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検索の鉄人が「社会人になる前に覚えておきたい検索技」を伝授

 検索会議2005の第1部は、学生を対象とした「検索会議【学生版】」。検索の鉄人として知られる関裕司氏による検索テクニックが紹介されたほか、学生ならではの検索サービスを参加者で考える会議イベントが行なわれた。


検索とは「人間の活動の基本」であり「無限の可能性」

ヤフー マーケティング部長の大蘿(たいら)淳司氏
 イベントの冒頭では、ヤフーのマーケティング部長である大蘿(たいら)淳司氏が検索会議の趣旨を説明。「検索は外から見ると、単にキーワードを入れれば何か答えが出てくるというだけに見えるかもしれないが、実際には内側ではいろいろなことが起きている。そういった内側の部分をみんなに知ってもらって、奥深い検索ワールドに引き込まれていく仲間を増やしたい」と語った。

 大蘿氏は検索のシステム開発について「いままでは密室でコツコツ開発したものを使ってね、という感じだった」とした上で、「よく考えれば、使っているのはユーザーの皆さんであって、検索に対する要望はたくさんあるはず」とコメント。「こういったイベントを通じて話を聞くことで、我々にも解決すべき課題が見えてくるし、ものづくりがインタラクティブになるのではないか」との考えを示した。

 ヤフーが検索に力を入れる理由として大蘿氏は、「検索は何気ないようで実は大きな可能性を秘めている」とコメント。「PCがない頃でも、旅行に行こうと思ったら自分で情報を集めるし、アルバイトも紙をめくりながら探していた。たまたまPCができたから検索と呼ばれるようになったが、そもそも検索とは人間の活動の基本ではないか」との意見を示したのち、「最初はWebサイトの検索から始まったYahoo! JAPANだが、今では画像や地域情報などさまざまな情報を扱っている。検索の無限の可能性にぜひ興味を持っていただきたい」と学生に向けて訴えかけた。


ユーザーとの触れ合いがエヴァンジェリストの大事な仕事

米Yahoo! Inc.検索部門エヴァンジェリストのジェレミー・ゾワドニー氏
 イベントには米Yahoo! Inc.検索部門エヴァンジェリストのジェレミー・ゾワドニー(Jeremy Zawodny)氏も出席。ジェレミー氏はエヴァンジェリストという仕事について「1つはYahoo!の検索がどういうサービスかを理解してもらうこと」と紹介。「一方通行に情報を紹介したりマーケティングするのではなく、ユーザーにフィードバックをもらって双方向で情報交換するフローを作るための仕事」と説明した。

 そのための活動として、カンファレンスでスピーカーを務めたり、スポンサーとなってユーザーと接する一方で、今回の検索会議のような大規模なパーティーイベントを開催、ビジネスの場では聞こえにくいユーザーの本当のフィードバックを得ていくことも重要なのだという。

 エヴァンジェリストの重要なもう1つの仕事としてジェレミー氏が挙げたのが「ブログを書くこと」。書籍の執筆なども手がけるジェレミー氏だが、「ブログは今とってもホットな存在」と注目しており、Yahoo! Searchの公式ブログも開設している。ジェレミー氏は「ブログでは、どうしてこの製品を作ったのかという裏のストーリーを説明することでユーザーとのコミュニケーションを図っている」と語った。


社会人になる前に知っておきたい検索テクニック

「検索の鉄人」として知られるヤフー リスティング事業部サーファー部の関裕司氏
 検索会議【学生版】の後半には、ヤフーのリスティング事業部サーファー部の関裕司氏が登場。検索テクニックを競うコンテスト「検索の鉄人」で優勝した実績を持つ関氏が、「社会人になる前にこれだけは知っておきたい検索技」と題して検索テクニックを紹介した。

 初めに関氏が紹介したのが、Yahoo! JAPANの検索結果上部に表示されるナビゲーションバー。通常は検索結果のダイジェストが最初に表示されるが、ナビゲーションバーの「画像」「動画」「ニュース」「地域」といったカテゴリを利用することで検索の幅が広がるという。また、あるキーワードを入力するとその答えを直接検索結果で表示する「ダイレクト検索」も紹介。用語の後に「?」をつけて用語の意味検索、「ヤフーの株価」と入力してそのままヤフーの株価を調べられるといった機能をアピールした。

 関氏が次に説明したのがYahoo! JAPANのカテゴリ。もともとカテゴリから始まったというYahoo! JAPANのカテゴリは現在19万カテゴリ、登録サイトも約45万件に達している。関氏は「登録サイトは依頼のがあったもののほか、我々が面白いと思ったサイトは積極的に登録している」と説明、新着情報のページでは毎日の新着サイトのほかにも「今週のオススメ」「波乗り日記」といったコーナーで情報を公開しているとした。

 関氏は、「ここからがメインの話題」と前置いた上で、Yahoo!の検索技術「YST(Yahoo! Search Technology)」のポイントを紹介。「YSTが何をしているのかというと、ロボットと呼ばれるプログラムが自動でサイトを巡回し、集めてきたテキスト情報を検索できるようにインデックス化している」という流れを説明した上で、「自分が検索したいという思いと、実際に存在するページをつなぐキーワードをいかにうまく考えるかがポイントになる」と語った。


 検索キーワードの考え方として関氏が挙げたのが「独特なフレーズ、ワード」「結果からキーワードを探す」「キーワードの組み合わせ方」の3つ。関氏は最近お気に入りだという木村カエラを例に取り、「木村カエラに関するブログ情報を集めたければ、ブログに必ず表示されているであろう“トラックバック”というキーワードを入れればいい。逆にブログ以外のサイトを検索したければ“-トラックバック”と頭にマイナスを付ける」と説明した。

 「結果からキーワードを探す」手法は、まず頭に思い浮かんだキーワードを検索し、その検索結果からさらにキーワードを探すというもの。「首が痛かったらまずは“首 関節 痛い”と検索してみて、その中から自分の症状に似ているキーワードを探してみるといい」。

 検索テクニックの中でも最も重要なポイントとして関氏が挙げたのが、キーワードの組み合わせ方。関氏は「例えばそばの出前の値段が知りたい時、“そば 出前 値段”と入力しても、思ったような検索結果はなかなか得られない」とした上で、「出前メニューにありそうな“もり”“かけ”“たぬき”といったキーワードを組み合わせることで目的のページに辿りつける」と語った。

 このほかの検索テクニックとしては、ドメインを指定して検索する「site:」や、ファイル形式を指定する「filetype:」などを紹介。「Yahoo! JAPANは検索エンジンを超えたライフエンジン。人生のあらゆる場面でお役に立てると思っているので、これからも便利に使ってください」と講演を締めくくった。


学生ならではの検索サービスのアイディアが飛び出す

グループ会議の様子
 イベント後半は、検索会議ならではの全員参加型会議。個人で15分間、5~6人のグループで20分間の時間が与えられ、「学生特有の(   )という問題を解決し、他検索サービスとは違う、(   )という特徴を備えている検索サービス」についてアイディアを競った。

 グループのアイディアから選ばれたのは、能力を活かしたバイトをするために学生の能力をあらかじめ格付けし、企業が学生をオークション形式で選ぶ「学生格付ランキング」と、テスト直前期に学生自身がコンテンツプロバイダーとなり、学生のノートを一括して集める単位ポータル「楽単」。投票の結果、1票差で「楽単」が優秀賞に選ばれた。

 個人アイディアからは、将来自分がなりたいと思う人間に近い能力を持った人物の人生を調べる「あこがれ」が選出された。大蘿氏は全体の傾向として「お金がない、暇だ、単位が欲しい、ノート貸して欲しいというニーズが強かった」と述べたのち、「一服の清涼剤というか、未来が明るくなるアイディアとして『あこがれ』を選んだ」と講評。「学生に集まってもらうのは初めての試みだったが、20年前のほろ苦い思い出が懐かしくよみがえった」と感想を述べた。


関連情報

URL
  検索会議【学生版】
  http://blog.academedia.jp/?eid=92045
  関連記事:Yahoo!の検索ビジネス戦略を探る「第6回:米国Yahoo! Inc.の検索エンジンと「Yahoo! Search Blog」の裏側」
  http://internet.watch.impress.co.jp/static/column/yst/2004/12/22/

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(甲斐祐樹)
2005/03/07 13:29
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