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【東京ゲームショウ2007】
PS3はネットワーク機能やPSP連動を強化。「Home」は2008年春に延期

 東京ゲームショウ2007(TGS)で20日、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の平井一夫 代表取締役社長 兼 グループCEOは「広がるプレイステーション・ワールド、新たな成長に向けたビジネス戦略の全貌」と題した基調講演を行なった。平井氏は講演の中で、ネットワークサービスの現況やHomeの開始時期延期を明かした。


SCE平井氏、PS3発売以後のPSビジネス展開を説明

SCEの平井氏
 平井氏は、「2006年11月に発売したプレイステーション 3(PS3)によって、PSの未来に向けた第1歩を踏み出した」とコメント。「今回はこれからどのように踏み出して、PS3やプレイステーション・ポータブル(PSP)のビジネスを展開していくかを説明していきたい」と述べた。

 まず、プレイステーション 2(PS2)の現状については、「8年目を迎えたPS2は欧米を中心に堅調なビジネスを展開している」と語った。また、「PSは11年目で1億台を達成したが、PS2は6年目で1億台を、8年目に1億2,000万台を達成しており、今後も息の長いビジネスになるのではないか」と、本体に加えて、ソフトウェア販売も好調に推移している点を挙げながら語った。

 PSPに関しては、「携帯プラットフォームに参入するチャレンジャーとして、楽しく魅力的なソフトウェアの提供を目指した」という。「日本では『モンスターハンターポータブル 2nd』が初のミリオンタイトルとなり、現在は140万本出荷している」と語るとともに、「PSP本体も6月末に全世界で2,600万台を出荷し、3,000万台も目前。全世界的なプラットフォームになっている」と付け加えた。

 平井氏はPSPに対して、「今後もコストダウンを進めながら、携帯性や利便性を高めていく」考えを示し、その一環として9月20日に新モデル「PSP-2000」を発売したと説明。また、13日には新型PSPを同梱した「クライシス コア-ファイナルファンタジーVII- FFVII 10th Anniversary Limited」が発売されたが、「77,777台が数時間で完売した」と明かした。同様のパックは北米でも展開しており、「各地域でユーザーが楽しめる施策を実施していく」とした。

 また、「ゲームの定義を広げるような試み」として、PSP用のカメラやGPS、ワンセグチューナーを発売。「世界で均一プラットフォームで販売している製品には変わりはないが、各地域のマーケットニーズに合わせて地域子会社に自由度と裁量を与えて、こうした試みを継続的に加速させる」との考えを示した。


PSおよびPS2の出荷台数推移 各国のミリオンセラータイトル 今後も地域に応じたサービス拡充などを実施するという

ネット経由でのPS3電源操作が可能に。PS3用「DUAL SHOCK3」も発売へ

ネット経由のリモートプレイで電源オンオフが可能に
 PS3をPSPから操作できる「リモートプレイ」では、新たにインターネット経由でPS3の電源をオンオフできる機能を追加すると発表。平井氏は「リモートプレイは場所やメディアの制約を解放して、大きく広げる可能性を持っている」と語り、PSPをPS3のリモコンとして利用した場合に追加情報をPSPの画面上に表示することや、PSPのマイク機能を活用した音声入力コントローラとしての利用、PS3に複数のPSPでアクセスして、プレイ中のゲームを観戦できる機能を提案した。

 加えて、データ転送機能を組み合わせた活用例も提示。「PS3のHDDに保存したゲームをPSPに転送する楽しみ方も考えられる」と語り、「ゲームの途中からプレイが可能になるほか、ゲームをPS3に戻したのちに他のゲームをプレイできる」と述べた。その上で、「パーソナルなPS3とパーソンなPSPの融合による新しいゲームの形も、私たちが思い描いている未来の1つである」とした。


「リモートプレイ機能は場所やメディアの制約を解放する」と平井氏 PS3でプレイ中のゲームに観客として参加できる機能なども提案

PS3の出荷推移。年内には1,100万台の生産出荷を見込む
 PS3の現況に関しては、「全世界で同時立ち上げができず、一気呵成の立ち上げとは至らなかった」と発言。直近の戦略として「PS3はゲーム機であるというポジションを明確化し、年末までに魅力的なタイトルを揃えて、ユーザーにご満足いただくのが大命題である」とし、「TGSでは40タイトル以上のPS3ソフトがご体験いただける」と述べた。

 今後の展開に向けた施策として平井氏は、「パートナーとの対話を通じた、より深い関係の構築」「タイトルの内部制作の強化」「コストダウンの実現」「ユーザーの声」の4つを挙げる。このうち、コストダウンに関しては「初代PSから続く重要な点で、PS3でも加速させたい」としたが、基調講演での値下げ発表は行なわれなかった。平井氏は「値下げはいつか行なうと思うが、まずはソフトがいかに揃っているかが重要である」とも述べた。

 平井氏はまた、「開発会社との情報交換・共有と同様に、PS3ユーザーの声も一層楽しいプラットフォームやソフトウェアを提供するにあたって重要」と発言。「その取り組みが形になったのが、6軸検出機能に加えて振動機能を搭載した『DUAL SHOCK3』になる」とDUALSHOCK3を紹介した。詳細な発売日や価格は未定だが、日本では2007年11月に、北米・欧州地域で2007年春に発売することを明らかにした。

 平井氏によれば「振動機能の搭載は、もっとも要望が高かったもので、コントローラデザインを変更することなく実現できた」という。TGS会場では、「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」など9タイトルがDUAL SHOCK3に対応するほか、既存タイトルの一部もアップデート機能で対応させるという。


DUAL SHOCK3を11月に発売 コントローラ上方には「DUAL SHOCK3」と印字されている TGSでプレイ可能なDUAL SHOCK3対応タイトル

PLAYSTATION StoreがPC対応。Homeのサービス開始は2008年春に延期へ

グランツーリスモ5プロローグはダウンロード販売も決定
 平井氏はまた、「ネットワーク時代に即した新しいビジネスチャンスへの対応も急務である」と指摘。「PS3のネットワークアカウント数は約270万に達するが、今後に向けてコンテンツをさらに充実させたい」と語り、「グランツーリスモ5プロローグを12月13日にブルーレイディスクとダウンロード販売の双方で提供する」と発表した。価格はブルーレイ版が4,980円、ダウンロード版が4,500円。

 オンラインサービス「PLAYSTATION Network」向けの3Dオンラインコミュニティ「Home」については、「2007年内にユーザー向けサービスを予定していたが、2008年春に延期する」とコメント。「Homeは世界展開するものだが、日本や各地域のユーザーの声に応える機能を入れてサービスを充実させる必要がある」と述べ、「サービスインにこだわるよりも、満足できる状態で提供したい」とその理由を説明した。

 なお、Second Lifeとの違いについては、「HomeはPS3という均一なプラットフォームで利用できるもので、HD環境でも楽しめる」と説明。また、「Home上でのビジネスやコミュニケーションなどが無秩序になることを防ぐことも可能で、PLAYSTATION Network上で提供することでの安心感もあるのではないか」とした。

 PLAYSTATION Storeには、有料無料を含めて500以上のコンテンツがダウンロードできることを紹介。「より多くのユーザーに届けて欲しいという声、さらに利便性向上を図るため、9月20日からPCからのアクセスにも対応させた」と発表した。これにより、PCにUSB接続したPSPに対して、ゲームや動画、追加データなどのダウンロード販売が可能になる。


Homeは2008年春に開始を延期 「dress」というHome向けコンテンツも示された PLAYSTATION StoreがPCからの利用に対応

平井氏「インタラクティブエンターテインメント世界の実現を目指す」

SCEブースでは、PS3発売時から現在までに機能強化したパネルも
 平井氏は、「PS3に搭載されたCELLはスーパーコンピュータに匹敵する演算能力を持っている」と語った後、PS3からも参加可能な分散コンピューティング・プロジェクト「Folding@home」を推進するスタンフォード大学から「全体の演算能力が1ペタフロックスを超えたと報告があった」と述べた。

 1ペタフロックスについて平井氏は、「100マス計算であれば1秒間に10兆ページ。日本の人口を1億人とすれば、同時に1人が1秒間で10万ページの計算をする形になる」と例示。「Folding@homeにはPCがPS3の約6倍参加しているが、計算量の全体の8割はPS3がカバーしている」と演算能力の高さを紹介し、「ネットワークに接続したPS3の圧倒的な演算力こそが、我々が考えるリアルタイムインタラクティブエンタテインメントを支えるバックバーンになると考えている」と続けた。

 最後に「コンピュータエンタテインメントの世界は、今後ますますリアルな世界に向かうのは間違いない」と指摘。「PS3では、半導体やフルHD、ブルーレイといった最先端の技術をフルに活用して、新しいエンタテインメントの世界を提供していきたい」と述べ、「世界中どこにいても、あるいは家の中から世界のエンタテインメントを仲間と楽しめるインタラクティブエンタテインメント世界を創り上げるべく努力していきたい」と抱負を語った。


関連情報

URL
  ソニー・コンピュータエンタテインメント
  http://www.scei.co.jp/
  東京ゲームショウ2007
  http://tgs.cesa.or.jp/

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(村松健至)
2007/09/20 16:43
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