■時々遭難する探検家
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俺のせいなのかOSのせいなのかその他の理由によるのか不明だが、Internet ExplorerとExplorerの両冒険家がたまに遭難するのダ!!
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現在Windows XP Professionalを使って仕事したり遊んだりしている俺、WindowsXPはハングアップしにくくPlug and Playも大得意で安心&安楽だと感じている。のだが、俺のせいなのかOSのせいなのか、はたまた未知の力が介在しているのか、ちょいと調子が悪い部分がある。それはMicrosoft社謹製のふたりの冒険家こと、Internet ExplorerとExplorerだ。
Explorerのほうは、ごく希に、突然いきなり急に終了する。タスクバーを道連れにしてお亡くなりになったりもする。Explorerを再度起動しても、起動できないことがある。……のだが、ごく希に起きる程度であり、かつ、原因もなーんとなくわかっている(俺の環境ではIEEE1394接続のカードリーダーを不作法に抜いたりするとExplorerさんがお怒りになるようだ)ので、まあほとんど気にならないレベル。
しかしInternet Explorer(以下IE)は、やや気になる調子の悪さを見せる。現在俺が使っているIEは、バージョン6.0.2。最新のIEだが、どうだろう、3~4日に一度は突如お亡くなりになる。しかも、一度お亡くなりになった後は、IEが起動できるものの何度も何度も何度も連続してお亡くなりになる。くわッ貴様、探検家のクセして遭難し過ぎだコラ!! てなムカつきとともにPCを再起動すれば調子よくなるのだが、結局IEがトラブったらPCの再起動ってことになるので、かな~り気になってしまう。こちらも何となくトラブルの原因は見えていて、たぶんビデオカード(マルチディスプレイ環境にしているヨ!!)とのよくわからねー相性なのだろーと感じられる。
しかし、毎日確実に使いまくるウェブブラウザが、週に1~2回程度ウザってぇトラブルを起こす。トラブルの原因がウェブブラウザにあるのかビデオカードにあるのか、はたまた俺の日頃の行いにあるのかわからねーが、とにかく「トラブりませんよーに」とビビりながらウェブを使っているこの状況をどーにかしたい!!
てなわけで、IE以外で使いやすそーなウェブブラウザを物色し始めた。で、見つけたのが今回のお題、Opera 6.03 for Windows日本語版である。
[編集部注:スタパ齋藤氏の執筆直後に「Opera」v6.05 日本語版がリリースされました]
■ブロードバンド的に“速いブラウザ”ことOpera
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Opera 日本語版
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Operaは、ノルウェイはOpera Software社のウェブブラウザで、プログラムサイズが小さいことや動作が軽快なことなどで欧米を中心に人気上昇中だそうだ。で、このOperaの日本語版――Opera 6.03 for Windows日本語版(以下日本語版Opera)が正式に発売された。てなわけで早速トライして早2カ月半。その使用感などを書いてみたいと思う。
なお、Opera 6.03 for Windows日本語版は、無料でダウンロード・使用できるけどブラウザ上にバナー広告が表示されるバージョンと、4800円でライセンス購入してバナー広告ナシで使えるバージョンがあり、ダウンロードはココ(http://www.jp.opera.com/download/index.html)から行なえる。
日本語版Operaを使ってみてまず実感したのは“速い”ってコトだ。が、この“速さ”は、ウィンドウが開くのが速いとか起動が速いとかってコトではない。Operaは前述のようにプログラムサイズが小さく、比較的にクイックに動作するブラウザだ。が、IEが十分快適に動くようなPCで使った場合は、Operaの動作速度的有り難みは体感しにくい。ていうかぶっちゃけた話、IEもOperaもそんなに変わらないように思える。のだが、ウェブブラウザを経由してADSLのスループット値を計測してみると、Operaの速さがズバリとわかる。
学生さんが夏休みに入ったからか、それとも冷房の室外機がノイズを出しまくるからか、ここしばらくの拙宅におけるADSLスループット値はイマイチである。IEで計測すると、1.96Mbpsを上回ることがない。いつもだいたい1.95Mbps周辺という感じだ。が、同じ状況で、ウェブブラウザを日本語版Operaにしてスループット値を計測してみると、ほぼ確実に2Mbpsを上回る。ちなみに、ここ数日のIEでの最高スループット値は1.969Mbps、日本語版Operaの最高スループット値は2.045Mbps。76kbpsも違うのである!! ISDN(1B)1本分以上速いのである日本語版Operaのほーが!! ってADSLにおいてはビミョーな差とも言えるが、しかし、IEよりも日本語版Operaのほーが常に高いスループット値を示すのは確かだ。
このスループット値の違いは、ブラウザ内に搭載されたレンダリングエンジンの違いからくる速度差だそうだ。レンダリングエンジンとは、ブラウザにページを構成する画像等を表示するしくみだ。この部分が軽い=効率が良いウェブブラウザだと、ウェブブラウザ経由で計測したスループット値が高くなるのだそうだ。
てなわけで、ADSLスループット値命!! てなユーザーは、Operaで計測してスループットのハイスコアを叩き出そう!! というのは半分冗談で半分本気だが、日本語版Operaのこーいった速さは、“あまり速くないマシンでこそその良さを発揮する”のだと思う。有り余るパワーのマシンならば、IEでもOperaでも快適に使える。が、限りあるパワーをいろんな処理に使わなきゃならないマシンなら、より省エネなブラウザであるOperaが好ましいってことだ。
■けっこーイケてる日本語版Opera
Broadband Watch的には“日本語版Operaでスループット値を測ると速いっスよ!!”というのが結論だが、Operaユーザーとなってから「なるほどこりゃ便利」と感じる点がいくつも見つかったので、それらについて書いてみたい。
まず、起動が非常に速いのが良い。俺の環境ではIEの起動も十分速いと感じられるのだが、Operaはもっとずっと速い感じがする。ショートカットをダブルクリックし終えたらもうポータルページが表示されているという感覚。この軽快さは、IEやNetscapeにはない新鮮なものだ。
それから、インターフェイスとしてSDI(Single Document Interface)とMDI(Multiple Document Interface)に両対応である点。SDIは、ひとつのウィンドウでひとつのドキュメントを表示するスタイルで、IEとおんなじ。つまり、開くページの数だけ独立したウィンドウが開くインターフェイスだ。一方、MDIは、ひとつのアプリケーションウィンドウ内に、複数のドキュメントウィンドウ(子ウィンドウ)が開くというもの。
Windows上でのわかりやすさにおいては、多くのケースでSDIの方が優れていると感じる。ウェブページや文書などドキュメントを開いた分だけ新たなウィンドウが開く。それぞれのドキュメントはウィンドウを直接操作しても扱えるし、タスクバー上にも示される。感覚的にヒジョーにわかりやすいと思う。
一方、MDIの場合、ドキュメントが“アプリケーションウィンドウの中にあるドキュメントウィンドウ”というふうに表示される。窓の中にさらに小窓が開く。その小窓の扱い方がアプリケーションによって少々違うことや、小窓の状態がタスクバーに示されないことなど、少々混乱を招くこともある。
しかし、ウェブページを利用する場合は、MDIの表示や操作に慣れているっちゅーコトを前提として、MDIのほーが都合が良いと感じる。ウェブページ利用時は、単一ページだけを開いている状況は少ない。フツーはメインのページ(ウィンドウ)と、そこからリンクした別のページ、さらにそこからリンクしたこれまた別のページ、というふうに複数ページ=複数ウィンドウを開くことが多い。
SDIのブラウザだと、画面上にウィンドウが開きまくりとなる。それじゃぁ見にくくてしょーがないから、と、ウィンドウを最小化する。すると、今度はタスクバー上に多数のタスクバーボタンが並びまくる。ウェブブラウザのタスクバーボタンだけが並ぶならまだ良いが、他のアプリケーションのボタンが並ぶと、もうどれがどれだかわからなくなるヨ、と。
こんな時にMDIのブラウザだと、それぞれのウェブページをひとつのウィンドウ内にまとめられて、作業効率が上がる。例えば、ウェブページを参照する時は、MDIインターフェイスのウェブブラウザを最大化して画面上をめいっぱい使う。参照が済んで他のアプリを使う時は、ウェブブラウザを最小化すれば良い。タスクバーボタンがやたら増えることもなく、ウェブはウェブ、他アプリは他アプリ、という感じで混乱せずにより多数のウィンドウを扱える。
まあ、SDIとMDIの使用感の違いは、使い方や好みで意見の分かれるところだ。が、日本語版OperaはSDIとしてもMDIとしても使えるので、「軽くて速いタブブラウザを使いたい!!」てな人ならきっと気に入れると思う。
■操作性もクイック!!
日本語版Operaを使って「なるほどネ!!」と感心した点がいくつかある。そのひとつは、マウスジェスチャー機能だ。
これは、マウスを少し動かすだけで多くのウェブブラウジング操作を可能にするユニークな機能で、例えば前後のページへの移動やリロードなどを“マウスをわずかに動かす程度”で完了できる。具体的には、マウスの右ボタンを押したままカーソルを僅かに上→下の順で動かして右ボタンを離すと、ページがリロードされる。マウスの右ボタンを押しながら左ボタンを押すと前のページに戻る。このような感じで、ウェブブラウザ上のボタン等をクリックせずとも、多数のブラウザ操作ができるのだ。
最初はちょっとだけ覚えにくいマウスジェスチャー機能だが、慣れてしまうと非常に快適。他のウェブブラウザもマウスだけで扱えるが、日本語版Operaの場合はマウスの移動距離も最小限なので、操作時のスムーズさで大きく差が出る。
それから、個人的にはページ内容のズーミング機能がヒッジョーに便利だと感じた。機能としては、キーボードのctrlキーを押しながらマウスのホイールを回すと、ページ全体が滑らかに拡大・縮小するというもの。ページ上のテキストや画像など構成要素の全部を、最小20%~最大1000%%まで、自由にサイズ変更して表示できる。ブラウザでの表示設定に依存しないページのテキスト・画像でも、自由に縮小・拡大できる点もナイスだ。
で、この機能を、MDIモードで使うと、非常に閲覧性の高いウェブブラウザとして使える。MDIモードでたくさんのページを開き、注目したいページだけ標準あるいは大きなサイズで表示する。他のページは縮小表示にしてしまう。すると、画像ブラウザにおけるサムネイルと拡大表示のような感覚で、多数のページを直感的に閲覧していけるのだ。特に、資料としてページを閲覧する場合にはこの方法が快適だ。
日本語版Operaには、他にも多数の便利機能があり、それぞれけっこー使える機能なので、よりクイックでありかつ便利なブラウザを使ってみたいと思うなら、一度試していただきたい。ちなみに、何度かインストールとアンインストールを繰り返した経験から言えば、インストールしたらOSの調子が悪くなっちまうとかいう邪悪なアプリケーションではなさそうである。
■ん~、ココはどーなんでしょー!?
日本語版Operaは処理速度やスムーズな使用感では目を見張る点が多いブラウザだが、IEを長く使っている身としては、なーんかちょっと使いにくいかもーと思える点がある。例えば、ブックマーク(IEで言う“お気に入り”ですな)。
日本語版Operaのブックマークは、IEからダイレクトにインポートできたりして、使い始めるにあたっては非常にイージーだと感じた。のだが、ブックマークの機能的指向として“登録を主眼に置いている”という点に違和感がある。
ブックマークはフォルダを使って管理でき、フォルダを選択するとその右側に登録したページリストがズラリと並ぶ、が、ページリストの最上段にはいつも“表示中のページをここに追加”というコマンドが来ている。このスタイルだと、確かにURLの登録は便利なのだが、登録したURLを呼び出す操作が面倒になる。“表示中のページをここに追加”というコマンドをよけて、マウスカーソルを動かすことになるからだ。また、ブックマークの編集も少々やりにくく、いちいちブックマークリストを開く必要があるのも残念。
IEではお気に入りメニューからURLの登録はもちろん削除や並べ替えもでき、また特殊な機能はコンテキストメニューから呼び出すなど、使用感が良い。ブックマーク絡みの機能は、ウェブブラウザ使用時に最も多用する機能のひとつゆえ、このあたりにアクや特殊な指向性を残す日本語版Operaを「使いにくい」と感じる人も多いのではないだろうか。他にも細々した使いにくさ……というかIEと比べた時の違和感はあるが、まあ慣れれば快適になりそーなものが多い。個人的にはこのブックマーク機能がもっと扱いやすくなったら、IEをアンインストールしちゃうのになー、みたいな感じだ。
ともあれ、IEが君臨し、その後を地味にNetscapeが追い、さらにその後を細々と追いかけるブラウザという位置づけのわりには、日本語版Operaは意外なほどよーくできていることは確かだ。興味のある方は無料ダウンロード版を一度お使いになるといいかもしれない。
□Opera for Windows日本語版
http://www.jp.opera.com/windows/index.html
□ノルウェイOpera Software(英文)
http://www.opera.com/
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2002/08/21)
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