■今時のインターネットコミュニケーション
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YAHOO! Personalsサイトなどを見ると、普通の人が普通に顔写真を公開しているのが、拙者的には少々驚きであった
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最近知って「すげぇなァ」と思ったのが、YAHOO! Personalsだ。こんなサイトを見ると、パソコンの普及とネットの常用化と常時接続環境の広がりを一気に感じると同時に、ネットを取り巻く人そのものが変わりつつあるということを痛感する。
てのは、要するに、一昔前のように“ネットは特定分野の人だけが使う”もので“やや特殊な場”である、のでは、なくなりつつありまくりなんだなァ、と。まあこれだけパーソナルなコンピュータが普及し、データ通信がたやすくなれば、単に便利だしフツーよりも楽しいってことで、みんながネットを使うようになるのはわかる。のだが、俺のよーな、パソコン通信時代からネットっちゅーモンを見てきたヤツにとっては、少々の違和感があったりする。
例えば前述のYAHOO! Personalsだ。ココは、仲間集まれ!! 友達になろう!! メル友ボシューチュー!! といったコミュニティサイトで、多くのユーザーがメール相手やチャット相手や活動仲間や恋人や飲み友達なんかを捜しているわけだが、ぱっと見、一発で即わかる特徴としては、多くのユーザーが“顔出し”であること。良い悪い好き嫌いは別として、俺的には、まず、少し、驚いちまうのである。ああっ日本のネット世界で最も人口密度の高いYAHOO!で、自分の顔を、発信している!! と。あのあの、学校とか職場とか近所とかで「あの人ネットで顔写真公開してたわよ」とかってあのあの、言われたらあのあの、あうあうあう。ミョーな老婆心を発揮して知らない人の心配したりして。
とか言いながら本ページでは拙者の顔面画像がちょくちょく発信されているが、いやでもYAHOO!の見られ率とはまったく比較にならないわけで、俺の顔出しはある意味仕事なわけで、富良野は今日も雪なわけで、父さん、僕は……正直驚いていた。ていうかですね、つまりですね、最近のネットユーザーはメールアドレスから顔からもーバシバシ出しちゃうんですねぇ、と。……こんなことで驚いてんのは、俺の脳内に古い考え方シナプスがはびこっているからだろうか?
ていうかそうなのか? 最近のネットはこうなのか? と、いつもハードウェア情報ばっかり見てる拙者、急に興味が湧いてコミュニケーション系サイトをザザザッと見てみた。ら、ふぅんそうなんスか、バーチャルワールドはバーチャルワールドって感じで、皆さん個人情報の断片をバシバシ出してますな。住民基本台帳ネットワークシステムが危ないだどうだというよりも、なんかインターネットの現状のほうが……。
さておき、いろいろなコミュニケーションサイトを見ていくウチに、サービス提供側もけっこー気合が入ってるんだなぁってことがわかった。例えば、Cafestaだ。
■作り込まれたコミュニケーションサイト
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Cafestaサイトのトップページ。アバタ―の洋服なども購入できたりして無料サービスとしてはよく作り込まれている。アバターについては、古いパソ通ユーザーなら富士通Habitatなんか思い浮かべてもらうとわかるかも
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Cafestaは、東京通信ネットワーク株式会社(TTNet)が始めた“コミュニケーションポータルサイト”だ。サービスとしては、ウェブブラウザを使うものが中心で、例えばアバター(ユーザーの分身;グラフィックで表示されるキャラクタですな)を表示・変化させつつのアバターチャットや、独自のアドレスを取得できるメールサービスなど、あの手この手でいろいろなコミュニケーションを楽しめる。また、独自アプリケーションを使ってのメッセンジャーサービスも提供している。使用にはユーザー登録が必要だが、各サービスは基本的に無料となっている。
Cafestaに関する詳細は、同サイトのヘルプページをご覧いただきたいが、ザッと使ってみた感じとしては、コミュニケーションサイトとしてかな~り気合が入った作りになっているということ。
例えばそのサービスの充実ぶりだ。まずアバターが凝っていて、感情表現やスタイルなどまで非常に細かくカスタマイズできる。顔、髪型、服装など自由に選べるあたりは、他のアバター使用チャットなどと似ているが、これらアバターを形作るパーツが非常に多いのが愉快。単純にパーツ種類が多いので、アバターのバリエーションも豊富になる=コミュニティ上に同じアバターが現れにくいという良さがあるが、各パーツを“購入して使う”という点がおもしろい。
パーツを買うには、CafestaキャッシュもしくはCafestaポイントを使う。キャッシュはCafesta独自の電子マネーで、加入時にいくらか付与されるが、購入も可能。ポイントは、Cafestaへログインするたびに与えられるなどしてたまっていく。で、これらを使ってアバターの髪型や衣服を変える。つまり買うわけですな。
Cafestaへの登録や利用は無料だが、なるほどココで金取るのかァと思った……のだが、どうもちょいとそうでもないらしい。だいたい、アバターはチャット時等の飾りであって、そーんなに深い意味はない。コミュニケーション上のひとつの演出に過ぎない。でも、自分の印象を演出できるなら、多少なりとも凝って演出したいと思う。ので、ショップでアバターのパーツを……うーむあのパーツが欲しいけどCafestaキャッシュが足りないし、ポイントも足りない。
てなわけで、たぶん、パーツを手軽に入手できないことで、パーツに付加価値を付けているのだ。で、パーツは欲しいけどCafestaキャッシュを買うのはアレだから、毎日ログインしてポイントを稼ごう!! と、この簡単なギミックで、アクセス数が増え、Cafestaの各サービスがより多用される、と。
ハッキリ言えば姑息なギミックっぽいわけだが、しかし、アバターのパーツ等にトレーディングカード的な価値が付いたりして、なるほどユーザーとしてはちょいとおもしろくもなってくる。このあたりの凝りよう、他のサイトにはない、ユーザーを楽しませるための作り込みだと感じる。
他、機能的にもなかなかバリエーションが豊富で、タダで使えるコミュニティサイトとしては、実によく作り込まれていると感じる。もちろん、部分的には他のサイトよりも機能的に劣る点───例えばメールは有名どころのフリーメールの方が高機能で使いやすいようなことろがあるが、多用なサービスを同じサイト=同一IDで使えるというあたり、なるほど“コミュニケーションポータルサイト”をうたうだけあるという印象だ。
で、個人的「こりゃおもしろい!!」と思った……というか「相変わらずコレはおもしろい!!」と思いつつその新機能に驚いたのが、Cafesta Messengerである。
■チョー手軽にビデオチャットできる!!
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無料ダウンロードできるCafesta Messengerで、編集部スタッフとビデオチャット。右側にCafesta Messengerウィンドウ、中央上はビデオウィンドウ(右側:暗くして下から懐中電灯をあてるスタパ氏)、中央下がテキストチャット用ウィンドウ
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Cafesta Messengerは、いわゆるメッセンジャーアプリケーションだ。文字によるメッセージ送受信ができるほか、文字や音声やビデオによるチャットができる。また、Cafestaのサービスとも連携して動作し、例えば新着メールをCafesta Messenger上で確認することもできる。
ご参考までに書けば、Cafesta Messengerは、モノとしてはTTNetメッセンジャーの最新版……というかTTNetメッセンジャーが消えてなくなり、その代わりにビデオチャット機能付きでCafesta全対応のCafesta Messengerが登場、てな感じ。TTNetメッセンジャーについては本連載『音がいい「TTNetメッセンジャー」で、ヘッドセットもお試し!』に詳しく書いているので、そちらをご参照いただきたい。ともあれ、TTNetメッセンジャーの機能はそのままで、さらに高機能・便利になったのがCafesta Messengerだ。
で、イイのが、ビデオチャット機能だ。何がイイかって、ビデオチャットアプリケーションなのに、いとも簡単にルータ越えをしてくれる点だ。ボイスチャットアプリケーションやビデオ会議ソフトのルータ越え問題に関しては、やはり本連載『音がいい「TTNetメッセンジャー」で、ヘッドセットもお試し!』で説明しているのでそちらをご参照いただきたいが、要するに、ADSL回線にルータ経由で通信しているユーザーでも、スコッと簡単にビデオチャットができるのである。つまりLAN環境の中からでも、インターネット上の誰かとビデオチャットできまくりなのである。ちょっと珍しくないスか、こーゆーソフトって。
とにかく、たいてーの環境においてヒジョーに簡単にビデオチャットできちゃうので、まずは試してみて欲しい。Cafesta Messengerの使い方は簡単で、まずアプリケーションをダウンロード・インストールし、えーと、それだけで使い始められる。チャット等コミュニケーションを行なう場合は、当然相手がいないとできないので、Cafestaで相手を捜すなどの必要がある。また、ボイスチャットやビデオチャットをする場合は、PCにスピーカーあるいはイヤホン、マイク、それからWebカメラなどの機器が接続されている必要がある。
ご参考までに、拙者の環境はルータ機能を持つADSLモデムを経由しての接続中。ファイヤウォールとしてSymantecのNorton Internet Securityを使っている。で、ハードウェア関連では何らビデオチャットに関しての問題は出なかった。が、Norton Internet Securityを“有効”にした状態では、Cafesta Messengerがホストに接続されず、何の機能も使えなかった。でも、Norton Internet Securityを“無効”にした状態なら、Cafesta Messengerの全機能を問題なく使えた。こんなふうに、ネットセキュリティ系ソフトが影響してCafesta Messengerが使えないケースが多いようなので、どーもなんだかCafesta Messengerが機能しない場合は、そのあたりをチェックしてみるといいかも。
■楽しいけれど実用性は……
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スタパ氏とビデオチャット中に、編集部に法林岳之氏来訪。というわけでしばらく会っていないというお二人でビデオチャット
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Cafesta Messengerは、前述のように、まずテキストベースのチャットができる。で、1:1ならば、つまり、ふたりでチャットする場合、マイクとスピーカーもしくはイヤホンが接続されていれば、テキストチャットをしつつボイスチャットができる。そして、さらにWebカメラなどが接続されていれば、テキストチャットをしつつ音声で会話しつつ相手の様子をほぼリアルタイムで見られるビデオチャットもできる。
さて、まずビデオチャットの使用感。接続したWebカメラの性能にもよるが、おおむね良好。ていうか実用的。試したのは、こちらも相手もスループット2Mbps以上程度のADSL回線だったが、意外なほど相手の表情や動きがよく見て取れた。Cafesta Messengerの仕様上、滑らかな動画を送るってのにはちょいと向かず、動画はややカクカクした感じのものとなる。が、相手の動き、表情を追うには十分だと感じられる。また、Webカメラの性能がある程度高ければ、例えばソフトウェアのパッケージを写した場合ならソフト名や売り文句などを相手に読ませることができる。
てなわけで、送受信される動画については、かなりバッチグーなレベルであり、率直に、楽しい!! 1995年あたり、CUSeeMeなんかの時代と比べたら、すげぇスムーズにビデオ会議ができちまいやがるぜくぅ~ったまらねえ!! というイメージだ。
が、ビデオチャット時の音声については、やや目立つ遅延があった。正確には測っていないが、だいたい1~2秒程度遅れて、声が相手に伝わる。ので、向こうの発言とこちらの発言がけっこーカブりがち。Cafesta Messengerのビデオチャットに十分慣れたつもりでも、会話がギクシャクする遅延および会話のカブりが発生してしまう。結局、相手の発言中にはなるべく相づち(の声)を入れないこと、発言の終わりに「~なんですよ、どうぞ」など、発言終了を明確に示す言葉を入れることなど、多少のルール(!?)というか慣習を作らないと、滑らかに会話を進められないという印象が残った。
ただ、ビデオチャットと言っても、動画と音声だけでちゃっとすべし!! ってわけではないので、声の遅延がウザい場合は、喋らないでテキストのメッセージを送れば良い。相手の表情を見ながらの文字チャット。こうすれば、ビデオのおもしろみがあると同時に、実用的&スムーズなメッセージのやりとりができる。で、さほど正確に伝える必要がない情報や、あるいは感情が伝われば良いという場合だけ、声で伝えたりして。こんなふうに、テキスト、オーディオ、ビデオを適宜使い分けると、Cafesta Messengerはヒジョーに愉快で先進的なメッセンジャーとして役立ってくれる。
■文字と声だけってのもかなりイイ
わーコレってテレビ会議じゃんおもしろいネー、という盛り上がりで楽しむなら、ビデオチャットが楽しい。が、もっと冷静な連絡等───仕事上のやりとりや、話し合い、打ち合わせなどには、ボイスチャットがいいかもしれない。
てのは、ボイスチャットのほーが、音声の遅延が少ないと感じるからだ。すこーし音声の遅延はあるものの、ビデオチャットほどは遅れないので、少々気を付けていればスムーズに会話できる。
それから、TTNetメッセンジャーと比べると、音質についても向上していると感じた。TTNetメッセンジャーの時は、時々、相手の声が非常にサイバーになっちまった。例えば「そのサイトのURL教えて」と言った時、相手に「そそそのそのササイトイトのURURL教」などと実に不気味な伝わり方をすることが多少あった。が、Cafesta Messengerのボイスチャットでは、そのよーな奇妙な現象はたまにしかない。
さておき、ある程度スムーズな会話ができるボイスチャットは、より実用的なコミュニケーションツールとして使える。基本的には声でやりとりしつつ、明確&正確に伝えたい内容はテキストで送る。電話料金を全然気にせず文字も動員してコミュニケーションが取れるあたり、かなり便利かもしれない。
個人的に便利というか面白いと感じたのは、まあ単にCafesta Messengerのボイスチャット機能を使って世間話をしただけなのだが、話ながら「あ、このページの下のほーにあるんですよソレ」とか言いつつ、URLをメッセージとして送る。と、相手はそれを参照し、「あーホントだコレはいいねぇ」とか反応する。声だけにこだわらず、また文字だけにこだわらず、みたいなスタンスで自由に使うと、いろいろ便利な点や愉快な点が見えてくるCafesta Messengerなのだ。
てなわけで、ビデオチャットをしてみたいけれど設定とか面倒臭そーと思っていたり、あるいはWindows Messengerの[音声チャットの開始]や[ビデオチャットの開始]コマンドを見て少し悲しい気分になっている人は、一度Cafesta Messengerを試してみるとおもしろいかもしれない。
……でも、アレなのだろうか、やはり今時のネットユーザーは、まるで余裕でフツーに、全然知らない人ともビデオチャットとかボイスチャットとかしちゃうんでしょーか!? むーん。してみたいような、したくないような。でもまあCafesta Messenger、エキサイティングなコミュニケーションツールとして使えることは確かだ。
□Cafesta
http://www.cafesta.com/
□YAHOO! Personals
http://personals.yahoo.co.jp/
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2002/10/16)
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