■テキストvsビデオ
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ふと気がつくと、すでに17年も文字を書いてメシを食っている拙者であった
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何を隠そうこの拙者、考えてみればもう17年も文字を書いてメシを食ってるのであった。さらに掘り下げて考えると、原稿用紙に鉛筆等筆記具で文字を書いて原稿として入稿して原稿料貰ってメシ食ってたのは最初の2年くらいなので、17年のうち15年はキーボード上に並ぶボタンを押下することでメシを食っているのであって、つまりボタンを押すだけで食えててこりゃラクな仕事……えーと、掘り下げる方向が違っちまいました。
ちょっとカッコ良さげな言い方をしたりなんかすると、テキストによって表現してきたとも言えよう。主に何を表現してきたかと言えば、非常にサイバーでカッコ良くてジョリーグッドでたまらねえハードウェアの内容や、それを手にして燃え上がった拙者の心情などである。で、まあ、それはそれできっとこれからもやるんだろーなー、と思っている。
のだが、しかし、テキストを書くことをじっくり掘り下げて考えると、ぶっちゃけた話、頭打ちがあると感じる。文字で書いて伝えることは、時として非常に効率が良いが、場合によってはうまく行かずに効率が悪かったりもする。どのよーな場合でも最高の効率でテキストによる表現を行なえるように、と努力するが、なかなかコレが思うようにならない。ていうか単に拙者の文才が足りないってことですな。
突然話が変わるが、でやってるストリーミングビデオコンテンツの。コレをやらせていただくようになってから、ビデオっつーモンの良さを改めて感じた。てのは、時としてテキストよりもずーっと効率よくわかりやすくダイレクトに物事を伝えられるからだ。
例えばキヤノンのデジタルカメラことPowershotG3のバリアングル液晶モニタについて、文章で説明する場合。
[液晶モニタ部が、液晶モニタのヒンジ部縦方向を軸に180度開閉するのに加え、ヒンジ部に対して直角方向の軸を中心に270度回転する。この機構により、デジカメ本体の向きに液晶モニタの向きが制限されることなく、ハイアングルからローアングル、さらには自分撮りまで自由なアングルでの撮影が可能だ。また、液晶モニタ固定型のデジカメと同様の使い方もでき、その状態で液晶モニタを裏返せば携帯時に液晶面が保護される利便もある]
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とかいった雰囲気になって、拙者は疲れるのであり、んーむやっぱり俺ってこーゆー説明へたくそだなぁとヘコんだりする。読者様におかれましては「え? なにナニ何どういうコト!? よくわかんねーよこのタコ筆者!!」という心意気になりがちだ。
しかし、こういう説明をビデオで行なうと、もーすげぇ簡単なのである。例えばキヤノンのサイトにあるアニメーションGIFファイルだ。動画を見れば一発でわかる。そして前述のimpressTV等のビデオなら、声と動作で説明できる。バリアングル液晶モニタがどんなモンなのかを、非常に効率よく伝えられるのだ。
■ビデオ制作は大変!?
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最新のMicrosoft Windows Media PlayerであるWindows Media Player 9series
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スコッとダイレクトに伝わるビデオ。話す内容をじっくり考えておけば、テキストのような詳細さ・正確さも加わる。実に強力な伝達方法だと感じる。が、音声付き動画のブロードキャストは手間がすげーかかったりする。
テキストの場合、例えばこのページの記事だと、拙者が原稿を書いたり推敲したりして、メールで編集者に送り、編集者が写真等を調達したり公開のために編集したりして、記事が出来上がる。大雑把に考えれば2人でできちゃうのだ。
一方、ビデオの場合は、まず2人じゃちょいと無理。スタパトロニクスTVを例にとれば、拙者とお相手の南さん、それからカメラマン、そして指示監督役のディレクター、さらには全体をとりまとめるプロデューサー的存在、の5人構成。……なのだが、実はカメラマンは撮影と同時に音声調整も行なっており、ディレクターは撮影後のビデオ編集もやっており、プロデューサーは飲み物用意したりレフ板動かしたりしているのであった。最小構成の5人ってわけなのだが、ともかくけっこー人手が必要になる。
また、編集作業もかなり大変とのこと。テロップ入れたり音や映像を微調整したり時間内にキッチリ収まるように工夫したり。撮ったビデオをストリーミング動画に変換するだけで完了、と思ったら大間違いの手間のかかりようだ。プラス、サーバの問題もある。リアルタイムで動画を配信するわけだから、それなりのパフォーマンスや機材やソフトウェアが要る。Webサーバと同じってわけにはいかないんだそうだ。
伝わりやすさにおいては非常に効率的なビデオだが、テキストっていうかウェブページを作るよりもずーっと大変。なので、超効率的に伝わるゼ!! とは思ったくらいの勢いじゃ、おいそれと手を出せない。
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こちらはWindows Media Player 9 Seriesに対応したエンコーダである、Windows Media Encoder 9 Series。もちろん無料で使用できる
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最新のReal Playerである、Real One Player
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■テキストvsオーディオ
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Realシステム用の各種コンテンツ用エンコーダである、Helix Producer Basic。こちらも無料で使用できる
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ビデオは大変だからプロに任せておいて、拙者は地道に原稿記述能力のUPを図ろう……とは思うものの、17年もやって大した能力UPが果たせていないとなると、やっぱりテキスト以外の伝達方法に興味が出がち。で、最近「いいかも」と感じているのが、オーディオでの伝達だ。音。声。音声ですな。
テキストを書く者から見たオーディオの良さは、実に豊かなニュアンスを短時間で伝達できるということだ。例えば前述のPowershotG3のバリアングル液晶モニタの“良さ”をテキストで表現すると、
[非常に実用性があって魅力的]
から始まって、
[一度使ったら手放せなくなる利便と考え抜かれた操作感]
とかに至って、さらには
[便利でナイスで良くて死ぬぜってほど最高にグレイトなので俺も買うからキミも買え!!]
というふうに脱線していったりする。
要は、細かく伝えようとすればするほど、多くの文字数を必要とする(傾向が強い)。文章の達人なら少ない文字数で的確な心情描写をやってのけるが、ふつーはより細かく伝えようとすればより文書量が多くなって、その分、読者様におかれましては読むのに時間がかかってカッタリイというわけだ。
しかし音声は違う。愛と勇気と気合と感情を込めて「このバリアングル液晶モニタは本当に便利なんです!!」と言えば、伝わっちゃったりする。「そんなにテンション高まるほどイイんだァ」と、聞いてる人に伝わっちゃったりしやがるのである。
オーディオっていうか音声は、それほど人の感情をよく表わす。文字で「馬鹿野郎」と伝えられるよりも、声で「バッカやろォ!!」と怒鳴られたほーがイタい。メールで伝わらない感情も電話すりゃぁ一発で伝わるのと同様、声の高低や緊張感や速さ等々、オーディオにはテキストが持ち得ないすげぇ情報量、瞬発力、打撃力があるのだ。……これに絵が付くビデオはもっと強力っちゃぁ強力なんスけどね。
そんなパワーを持つオーディオ(コンテンツ)だが、制作の手間においてもわりと魅力的。もちろんプロクオリティの音質を追求するとビデオと同様タイヘンなコトになるわけだが、「テキストの代わりにオーディオで伝えてみたい気がする」くらいのライトなスタンスならば、さほど手間はかからないと思う。
例えばインターネットの音声配信。インターネットラジオですな。基本的には、伝えたい内容を「より良く伝えよう」という心意気のもとに喋ればよい。喋った声を録音し、パソコン上で適切なファイルに変換し、サーバに置いて公開すればいい。書く代わりに喋る、と考えると、テキストと同様、少ない人数でデキる。そして最近はブロードバンド時代ゆえ、ネットラジオ等のオーディオ配信コンテンツも実用的になってき……そうだコレだ音声だよオーディオだよ手軽そうだしオモシロそーだしやってみたい!! てなふうな最近の拙者なのであった。
■どーやってオーディオを配信するのか!?
つまりは、インターネットラジオのよーなコトをやってみてぇ!! と感じたわけだが、さて、やってみたいってだけでデキるモンなんだろーか実際!? そのあたりを調べてみた。
インターネットラジオを作るには、まず音声をパソコンに録音する機材が必要になる。具体的には、声を拾うためのマイクと、その音声をパソコンに入力するためのオーディオインターフェース等と、作業の中心となるパソコンと、録音および編集のためのオーディオ編集ソフトだ。
だが、今時のパソコンにはサウンドカードが入っており、そのカードのお尻にはマイク入力端子があって、ショップでは激安マイクが山盛りなのだ。また、ある程度長時間のHDD録音ができるサウンドソフトも、けっこー安価にて手に入ったりする。オーディオインターフェース系製品やサウンドカードなどを買えば、バンドルされてたりもする。てなわけで、機材的な準備は即整いそうだ。
次に、パソコンに録音したオーディオをネット配信(あるいは配布)に適したフォーマットに変換するソフトウェアが要る。のだが、これも即手に入る。例えばWindows Media Player向けのファイルへと変換するなら、Windows Media Encoderを使えばいい。Real Player向けのファイルへと変換するならHelix Producer Basicなんかを使えばいい。もっと手っ取り早く、録音した音をMP3ファイルとして配布しちゃうってのもアリだと思う。
要は、[パソコンへの録音]→[ファイル変換]→[ウェブサイト等で公開]、という手順で、音声による表現(って大袈裟ですな)を多数の人々に対して行なえるのだ。聞いてくれるかどうか、という問題はあるが、手間的にはけっこーイージーに音声配信ができそーだ。
てなわけで、ちょっとマジメに音声配信っつーコトに手を出してみたい。テキストじゃない伝達ってのは、どんなものなのか? 頭ではわかってるつもりだが、実際やってみるとどーなるのか? そんなアレコレを実際に行なってみて、その結果を包み隠さずこの連載で伝達していきたい!! と鼻息を荒くし始めた拙者なのであった。
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2003/02/05)
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