9月17日、18日の2日間に渡り、サンフランシスコでネットベンチャー系のビジネスカンファレンス「TechCrunch40」が開催されている。Broadband Watchではイベントの模様をレポートする。
■ TechCrunchとは
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「TechCrunch」日本語版
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TechCrunchは、マイケル・アーリントンが主催するIT系の人気ブログ。ネットの新サービスの紹介や、既存ネットサービスのレビュー、ネットサービスのビジネス面や売買収・投資などに関するトピックを、1日に数本以上精力的に配信している。また、ネットビジネスに興味のある多数の読者に情報が届くため、新興ネットベンチャーなどから多数の掲載依頼が集まることでも知られている。
日本でもTechCrunch日本語版として日本語にも翻訳されており、本家TechCrunchで公開された情報が数日程度、ときには数時間のうちに日本語でも公開されている。
TechCrunchのマイケル・アーリントンと、ブログネットワーク企業Weblogs Inc.の創業者にして有名IT系ベンチャーキャピタルのセコイア・キャピタルでキャピタリストを勤め、これまた人気ブロガーでもあるジェイソン・カラカニスの呼びかけにより、今回初めて開催されることになったのが、この「TechCrunch40」というカンファレンスだ。
米国では、通常のカンファレンスで自社の紹介枠を確保するには、カンファレンスのスポンサーとなって大金を提供する必要があると言われているが、そのような資金が無くとも世の中に広く紹介する価値がある参入者を救済することが本イベントの目的。「発表者ではなく聴講者がお金を払うカンファレンスを開こう」という呼びかけが、2007年1月に両者のブログで行なわれた。
当初は「TechCrunch20」として20個の新サービスを発表する予定が、発表希望者が多く集まったことから参加枠を倍の40個に拡張。カンファレンス名も「TechCrunch40」と改められた。
さらに、40個の発表枠に入れなかった残りの応募の中から100個のサービスには、別室でのデモのチャンスが与えられている。40個の枠の最後の40番目は未定となっていて、参加者の投票によってこれらの100個から最後の1枠が決定し、2日目の最後に発表できることになっている。
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マイケル・アーリントンとジェイソン・カラカニス
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デモ Pit会場
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■ 30万円近い参加チケット800枚以上が完売するほどの熱気
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マーク・アンドリーセン
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40個の「新たに世に問われる」サービスをいち早く見るため、あるいは投資対象を探すために、30万円近い参加チケット800枚以上が完売している状態。アメリカのカンファレンスでは10万円を超える参加料はそれほど珍しくはないが、それを踏まえても大きな注目を集めているのは間違いないだろう。
また、発表されるサービスの講評やパネルディスカッションの参加者として、業界や業界外からも多数の有名人が参加している。
「エキスパート」と呼ばれる彼らの顔ぶれは、Netscape創業者のマーク・アンドリーセンやガイ・カワサキ、PC Forumの主催者だったエスター・ダイソンや、Microsoft、Google、Yahoo!などネットの大手企業からも重要人物が参加。また、面白いところではM.C.ハマーも招待を受けている。
■ Yahoo!やAOLなども新サービスを発表
ベンチャー企業の発表の合間に、Yahoo!やAOLなどの大手ネット企業からも新サービスの発表が行なわれた。これらのサービスは40個の新サービスとは別枠で、コンテストの対象にはならないが、TechCrunch40カンファレンスの人気の高まりに注目した大手各社が、新サービスの発表をこのカンファレンスに合わせたのだろう。
40個の中で最優秀に選ばれたサービスには、賞金として5万ドル(約600万円)が授与される。各ベンチャーの発表者を含めると1,000人を越える参加者と、発表会場やデモ会場、夜のクラブイベントなどで交流できることは、参加者に取って賞金以上の利益があるかもしれない。また、このカンファレンス中にいろいろなベンチャーキャピタルの投資話や提携話が生まれる可能性もありそうだ。
40の発表者は、内容的に近いもの同士が5個ずつ、8つのグループに分けて発表される。次の記事では初日に発表された20個のサービスと、その合間に行なわれたエキスパートによるパネルセッションのレポートをお送りする。
■ URL
TechCrunch40
http://www.techcrunch40.com/
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(秋元裕樹/サイボウズ・ラボ)
2007/09/19 11:21
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