■ビデオチャットは楽しい!! が……
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本連載の前回ではCafestaを試した。Cafesta Messengerというソフトによるビデオチャットの使用感などをお伝えしたのだが、その後も使い続けた結果、やっぱりどーもこれは我慢できにくい点があることが判明……というか気になってしょーがない部分が浮かび上がった。
Cafesta Messengerは、Windows Messengerのように文字メッセージを送受信したりリアルタイムの文字チャットを行なえるほか、文字チャット+音声チャット(通話ですな)ができたり、さらには文字チャット+ビデオチャット(テレビ通話ですな)ができる。メッセンジャー系のソフトとしてはかな~り高機能なのだ。しかも、1:1でビデオチャットできるソフトにありがちな“ルータ越え問題”もほぼない。ビデオチャットをする場合、例えばこちらも相手もブロードバンドルータを使っていても、何ら設定や工夫や探求や試行錯誤なしに使える。
で、まあ、要するにCafesta Messengerはお手軽簡単チョー便利でマルチメディアなメッセンジャー系ソフトであるのは確かだ。最小限の手間でビデオチャットができるあたりは、けっこー感動モンでもある。そして実際やってみると、かな~り楽しめる。……じゃあ問題はないのかと言えば、そうでもない。使い慣れると、実用性がイマイチである点がひとつふたつ見えてくるのだ。
■声が遅れて会話がカブる
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Cafesta Messengerでビデオチャット利用中。回線状況にも左右されるとは思うが遅延が少々あり、相手の発言にウケるのも、微妙にタイミングずれたりしがち
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例えばビデオチャット時の音声の遅延。このテの“インターネット経由で通話できる”ソフトの場合、どれも多かれ少なかれ音声の遅延はある。こちらで話した声が、若干遅れて相手に伝わりがちってわけだ。
Cafesta Messengerのボイスチャット時の音声の遅延は、あるにはあるが、どちらかと言えば遅延が少ない部類だと思う。使うマシンや通信状況にもよるが、こちらで話した声が1秒程度遅れて相手に伝わるくらいの遅延。一般の電話のつもりで話していると、相手の声とこちらの声がカブって、一瞬混乱したりもするが、その遅延に慣れればスムーズに会話していける。ちなみに音質のほうは非常によく、回線状態が悪い一般の電話よりもイイかも!? と思えるケースが多い。
Cafesta Messengerでのビデオチャットとなると、さらに音声の遅延が激しくなると感じた。こちらの声が相手に伝わりきるまで、どうだろう3~4秒はかかるという印象。あるいは設定や回線状態がおかしいのか!? と思えるほど音声が遅延するので、何度か試したのだが、やっぱり、かな~り声が遅れて伝わるのだ。
この遅れ度合いは、慣れでどうにかできるレベルではないと感じた。結局、話し終えたら「どうぞ」と言って相手にターンを譲るような工夫(無線のPTTみたいな感覚ですな)をしないとスムーズに話せない。例えば……
拙者「~~てなわけなんですよ、どうぞ」
(数秒の遅延により間が空く)
相手「なるほどそうなんですか、私は~~~ですけどね、どうぞ」
(またもや間が空く)
……以下繰り返し。
てな感じで、会話上のルールを作って会話するわけだ。そうしないと、こちらとあちらの声がカブるわ、カブるのを牽制して会話が途切れまくりだわ、ナゼか同時に声を出して会話が混乱するわでイライラしてくる。
ちなみに、前述の“話した後に「どうぞ」ルール”の場合、こちらと相手の会話の間に数秒の間が空く。寂しい一時となりがちだが、そこはビデオチャットの強さ。相手の顔が見えるので、会話に間があってもぎこちない感覚はさほどしない。
でもしかし、せっかくお手軽簡単チョー便利なCafesta Messengerのビデオチャット機能なのに、こーんなに声が遅延して伝わると、いわゆるテレビ電話とかビデオ会議っつーイメージでは使えない。んむー、もったいない。どうしたものか!?
■そうだ会話をやめればいいんだ!!
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ビデオチャット時の文字メッセージウィンドウ。文字表示がタイピング速度に追いつかない場合があった。文字入力ウィンドウが1行分しかないのも少々残念
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音声の遅延がウゼぇ~ウザってぇ~と思いつつもビデオチャットしていた時、あぁそうだと閃いた。……閃いたってほどのコトじゃないのだが、ウゼぇんなら音声の会話をやめれば良いのである。そして、話す代わりにテキストのメッセージを送ってチャットすれば良いのだ。Cafesta Messengerでは、どのチャットモードでも、文字でのチャットが可能だ。なので、ビデオチャット時は、相手の顔が見えるテキストチャットとして楽しめば良いのダ、と。
実際にそうしてみたら、けっこー快適になった。相手の顔はいつも見えていて、その状態でテキストチャットを楽しむ。遅延がありがちな会話と違って、テキストのチャットならば、こちらとあちらのメッセージがカブっても画面上に残るので、チャット自体は混乱しない。
また、時々声での表現をすると、ビデオチャットであるメリットも生かせる。例えば、テキストチャットをしていて非常に愉快な内容が出てきたら「うっしっし」とか「あははは」とか笑ってその感情を伝えるとか、「そうそう、そうなんですよ」と強い同意を伝えるとか、表現性&伝達性豊かなチャットとなる。
……のだが、Cafesta Messengerの場合、ビデオチャット時には文字メッセージの送信がビミョーにトロいのであった。具体的には、テキストを入力した時の追従性がよろしくない。いつものテキストチャット感覚で速攻で文字を入力して確定した……と思ったら、最後の方に打ち込んだ文字列を取りこぼしたりする。とても処理能力が低いパソコンで重いアプリケーションに文字入力をする感覚で、一文字一文字ゆっくりめ&確実に入力しないと、しっかりとチャットできないのだ。
ちなみに、Cafesta Messengerの他のモード──テキストによるチャットモードや、1:1のボイスチャットモードなどでは、また文字入力時の追従性が違う。文字入力に対する追従性が最も高いモードは、テキストによるチャットモードだ。このモードならトロくも遅くも引っかかりも取りこぼしもしない。1:1ボイスチャットモードでは、微妙に追従性が悪いような感じはあるが、実用上ほぼ問題なくテキストチャットができる。
でもまあ、ビデオチャット時、声でやりとりするよりは、テキストでやりとりした方がスムーズにコトがはこぶのは確かだ。
■そうだWindows Messengerを使ってみよう!!
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Cafesta MessengerでビデオチャットしながらWindows Messengerでテキストチャット
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んむむ~Cafesta Messengerのビデオチャットはヒジョーにナイスだし、ブロードバンドの帯域を活用するには持ってこいのテクノロジーなのになぁ……音声の遅延があるし、テキストのメッセージも遅いときやがる。どうしたもんだろう!? テキストのチャットだけでもWindows Messenger程度のレスポンスがあればイイん……あ!! Cafesta MessengerとWindows Messengerを併用するってのはどうだろう、と閃いた。
たぶんソフトウェア的に相性が悪くてどちらかのソフトがうまく起動しなかったりするんだろーなー、などと思いつつ実際に試してみたら、Cafesta MessengerもWindows Messengerも問題なく使えて、併用できた。やたッ!! これだ!! これでやっていきたい!!
つまり、Cafesta Messengerの1:1ビデオチャット機能を使って、相手の顔を見たり、会話でないリアクション的な声をやりとりしたりする。で、肝心の会話は使用感もレスポンスも良いWindows Messengerで行なうというわけだ。
皆さんご存じのWindows Messengerは、テキストのチャットとなれば非常に快適に使えるソフトウェアだ。Cafesta Messengerと併用した場合でも、そのレスポンスの良さ使いやすさは変わらない。てなわけで、こちらで主なメッセージをやりとりする。
一方、相手の表情を見たり、ちょっと声を聞いたり軽く音声で会話するために、Cafesta Messengerを使う。Windows Messengerにも音声通話やビデオ会議などの機能はあるものの、ルータ越えをする必要があったり、UPnP対応ルータが必要だったり、ブリッジ接続にしなきゃなんないなど面倒がつきまとう。この部分をCafesta Messengerに肩代わりしてもらおう、と。
で、実際に両ソフトを併用してみると、まず使用感としては非常に抜群なのであった。Cafesta Messengerでは相手の表情や周辺の様子、それから向こうの臨場感(笑い声とかキーを打つ音とかですな)が音声で伝わってくる。会話をしようと思わなければ、相手のリアルタイムビデオ映像・音声が送られてくるってのは非常に愉快だ。また、相手がどんな状態であるのかがわかると、実際はテキストチャットをしているのだが、フツーのテキストチャットとは違って安心感やリラックス感があったりもする。相手の様子をうかがうためだけに使うとなると、Cafesta Messengerのビデオチャット機能はヒジョーにアメイズィングだと言えよう。
そんな光景を見つつ聞きつつ、Windows Messengerでクイック&スムーズなテキストチャットを行なう。とても快適。問題なし。ナイス。まあ、情報のやりとりをテキストチャットだけに絞って行なうか、あるいは肝心な部分だけテキストチャットで行なってテキトーでいいところは会話で済ませるなどは、ユーザーの好みだ。
余談だが、Windows Messengerのホワイトボード機能なんかまで使い出すと、画面上はかな~りゴチャゴチャするが、チャット(というか情報のやりとり)がもの凄く効率的になったりする。さらにこちらと向こうで同じウェブサイトを閲覧しつつチャットしたりすると、かなり本格的な打ち合わせなんかにも利用できるほど豊富な情報をやりとりできまくりだ。
■“1:1”と“1:4”
ところで、Windows Messengerでテキストチャット=会話ウィンドウ上でメッセージをやりとりする場合は、そこに参加できるメンバーは4人までだ。同時に4人までのチャットができる。
一方、Cafesta Messengerのボイスチャットやビデオチャットは、基本的に1:1。オレとアイツ、キミとカノジョ、みたいな感じでサシのコミュニケーションになる。って回りくどく言わずとも、つまりは同時に2人までしかチャットできない。
なので、前述のようなスタイルでCafesta MessengerとWindows Messengerを併用する場合は、基本的に1:1でのコミュニケーションとなってしまう。相手の顔を見つつたまに声も聞きつつのテキストチャットはヒジョーにおもしろいだけに、この1:1ってところに残念感が漂う。が、まあ、シクミ上そーゆーモンだからこそ大がかりではないシステムで使えるってことを考えるとしょーがないとも言えよう。
ただ、Cafesta MessengerとWindows Messengerの併用時、テキストチャットとしてはWindows Messengerを使うので、テキストチャットの“場”については、同時に4人まで参加可能だ。なので、考えようによってはおもしろい(というか変わった!?)使い方もできる。
例えば、AとBがCafesta MessengerとWindows Messengerの併用で動画・音声・文字のチャットをする。そこへ誰かを呼び出す。Windows Messengerのテキストチャットへ召還。すると、最初のAとBと、後から加わったCやDの4人で、テキストチャットができる。また、AとBはテキストチャットをしつつ、CやDには見えない&聞こえないところで動画と音声によるコミュニケーションが取れる。
まあ当たり前のことではあるが、このよーな使い方をすると!! テキストチャット上では社交的に会話しつつ、リアルタイムでCやDの陰口を叩きまくるAとBが存在できる可能性があったりして……ってこれは悪い使い方かもしれませんな。
AとB、CとDがCafesta MessengerとWindows Messenger併用のコミュニケーションをしていて、その4人がテキストチャットで合流するようなこともできる。チャット上でAとB、CとDがそれぞれ入れ替わって、AとC、BとDてな組み合わせてコミュニケーションすることもできる。使い方によってはいろいろおもしろそーなコミュニケーションスタイルが生まれて楽しいのではないだろーか、とそういうことを言いたいだけであった。
ともあれ、快適なテキストチャットと、まずまずクリアでスムーズな動画送受信と、遅延はあるけど音質はナイスな音声送受信、この3つのコミュニケーション手段を、同時に好きなだけ利用できるのは意外なほど快適である。単なるテキストチャットとは状況も雰囲気も世界も違う感じ。Cafesta MessengerとWindows Messengerの併用、ぜひ一度お試しいただきたい。
□Cafesta
http://www.cafesta.com/
□Windows Messenger
http://messenger.microsoft.com/ja/
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2002/10/30)
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