるTTNetメッセンジャーをインストールして試してみた。なお、TTNetメッセンジャーの詳細に関しては東京電話インターネットのサイトをご参照いただきたい。
■携帯電話より音がいいかも!!
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TTNetメッセンジャーのページ。ダウンロードもこのページから。TTNetメッセンジャーは、TTNet会員でなくても、登録をすれば誰でも無料で利用可能
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TTNetメッセンジャーは、文字によるチャットや、メール感覚で利用できる文字メッセージの送受信、それからファイルの送受信などができる、まずまず平均的な機能を持つメッセンジャーだ。で、ver.3.0からは、ボイスチャット機能が実装された。
TTNetメッセンジャーのボイスチャット機能は、1:1の通話だけに対応した、いわばツーショットボイスチャットとなる。電話のような感じで、自分と相手のふたりだけの会話を楽しめるわけだ。TTNetメッセンジャーで文字によるチャットを行ない、その途中で「あー面倒だ、手っ取り早く直接話をしよう!!」というハコビになったらボイスチャットを使う、というイメージで実装された機能のようだ。
ちなみに、同時に複数のボイスチャットを行なうことはできない。また、ボイスチャット利用時の推奨環境はWindows 98以上、Pentium III 400MHz以上、メモリ128MB以上、ADSLなどの(高速な)常時接続環境となっている。
さておき、TTNetメッセンジャーをインストールし、テキトーに文字系のメッセージ送受信およびチャットを試し、おもむろにボイスチャットにトライ!! ……で、いきなり結論から言えば、ちょっと驚くほど音質がイイのである、このボイスチャット機能。
ボイスチャットを行なった相手は前述の友人で、その人の回線はADSLでスループットが2Mbps程度。回線としては拙者と同様の環境になる。で、この環境において、実際にどの程度の音質かと言えば、大雑把な話、けっこー良好な状況で通話できた時のcdmaOne携帯電話よりも良い。やや回線状態の悪い固定回線(フツーの電話ですな)という印象もある。PHSよりは音のダイナミックレンジが狭いよーな気がするが、それでも「ええっコレってホントにインターネット経由の通話なの!?」と何度も改めて驚くほど音が良かった。
ただ、音声の遅延は若干ある。テレビの衛星生中継におけるアッチとコッチのやりとり、ってほどは大きな遅延ではない。一昔前のアナログ携帯電話のような、あるいは一昔前の国際電話のような、零コンマ数秒という感じの遅延だ。通話し始めは若干戸惑う(相手の声と自分の声がカブることしばしばだ)が、慣れるとスムーズに会話できるようになる。
それから、何が原因かよくわからないが、音は良いものの、時々奇妙な音が聞こえてくる。例えば相手が「最強に欲しいですな」と言ったとき、その声が「最最最強に欲しい欲しいですなすな」と、斬新な音声に変換されて聞こえることがある。カットアップ&リミックスサウンドみたい、と言えばカッコイイが、高速で連続して音飛びするレコードみたいな感じでもあり、その現象が起きると少々ビビる。
その後、自分で試したり、人にススメたりして、TTNetメッセンジャーのボイスチャットはどーなのかといろいろ検証したが、おおむねだいたい音が良いようなフィーリング。相手の通信環境にもよるが、64Kbps程度の比較的に低速な回線同士でもスムーズに通話できるようだ。個人的にはそういった回線では試せなかったが、試した人によれば「音はまずまず良くて遅延も少ないが携帯電話より良いという感じではなかった」とのこと。逆に、2Mbps以上出ている環境でも音が途切れたり音質が悪化したり(携帯電話よりずーっと悪かったそうだ)するケースも希にあるようだ。
ともあれ、文字ベースのメッセンジャーとしても、ボイスチャット用のソフトとしても、簡単&便利でもちろん無料使用可能なので、興味のある方は試してみてはどうだろうか。
■場合によっては通信不能だヨ!!
試したらどーだろーか、とか気軽に書いちゃう俺だが、現実問題としてTTNetメッセンジャーを始めとするボイスチャット系ソフトがうまく動かない環境ってのは少なくないと思われる。
ADSLなどの高速接続環境において、今どきのボイスチャットやビデオ会議ソフトなどピアツーピア通信アプリケーションの多くは、ルータ経由だと接続さえできなかったりする。結論から言ってしまえば、パソコンとモデムを直に接続するブリッジ接続でないと(あるいはルータのブリッジ接続機能を使わないと)、繋がらない場合が多い。
いや、ルータ経由でも繋がるには繋がる。使用するピアツーピア通信アプリケーションに応じたポートを開くなど、細かな設定を行なえば通信できるようになるケースも多い。のだが、アプリによってできたりできなかったり、面倒だったり簡単だったりと、一概には言えない。率直なところ、今どきの、不必要なポートを最初からしっかり閉じている(ナイスな)ルータを使っていたり、ファイアウォールがあるLAN環境とWAN側とで通信をする場合は、そーは簡単にデキナイ、けっこーメンドー臭いのダ、と考えたほーがいいと思う。
特にオフィスや家庭のLAN環境では、ルータなどの設定が可能であったとしても、実際には使えないってコトになるかもしれない。ブリッジ接続にしちゃったら他のユーザーがインターネットに接続できなくなったりするし、ある程度のオフィスでルータの設定を変えるとなるとセキュリティの問題などで管理者から「できるけどダメです」と言われるかもしれない。
また、ピアツーピアでテレビ電話したり通話したりするアプリには、普通は不特定多数ではない特定少数の相手が必要になる。この点からも、実用的じゃないケースが少々生まれる。例えばアナタが自力でどーにかルータ越えしてTTNetメッセンジャー(のボイスチャット機能)を使えるようにしたとする。やった!! できた!! さぁカノジョ(カレシでもいいですけど)とボイスチャット!! ……と思っても、カノジョの環境がボイスチャットに向くとは限らない。双方環境が整ってないとできないのである。
これはルータやファイアウォールを経由できるかどーかってことに限らず、使っているパソコンでちゃんとピアツーピアアプリが動くどうかとか、回線状況がそのアプリにマッチしたものかどうかなど、いろいろな要素が絡む。単に「ボイスチャットできます」というアプリは多いが、実際にボイスチャットができない環境も少なくないってことだ。
ってなんかネガティブな話書いてますけど、ともあれ、とりあえずインストールしてみて、やたっ!! できた!! 問題なし!! という環境もやはり同様に少なくないと思われるので、一度試してみるとおもしろいと言えよう。
■ボイスチャットできたら、通話環境を整えてよう!!
さて、TTNetメッセンジャーを使って、問題なくボイスチャットができた場合。通信環境によってはその音質の良さに感激したりなんかして、さらには「ここまで使えれば電話代わりになるじゃん!!」とコーフンしたりもする。拙者の場合はそうであった。
パソコンで音声通話をする――すなわちパソコンを電話機として使おうと思うと、現実にはいろいろと通話を不快にしちまいやがる要素がある。第一に、スピーカーとマイクを使っての通話、これがストレスになる。
まず、スピーカーから出る相手の声は、通話のための音声としては意外なほど聞き取りにくいものだ。ディスプレイに内蔵された貧相なスピーカーだったりすると、実はイイ音で通信できていても「某大手のケータイ未満の音」に聞こえたりしがちだ。聞き取りにくいゼってことでボリュームを上げたりすると、今度はスピーカーから出た音がマイクを通して相手に戻り、不快な反響のような音が発生してしまう。遅延を伴って相手に戻っていった相手の声が再度マイクと回線とスピーカーを通って聞こえてきたりした日にゃぁイラついて「あーやっぱ直接電話しますね」とボイスチャットを諦めたりしがちだ。
それから、マイクを使って通話するというのも少々の違和感を伴う。据え置き型のマイクだと、常に顔をそちらに近づけて話さないと快適な通話ができない。手持ちのマイクだと、カラオケ状態で小指を立ててしまいがち……ってのは問題ないが、マイクと口の距離を一定に保たないとやっぱり快適に通話ができない。
そこで!! ああやっぱりソレか最初から言うと思ってたよ、とか突っ込まないでいただきたいが、アレだ、ヘッドセット。ボイスチャットを最も快適に行うための、頭に装着可能なマイク付きイヤホンである。これを使えば快適にボイスチャットが行なえるのはもちろん、両手が空くのでボイスチャットの本領発揮!! すなわち、音声通話をしつつキーボードやマウスを扱えるので、チャットやウェブやメールや各種アプリケーションを駆使した徹底的かつ総合的な双方向コミュニケーションを円滑に行えるようにな……え? 壮大な話はいーから話を先に進めろってか!? そうします。
ぶっちゃけた話、スピーカーとマイクを使ったボイスチャットは不快だよなーと思ったゆえ、とりあえずヘッドセットを使ってみた俺だが、ヘッドセットもピンキリであるなぁ、と。イイのとイマイチなのがある。ヘッドセットを外見で判断しちゃあイケナイってほど、モノによって意外な使用感があった。てなわけで、けっこーショップに並んでいるメジャーどころヘッドセット各機種をレビューしてみたい。
■装着してから買った方がいいかも
まず、東京電話インターネットのTTNetメッセンジャーのページでも紹介されている、ソニーのPC用ヘッドセットDR-140DP。TTNetオススメだからイケてるだろうと思って購入したが、結論から言って俺にはマッチしなかった。
DR-140DPは、その重量25gと非常に軽く、イヤホン部からフレキシブルなマイクが延びるというシンプルなヘッドセットだ。コード長は約3メートルで、コードの先にはマイク端子とヘッドホン端子が付いている。サイズは比較的に自由に調節でき、頭のデカい拙者でもラクに装着可能。音質自体も十分満足できるレベル。実売価格が2640円と、けっこー安いってのもイイ。
のだが、個人的には、イヤホン部にある“耳に引っかける部分”が不快であった。この部分は耳に違和感がないようにか、非常に細くか弱くできていて、まあ折れたり曲がったりはしないものの、頭部へのホールド感がいまひとつ。同時に、頭部にまたがるアームもか弱く柔らかく、ヘアスタイルを気にする人にとっては良いが、やはりクッとホールドする感覚に欠ける。
で、このホールド感、というか頭部への密着感が弱いことが、イヤホン部の密着感を低くしている。なーんかイヤホンと耳の間に空間ができてしまい、シックリ来ないのである。まあ耳の形状やサイズにもよると思うので、このあたりは拙者的独断ではあるが。
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ソニー DR-140DP。実売価格2640円と比較的手軽
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DR-140DP拙者装着図。個人差も大きいと思うが、ホールド感がやや弱いのが気になる
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次に、またもやソニーのDR-50PCAMPというヘッドセット。重量約60g、コード長約3メートル、お値段は少々高めで実売価格4980円だが、けっこーキレイなデザインの製品。DR-50PCAMPの最大の特徴は、ステレオヘッドホンであって、かつ、マイクの出力ゲイン機能があること。通常はステレオヘッドホンとして使えて、ボイスチャットなどをするときはマイクをカリカリッと口の前にもってこられて(通常はヘッドホンのアームと平行の収納状態にしておける)、さらにどーもマイクの音が小さいなぁという時は音声信号出力レベルをスイッチひとつで上げられる。ちなみに、出力レベルは4段階切り替えとなっている。
装着感および音質もなかなか良く、仕事をしながら音楽を聴くのに良し、ボイスチャットをするに良し、他の機器につなげるためのマイクやヘッドホンとしても活用できそうだ。ただ、ステレオヘッドホンであることと、イヤホン部の形状から、マイク部の位置は固定されてしまう。つまり、マイクは常に左耳から口元へ延びるカタチになる。まあ大したコトではないが、机上左側に置いた資料やディスプレイを見つつボイスチャット、という場合は視界の端にマイクが入りがちと言える。
また、コードの途中には電池ボックス兼マイクゲインスイッチがある。これはすこーし邪魔で、ヘッドセット部にスイッチと電池室(ボタン電池とかネ)があればヒジョーに良いのになぁと思えた。ついでに、出力レベルを切り替えるにはいちいち電池を外さないといけないという点も少々ウザってぇ。まあ、でも、全体的には、汎用性が高くて装着感もまずまずでナイスという印象だ。
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ソニー DR-50PCAMP。実売価格は4980円。比較的お高めと言えよう
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DR-50PCAMP拙者装着図。汎用性高く、装着感もまずまず
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お次は、ロジクールのA-002というヘッドセット。A-002はステレオヘッドホンとしてもボイスチャット用のヘッドセットとしても使える製品で、装着スタイルは“ネックバンド方式”。コード長は約2.4メートル、重量は約90gとなっている。
へぇ~ロジクールってヘッドセット作ってたんだァとか思って使用してみたら、これがイイ!! ヘッドセット製品は頭のカタチやサイズや、あるいは装着感の好き嫌いがあるので、ここは独断と偏見ってことを前提としてもらいたいが、今回試したヘッドセットの中ではダントツのデキだと感じた。
A-002を装着すると、イヤホン部を繋ぐ湾曲したアームが、後頭部下あたりにくる。このテの“髪型が崩れないヘッドホン”は、えてしてフィット感がなかったりするのだが、A-002にはピタリ&シックリくる装着感がある。ホールド感も良く、湾曲したアームによってイヤホン部が耳に軽く押しつけられ、また、アームの一部が耳の上にかかることによってズレなどが防止される。スポーツしながら使える程度の、強めのフィット感が良い。かと言って耳が痛くならないあたり、イヤホン部の形状がよく考えられている証拠だろう。
音質は上々で、音楽を聴くにもボイスチャットするにもおおむね文句なし。機能的にもナイスで、例えばコードの途中にある手元コントローラーで、マイクのミュートができたり、ステレオヘッドホンのボリューム調整ができて手っ取り早い。マイク部の角度変更機構やフレキシブルアームの感触は硬めだが良く、口元にビシリとマイクを定めたい拙者には使い勝手が非常に良い。実売価格2980円というあたりもグレイトなのではなかろうか。
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ロジクール A-002。実売価格は2980円。装着スタイルはネックバンド方式
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A-002拙者装着図。ピタリ&シックリくる装着感。今回試した中では拙者的にダントツで、その割にお値段もグレイト
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最後に、ヘッドセットではないが、個人的にかなり気に入っている機器について。ソレは、オーディオテクニカのATC-USB3という、USB接続のオーディオアダプターだ。パソコンに音を録音したり、パソコンからの音を取り出したりできるという、まあよくあるサウンド系の機器。なのだが、この製品、携帯電話用のイヤホンマイクを接続できる端子が付いているのダ!! って“!!”マークを付けるほどのことではないが、ケータイ用のイヤホンマイクをダイレクトにつなげる製品がないんですよええ実際。
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オーディオテクニカ ATC-USB3。USB接続のオーディオアダプタ。このページ一番上の写真で装着しているケータイ用のイヤホンマイクは、コレを介して装着可能
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携帯電話用イヤホンマイクをつなげるとなると、つまり、ヤケクソに豊富に出回っていたり、あるいは愛用していたりするイヤホンマイクを、ヘッドセット代わりに活用できるヨと。携帯電話用のイヤホンマイクは、通話するには十分な音質があり、安く、小さいものが多い。ヘッドセットみたいな大袈裟なモノを装着したくないよーん、という人には、このATC-USB3と携帯電話用イヤホンマイクが、非常に実用的な“ボイスチャット用品”となる。
ちなみに、ATC-USB3のイヤホンマイク端子は、着信スイッチ付きのイヤホンマイクにも対応している。着信スイッチを押すとマイクのミュートができ、しかもミュート中は本体のミュートランプが点灯するあたり、かなりこだわって作られた製品だと思われる。
てなわけで、ボイスチャットにハマったら、ヘッドセットやイヤホンマイクに凝ってみるのもどーですか、という話であった。
□TTnetメッセンジャー(東京電話インターネット)
http://ttnet.gaiax.com/
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2002/06/04)
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